日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
47 巻 , 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
原著
  • 佐久間 暢夫, 岡村 宏, 渋田 秀美, 今井 佳美, 亀井 敏昭
    2008 年 47 巻 5 号 p. 351-354
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/01/09
    ジャーナル 認証あり
    目的: 体腔液細胞診の Papanicolaou 染色標本には, 細胞質がオレンジ G に染まる細胞 (オレンジ G 好性細胞) が認められることがある. 鑑別診断におけるオレンジ G 好性細胞の有用性について検討した.
    方法: すでに診断のついている体腔液細胞診検体 115 例の Papanicolaou 染色標本 (悪性中皮腫 24 例, 反応性中皮 53 例, 肺腺癌 25 例, 卵巣漿液性乳頭状腺癌 13 例) を観察し, 標本 1 枚中のオレンジ G 好性細胞の数を疾患間で比較検討した.
    成績: オレンジ G 好性細胞を認めた検体は, 悪性中皮腫が 18 例 (75.0%) と有意に多く (p<0.001) , 反応性中皮 2 例 (3.8%) , 肺腺癌 2 例 (8.0%) , 卵巣漿液性乳頭状腺癌 3 例 (23.1%) であった. また, この細胞を 5 個以上認めた症例は, 順に 12 例 (50.0%) , 1 例 (1.9%) , 1 例 (4.0%) , 1 例 (7.7%) で, 悪性中皮腫が有意に多かった (p<0.001).
    結論: オレンジ G 好性細胞は悪性中皮腫の体腔液で高頻度にみられ, オレンジ G 好性細胞を多く認めた検体は悪性中皮腫を疑い検索を進める必要があると考えられた.
症例
  • 島田 直樹, 和田 泰子, 安田 玲子, 小泉 宏隆, 大沼 繁子, 田所 衛
    2008 年 47 巻 5 号 p. 355-361
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル 認証あり
    背景 : Atypical teratoid/rhabdoid tumor (AT/RT) は, 2000 年から WHO 脳腫瘍分類に加えられた乳幼児に好発する予後不良な腫瘍である. 今回, われわれは 2 例の AT/RT を経験したので, その細胞像と組織像を報告する.
    症例 1 : 11 ヵ月, 男児. 小型異型細胞が乳頭状に集簇する像と核の偏在する細胞質の厚い異型細胞がみられた. 組織学的に当初は choroid plexus carcinoma と診断したが, 再検討の結果, rhabdoid cell が散見され免疫染色で INI1 が陰性のため AT/RT と診断した.
    症例 2 : 1 歳 4 ヵ月, 女児. 小型異型細胞が散在性から乳頭状に集簇する像と rhabdoid cell がみられた. 組織学的には primitive neuroectodermal tumor に類似する所見や乳頭状などの上皮様構造と rhabdoid cell がみられ, AT/RT と診断した.
    結論 : 特徴的な上皮様構造や rhabdoid cell を検出し, 免疫染色で INI1 陰性を確認することにより, 捺印細胞標本で AT/RT の診断は可能であると考えられた.
  • 門田 球一, 羽場 礼次, 串田 吉生, 香月 奈穂美, 宮井 由美, 坂東 健次
    2008 年 47 巻 5 号 p. 362-366
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル 認証あり
    背景 : Central giant cell lesion (以下 CGCL) は顎骨に発生する腫瘍類似病変である. 今回われわれは乳児の下顎骨に発生し, 術中捺印細胞診が有用であった CGCL の 1 例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
    症例 : 患者は乳児期の男児で, 左側頬部の腫脹と発熱のために受診した. CT 検査と MRI 検査では左下顎骨に腫瘤性病変がみられ, ポジトロン断層撮影法 (PET) では左下顎部に FDG の集積が認められた. 下顎骨原発悪性腫瘍の疑いで, 全身麻酔下に生検が行われた. 生検組織の術中捺印細胞診では壊死性および出血性の背景に, 組織球様単核細胞や多核巨細胞, 線維芽細胞様紡錘形細胞が集塊状や孤在性に出現し, 膠原線維, 好中球やリンパ球などの炎症細胞浸潤を伴っており, CGCL が推定された. 左下顎病変の掻爬術が行われ, 病理組織学的に CGCL と診断された.
