日本臨床細胞学会雑誌
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50 巻 , 4 号
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原著
  • 仲 正喜, 大久保 文彦, 渡辺 寿美子, 田宮 貞史, 加来 恒壽, 杉島 節夫, 山元 英崇, 小林 裕明, 小田 義直
    2011 年 50 巻 4 号 p. 209-213
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
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    目的 : Fiber cell と子宮頸部扁平上皮病変との関連性を検討することで, その意義を解明する.
    方法 : 子宮頸部扁平上皮病変 40 例 (高度異形成, 上皮内癌, 扁平上皮癌I期, II期 : 各 10 例) の子宮頸部細胞診標本を対象とした. Fiber cell 出現数, 出現数と組織学的浸潤の深さとの関連, および fiber cell の形態について検討した.
    成績 : Fiber cell 出現数は, 高度異形成, 上皮内癌よりも扁平上皮癌で有意に高値 (p<0.01) となり, さらに扁平上皮癌I期よりもII期で高値 (p<0.01) となった. 出現数と組織学的浸潤の深さは, 統計学的に高い関連性は得られなかった (r=0.36). 細胞形態は, 浸潤群に出現する fiber cell のほうが非浸潤群のものと比較して, 細胞および核が大きく, より細長い傾向であった.
    結論 : Fiber cell は, 子宮頸部扁平上皮病変の進行度との間に関連性があることが示唆され, 組織学的浸潤の有無や病変の進行度を推定しうる有用な所見であると考えられた.
症例
  • 西山 浩, 大関 健治, 添田 周, 渡辺 尚文, 山田 秀和, 藤森 敬也
    2011 年 50 巻 4 号 p. 214-219
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
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    背景 : 子宮頸部明細胞腺癌は, 子宮頸部腺癌の 4∼9%を占めるまれな腫瘍で予後不良な疾患である. 今回われわれは, Human Papilloma Virus (HPV) 感染の関与が低いと考えられる性交未経験の若年女性に発症した 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 34 歳, 性交経験なし. 不正性器出血を主訴に前医を受診した. MRI にて子宮頸部より発生し腟腔内に突出・充満する径 8 cm 大の腫瘍を認め当科紹介となった. 腫瘍表面擦過細胞診では壊死性背景の中に腫瘍細胞が散在性あるいは小集塊状に出現していた. 核小体の著明な大型裸核状腫瘍細胞や細胞質が淡明で豊富な円形核を有する腫瘍細胞また hobnail 型細胞が認められた. 生検組織診では, 充実性構造・管状・微小嚢胞状構造など多彩な組織像を示す明細胞腺癌の診断が得られた. CT 上多発性肺転移を認め臨床進行期分類はIVb 期. 以後手術を施行し現在化学療法を施行しているが増悪傾向である.
    結論 : 子宮頸癌発生要因として性行為に伴う HPV 感染の関与が示唆されているが, 特殊な組織型においては HPV が関与せずに子宮頸癌が発生することもあり不正出血などの症状を認める場合には性交未経験女性といえども積極的な検査・治療が必要とされる.
  • 野口 裕史, 花牟禮 富美雄, 末川 智子, 佐藤 信也, 佐藤 勇一郎, 丸塚 浩助
    2011 年 50 巻 4 号 p. 220-225
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
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    背景 : 心嚢液に発生した Human herpes virus 8 (HHV-8) 感染陰性 primary effusion lymphoma (PEL) の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 40 歳代, 男性. 全身倦怠感のため近医を受診し, 胸部レントゲンにて心陰影拡大を指摘され, 精査目的で当院を受診した. 受診時の心臓超音波検査では多量の心嚢液貯留および右房の虚脱を認め, 心嚢腔ドレナージが施行された. 心嚢液細胞診では, 大型で N/C 比が高い類円形の centroblast 様細胞が多数出現し, multilobated cell も混在していた. セルブロックを用いた免疫組織化学では B 細胞表面抗原 (CD20, CD79a) が陽性であった. 全身検索により多臓器およびリンパ節に腫瘤形成は認められなかったことから心嚢液原発の PEL と診断した. 本症例は Human immunodeficiency virus (HIV), HHV-8, Epstein-Barr-virus (EBV) 感染は陰性であった.
    結論 : 本症例は, HIV および HHV-8 感染陰性の PEL であり, WHO 分類で定義されている HIV および HHV-8 感染例とは異なる細胞所見, 免疫表現型を示した. また, 体腔液細胞診においては PEL も念頭におき, セルブロック作成が診断に有用と考えられる.
