日本臨床細胞学会雑誌
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52 巻 , 4 号
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原著
  • 岩本 久司, 江村 巌, 薄田 浩幸, 高頭 秀吉, 池津 満, 加藤 法男, 田村 正史, 山田 隆志
    2013 年 52 巻 4 号 p. 287-294
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    目的 : 関節液細胞診を用いた関節リウマチ (rheumatoid arthritis, RA), 変形性関節症 (osteoarthrosis, OA), 化膿性関節炎 (suppurative arthritis, SA), 偽痛風 (pseudo gout, PG) 診断の可能性を検討した.
    方法 : 関節液が採取可能だった RA 31 例, OA 24 例, PG 6 例, SA 2 例を検討した. SA 症例において関節液の検索が不可能であった 7 例も組織学的に検討した. RA 症例は活動期 RA の病理組織所見を示した群と示さなかった群に大別して検討した.
    成績 : 細胞診標本中に観察される好中球の出現パターンから検討した疾患は SA, 活動期 RA と OA, PG, 非活動期 RA の 2 群に大別された. SA と活動期 RA では関節液中の細胞数が多く, 好中球が主体であった. 活動期 RA には非泡沫型マクロファージ (NFM) が, SA には泡沫型マクロファージ (FM) が多数, 単個で出現していた. 一方, OA, PG, 非活動期 RA においては 3 疾患とも類似した細胞所見を示した. すなわち, 関節液中の好中球はきわめて少なく, 多数の NFM 集塊や NFM を含む微小組織片がみられた. FM は SA にみられただけで RA, OA, PG にはほとんど観察されなかった. PG 症例にはピロリン酸カルシウム結晶が観察された.
    結論 : パパニコロウ染色標本を用いた関節液細胞診は活動期 RA および SA, OA, PG の診断に有用と考えられた.
  • 丸 喜明, 酒井 えり, 有田 茂実, 小高 亜紀子, 中山 茂, 平田 哲士, 板倉 明司, 池部 大, 荒木 章伸, 伊丹 真紀子
    2013 年 52 巻 4 号 p. 295-303
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    目的 : 近年, 超音波気管支鏡ガイド下針生検 (EBUS-TBNA) が肺門・縦隔リンパ節転移の評価を行う診断法として普及してきている. EBUS-TBNA による細胞診の役割とその手技中に迅速報告を行う有用性を考察した.
    方法 : 千葉県がんセンターで 2011 年 3 月∼2011 年 10 月に肺門・縦隔リンパ節に EBUS-TBNA が施行された 151 例, 穿刺されたリンパ節 400 個を対象とした. EBUS-TBNA による細胞診と同時に採取された組織診の結果を比較し, さらに細胞診の迅速報告と最終報告が不一致であった症例において, その原因を検討した.
    成績 : 検体適正率は, 細胞診 87.8%, 組織診 85.0%であった. 細胞診と組織診の一致率は, 組織診悪性 93.1%, 良性 96.9%, 全体では 95.3%であった. 細胞診の迅速報告は 129 件行われ, 良悪性は最終報告と 90.7% (117/129) が一致した. 不一致 12 件の迅速標本は, 壊死主体 25.0% (3/12), 異型細胞ごく少数 16.7% (2/12), 異型細胞なし 58.3% (7/12) であった.
    結論 : EBUS-TBNA による細胞診が, 肺門・縦隔リンパ節転移の有無を評価するうえで重要な役割を担うことや迅速報告の高い有用性が示唆された.
  • 鈴木 彩菜, 廣川 満良, 延岡 由梨, 山尾 直輝, 隈 晴二, 網野 信行, 宮内 昭
    2013 年 52 巻 4 号 p. 304-309
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    目的 : 新報告様式である甲状腺ベセスダシステム (Thyroid Bethesda System : TBS) は現行の甲状腺癌取扱い規約 (規約) とカテゴリー分類や基準が異なる. 本研究では, TBS の導入に向けて, 診断カテゴリー「不適正」における両報告様式の比較検討を行うことにした.
