日本臨床細胞学会雑誌
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47 巻 , 1 号
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原著
  • 丹後 正紘, 金谷 太郎, 橋本 茂, 前川 信政, 浮田 俊彦, 小山 信, 丘村 誠, 井上 正樹
    2008 年 47 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
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    目的: 子宮頸がん検診に従来の細胞診に HPV 検査を導入することの有用性を検討した.
    方法: ベセスダシステム (2001) で意義不明の異型扁平上皮細胞を ASC と分類している. 平成 16∼18 年の 3 年間の金沢市民を対象にした行政の子宮頸がん検診において, ASC (ASC-US と ASC-H) 例にハイブリッドキャプチャー 2 (HC2) で高リスク型 HPV の検査を併用し, HPV 陽性例と軽度異形性以上の病変を推定した例にコルポスコープ下の組織検査を行い, HPV 検査導入前の 3 年間と比較検討した.
    成績: 3 年間の金沢市の子宮頸がん検診受診者 3 万 3790 人中 ASC は 1565 人 (4.6%) で, そのうち 221 例 (14.1%) が HPV 陽性であった. 221 例中精検受診者は 169 例 (76.5%) で, そのなかから CIN2 以上が 27 例検出された. 浸潤がんは認めなかった.
    結論: 細胞診で判定の難しい ASC 例に対し, HPV 検査を導入することによって感度が高められ, 見逃しを減らすと同時に, 不必要な生検を省くことができると考えられる.
  • 柏村 賀子, 松村 真理子, 岡 康子, 実淵 邦子, 池本 理恵, 宇留島 美恵, 原口 力, 柏村 正道
    2008 年 47 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
    ジャーナル 認証あり
    目的: 子宮頸部細胞診の結果判定と報告様式について検診受診者, 細胞診判定者 (細胞検査士, 細胞診専門医) ならびに細胞診専門医以外の産婦人科医における理解と対応の相違点を検討し, 現行のクラス分類の問題点を The Bethesda System (TBS) と対比することを目的とした.
    方法: 子宮頸がん検診受診者 182 名に細胞診判定結果の理解についてのアンケート調査を行った. 細胞検査士 62 名, 細胞診専門医 41 名, 細胞診専門医以外の産婦人科医 30 名に判定基準についての理解とその対応について電話や文書によるアンケート調査を行った.
    成績: 受診者の約 83%はクラス分類が理解しにくいと回答し, わかりやすい説明を要望していた. 推定病変とクラス分類との相関について, 扁平上皮系の軽度と高度異形成では 95%以上の高い一致率であったが, 中等度異形成では 48%がIII a, 45%がIII b, 7%が III と判定していた. また同じ組織診を推定しても該当するクラス判定に診断者間でのずれが目立っていた.
    結果判定後の対応についてはクラスIII a の低精査率の背景が示された.
    結論: 多岐にわたる細胞像について従来のクラス分類に当てはめることの限界が示された. TBS では扁平上皮, 腺上皮, それ以外の細胞について区分され, 診断者間により整合性のある判定が期待でき, 標本の適切性を判定の条件とすることや細胞採取方法を銘記することなど精度管理上, また医療安全の立場からも評価できる. しかし, ASCUS, ASC-H などの新しい用語, 本邦でルーチンには使用されていない HPV 検査を視野に入れた区分, HSIL に中等度異形成が包括されていることなど, 検討すべき課題が残されている.
  • 寺本 典弘, 西村 理恵子, 山本 珠美, 山内 政之, 野崎 功雄, 栗田 啓
    2008 年 47 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
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    目的: 術中腹腔洗浄細胞診陽性 (CY1) は胃癌取扱い規約・UICC-TNM 両者で StageIVの因子である. より予後予測性が高いとされる UICC-TNM を用いて CY1 のもつ予後予測性を再検討した.
    方法: 当院の術前化学療法例・術死例を除く 98 例の pT3-4 胃癌切除症例 (CY0: 69 例, CY1: 29 例) を UICC-TNM と規約で Staging し, Kaplan-Meyer 法で予後を解析し, P<0.05 で有意とした.
