日本臨床細胞学会雑誌
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47 巻, 4 号
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原著
  • —腫瘍細胞の出現パターンおよび類内膜腺癌との比較—
    涌井 架奈子, 松井 成明, 安田 政実, 伊藤 仁, 平林 健一, 梶原 博, 村上 優, 佐藤 慎吉, 長村 義之
    2008 年 47 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    目的: 子宮体部明細胞腺癌 (以下, 体部明細胞腺癌)における腫瘍細胞の出現パターンについて検討を行った.
    方法: 当院で組織診, 細胞診のいずれからも体部明細胞腺癌と診断された 6 例 (純粋型 3 例, 混合型 3 例) を対象とした. 細胞材料は全例エンドサイトで採取されたものを用い, 1) 細胞集団の出現パターン, 2) 散在性裸核細胞に着目した検討を行った.
    成績: 腫瘍細胞は大型乳頭状集団, 11.4%; 小型乳頭状集団, 41.8%; シート状集団, 38.0%; 重積性集団, 8.9%の出現率を示していた. ミラーボール集団はみられず, 基底膜様物質の出現はわずかであった. 一方, 類内膜腺癌においては小型乳頭状集団, 重積性集団が比較的高い頻度で認められた. 散在性裸核細胞は明細胞腺癌 6 例すべてに認められ, 平均 10 個, 核面積は平均 138.1μm2を示していた. また, これらを類内膜腺癌に出現する散在性裸核細胞と比較した場合, 出現数, 核形態に相違を認めた.
    結論: 子宮体部明細胞腺癌は主だった 5 つの出現パターンを示す腫瘍細胞が混在し, 特に小型乳頭状集団, シート状集団, 散在性裸核細胞に留意することが重要と考えられた. また, 散在性裸核細胞は類内膜腺癌と比較して, 出現数, 核形態に相違があり, 両者の鑑別に有用な情報を与えるものと考えられた.
  • 相川 映美子, 河原 明彦, 大久保 文彦, 加留部 謙之輔, 大島 孝一, 鹿毛 政義
    2008 年 47 巻 4 号 p. 275-281
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    目的: 体腔液貯留を主症状とする Primary effusion lymphoma (PEL) の細胞学的特徴を明らかにし, 節性悪性リンパ腫および体腔液中に播種した悪性リンパ腫との相違点を検討した.
    方法: 2003∼2008 年に当院で PEL と診断された 6 例において, 細胞形態の観察, 核計測, 免疫細胞化学, 分子病理学的検索を行った. さらに, PEL と節性悪性リンパ腫および体腔液中に播種した悪性リンパ腫とを比較した.
    成績: PEL の細胞学的特徴は, centroblast 様の細胞を主体とした. 小型核の PEL 症例はバーキットリンパ腫様細胞を認め, 大型核の PEL 症例は未分化な細胞を認めた. 免疫細胞化学の結果, すべての症例で, 腫瘍細胞は CD20 と Multiple Myeloma Oncogen 1 (MUM1) に発現を示し, CD30 の発現は認めなかった. また, ほとんどの症例で HHV8 感染, EBV 感染はみられず, PCR において B 細胞性の単クローン性が証明された.
    結論: AIDS 関連の PEL と, そうでない本邦の PEL の細胞所見および免疫表現型は異なっていた. PEL と他のリンパ腫との細胞形態の違いを明確にすることは困難であったが, PEL は MUM1 発現が高率であるため, 両者を鑑別する有効なマーカーとなる可能性が示唆された.
  • 鷲谷 清忠, 今野 稔子, 石井 明, 根 裕人, 山谷 千晴, 東海林 琢男, 小野 巌
    2008 年 47 巻 4 号 p. 282-286
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    目的: ThinPrep®法 (TP 法) による尿細胞診の細胞形態学的変化と良性・悪性細胞の特徴について, すり合わせ法 (S 法) 塗抹標本と比較検討した.
    方法: TP 法と S 法による尿細胞診 274 例を対象として使用した. TP 法と S 法の診断率を比較し, TP 法による細胞形態学的変化を調べた. また, 良性・悪性細胞の特徴についても比較検討した.
    成績: S 法で陰性の 3 例と疑陽性の 2 例は, TP 法でそれぞれ疑陽性と陽性に判定でき, 診断精度が上がった. TP 標本では, 核の平面化, 膨化, 萎縮, 淡染化などの変化がみられ, 良性異型細胞と低異型を示す尿路上皮癌 (UC) 細胞の鑑別に注意する必要がある. UC grade 1 および 2 の核は細胞間で monotonous な形態を示し, 良性異型細胞では多様な形態を取る特徴がみられた.
    結論: TP 法の細胞形態的特徴を理解して診断することによって, 診断精度の向上が図ることができた.