    結論 : 細胞像からの CGCL の推定は可能であり, 術中捺印細胞診は有用と考えられた.
  • 成富 真理, 畠 榮, 濱崎 周次, 岩知道 伸久, 福屋 美奈子, 伊禮 功, 定平 吉都
    2008 年 47 巻 5 号 p. 367-371
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 耳下腺に発生したオンコサイト筋上皮腫の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 60 代, 女性. 左頸部腫瘤を主訴として, 当院を受診. CT, MRI にて, 左耳下腺内に約 2.5 cm 大の腫瘤を認めた. 穿刺吸引細胞診では, ライトグリーン好性の顆粒状の広い細胞質を有する細胞が散在性あるいは集塊状に出現するとともに, 比較的小型で N/C 比の高い細胞が結合の強い集塊で出現していた. 好酸性細胞の核は類円形∼楕円形で, 一部に核溝や核内細胞質封入体を認めた. 小型細胞は均一な類円形核を有し, 細胞境界は不明瞭であった. 両者の細胞には移行がみられた. 悪性を除外しえないため, 耳下腺腫瘍摘出術ならびにリンパ節廓清術が施行され, 組織所見および免疫組織化学的所見よりオンコサイト筋上皮腫と診断された.
    結論 : 唾液腺腫瘍の細胞診で好酸性細胞主体の細胞像を認めた場合には, オンコサイト筋上皮腫も念頭におき, 背景や出現細胞を観察し, 可能ならば免疫染色等を用い総合的に判断することが必要と考えられた.
  • 阿部 徳子, 眞田 照一郎, 原田 智子, 佐竹 立成, 中島 伸夫, 長坂 徹郎
    2008 年 47 巻 5 号 p. 372-376
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 後腹膜に発生する後腹膜粘液性嚢胞性腫瘍 (Retroperitoneal mucinous cystic tumor) はまれな腫瘍である. 今回, 術前の穿刺細胞診で診断が困難であった 1 例を経験したので, 術中に得られた嚢胞内溶液の細胞像を示し, 考察を加え報告する.
    症例 : 20 代女性. 右下腹部痛にて当院に来院し, 腹部超音波検査で右側腹部嚢胞性腫瘤が認められた. 経皮的穿刺吸引液を用いて細胞診が 3 回行われたが, 粘液様物質が吸引されたものの, 上皮性細胞は認められず, 確定診断が困難であった. 開腹手術が行われ, 術中採取された茶褐色粘液状検体を用いて細胞診標本が作製された. 細胞所見では, 粘液性背景を伴って腺細胞の集団が多数認められた. 腺細胞は高円柱状で細胞質には粘液を認め, シート状, 索状, 乳頭状に配列していた. 組織所見では, 嚢胞内面に腺上皮細胞が, 平坦にあるいは乳頭状に増生していた. 間質への浸潤はなく, 低悪性度粘液性嚢胞性腫瘍と診断された. 腫瘍の間質細胞は, 免疫染色で「卵巣間質細胞」と同じ染色性を示した.
    結論 : 後腹膜の嚢胞性腫瘤の穿刺細胞診で, 粘液が認められた場合は, 上皮細胞が認められなくても鑑別診断すべき疾患のなかに粘液性嚢胞性腫瘍を入れておく必要がある.
  • 土田 秀, 小島 勝, 神山 晴美, 田中 良太, 中里 宜正, 飯島 美砂, 杉原 志朗, 正和 信英
    2008 年 47 巻 5 号 p. 377-380
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル 認証あり
    背景 : Desmoplastic small cell tumor (DSCT) は若年者に好発し, 非常にまれで予後不良な腫瘍である. 今回, 術中腹水細胞診で DSCT を推定しえた 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 39 歳男性で, 上腹部腫瘤を主訴に来院. 術中迅速腹水細胞診標本では N/C 比の高い 15∼20μm の小型円形細胞が結合性の疎な集塊で多数認められた. 組織学的には小円形細胞腫瘍が胞巣状に間質の繊維化を伴って増生し, 免疫染色では Cytokeratin, Vimentin, Epithelial Membrane Antigen (EMA), Desmin と WT-1 が陽性であった.
