日本臨床細胞学会雑誌
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48 巻 , 2 号
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原著
  • 土田 秀, 小島 勝, 神山 晴美, 原口 理恵子, 中里 宜正, 飯島 美砂, 田中 良太, 杉原 志朗, 正和 信秀
    2009 年 48 巻 2 号 p. 47-51
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/18
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    目的 : 上気道に発生するいわゆる “リンパ上皮腫” の組織所見の記載は比較的多いが, 細胞所見の報告は少ないと思われる. 今回, リンパ上皮腫の細胞所見を明らかにすることを試みた.
    方法 : 同一部位で細胞診と組織診の検索が可能であった 4 例の細胞所見と組織所見を検討した.
    成績 : WHO 分類で分化型に属する 3 例では, 比較的広い境界明瞭な細胞質を有する細胞が大型の集塊を形成し出現していたため, 上皮性腫瘍を推定することは容易であった. 一方, WHO 分類の未分化型では, 細胞質が不明瞭で N/C 比が高く, さらに散在傾向が強く集塊は小型であったため, 悪性リンパ腫との鑑別が困難であった. In situ hybridization では分化型の 1 例のみ Epstein-Barr virus が認められた.
    結論 : WHO 分類で未分化型の症例は, 細胞標本で結合性があるようにみえる悪性リンパ腫との鑑別を要することがあると思われた.
  • 岩淵 愼助
    2009 年 48 巻 2 号 p. 52-56
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/18
    ジャーナル 認証あり
    目的 : 1986∼2005 年の 20 年間における, 当院の細胞診と組織診成績を報告する.
    方法 : 細胞診と組織診は全例, 岩淵が検鏡診断した. 組織診の標本作製は米沢市立病院に依頼し, 癌と診断した標本は米沢市立病院病理科医師に再検鏡診断を依頼し確認した. 加療を要すると診断した症例は米沢市立病院, 山形県立中央病院, 山形大付属病院他に紹介した.
    成績 : 1) 子宮腟部頸管細胞診と組織診
    受検者総数 37872 例, 年間平均 1893 例である.
    要精検率計 949 例/37872=2.51%, 精検受診率 726/949=76.5%, 癌発見率 129/37872=0.34%, 誤陽性 8 例 0.02%, 誤陰性 0, 細胞診判定不能例 0 であった.
    2) 子宮内膜細胞診と組織診成績
    不正子宮出血を主訴として来院した 20∼80 歳代の検査結果である.
    エンドサイトで採取し, 大部分はその直後内膜試験掻爬採取組織診した. 細胞診採取総計 2304 例で年間平均 115 例である. 要精検率 計 279/2304=12.11%, 精検受診率 (内膜組織診) 1199 例/2304=52.04%, 発見癌数 37 例, 癌発見率 37-組織判定不能例 11=26/1199=2.17%, 誤陽性 9 例/2304=0.39%, 誤陰性 2 例/2304=0.09%, 組織診判定不能例 11 例/1199=0.92%, 細胞診判定不能例 27 例/2304=1.17%であった.
    3) 外陰部細胞診成績
    外陰部びらんや潰瘍症例を湿綿球拭き取り採取した.
    総計 431 例, 陰性 426 例 98.84%, 疑陽性 5 例 1.16%, 陽性 0 例, 疑陽性 5 例は Paget 氏病疑いで組織診では炎症所見であった.
    4) 乳汁細胞診
    乳癌検診は乳房触診と超音波検査をしているが, 乳汁分泌がみられる例の乳汁細胞診である. 総計 365 例, 陰性 349 例 95.61%, 疑陽性 14 例 3.85%, 陽性 2 例 0.54%であった. 疑陽性 14 例, 陽性 2 例, 計 16 例は米沢市立病院他外科に紹介し, 手術加療し乳癌であった.
    結論 : 一開業医による 20 年間の婦人科領域の細胞診と組織診の成績を報告した.
症例
  • 大澤 久美子, 花見 恭太, 扇田 智彦, 得平 道英, 森 茂久, 黒田 一, 田丸 淳一, 糸山 進次
    2009 年 48 巻 2 号 p. 57-60
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/27
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    背景 : Hodgikin リンパ腫 (HL) あるいは T 細胞/組織球豊富亜型びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫 (TCHRBL), との鑑別を要した加齢性 EBV 関連 B 細胞リンパ増殖症の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 68 歳の男性. 悪性リンパ腫の疑いのもと生検された頸部リンパ節の捺印細胞像は, HL あるいは TCHRBL を疑わせるような, 小リンパ球や組織球を背景に核小体明瞭な大型細胞が散見された. 病理組織標本を用いた検索にて, 異型性を有する大型細胞には EBER-ISH 陽性であり, 免疫染色にて B 細胞性マーカー (CD20, CD79a) の発現が証明された. 臨床的には明らかな免疫不全状態は認められず, 高齢化に伴う免疫不全状態を背景に発症すると考えられる加齢性 EBV 関連 B 細胞リンパ増殖症と診断した.