    成績: UICC-TNM では StageII: 6 例, III: 34 例, IV: 58 例であった. CY1 以外の点では UICC-StageIIIに相当する症例 (StageIII+M1 (Cy+) ) は 6 例あった. 症例全体では CY1 は有意な予後因子であった. StageIV/CY1 は StageIV/CY0 と予後に有意差がなかった (P=0.1531) が, StageIII+M1 (Cy+) を除いた場合, 有意に予後が悪かった (P=0.0050). 一方, StageIII+M1 (Cy+) 症例の生存曲線は UICC-StageIIIのものとほぼ一致した.
    結論: CY1 は StageIII+M1 (Cy+) 症例においては予後予測性がない. そのような症例を UICC-StageIV/CY1 症例と同様な臨床的対応を行うことは疑問がある. CY1 の予後予測性は UICC-StageIII+M1 (Cy+) を UICC-StageIVから除くことで増強される.
  • 金本 淳, 中村 恵美子, 宮川 恭一, 清水 敏夫, 川口 研二
    2008 年 47 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
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    目的: 膀胱癌発症後に尿管・腎盂 (上部尿路) に癌が発生することはまれとされている. 膀胱癌治療後に発生する続発性上部尿路上皮癌症例の臨床病理学的特徴を検討した.
    方法: 過去 12 年間に病理組織学的に膀胱癌と確定診断され治療を受けた 151 例のうち, 続発性上部尿路上皮癌の発生をみた 8 例を対象とした. 膀胱尿管逆流 (vesicoureteral reflux 以下 VUR) に注目し, その発生要因・発癌との関連を臨床病理学的に検討した. また細胞診の有用性について検討した.
    成績: 8 例の続発性上部尿路上皮癌は全例片側性で発生までの期間は膀胱癌治療後 20∼192 ヵ月 (平均 71.3 ヵ月) であった. VUR 症例は 5 例で全例多発性表在性膀胱癌であった. 4 例は尿管口にかかる腫瘍が存在し, 経尿道的膀胱腫瘍切除術施行後 (以下 TUR-Bt) VUR が確認された. 残りの 1 例は TUR-Bt との関連は明らかではなかった. 5 例は VUR を認めた側の上部尿路に続発し, VUR 症例は非 VUR 症例に比べ続発性腫瘍発生までの期間が長い傾向がみられた. 尿管カテーテル尿細胞診を 6 例に施行し, 4 例が陽性, 2 例は疑陽性であった.
    結論: 続発性上部尿路上皮癌の発生要因の一つに VUR の関与が考えられ, その早期発見には尿管カテーテル尿細胞診が重要と思われた.
  • 稲垣 伸介, 小林 勲, 高山 須実子, 稲垣 貴子, 石井 均, 田中 昇
    2008 年 47 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/12
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    目的: われわれは細胞診に有用なバーチャルスライドの研究を行っている. そして, 顕微鏡操作と同様の 3 次元表示を可能にした「多焦点画像表示装置 パソグラフ」 (以下, パソグラフ) を完成させた. パソグラフは多焦点画像によりフォーカス表示を含み, 光学顕微鏡と変わらぬ操作性と観察を可能にしたバーチャルスライドである. そこで, 単焦点画像と多焦点画像では細胞像の情報量にどのくらいの差が生じるのか検証してみた.
    方法: 標本は婦人科の細胞診標本を用いた. 比較対象は単焦点, 多焦点それぞれフォーカスを合せられる核の数とし, 単焦点 (s)/多焦点 (m)×100 で比較した.
    成績: 子宮頸部塗抹標本における対物 20 倍撮影 s/m は平均 20.8%であった. 対物 40 倍撮影の s/m は平均 33.3%であった. 子宮内膜標本における対物 20 倍撮影の s/m は平均 38.7%, 対物 40 倍の s/m は平均 16.8%であった.
    結論: 単焦点のバーチャルスライドでは細胞標本の情報を十分に表示することはできない. 細胞診のバーチャルスライドには多焦点表示が必須の技術であると思われた.