    結論 : DSCT における細胞所見の報告の多くは穿刺吸引細胞所見の記載であり腹水細胞所見の記載は乏しい. DSCT の腹水細胞標本では個々の腫瘍細胞の形態からは反応性中皮, 組織球などの良性細胞や, 種々の小円形細胞肉腫との鑑別が難しいと思われるが, 腫瘍細胞の出現パターン, 発生部位, 年齢などの臨床情報が病変推定のポイントと思われる.
  • 立原 素子, 石田 卓, 斉藤 純平, 星 利之, 菅原 綾, 渡辺 香奈, 渡辺 一男, 棟方 充
    2008 年 47 巻 5 号 p. 381-385
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル 認証あり
    背景 : Sinonasal teratocarcinosarcoma (SNTCS) は鼻腔・副鼻腔に発生するまれで予後不良な悪性腫瘍である. 今回, 転移巣である肺・胸膜病変の細胞像を得たので報告する.
    症例 : 49 歳, 男性. 主訴は左鼻出血. 頭部 MRI にて腫瘍は両副鼻腔に充満していた. その生検では, 未熟神経上皮組織を主に, 腺癌様細胞集団・未熟軟骨組織・平滑筋様組織が島状に出現しており SNTCS と診断した. 原発巣は局所放射線治療によりほぼ消失したが, 3 ヵ月後に多発性肺内転移・胸水貯留をきたした. 気管支と胸膜転移巣の擦過細胞診では短紡錘形から裸核状の異型細胞が散在性または弱い結合性で出現し, 分化の不明瞭な未熟間葉系細胞と考えられた. 明らかな上皮成分は認めなかったが SNTCS の転移に矛盾しなかった.
    結論 : SNTCS は組織診においてもその形態的多彩性のため, その診断は容易ではない. 細胞診のみでは確定診断は困難であるが, 構成細胞を詳細に観察すること, またできるだけ組織構築のわかる検体を複数部位から採取することが重要である.
  • 福屋 美奈子, 畠 榮, 岩知道 伸久, 西村 広健, 秋山 隆, 伊禮 功, 定平 吉都, 濱崎 周次
    2008 年 47 巻 5 号 p. 386-390
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 類上皮型形態をとる gastrointestinal stromal tumor (以下 GIST) の病理組織所見は比較的多く報告されているが, その細胞診所見の報告は少ない. 今回, われわれは胃原発類上皮型 GIST 2 例の細胞像を検討したので報告する.
    症例 : 症例 1 は 67 歳, 女性の胃体部後壁腫瘍. 捺印細胞診では, 比較的小型均一な類円形細胞が多数みられ, 一部にロゼット様構造が認められた. 組織学的には, 短紡錘形∼類円形の腫瘍細胞が密に増殖し, ロゼット様構造を示す像が認められた. 症例 2 は 70 歳, 男性の胃噴門部腫瘍. 捺印細胞診では, 紡錘形細胞とともに, 類円形細胞, 偏在性の核を有する細胞, 多形性の強い大型細胞, 多核巨細胞など多彩な細胞が認められた. また, 一部に核内細胞質封入体が認められた. 組織学的には, 類円形腫瘍細胞の充実性増殖が主体を占め, 一部に紡錘形腫瘍細胞の束状増殖もみられた. 症例 1, 2 ともに免疫組織細胞学的に c-kit, CD34 が陽性を呈した.
    結論 : 消化管腫瘍の内視鏡下穿刺吸引細胞診で類円形細胞を主体とする細胞像, あるいは, 分化傾向が明確でない多彩な細胞像を認めた場合には, 類上皮型の GIST も念頭に置き, 積極的に c-kit, CD34 などの免疫細胞学的検索を行うことが必要である.
短報
feedback
Top