症例
  • 平木 朋子, 亀山 香織, 高橋 真帆, 田村 恵, 佐々木 栄司, 藤澤 俊道, 鳥屋 城男, 伊藤 公一
    2008 年 47 巻 4 号 p. 287-291
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    背景 : Lipoadenoma は脂肪細胞を混在する濾胞腺腫であり, 非常にまれな腫瘍である. 今回われわれは甲状腺に発生した lipoadenoma の 2 例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
    症例 1 : 69 歳, 女性. 右頸部腫脹を自覚し近医を受診. 精査目的で当院を訪れた. 穿刺吸引細胞診で悪性を疑ったため, 甲状腺右葉切除術およびリンパ節郭清術を行った.
    症例 2 : 52 歳, 女性. 最近になり頸部圧迫感を自覚し, 精査目的で当院を受診した. 超音波所見で, 右葉に境界明瞭で不均一な内部エコーを呈する腫瘤を認めた. 穿刺吸引細胞診では良性と思われたが, 超音波検査で濾胞性腫瘍を考えたため, 甲状腺右葉切除術を行った.
    症例 1 ; 2 ともに組織学的には, 脂肪組織を混在する濾胞腺腫であり, lipoadenoma と診断した. 組織診断後に細胞診を見直したところ, 2 例とも濾胞上皮細胞とともに脂肪細胞が認められた.
    結論 : 甲状腺穿刺吸引細胞診において脂肪細胞を含んだ濾胞上皮の集塊を確認することは, lipoadenoma の可能性を考える一つの指標になると考えられた.
  • 藤原 正人, 中野 聡, 石橋 恵津子, 野崎 智恵, 小林 沙織, 伊丹川 裕子, 樋口 佳代子
    2008 年 47 巻 4 号 p. 292-295
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    背景 : 純型の粘液癌は一般に予後良好とされているが, 近年 micropapillary pattern と高度のリンパ管侵襲を示す亜型が micropapillary variant of pure mucinous carcinoma として報告されている. 今回われわれは本亜型の 1 例を経験したので細胞像, 組織像を併せて報告する.
    症例 : 37 歳, 女性. 乳房の超音波検診にて左 C 領域に 1.35×1.1×0.7 cm の低エコー腫瘤を認め穿刺吸引細胞診が施行された. 細胞像では粘液を背景に, 結合性が強く中心に血管間質を伴わない乳頭状集塊が多数出現していた. 集団の構成細胞の細胞異型は強く, 核分裂像も認められた. 病理組織像では粘液中に腫瘍細胞が小乳頭状集塊で増生し, リンパ管内侵襲が高度に認められ, invasive micropapillary variant of pure mucinous carcinoma と診断された.
    結語 : 本亜型は純型の粘液癌に比して予後不良の可能性があることより, 乳腺粘液癌の診断の際にはこのような亜型の存在を念頭において細胞像を観察することが重要と考えられた.
  • 竹中 美千穂, 佐藤 勝明, 寺内 利恵, 山下 学, 朝倉 善史, 中野 万里子, 黒瀬 望, 野島 孝之
    2008 年 47 巻 4 号 p. 296-300
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    背景 : 尿中に悪性リンパ腫細胞が出現することはまれである. 今回, われわれは尿細胞診で尿路上皮癌細胞との鑑別に苦慮した膀胱に発生した悪性リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 75 歳, 女性. 発熱で入院中に, 膀胱および回盲部の腫瘍と腹腔内リンパ節腫大を指摘された. 膀胱鏡検査で左側後壁から底部にかけての隆起性病変を認め, 膀胱洗浄液細胞診では N/C 比が大きい異型細胞が孤在性に多数認められた. 異型細胞の核は, 中心性に位置し, 軽度の大小不同があり, 核形不整が目立ち, 微細顆粒状のクロマチンが増量し, 小型の核小体を複数有していた. 悪性リンパ腫を疑ったが, 一部に細胞間の結合性がうかがえ高異型度尿路上皮癌細胞も否定できなかったため, Giemsa 染色とセルブロックによる免疫染色を追加検討した. 膀胱生検組織では, 類円形核と淡明な細胞質をもつリンパ球の 2 倍以上の大きさの腫瘍細胞が密に浸潤性増殖していた. 免疫組織化学では, 腫瘍細胞は CD79αと CD20 が陽性, CD3 と上皮性マーカーが陰性で, びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫と診断された.
    結論 : 尿検体においても, 悪性リンパ腫の細胞診断における尿路上皮癌細胞との鑑別点としては, 細胞の単調性, 中心性に位置する核, 微細なクロマチン像の所見が有用であると再認識された.
