日本臨床細胞学会雑誌
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48 巻 , 6 号
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原著
  • 清水 勇輝, 上田 順子, 亀井 敏昭, 岡村 宏, 渋田 秀美, 佐久間 暢夫, 河野 裕夫, 高橋 睦夫
    2009 年 48 巻 6 号 p. 353-360
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/10
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    目的 : 悪性中皮腫例の体腔液細胞診において, パパニコロウ染色標本中に orangeophilic cell (オレンジ G 好性細胞 : OPC) が高頻度に出現することが報告されている. OPC の由来を電顕・光顕的に検索し明らかにした.
    方法 : 山口県立総合医療センターのスメア標本にて OPC がみられた悪性中皮腫 1 例のエポン樹脂包埋ブロックを使用した. エポン樹脂包埋ブロックから, 連続して厚切り切片 (4.0μm) と超薄切片 (80 nm) を作製した. 厚切り切片に対して脱樹脂後, パパニコロウ染色を施し, 光顕的に OPC を観察した. 隣接した超薄切片に対しては一般的な電子染色を施し, 光顕的所見と対比させ, 電顕的に OPC を観察した.
    成績 : 光顕的に OPC と確認した細胞は, 電顕的に悪性中皮腫細胞由来と考えられる微絨毛や中間径フィラメントを有していた. また, 悪性中皮腫細胞や OPC の細胞質内に脂肪滴様構造が認められた.
    結論 : 電顕的観察の結果, 本例での OPC は中皮腫細胞由来であることが強く示唆された. 今回の結果より, 標本中に多数の OPC を認めた場合は悪性中皮腫である可能性が高いことが示唆された.
症例
  • 中村 力也, 野呂 昌弘, 秋草 文四郎, 根本 克弘, 茅野 伴子, 尾形 章, 長嶋 健, 宮崎 勝
    2009 年 48 巻 6 号 p. 361-365
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
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    背景 : 浸潤性微小乳頭癌 (invasive micropapillary carcinoma : IMPC) は, 高度のリンパ管侵襲とリンパ節転移を伴うため, 術式決定の選択は慎重を要し, 術前の組織型診断が重要である.
    症例 : 69 歳女性. 左乳房腫瘤を自覚し, 当院受診. 左乳房 D 領域に 20 mm 大の表面平滑な弾性硬の腫瘤を触知. 乳腺超音波検査では 20 mm 大の嚢胞内腫瘤を認め, 穿刺吸引細胞診が施行され悪性の疑いとなった. 針生検では検体量が乏しく, 診断および治療目的に乳房部分切除+センチネルリンパ節生検を施行した. 病理組織学診断は浸潤性微小乳頭癌, pT1cN0M0 p-StageIであり, 特異な所見として出血と遊離腫瘍小嚢胞を内容とする嚢胞を伴っていた.
    結論 : 嚢胞様構造を呈する IMPC は針生検で採取されにくく, IMPC を術前に診断するためには穿刺吸引細胞診はきわめて重要である.
  • 藤村 紀行, 園部 宏, 海原 恭子, 羽原 利幸, 森谷 卓也
    2009 年 48 巻 6 号 p. 366-370
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
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    背景 : 比較的まれな乳腺顆粒細胞腫の 1 例について捺印細胞診を行ったので報告する.
    症例 : 患者は 52 歳女性で, 右乳房 AC 領域に腫瘤を自覚した. 画像所見より浸潤性乳管癌を疑い, 針生検を施行した. 顆粒細胞腫の診断のもとに, 乳房部分切除術を行った. 捺印細胞診では, 腫瘍細胞の多くが裸核状であったが, 孤在性, 結合性の緩い平面的な小集塊としても散見された. 個々の腫瘍細胞は, 細胞境界が不明瞭で, 細胞質内にはライトグリーンまたはオレンジ G 好性の微細な顆粒が充満し, その顆粒は背景にも多数飛散していた. 核は類円形∼楕円形で大小不同を示し, 微細なクロマチンと小型核小体を単個認め, 核内細胞質封入体は腫瘍細胞の 1.1%にみられた. 組織学的には, 好酸性顆粒状の豊富な細胞質をもつ腫瘍細胞が索状, 小胞巣状に増殖していた. 免疫組織化学的には, 腫瘍細胞は S-100 蛋白, NSE, CD68 に陽性であった. 以上より, 顆粒細胞種と診断された.