症例
  • 沼田 彩, 今井 愛, 角田 新平, 二井 美津穂, 上坊 敏子, 渡辺 純, 岡安 勲, 海野 信也
    2008 年 47 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/07/14
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    背景 : 子宮内膜に発生する扁平上皮癌はきわめてまれであるが, 多くの場合不正性器出血や帯下増量が主訴である. 原因としてヒトパピローマウィルス (Human Papillomavirus : HPV) も注目はされているが, 発生機序については十分解明されていない.
    症例 : 58 歳. 子宮頸癌検診にて異常を認め紹介受診. 頸部, 内膜の細胞診はともに扁平上皮癌を示唆する所見であった. コルポスコピーでは異常なく, 頸管組織は採取不能だったが, 内膜組織診では角化型扁平上皮癌を認めた. 子宮体癌の診断で手術を施行し, 子宮底部に限局する角化型扁平上皮癌を認めた. 腺癌成分はみられず頸部との間には萎縮内膜が存在し, 頸部には異常を認めなかった. 浸潤は筋層約 1/3 に及ぶも, 付属器, 骨盤リンパ節にも転移は認めなかった. 腹水細胞診では扁平上皮系の異型細胞を認めたため, 追加治療として化学療法を施行した. 術後約 17 ヵ月現在再発徴候は認めていない. 内膜細胞検体を用いた HPV の検索は陰性であった.
    結論 : 子宮頸部細胞診で扁平上皮系異型細胞の出現を認めるが, 子宮頸管に病変を認めない場合は, 本疾患も念頭において子宮内膜の検索を行う必要がある.
  • 新井 詠美, 新井 正秀, 田口 明, 上坊 敏子, 横山 大, 山口 優美子, 蔵本 博行
    2008 年 47 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/07/14
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    背景 : placental site trophoblastic tumor (PSTT) はまれな疾患で, その細胞診所見の報告は非常に少ない. 内膜細胞診で PSTT を疑った症例を報告する.
    症例 : 32 歳, 2 経妊 2 経産. 主訴は 5 ヵ月間の産褥無月経後の不正性器出血. 血清 hCG は 99 mIU/ml, hPL は 0.62μg/ml であった. エンドサイトにより採取した内膜細胞診の所見は, (1)出血性背景だが壊死物質は目立たず, 正常内膜細胞が出現, (2)大型の異型細胞が孤立性またはシート状小集塊を形成して出現, (3)異型細胞の細胞質は豊富で, 核クロマチンは増量し, 核大小不同を認めた. 2 核の細胞もあり, 核小体を数個認めた. (4)明らかな絨毛構造はない, であった. 以上から, 絨毛癌を含む絨毛性疾患を強く疑った. 子宮内膜全面掻爬によって得られた組織にも絨毛構造はみられず, 免疫組織化学では hCG, hPL ともに陽性で, 後者が多いという結果であった. 以上より PSTT を疑い, 単純子宮全摘術を施行した. 摘出子宮の筋層には 2.0×0.8 cm の境界明瞭な暗赤色の腫瘤として PSTT が局在していた.
    結論 : 細胞所見が PSTT 診断のうえで参考となることが示唆された.
  • 徳重 佐矢加, 渡部 庸一, 刀稱 亀代志, 大野 幸代, 渡邊 麗子, 伊藤 以知郎, 山道 玄
    2008 年 47 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/07/14
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    背景 : ポリープ状異型腺筋腫 (Atypical polypoid adenomyoma : 以下 APA) は, 子宮内膜に発生する比較的まれなポリープ状腫瘍性病変である. われわれは, 両側卵巣類内膜腺癌を伴った APA の 1 例を経験したので, その細胞所見を中心に報告する.