  • 佐藤 勝明, 上見 嘉子, 有賀 美紀子, 西田 靖昌, 谷本 一夫, 上田 善道, 勝田 省吾
    2008 年 47 巻 4 号 p. 301-305
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    背景 : 肉腫型中皮腫は, 腫瘍細胞が体腔液へ出現することが少なく細胞診での診断は困難な場合が多い. 今回われわれは, 胸水中に少数出現した肉腫型中皮腫細胞を指摘できた 1 例を報告する.
    症例 : 77 歳, 男性. アスベストの暴露歴があり, 胸部 CT で悪性中皮腫が強く疑われ, 胸水細胞診で悪性の疑いと推定された. 胸腔鏡下胸膜生検組織で肉腫型悪性中皮腫と診断され, 約 1 ヵ月後に呼吸不全で死亡した. 胸水細胞診では, リンパ球が多い背景に, N/C 比が大きく, 核小体が明瞭で, 中心性に位置する核と厚い細胞質をもつ大型異型細胞が孤在性に認められた. 生検組織では, 核小体が目立つ水泡状核と好酸性細胞質からなる紡錘形から類円形の細胞が, 線維性間質を豊富に伴い浸潤性に増殖していた. 免疫組織化学では, cytokeratin (CAM5.2), calretinin, D2-40, thrombomodulin, CD44s が陽性であった.
    結論 : 肉腫型中皮腫細胞を, 細胞像のみから各種の肉腫, 肺大細胞癌あるいは多形癌細胞と鑑別することは困難である. 肉腫型中皮腫の診断には, 細胞診, 胸膜生検およびそれらの免疫染色に加えて, 画像所見を含む臨床情報を合わせた総合的な判断が必要である.
  • 佐藤 勝明, 小竹 友美, 橋本 哲夫, 西田 秀昭, 上田 善道, 田中 卓二, 勝田 省吾
    2008 年 47 巻 4 号 p. 306-309
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    背景 : 脱落膜様中皮腫は, 上皮型中皮腫のまれな一亜型である. 今回われわれは, 腹水細胞診で検討する機会を得た腹膜脱落膜様中皮腫の 1 例を報告する.
    症例 : 75 歳, 男性. 腹水貯留と左腋窩リンパ節腫脹を指摘された. FDG-PET では広範囲の腹膜に多発性に異常集積を認めた. 腹水穿刺検体の細胞診では, 多数のリンパ球からなるきれいな背景に, 孤在性の大型異型細胞が散見された. 異型細胞は, 中心性に位置する類円形核をもち, クロマチンは粗顆粒状を呈し, 核小体が目立った. 細胞質は豊富で厚みがあった. 腹腔洗浄液細胞診でも, 同様の異型細胞が小型集塊状あるいは弧在性に多数認められ, リンパ球が多く混在していた. 開腹切除された大網腫瘍の組織像は, 核小体の目立つ水泡状核と豊富な好酸性細胞質をもつ腫瘍細胞が一様にシート状増殖しており, 間質にはリンパ球が目立っていた. 免疫組織化学的には, cytokeratin 5/6, calretinin, D2-40, thrombomodulin, WT1 がびまん性に陽性, HBME-1, mesothelin が一部に陽性であった. 腹膜脱落膜様中皮腫と診断されたが, 化学療法の効果はなく, 発症後約 5 ヵ月で死亡した.
    結論 : 脱落膜様中皮腫細胞の特徴は, 多数のリンパ球を含む背景, 豊富な細胞質, 明瞭な核小体にあり, 細胞像からも診断可能と考えられる.
特集 <細胞診と組織診からみた子宮体癌の診断>
  • 竹島 信宏, 本山 悌一
    2008 年 47 巻 4 号 p. 310
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • 矢納 研二, 村田 哲也, 上森 昭, 中村 豊, 山脇 孝晴, 北畠 修生, 森 正美, 伊藤 英樹, 矢花 正, 白石 泰三
    2008 年 47 巻 4 号 p. 311-316
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    目的 : 子宮内膜細胞診の診断精度向上と均一化を目標として作成された「子宮内膜細胞診断システム」の有効性を検証する.
    方法 : 三重県の鈴鹿中央総合病院, 山田赤十字病院, 山本総合病院において診断に用いられた子宮内膜細胞診標本のうち, 組織診断との比較により過小もしくは過大に評価されたことが判明した 58 例を対象とした. 本診断システムを適用し, これらの細胞診標本を 4 人のメンバーで再評価した.
    成績 : 再評価により, 58 例中 12 例が不適性標本と診断され, このうち 11 例において採取細胞不足が原因と判断された. 10 例の参考診断, 36 例の診断可能の計 46 例について, 診断システムを用いて診断を行った結果, 過去に過小評価された 27 例中 25 例が新たに「組織診断が必要」と診断された. 一方, 過去に過大評価された 19 例中 19 例すべてにおいて「組織診断を必要としない」と診断された.