    結論 : 乳腺顆粒細胞腫では, 顆粒状で脆弱な細胞質に加え, 核内細胞質封入体の出現も本例腫瘍の細胞学的特徴であった.
  • 河原 真弓子, 貞嶋 栄司, 木下 準子, 山崎 加奈子, 岸田 奈津, 高尾 貴史, 中嶋 哲也, 入江 康司
    2009 年 48 巻 6 号 p. 371-375
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
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    背景 : 胆管内乳頭腫瘍 (intraductal papillary neoplasm of the bile duct : IPN-B) は, 組織学的に膵管内乳頭状粘液産生腫瘍に類似した腫瘍であるが, その細胞像に関する報告はほとんどない. われわれは肝内胆管内に多量の粘液産生を伴った胆管内乳頭状腺癌の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 60 歳代, 女性. 糖尿病の精査にて肝機能異常を指摘され, 腹部エコーにて肝門部に嚢胞状腫瘤が認められた. 術中細胞診では, 粘液を背景に核偏在した高円柱状の細胞からなる大型乳頭状集塊を認め, 腫瘍細胞は結合性の低下, 細顆粒状クロマチンおよび明瞭な核小体を有していた. 組織学的には, 高円柱状細胞の乳頭状増殖で, 腫瘍細胞の胞体は好酸性を呈しており, 卵巣様間質所見はみられなかった. 免疫組織化学おいて, 腫瘍細胞は MUC1 および MUC5AC の発現を認めた. 腫瘍細胞の明らかな間質浸潤はみられなかったが, 細胞異型により粘液産生胆管内乳頭状腺癌と診断した.
    結論 : IPN-B の細胞所見は症例の蓄積が必要であるが, 結合性の低下や核小体所見は良悪の鑑別に重要と思われた.
  • 宮嶋 葉子, 伊藤 仁, 加戸 伸明, 芹澤 昭彦, 梶原 博, 梅村 しのぶ, 中村 直哉, 長村 義之
    2009 年 48 巻 6 号 p. 376-380
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
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    背景 : 定型的カルチノイド (TC) は一般的に均一な細胞よりなるが, 非定型的カルチノイド (AC) では細胞異型や多形性, 壊死や細胞分裂像が認められる. 今回われわれは高度の異型性を示す巨細胞を多数認め, 診断に苦慮した AC を経験した.
    症例 : 64 歳, 男性. 右肺中葉に結節状異常陰影が指摘され, CT では良性腫瘍が疑われた. 5 年経過観察後, 腫瘤の増大が指摘され, 気管支鏡検査が施行された. 組織生検では腫瘍細胞が採取されていなかったが, 擦過細胞診では大型で高度な異型を示す巨細胞が多数認められ悪性が疑われた. 診断目的に胸腔鏡下部分切除術が施行され, 術中迅速組織診において大細胞癌が疑われた. 分葉不全が高度だったため標準開胸, 中下葉切除術が行われた. 摘出された腫瘍は 20×19 mm 大で境界明瞭, 豊富な好酸性の細胞質を有し充実性に増殖していた. また, 高度の異型性を示す巨細胞が混在していた. 免疫組織化学的に chromogranin A, CD56, synaptophysin が陽性を示し AC と診断された.
    結論 : 大型で高度な異型を示す巨細胞が多数認められたきわめてまれな AC を経験した. 細胞診においては, 臨床所見および画像所見を考えあわせ慎重に組織型推定することが肝要と考えられた.
  • 浜口 大輔, 松田 勝也, 北島 道夫, 小寺 宏平, 森山 伸吾, 中島 久良, 増崎 英明
    2009 年 48 巻 6 号 p. 381-385
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
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    背景 : 放線菌症の確定診断には細菌培養検査による放線菌の証明が必要であるが, 嫌気性菌である Actinomyces israeli の分離培養は容易でない. 今回, 子宮内避妊器具 (intra uterine contraceptive device ; IUD) を長期間装着後, 骨盤内放線菌症を発症し, 摘出した付属器膿瘍内容物の塗抹細胞診で放線菌症と診断された 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 50 歳, 2 経妊 2 経産婦. 約 20 年前に IUD を装着し, 以来未交換であった. 下腹痛を伴った発熱を認め, 前医で抗菌剤治療を受けたが症状の再燃を反復していた. ダグラス窩膿瘍が疑われ, 緊急開腹術を施行した. 術後, 症状は軽減したが, 7 日後には再び発熱を認め, ダグラス窩膿瘍の再発を指摘され, 当科に紹介された. 当科初診時, 経腟超音波断層法および MRI で子宮内に IUD を認めた. 抗菌剤治療施行後, 単純子宮全摘出術, 両側付属器摘除術および癒着剥離術を行った. 摘出標本では子宮体部内腔に IUD を認めた. 摘出標本の割面細胞診では, 多数の好中球, 組織球を背景に不定形の菌塊が散見され, Grocott 染色で多数の微細な分枝を有する菌糸が確認され放線菌症と診断された.