    症例 : 33 歳, 女性, 0 経 0 妊. 不正性器出血を主訴に前医受診. MRI にて子宮体癌卵巣転移が疑われ, 当院紹介受診となった. 初診時内膜細胞診にて, 出血性背景の中に軽度の細胞異型と強い重積や配列不整などの構造異型を示す内膜腺様細胞集塊を認めた. 細胞像からは, 複雑型子宮内膜増殖症, あるいはそれ以上の病変が疑われ, 内膜生検でも複雑型子宮内膜異型増殖症と診断された. その後, 子宮内膜全面掻爬にて最終的に APA と診断され, 両側卵巣切除術のみが施行された.
    結論 : APA は, 内膜腺細胞に軽度の細胞異型や異型内膜腺の増生を伴うため, 類内膜腺癌や子宮内膜増殖症との鑑別を要する. しかし, APA には扁平上皮様細胞巣 (morule) を認め, 背景に平滑筋細胞が出現することに注目すれば細胞学的に APA を推定できると考えられる.
  • 小嶋 真理, 森 美幸, 竹腰 友博, 奥村 恭子, 久保 正代, 岩佐 葉子, 高橋 玲
    2008 年 47 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/07/14
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    背景 : 尿細胞診において尿路上皮癌と鑑別が必要であった前立腺類内膜癌 adenocarcinoma of prostate with endometrioid features (乳頭癌 papillary carcinoma of prostate) の 1 例について免疫染色を併せて検討したので報告する.
    症例 : 89 歳, 男性. 前立腺肥大症で当病院受診. 画像診断にて膀胱頸部から直腸前面にかけ, 鶏卵大の腫瘤を認めた. 尿細胞診ではパパニコロウ ClassVで鑑別診断として尿路上皮癌が推定されたが, 血清 PSA 値が高値であった. 経尿道的膀胱腫瘍切除術 (transurethral resection of bladder tumor, 以下 TUR-Bt) の HE 染色標本における組織診断では, 尿路上皮癌 (一部に前立腺腺癌様の部分を含む) と診断されたが, 免疫染色では大部分の腫瘍細胞は PSA 陽性を示し, 最終的には前立腺類内膜癌 (乳頭癌) と考えられた.
    結論 : 尿中に出現した前立腺類内膜癌細胞は, 尿路上皮癌との鑑別が必要となることがある. 尿中出現細胞での判定では, 尿路上皮癌との重複の可能性も否定できない場合があり, 確認には細胞診標本上での免疫染色が有用であると考えられた.
  • 堀越 美枝子, 石原 力, 石井 英昭, 伊古田 勇人, 山口 由美子, 柏原 賢治, 城下 尚, 村上 正巳
    2008 年 47 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/07/14
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    背景 : アカントアメーバ角膜炎 (Acanthamoeba keratitis) はコンタクトレンズ装着者に増加傾向がみられる. 原因は淡水, 土壌等に生息しているアカントアメーバ (Acanthamoeba) の感染によるもので, 角膜擦過細胞診標本にて嚢子 (cyst), 培養検査にて原虫の嚢子 (cyst), 栄養体 (trophozoite) を検出できた 3 例を経験したので報告した.
    症例 : 角膜擦過細胞診で原虫の嚢子が確認できた. パパニコロウ染色ではライトグリーンにより嚢子壁が染色され, 内部は茶褐色あるいは不染性であった. PAS 染色では嚢子壁陽性, 嚢子内部は暗赤色を呈していた. ギムザ染色では嚢子壁が青紫色に好染した. また, 培養により得られた塗抹標本に蛍光染色を施し, 蛍光を発するアカントアメーバの嚢子を検出できた.
    結論 : アカントアメーバ角膜炎はアカントアメーバ原虫を検出し, 早期に治療することが重要である. 検出方法には病巣擦過物のパーカーインク KOH 法による直接鏡検あるいは培養が代表的な検査方法であるが, 角膜擦過細胞診標本でパパニコロウ染色, PAS 染色, ギムザ染色標本の鏡検によるアカントアメーバ原虫の検出は簡便であり, 早期に治療へ結びつくことができるため, 有用な検査方法である.
