日本臨床細胞学会雑誌
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51 巻 , 2 号
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総説
  • 則松 良明
    2012 年 51 巻 2 号 p. 93-104
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    無排卵性周期に伴う機能性出血子宮内膜においては, 不正性器出血や内膜肥厚を示し, さらに子宮内膜腺細胞や内膜間質細胞は, ホルモンの影響や細胞質変化 (化生) が加わるため細胞像が多彩となり, 内膜増殖症や内膜癌と誤判定される場合がある. したがって子宮内膜細胞診の精度向上のためにも, 無排卵周期に伴う機能性出血の細胞像 (Endometrial glandular and stromal breakdown ; EGBD, Disordered proliferative phase ; DPP) の特徴を把握する必要がある. われわれが EGBD と DPP の組織像と細胞像を比較検討した結果, 以下のことが明らかになった. EGBD 例では, 拡張分岐集塊以外に, 断片化塊, 内膜間質細胞凝集塊, 化生性不整形突出集塊などの所見が重要であった. 特に 20 個以上の内膜間質細胞凝集塊や内膜間質細胞凝集塊を含む化生性不整形突出集塊を認めた場合, EGBD の可能性が高い. 一方, DPP 例では内膜増殖症と同様に, 拡張分岐集塊の出現が主体であり, 細胞診による両者の鑑別は困難であった. したがって, 拡張分岐集塊が出現している場合には, 組織生検を施行する必要がある.
原著
  • Miwa KINO, Yuko SUGIYAMA, Kimihiko SAKAMOTO, Hidetaka NOMURA, Maki MAT ...
    2012 年 51 巻 2 号 p. 105-109
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    Objective : We compared the clinical utility of the brush method (Honest Super Brush) to the aspiration method (Masubuchi method).
    Study Design : Between 2005 and 2007, 1099 endometrial cytology samples from 856 subjects were collected using aspiration and brush methods. Cytological examination results showed suspicious or positive findings in either or both methods compared to those of histological examinations.
    Results : In the 1099 samples, the difference in the proportion of samples unsatisfactory for evaluation in the aspiration and brush methods was statistically significant at 15.6% versus 5.3% (p<0.01). Among 160 subjects with suspicious or positive results in either or both methods, 120 (75%) had endometrial cancer or associated lesions. The rate of suspicious or positive findings in the aspiration method was 94.2% (113/120) versus the brush method at 93.3% (112/120).
    Conclusion : The diagnostic accuracy of the brush method appears equivalent to that of the aspiration method. The ratio of samples unsatisfactory for evaluation with the brush method was significantly lower, however, than for evaluation with the aspiration method. The brush method may therefore be advantageous when used as a tool for screening endometrial cancer.
  • 森村 豊, 千葉 聖子, 荒木 由佳理, 添田 喜憲, 塚原 孝, 柴田 眞一, 古川 茂宣, 添田 周, 西山 浩, 藤森 敬也
    2012 年 51 巻 2 号 p. 110-115
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    目的 : ベセスダ方式に準拠した細胞診報告様式では, 適正標本は 8,000 個以上の扁平上皮細胞の採取が条件である. 子宮頸がん集団検診標本でこの条件に関する検討を行った.
    方法 : 2008 年の子宮頸がん集検の標本 69,584 例について, ベセスダ方式による不適正例数を算出し, 従来の独自の基準で判定した不適正率と比較した. 2004 年に, 従来基準で「細胞数が少なく不適正だが評価可能」としていた 120 例でその後, 重篤な病変が検出されていないか調査した. その従来の不適正だが評価可能とした症例の細胞数について計測した.
    成績 : ベセスダ方式で不適正と判定された例は 590 例, 0.85%で従来方式の 77 例, 0.11%に比して有意に不適正率が高かった. 不適正だが評価可能とした 120 例で, その後の受診が確認され, 1 例のみ軽度異形成が検出された. 不適正だが評価可能とした 120 例の細胞数の中央値は 500 個であった.
    結論 : 子宮頸がん集検の検体に, ベセスダ方式を厳格に適応すると, 不適正標本を増加させ実務上問題がある. 暫定的に一定数以上の細胞数の検体を「不適正だが評価可能」とし, 今後, 細胞採取者に適正な検体を提出するよう十分な教育が必要である.