    結論 : IUD 装着者における骨盤内感染症の場合, 細胞診が鑑別診断の一助になると思われた.
  • 武田 麻衣子, 笠井 孝彦, 榎本 泰典, 島田 啓司, 小西 登, 野々村 昭孝
    2009 年 48 巻 6 号 p. 386-389
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    背景 : 腟原発悪性黒色腫は, まれな腫瘍である. メラニン産生に乏しく, 多形性が強い症例では, 肉腫や肉腫様変化を伴う悪性腫瘍との鑑別が問題となる. 今回われわれは, その診断に苦慮した腟前庭部悪性黒色腫の 1 例を経験したので, 報告する.
    症例 : 42 歳, 女性. 不正性器出血にて近医を受診し, 腟前庭部に隆起性病変を認めた. 生検組織診・細胞診では肉腫を含む多形性の目立つ悪性腫瘍が疑われた. その後, 腫瘍切除術が施行された. 1.2 cm 大の褐色調の隆起性病変であり, 組織学的には大小不同や多形性を有する紡錘形細胞のびまん性増殖が認められたが, HE 染色では明らかな色素沈着は認められなかった. Fontana-Masson 染色にて少量のメラニンが確認された. 免疫組織学的に腫瘍細胞は, S-100 蛋白および HMB45 に陽性を示し, 悪性黒色腫と診断された. 捺印細胞診では, 大型で多形性を有する類円形ないし紡錘形の核をもつ異型細胞の小集団がみられた. 少量のメラニン色素が確認できた.
    結論 : 腟前庭部悪性黒色腫の捺印細胞診像を報告した. 多形性の強い腫瘍では, 悪性黒色腫が鑑別にあがり, その診断には免疫染色を含む特殊染色が重要である.
  • 望月 紀英, 町田 知久, 伊藤 仁, 平林 健一, 梶原 博, 平澤 猛, 中村 直哉, 長村 義之
    2009 年 48 巻 6 号 p. 390-394
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    背景 : 子宮内膜間質肉腫は, 子宮体部に発生する悪性腫瘍の約 0.5%とされるまれな腫瘍である. 今回われわれは, 平滑筋肉腫との鑑別に苦慮したα-平滑筋アクチン陽性を示す紡錘形細胞を主体とした高悪性度子宮内膜間質肉腫の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 65 歳, 女性. 子宮腫大が指摘され, 東海大学医学部付属病院を紹介受診. T2 強調 MRI 検査で子宮体部に約 11 cm 大の充実性腫瘤が指摘され, 細胞診および子宮内膜生検が施行された. 細胞像は多形性を示す紡錘形細胞を主体とした腫瘍細胞が孤立散在性に多数出現しており, 免疫細胞化学的にα-平滑筋アクチン陽性を示したため平滑筋肉腫が疑われた. 生検では同様に平滑筋肉腫が疑われたが, CD10, α-平滑筋アクチン陽性, desmin, h-caldesmon 陰性を示し, 子宮内膜間質肉腫と診断され, 子宮全摘出術および両側付属器摘出術が施行された.
    結論 : 高悪性度子宮内膜間質肉腫は低分化癌や他の肉腫との鑑別がしばしば困難であり, 本例のように高度な多形性を示す紡錘形腫瘍細胞の出現やα-平滑筋アクチンの陽性像は平滑筋肉腫との鑑別が問題となる.
  • 三木 守, 萩原 勝美, 平野 博嗣, 沖村 明, 中正 恵二
    2009 年 48 巻 6 号 p. 395-399
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    背景 : 子宮内膜間質肉腫は免疫化学的に CD10 陽性を呈するまれな腫瘍である. 細胞転写法により免疫細胞化学的に CD10 陽性で子宮内膜間質肉腫と診断し得た 1 例を報告する.