    結論 : 「子宮内膜細胞診断システム」を用いた細胞診断は, 診断精度の向上に寄与すると思われる. 今後, 本診断システムが多施設で検証され, 改良が加えられることにより, 精度が高く施設間での格差が是正された内膜細胞診断が実現されることが期待される.
  • 小田 瑞恵, 石井 保吉, 峯岸 千佳子, 中島 弘一, 大村 峯夫, 佐々木 寛, 田中 忠夫
    2008 年 47 巻 4 号 p. 317-323
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    内膜細胞診において構造異型を主体に観察することは, 診断精度の上昇に有用である.
    われわれは内膜増殖症, 異型内膜増殖症, 高分化型腺癌の診断基準を確立してきた. 内膜増殖症以上の病変の検出には乳頭状集塊, 高分化型類内膜腺癌の診断には樹枝状集塊の詳細の観察が有用である. しかし, 内膜細胞診クラスIII・IVまたは疑陽性例の正診率は約 50%と必ずしも良好ではない. 子宮内膜細胞診は体癌の診断に有用な手段であるが, 細胞採取法, 検体処理法, 診断基準の統一など今後の課題も多い.
  • 杉山 裕子, 池畑 浩一, 紀 美和, 釘宮 剛城, 竹島 信宏, 平井 康夫, 荒井 祐司, 都竹 正文, 荷見 勝彦, 滝澤 憲
    2008 年 47 巻 4 号 p. 324-329
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    目的 : 体癌は早期に発見されると予後がよい. しかし, 早期の体癌は画像や腫瘍マーカーでは異常がみられないことが多く, 早期発見のためには, 内膜細胞診や組織診の果たす役割が重要になる. この両者の診断法を比較し, 内膜細胞診の体癌診断上の問題点および改善点を検討した.
    方法 : 術前診断としての細胞診, 組織診が同日またはほぼ同じ時期に施行され, おのおのの標本と手術材料の検討が可能であったもの 497 例を対象とした. 内膜細胞診は, 増渕式吸引スメア法にて採取した. 内膜生検はキューレによる子宮内膜 4 方向掻爬によって採取された組織を用いた.
    成績 : 細胞診, 組織診それぞれの体癌の診断率には有意差は認めなかった. しかし, 細胞診偽陰性例を再検討した結果, 偽陰性例の半数以上で内膜細胞が採取されていない, 検体不適例を認めた. 検体不適例を少なくするため, 確実に内膜細胞を採取できる器具の工夫が必要であると考えられた. 細胞所見では異型扁平上皮化生細胞の出現に注意し, 頸管腺細胞類似の高円柱状類内膜腺癌, 出血性背景中に出現する少量の悪性細胞, 内膜間質細胞類似の小型小集塊で出現する悪性細胞を見逃さないようにすることが大切であった.
    結論 : 内膜細胞診は組織診と同等に子宮体癌の診断に有用と考えられたが, 問題点および改善点も存在した.
  • —利点と弱点—
    上坊 敏子
    2008 年 47 巻 4 号 p. 330-336
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    目的 : 内膜細胞診と内膜組織診の利点と弱点を明らかにすること.
    方法 : 子宮体癌 881 例を対象とした. 細胞診の判定は陰性・疑陽性・陽性で表現し, 疑陽性以上を検出とした. 組織診は, 悪性と判定したものを正診とした. 細胞診検出率, 組織診陽性率と臨床病理学的因子との相関, 子宮鏡施行例について検討した.
    成績 : 細胞診は, 陰性 4.3%, 疑陽性 15.1%, 陽性 80.6%で, 検出率は 95.7%となり, 組織診の正診率 87.5%より有意に良好であった (p<0.01). 細胞診検出率は組織型・分化度と相関しなかったが, 組織診では類内膜腺癌, G1 類内膜腺癌で有意に低い正診率だった. 手術進行期・筋層浸潤と細胞診の検出率も相関しなかったが, 組織診ではIa 期, Ib 期や筋層浸潤のない症例での正診率が低かった. G1 腺癌や早期癌では細胞診で疑陽性と判定されている症例の頻度が高かった. 診断目的で子宮鏡を施行した症例では, Ia 期, 筋層浸潤のない症例の頻度が子宮鏡非施行例に比し有意に高かった.
    結論 : 内膜細胞診の利点は, G1 腺癌・早期癌でも検出率が高いことである. しかし, G1 腺癌・早期癌では高頻度に疑陽性と判定されているので, 細胞診疑陽性・陽性例では, 組織診が陰性でも子宮鏡を用いた精査が必要である.
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