  • 竹田 雄一, 竹田 繁美, 松永 茂雄, 鎌倉 貴代, 須見 奈都美, 飯島 宏, 平松 恵三, 有馬 良一
    2008 年 47 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/07/14
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 乳房穿刺細胞診で腺癌とした症例が病理組織診断において microcystic adenxal carcinoma (以下 MAC) の診断を得た症例を経験したので報告する.
    症例 : 患者は 86 歳, 女性で左乳房の C 領域に直径 2 cm 大の腫瘍を指摘され, 針穿刺細胞診が行われた. 当センターでの細胞診検査において, 陽性 adenocarcinoma cells と判定された. 摘出検体から, 組織学的には真皮から周囲脂肪組織にかけて, 管状ないし索状に増生する悪性腫瘍組織像を認めた. 乳腺には腫瘍細胞はみられず, 皮膚付属器から発生した MAC と診断された.
    結論 : 乳房からの穿刺細胞診で認められる MAC を, 細胞所見から推定することは困難であり, 確定診断には, 臨床所見, 画像所見, 組織学的所見などを併せて総合的に判定する必要がある.
  • Shiho YAMAMOTO, Kiyomi TANIYAMA, Tamaki TODA, Shoko ISHIMOTO, Aki MIMO ...
    2008 年 47 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/07/14
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 乳腺疾患の穿刺吸引細胞診では, 壊死は悪性を疑う重要な所見である. しかし, 梗塞は良性病巣でしばしば起こるため, その場合に良悪性の鑑別が困難になる. 本稿では, 梗塞を生じた乳腺良性病巣の 2 例を報告する.
    症例 : 35 歳と 82 歳の日本人女性が, それぞれ急速に増大する乳腺腫瘍に気づいた. 穿刺吸引細胞診では壊死組織が認められ, マンモグラフィー, 超音波や MRI 画像の所見を加えた検討から, それぞれ良性と悪性が疑われた. 病理組織学的検討の結果, 前者が著明な壊死を伴う乳管内乳頭腫, 後者が著明な壊死を伴う線維腺腫と診断された. 細胞転写法と免疫細胞 (組織) 化学的検索によって, 穿刺吸引細胞診とホルマリン固定パラフィン包埋された標本のいずれにおいても, 壊死組織の中で抗平滑筋アクチンの免疫活性が認められたが, カルポニンと S-100 蛋白の免疫活性は認められなかった.
    結論 : 梗塞を起こした乳腺疾患での良悪性判定には, 抗平滑筋アクチンの免疫活性検索が有用である.
  • 佐藤 勝明, 中野 万里子, 寺内 利恵, 竹中 美千穂, 朝倉 善史, 梶 幸子, 野島 孝之, 上田 善道
    2008 年 47 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/07/14
    ジャーナル 認証あり
    背景 : ラブドイド形質を伴う大細胞癌は, 肺大細胞癌のまれな一亜型で予後不良な腫瘍である. 今回, われわれは捺印細胞診で細胞学的検討の機会を得た 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 81 歳, 男性. 右上肺野末梢に急速に増大する腫瘤を指摘され切除術を受けたが, 約 7 ヵ月後に死亡した. 腫瘍は最大径 7.2 cm で, 境界明瞭であった. 腫瘍捺印細胞診では, 好中球の多い背景に, 大型の癌細胞が緩い接着性をもって多数認められた. 癌細胞は, 明瞭な核小体を中心に有する偏心性核とライトグリーン好性の豊富な細胞質をもっていた. 核は水泡状で, 粗なクロマチンが増量し, 細胞質には硝子様小球体に相当するライトグリーン淡染領域を認めた. 組織学的にはラブドイド細胞がほぼ腫瘍全体に認められた. 胸膜浸潤像やリンパ節転移はなかった. 硝子様小球体は, 免疫組織化学的に vimentin 陽性で, 電子顕微鏡での観察で中間径フィラメントの凝集と確認された.
    結論 : ラブドイド形質を伴う大細胞癌は, その特徴的な細胞像から組織型推定は可能である. 通常の大細胞癌と比較し予後不良なので, 細胞診における診断は重要であり, まずはその組織型の存在を認識する必要がある.
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