    症例 : 68 歳, 女性. 腹部膨満を主訴に来院, MRI にて子宮癌または卵巣癌が疑われ単純子宮全摘術および左付属器摘手術が施行された. 手術標本の捺印細胞診は内膜間質に類似した多稜形∼紡錐形細胞が孤立散在性に多数認められ, 細胞質は辺縁やや不明瞭, 核は腫大し, 核の切れ込みを示した. 増量したクロマチンは微細顆粒状から細顆粒状で核縁は薄く, 核小体は不整形で腫大していた. 細胞転写法による免疫細胞化学的に CD10 が陽性で内膜間質肉腫と診断した. 病理組織学的にも高悪性度子宮内膜間質肉腫であった. 手術後 80 日目に膀胱周囲と腹部皮下に腫瘤がみられ, その穿刺細胞診で子宮内膜間質肉腫の転移と判明し腫瘤摘出を行った. しかし, 手術 90 日後に全身状態不良により死亡した.
    結論 : 子宮内膜間質肉腫の細胞学的診断において, 細胞転写法による免疫細胞化学染色が有用であると考えられた.
  • 今北 正美, 三ノ浦 康彦, 大重 友紀, 米倉 由香
    2009 年 48 巻 6 号 p. 400-403
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    背景 : 子宮体部原発の小細胞癌はまれで, 腺癌, 腺扁平上皮癌や悪性ミューラー管混合腫瘍などと共存することが知られている. 小脳転移による症状から発見され, 子宮体部原発の類内膜腺癌と小細胞癌が共存したまれな症例を経験したので報告する.
    症例 : 41 歳, 女性. 後頭部痛, 回転性めまいと嘔吐が出現し, 歩けなくなったため, 近医を受診した. MRI 検査で, 左小脳半球に嚢胞性腫瘤を指摘され, 当院で開頭腫瘍摘出術が施行された. 組織学的に, 転移性小細胞癌の可能性が高いと診断され, MRI 検査で, 子宮内腔の腫瘍と多発性子宮筋腫を認めた. 子宮頸部細胞診で, 比較的小型の異型細胞を認め, 子宮内膜細胞診では, 類内膜腺癌と判定された. 子宮および付属器摘出術が施行され, 病理学的検査で, 類内膜腺癌と小細胞癌が共存していた.
    結論 : 子宮内膜癌には小細胞癌の成分が混在する可能性があり, 小細胞癌の成分の有無は予後の判断に重要と考えられるので, 注意が必要と思われた.
  • 涌井 架奈子, 松井 成明, 安田 政実, 梶原 博, 伊藤 仁, 村上 優, 佐藤 慎吉, 長村 義之
    2009 年 48 巻 6 号 p. 404-408
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    背景 : 子宮体部原発小細胞癌の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 62 歳, 女性. 近医にて悪性腫瘍を疑われ精査加療目的に当院に入院. MRI では大きさ約 4 cm の骨盤内腫瘤を指摘された. 生検組織診では採取材料に乏しく判定は困難であったが, 子宮内膜細胞診で ClassIV, 小細胞癌が疑われ摘出術が施行された. 子宮内膜細胞診では背景に小型類円形細胞が索状, 木目込み細工様配列を呈して出現していた. N/C 比は高く裸核様, クロマチンは細顆粒状に増量していた. 本症例の興味深い所見として, 原発巣と腹腔細胞診に出現する腫瘍細胞に相違があり, 前者は小細胞癌, 後者は腺癌細胞が主体として出現していた. 組織学的に原発巣をみると腫瘍の大部分は小細胞癌が占拠していたが, 卵管口近傍の一部に類内膜腺癌がわずかに存在していた. 腹腔細胞診における所見の相違は, 腫瘍の占拠部位を原因として腺癌細胞が経卵管的に腹腔内に出現したことが推測された.
    結論 : 子宮体部原発小細胞癌においては, われわれの経験した症例のごとく, 原発巣と腹腔細胞診で組織型が乖離することがある. 本腫瘍の組織学的性格を認識し, 子宮内膜細胞診および腹腔内に出現する腫瘍細胞には留意が必要と考えられた.
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