  • 高畠 希, 木下 勇一, 松永 志保, 市邊 和男, 足立 靖, 圦 貴司, 鷹巣 晃昌, 四方 伸明
    2011 年 50 巻 4 号 p. 226-230
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
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    背景 : 悪性中皮腫は組織学的に肉腫型が少なく, また, 肉腫型が遠隔転移した症例に関する報告はさらにまれである. 今回われわれは, 頭部皮膚の転移巣が診断の契機となった肉腫型胸膜悪性中皮腫を経験したので報告する.
    症例 : 50 歳代, 男性. アスベスト曝露歴あり. 頭部皮膚腫瘍の急速な増大を自覚し, 当院受診. 画像検索にて両側胸膜に異常を認めたため, 胸膜生検および針洗浄細胞診を施行した. 初診断より約 2 ヵ月後に死亡し, 剖検にいたった. 胸膜穿刺針洗浄細胞診では, きれいな背景に孤立もしくは結合疎な小∼大型集塊が多数出現. 集塊を構成する異型細胞の核形は不整で大小不同を呈した. 胸膜の生検組織では, 異型が著明な紡錘形細胞の密かつ多彩な増殖を認めた. 免疫染色では中皮腫マーカーに陽性を示した. 剖検で左臓側胸膜は, 全体に鎧状の不規則肥厚を示した. 組織学的に頭部皮膚腫瘍部と剖検の両肺浸潤部は, 胸膜と比較してやや異型は強いもののいずれも同じ所見を呈し, 最終的に未分化多形肉腫様を示した肉腫型胸膜悪性中皮腫と診断した.
    結論 : 肉腫型胸膜悪性中皮腫は, その多彩性から細胞像のみでは診断に難渋する. 組織像および各種免疫染色所見に加え, 臨床情報や画像所見を総合した慎重な判断が必要である.
  • 野坂 加苗, 庄盛 浩平, 宇田川 学, 井藤 久雄
    2011 年 50 巻 4 号 p. 231-234
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
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    背景 : 浸潤性小葉癌はときに泡沫状あるいは細顆粒状の豊富な細胞質と異型の弱い核を特徴とする組織球様の所見を伴うことがあり, 細胞診において良悪性の鑑別がしばしば困難である.
    症例 : 80 歳代の女性. 両側乳房に 1 cm 強の腫瘤を指摘され, 両腫瘤の部分切除が施行された. 捺印細胞診および迅速凍結切片にて左乳腺腫瘤は浸潤性乳癌と診断した. 右乳腺腫瘤の捺印細胞診では, 少数のリンパ球を背景に, 微細泡沫状∼顆粒状の豊かな細胞質をもつ細胞が散在性に出現していた. 核は軽度腫大し, クロマチンは微細顆粒状で核縁の肥厚や不整はなく, 小型の核小体を 1 個伴っていた. 迅速診断では, 軽度腫大核を示す大型の細胞が索状, 単細胞性∼集塊状に間質浸潤しており, 泡沫細胞あるいは顆粒細胞腫と類似していた. 細胞は CK AE1/3, CK7 に陽性で, CK20, S-100, CD68, E-カドヘリンに陰性であり, 最終的に浸潤性小葉癌と診断した.
    結論 : 乳腺腫瘤の細胞診で炎症の乏しい背景に泡沫状の中∼大型細胞をみるときは浸潤性小葉癌の可能性も念頭におくべきである.
  • 仲村 勝, 小川 真里子, 福田 雅美, 宜保 一夫, 才藤 純一, 田中 陽一, 宮内 潤, 高松 潔
    2011 年 50 巻 4 号 p. 235-239
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/27
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    背景 : 卵巣明細胞腫瘍において, 境界悪性例の報告はまれであるが, 腺線維腫に合併することが知られている. 今回, われわれは術前には悪性を強く疑いえなかった borderline clear cell adenofibroma の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 72 歳, 0 経妊 0 経産. 検診において腹部腫瘤を指摘され当院を紹介受診された. 子宮頸部細胞診および子宮内膜細胞診は異常所見を認めなかった. 腫瘍マーカーは CA125 が 192 U/ml と高値を示していた. MRI 検査所見では右卵巣に充実性腫瘤を認め, T2 強調画像では低信号を示した. 手術により摘出された右卵巣腫瘍は黄白色の充実性腫瘍であり一部にスポンジ状の部分を認めた. 腫瘍割面捺印細胞診像は, 比較的きれいな背景の中に, N/C 比が増大し, クロマチンが増量した異型細胞が散在していた. 病理組織診断は, borderline clear cell adenofibroma であった.
    結論 : 良性の腺線維腫を想定した腫瘍割面捺印細胞診にて異型細胞を認めた. 腫瘍割面捺印細胞診は卵巣境界悪性明細胞腫瘍の診断の一助になると考えられた.
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