    結論 : 細胞像, 組織像のみならず, 臨床所見あるいは免疫組織化学法や ISH 法などを用いた腫瘍細胞の詳細な検索によって診断が導かれた 1 例であった.
  • 大野 四季音, 村田 晋一, 弓納持 勉, 石井 喜雄, 中澤 久美子, 岩佐 敏, 加藤 良平
    2009 年 48 巻 2 号 p. 61-65
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/27
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    背景 : 乳頭状腎細胞癌の細胞学的報告例は少ない. 今回, われわれは尿中に腫瘍細胞が出現した乳頭状腎細胞癌の 1 例を経験したので, その細胞学的特徴と文献的考察を加えた鑑別診断を中心に報告する.
    症例 : 72 歳, 男性. 肉眼的血尿を主訴に来院し, 尿細胞診および画像検査により, 左側腎癌の診断で, 根治的腎摘除術が施行された. 組織学的には, 好酸性細胞からなる乳頭状構造を示す腫瘍で, 乳頭状腎細胞癌と診断された.
    術前尿細胞診 (自排尿) には, 出血性背景に核小体の目立つ異型細胞の小集塊が少数出現していた. 一方, 術中尿細胞診 (尿管尿) では, 背景にヘモジデリン貪食マクロファージを伴い, ほつれ傾向を伴う敷石状異型細胞集団や, 間質を伴う乳頭状異型細胞集塊を認めた. 異型細胞は, 偏在性の核, クロマチンの増量, 核形不整を伴う類円形核, および大型で著明な核小体を示した. また, hobnail (鋲くぎ) 様パターンや顆粒状細胞質をもつ細胞を認めた.
    結論 : 本症例の尿細胞診に認められた顆粒状細胞質や明瞭な核小体をもつ異型細胞, 乳頭状細胞集塊およびマクロファージの出現は, 乳頭状腎細胞癌を示唆する細胞所見と考えられた.
  • 松井 成明, 安田 政実, 涌井 架奈子, 伊藤 仁, 平林 健一, 梶原 博, 佐藤 慎吉, 長村 義之
    2009 年 48 巻 2 号 p. 66-70
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/27
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    背景 : 分泌型類内膜腺癌を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
    症例 : 患者は 76 歳. 不正性器出血を主訴に当院を受診した. MRI の結果では子宮体部∼底部にかけて約 12 mm の肥厚が認められた. 子宮内膜細胞診, 内膜生検組織診の結果はそれぞれ, 腺癌と診断され子宮全摘術が施行された. これらの細胞像は, 腫瘍性背景に大小の樹枝状, 乳頭状集団が出現していた. 集団を構成する細胞は核偏在, 切れ込み・くびれに乏しい類円形核, 微細顆粒状に増量するクロマチン, 細胞質は大小の空胞を有していた. 組織学的に腫瘍細胞は分泌期内膜に類似した高円柱状細胞で構成され, その基底側には核下空胞が観察された. 核下空胞は PAS 反応 (+), ジアスターゼ消化試験 (+), アルシアンブルー (−). 免疫組織学的には, p53 (+) ; ER (+) ; vimentin (−, 部分的に弱陽性) ; PgR (−) ; HNF-1β (−) を呈していた.
    結論 : 本症例においては, 細胞集団, 核, 細胞質のそれぞれに特徴のある所見が観察された. また, 鑑別診断には明細胞腺癌および粘液性腺癌が挙げられるが, 本腫瘍が類内膜腺癌の亜型であることに由来した樹枝状細胞集団の出現および細胞質内空胞に留意することが重要と考えられた.
  • 佐伯 春美, 橋爪 茜, 塩野 さおり, 中村 博, 古谷津 純一, 鈴木 不二彦, 石 和久, 野島 美知夫
    2009 年 48 巻 2 号 p. 71-74
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/27
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 広範な化生を伴った増殖性 Brenner 腫瘍の 1 例を経験したので, 細胞像および組織像を報告する.
    症例 : 57 歳, 女性. 2∼3 ヵ月前より続く不正性器出血を主訴に当院産婦人科外来受診. 画像診断にて右卵巣腫瘍の診断を得たため, 入院, 手術となった. 手術時に捺印細胞診を施行. 細胞像は, 異型に乏しい移行上皮様細胞巣と腺様細胞がみられ, 粘液性背景であった. 一部には核溝を有する細胞もみられた. 術後の病理組織診断では, 広範な化生を伴った増殖性 Brenner 腫瘍の診断であった.
    結論 : 本腫瘍は増殖傾向が強く, 境界悪性型に分類されるが, 細胞学的には良性所見であり, 良性 Brenner 腫瘍の特徴を残している. また, 腺上皮化生が強いため, 本腫瘍の存在を念頭におかないと, 良悪性を含め細胞学的診断は難しい.
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