症例
  • 海老塚 智恵美, 牧野 純, 小山 剛司, 今井 宏樹, 渡邊 睦子, 仲村 武, 河野 尚美
    2012 年 51 巻 2 号 p. 116-119
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    背景 : Spindle cell carcinoma は全乳癌の約 0.3%を占めるまれな疾患である. 穿刺吸引細胞診で鑑別の困難であった Fibromatosis-like spindle cell carcinoma の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 48 歳, 女性. 左乳房に腫瘤を自覚し, 来院. 穿刺吸引細胞診では, 粘液様物質を背景に紡錐形の異型細胞が散在性に多数出現し, 葉状腫瘍が疑われた. 組織学的には紡錘形∼長楕円形の間葉系類似細胞が増殖しており, 免疫染色で Fibromatosis-like spindle cell carcinoma と最終診断した.
    結論 : 乳腺原発腫瘍において異型紡錘形細胞が採取された場合, 線維腫症, 間質肉腫, 葉状腫瘍などが鑑別にあがる. 線維腫症とは採取細胞量の点で, 間質肉腫とは核異型の点で違いがみられた. 葉状腫瘍との鑑別は困難であった.
  • 河原 明彦, 山口 知彦, 安倍 秀幸, 多比良 朋希, 吉田 友子, 内藤 嘉紀, 秋葉 純, 鹿毛 政義
    2012 年 51 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    背景 : 原発性あるいは転移性腫瘍との鑑別が必要な患者に対し, 細胞診によって原発性肺癌を確定し, さらに EGFR 遺伝子変異の解析が可能であった原発性肺癌の 1 例を報告する.
    症例 : 60 歳代, 女性. 背部痛を主訴に当院を受診し, 骨シンチや CT スキャンなどの結果より転移性骨腫瘍と肺腫瘍を指摘された. 乳癌の既往歴があることにより乳癌からの骨転移や肺転移が疑われ, 左上肺野結節に対して CytoRich, Red 固定液を用いた経気管支擦過細胞診が施行された. 細胞形態および thyroid transcription factor-1 陽性, エストロゲンレセプター陰性であったことより原発性肺癌と診断した. さらに, L858R (exon 21) の EGFR 遺伝子変異を peptide nucleic acid-locked nucleic acid polymerase chain reaction clamp 法と免疫細胞化学で検出した.
    結論 : 免疫細胞化学により, EGFR 遺伝子変異の検出が可能である. 個別化治療が進むにつれて細胞材料を用いた免疫細胞化学や分子病理学的検索がさらに必要となると考える.
  • 刀稱 亀代志, 小島 啓子, 吉岡 治彦, 鷲谷 清忠, 渡辺 純, 鎌田 義正, 鬼島 宏, 黒瀬 顕
    2012 年 51 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    背景 : 膿胸関連リンパ腫は, 肺結核性慢性膿胸や肺結核治療としての人工気胸術後の慢性膿胸壁に発生する悪性リンパ腫である. 大部分は B 細胞性であり T 細胞性はまれである. 今回われわれは胸壁腫瘤捺印細胞診にて推定しえた EB ウイルス陽性 T 細胞性膿胸関連リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 86 歳, 男性. 27 歳時に肺結核に対して左人工気胸術を受けた. 2009 年になり左季肋部痛が出現し近医を受診, 慢性膿胸と胸壁腫瘤を指摘され, 当院を紹介受診した. 診断目的に施行された胸壁腫瘤の切開生検時の捺印細胞診では, 細胞形態ならびに免疫細胞化学染色の結果を総合的に判断して EB ウイルス陽性 T 細胞性リンパ腫を推定した. また, 病理組織所見, 免疫組織化学所見から peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified と確定診断した.
    結論 : 膿胸関連リンパ腫のなかでも非常にまれな T 細胞性を経験した. 捺印細胞診においても積極的に免疫細胞化学染色を併用することで, リンパ腫のタイプや EB ウイルス感染の有無を推定することができた貴重な症例と考える.
  • 馬詰 武, 藤堂 幸治, 青柳 有紀子, 鈴木 賀博, 見延 進一郎, 岡元 一平, 平 紀代美, 山城 勝重
    2012 年 51 巻 2 号 p. 132-136
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    背景 : 非 Hodgkin リンパ腫のうち, 女性器を原発とするものはまれであり, 腟を原発とするものはきわめてまれである. 今回, 腟断端原発のびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫 (diffuse large B cell lymphoma : DLBCL) を経験したので報告する.
