目的 : 自動血液塗抹装置が喀痰細胞診標本作製に有益かどうかの検討を目的とした.
方法 : 喀痰融解法で処理した肺癌症例45例の喀痰を対象とした. 自動血液塗抹装置はGeometric Data社のヘマプレップ (以下HP) を使用した. 液状化した検体を遠心後, 沈渣をHPを使って塗抹した. 塗抹面6cmを癌細胞の集積を知るために2cmごとに区分し, 塗抹開始位置よりA, B, C領域とした. HPの塗抹速度をレベル0.5から0.5間隔で8段階まで上げ, 各塗抹速度における細胞分布と癌細胞のA, B, C領域への出現状況について検討した. またHP法と通常法の癌細胞のA, B, C領域への出現状況について比較検討した.
成績 : HPは塗抹速度0.5~2で細胞が均一に分布する標本の作製が可能であり, 塗抹速度1.5でB領域の平均癌細胞数はA, C領域よりも104%高く (p<0.001), 通常法よりも51%高かった. 通常法と比べ各領域の癌細胞出現数の再現性も良好であった.
結論 : HP法は通常法に比べB領域に癌細胞を多く集めることでスクリーニング時の見落としの回避に役立ち, 喀痰細胞診の標本作製に有益であると考える.
抄録全体を表示