日本臨床細胞学会雑誌
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46 巻, 2 号
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原著
  • ―パパニコロウ染色における細胞質の染色性とケラチン, HBME-1およびEMAの発現との関連性―
    磯崎 岳夫, 北村 隆司, 岸本 浩次, 鮫島 千恵, 根神 仁志, 楯 玄秀, 光谷 俊幸, 太田 秀一
    2007 年 46 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 2007/03/22
    公開日: 2008/07/18
    ジャーナル フリー
    目的 : 悪性中皮腫 (malignant mesothelioma, 以下MM) と反応性中皮細胞 (reactive mesothelial cells, 以下RM) の鑑別を目的としてMMの細胞質の多彩性に着目し, パパニコロウ染色 (以下Pap.) での細胞質の染色性とケラチン, HBME-1およびEMAの発現との関連性について検討した.
    方法 : 対象はMM5例, RM24例である. 体腔液標本にcytokeratin : clone AE1+AE3 (以下CK) 抗体, HBME-1抗体, およびEMA抗体を用いて免疫染色を行い, その反応像とPap. 像との関連性について検討した.
    成績 : MMでのCK陽性像は1) びまん型, 2) リング型, 3) 核周囲型に分類された. びまん型は5例すべてに認められ, リング型は5例中3例, 核周囲型は5例中2例に認められた. その陽性所見はおおむねPap. 像のライトグリーンの染色性に一致していた. MMに特徴的な細胞所見は, (1) 泡沫状やレース状の細胞質をもち, 細胞辺縁が空胞化を示すCKびまん型弱陽性細胞, (2) 中心部が淡染, もしくは小空胞で占められ, それを囲むように陽性所見を示すCKリング型細胞であった. HBME-1においてはMM, RMの両者に陽性所見を認めた. EMAは4例のMMで多数の細胞が陽性となり, 1例はほとんどの細胞が陰性であった. しかし, HBME-1, EMAともにPap. 像との関連性はみられなかった.
    結論 : MMではPap. における細胞質の染色性が多彩であり, CKびまん型弱陽性やリング型を示す異型細胞がMMを疑う所見となる可能性が示唆された.
  • 矢羽田 一信, 中山 富雄, 楠 洋子
    2007 年 46 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 2007/03/22
    公開日: 2008/07/18
    ジャーナル フリー
    目的 : Adobe AcrobatをTelecytologyに用いることが有益であるか検討することを目的とし, 転送ファイルを用いたモニター画面による診断 (モニター細胞診断) の成績を通常の顕微鏡診断 (細胞診・生検組織診) と比較した.
    方法 : 呼吸器検体56例を対象とした. デジタルカメラで撮影した異型細胞画像と報告書, 症例一覧をPDFに変換しコメントを付加後, デジタルIDによるセキュリティを設定し電子メールで送信した. 細胞診専門医はモニター細胞診断を行い結果を電子メールで返信した.
    成績 : 診療呼吸器検体で顕微鏡細胞診断陽性27/30例をモニター細胞診断でも陽性と診断した. 肺がん検診検体で顕微鏡細胞診断C, D例は全例モニター細胞診断でも一致した. 推定組織型の一致率は腺癌11/12例, 扁平上皮癌6/7例, 小細胞癌3/3例, 大細胞癌1/1例, LCNEC1/1例, 尿路上皮癌の肺転移1/1例と良好であった. 生検組織診との一致率は顕微鏡細胞診断22/25例, モニター細胞診断24/25例で差を認めなかった.
    結論 : 安価で強力なセキュリティ機能と豊富な注釈機能をもつAdobe AcrobatをTelecytologyに用いることは有用であると考える.
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