目的 : 関節液細胞診を用いた関節リウマチ (rheumatoid arthritis, RA), 変形性関節症 (osteoarthrosis, OA), 化膿性関節炎 (suppurative arthritis, SA), 偽痛風 (pseudo gout, PG) 診断の可能性を検討した.
方法 : 関節液が採取可能だった RA 31 例, OA 24 例, PG 6 例, SA 2 例を検討した. SA 症例において関節液の検索が不可能であった 7 例も組織学的に検討した. RA 症例は活動期 RA の病理組織所見を示した群と示さなかった群に大別して検討した.
成績 : 細胞診標本中に観察される好中球の出現パターンから検討した疾患は SA, 活動期 RA と OA, PG, 非活動期 RA の 2 群に大別された. SA と活動期 RA では関節液中の細胞数が多く, 好中球が主体であった. 活動期 RA には非泡沫型マクロファージ (NFM) が, SA には泡沫型マクロファージ (FM) が多数, 単個で出現していた. 一方, OA, PG, 非活動期 RA においては 3 疾患とも類似した細胞所見を示した. すなわち, 関節液中の好中球はきわめて少なく, 多数の NFM 集塊や NFM を含む微小組織片がみられた. FM は SA にみられただけで RA, OA, PG にはほとんど観察されなかった. PG 症例にはピロリン酸カルシウム結晶が観察された.
結論 : パパニコロウ染色標本を用いた関節液細胞診は活動期 RA および SA, OA, PG の診断に有用と考えられた.
抄録全体を表示