    症例 : 76 歳, 女性. 33 年前に子宮筋腫のため単純子宮全摘術を受け, 不正性器出血を主訴に受診し, 腟断端に腫瘍を認めた. 画像上, 腟断端に 48×51×53 mm の腫瘤を認め, 腟断端の細胞診では結合性が低く孤立散在性に出現する異型細胞を認め, 表層部の組織診は炎症細胞浸潤を認める変性壊死組織であった. 膀胱より血尿を認め, 尿細胞診でも腟断端と同様な細胞が出現していた. 麻酔下での腫瘍深部の生検にて DLBCL の診断となった.
    結論 : 腟に生じた腫瘍で, 非上皮性を疑う場合にはまれではあるが DLBCL の存在も考慮に入れておくべきと考えられた.
  • 土居 美枝子, 清水 禎彦, 三橋 智子, 金野 美年子, 茅野 秀一, 佐々木 惇, 安田 政実, 清水 道生
    2012 年 51 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    背景 : 卵巣に発生する yolk sac tumor はまれではあるが, 腹膜に播種して腹水中に腫瘍細胞を認めることがある. 今回, 卵巣 yolk sac tumor において, 腫瘍細胞が腹水中に出現した 2 例を経験したので, 手術材料での細胞像と比較して報告する.
    症例 : 2 例とも卵巣の yolk sac tumor の症例で, 患者は 10 歳および 42 歳の女性で, 腹水中に yolk sac tumor の腫瘍細胞が認められた. これらの細胞像と, 手術材料の腫瘍細胞像と比較すると, 腹水標本の背景では組織球が認められたのに対して, 捺印標本では出血壊死性背景であった. 腫瘍の細胞像としては, 大小の腫瘍細胞が集塊状ないしは散在性に認められ, いわゆる balloon animal (動物風船) 様の細胞集塊, 鋭角的核異型を示す細胞, hyaline globules が認められた. 捺印標本では明瞭な核小体が 1∼2 個認められたが, 腹水標本では明瞭な核小体はみられなかった.
    結論 : 腹水中に出現する yolk sac tumor の同定には, balloon animal 様の細胞集塊, 鋭角的核異型, hyaline globules に着目することが重要と考えられた.
  • 牛島 倫世, 山川 義寛, 高越 祐子, 前田 睦子, 桶谷 香織, 稲坂 淳, 加藤 潔, 岡田 英吉
    2012 年 51 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    背景 : 子宮頸部明細胞腺癌は, 子宮頸部腺癌の 4%と非常にまれな組織型である. 今回, ポリープ様に外向性発育し, 細胞診および組織診で術前診断が可能であった子宮頸部明細胞腺癌の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 62 歳, 4 回経妊 2 回経産, 56 歳閉経. 主訴は特になし. 施設検診にて子宮頸部細胞診異常を指摘され当院受診. 腟鏡診では子宮腟部に示指頭大の頸管ポリープ様の易出血性腫瘤を認めた. 子宮頸部擦過細胞診にて明細胞腺癌が疑われ, 切除した腫瘤の組織診により明細胞腺癌と診断された. 腫瘤切除後の MRI では子宮頸部に腫瘍を認めなかった. 子宮頸部明細胞腺癌Ib1 期と診断し, 広汎子宮全摘術+両側付属器摘出術+骨盤リンパ節郭清術を施行した. 摘出物肉眼所見では子宮頸部に腫瘍を認めず, 組織学的にも癌の遺残を認めなかった. 両側付属器や骨盤リンパ節にも転移を認めなかった.
    結論 : 子宮頸部明細胞腺癌の 1 例を経験した. ポリープ様に外向性発育したことにより, 細胞診および組織診で術前診断が可能であったと考えられた.
短報
  • 川村 智子, 池澤 剛, 大貫 史明, 荒木 彰弘, 森下 由紀雄
    2012 年 51 巻 2 号 p. 147-148
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/27
    ジャーナル フリー
    We report a rare case of ascites cytology showing renal cell carcinoma. Malignant cells in ascites have abundant, clear, and vacuolated cytoplasm, including glycogen and unusual nucleoli. Sudan III staining showed positivity for lipoid granules in cytoplasm. Atypical cell clusters resembled a chrysanthemum flower.
    In cell block specimens, immunohistochemical staining showed significant renal cell carcinoma findings. Cell block specimens were useful in differentiating adenocarcinoma in ascites fluid. A Sudan III staining proved simple and useful in helping to determine renal cell carcinoma.
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