    方法 : 2012 年 4 月∼7 月の 4 ヵ月間に, 甲状腺穿刺吸引細胞診が施行された 1072 結節のうち, 通常塗抹標本と針洗浄液を用いた液状化検体細胞診 (Liquid based cytology : LBC) 標本の少なくとも一方が「不適正」であった 118 結節を検討対象とし, 超音波所見および細胞診標本を見直した.
    成績 : 不適正率は規約 (5.3%) より TBS (7.6%) で高かったが, 針洗浄液を用いた LBC の併用によりそれぞれ 1.2%, 2.9%に減少した. 「不適正」例の再検は超音波判定で悪性が疑われる場合に施行されていた. 超音波判定が良性, 石灰化結節では, 通常塗抹標本よりも LBC 標本で不適正率が低かった.
    結論 : TBS の導入により, 「不適正」例は規約に比べ増加するが, 針洗浄液を用いた LBC の併用により, 不適正率を減少させることができた. 不適正例の再検は超音波所見を加味して考慮されるべきと思われた.
  • 松井 成明, 梶原 博, 山下 和也, 森下 明博, 伊藤 仁, 飯田 哲士, 村上 優, 三上 幹男, 佐藤 慎吉, 中村 直哉
    2013 年 52 巻 4 号 p. 310-315
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    目的 : 子宮体部原発腺癌の腹腔内出現例における細胞増殖能の検討と予後の解析を行った.
    方法 : 2000∼2010 年の間, 組織学的に子宮体部原発腺癌と診断され, かつ子宮内に腫瘍組織が限局していた症例を用いた. 腹腔細胞診陽性症例の細胞増殖能の検討には, 1 型体癌 20 例, 2 型体癌 11 例を用いた. Papanicolaou 染色を脱色し, 1 次抗体として MIB-1 を酵素抗体間接法にて染色した. なお, 類内膜腺癌 Grade 1, 2症例については, 腫瘍細胞の同定が困難であるため MOC31 による重染色を行った. 生存率の評価は前述の腹腔細胞診陽性例と陰性例 (1 型体癌 32 例, 2 型体癌 14 例) を比較した.
    成績 : 腹腔内の腫瘍細胞における MIB-1 発現は, 1 型体癌で平均 1.4%. 2 型体癌で平均 16.1%. 原発巣における MIB-1 発現は, 1 型体癌で平均 35.0%. 2 型体癌で平均 57.1%. 5 年生存率は, 1 型体癌における腹腔細胞診陽性例で 85.6%. 陰性例で 96.0%. 2 型体癌腹腔細胞診陽性例で 50.9%. 陰性例で 64.2%を示していた.
    結論 : 腹腔内に出現する腫瘍細胞の MIB-1 発現は, いずれも原発巣に比して発現率の低下が認められた. 累積生存率の比較でも腹腔細胞診陽性例, 陰性例間に有意差はみられなかった. 子宮内に限局した体部腺癌症例の場合, 腹腔内の腫瘍細胞は増殖能に極めて乏しく, そのほとんどが消退する経過をたどることが示唆された.
  • 加藤 雅史, 笹 秀典, 高野 政志, 後藤 友子, 佐々木 直樹, 高橋 宏美, 織田 智博, 島崎 英幸, 古谷 健一
    2013 年 52 巻 4 号 p. 316-322
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    目的 : CIN 合併妊婦における妊娠中の保存的管理の妥当性を検証する.
    方法 : 2004∼2010 年の間に当院で保存的に管理した頸部細胞診異常妊婦 76 例を後方視的に検討した. 妊娠初期の細胞診異常は全例コルポスコピーをし, 有意所見があれば狙い組織診を施行した. その後は 3 ヵ月ごとに細胞診で経過観察し, 産後 2 ヵ月で再度コルポスコピーをして病変の状態を評価した.
    成績 : 年齢中央値は 31 歳 (20∼42 歳) で, 喫煙は 8/41 例 (20%) に認められた. 狙い組織診は 38 例 (50%) に実施し, CIN1 は 11 例 (29%), CIN2 は 14 例 (37%), CIN3 は 12 例 (32%) であった. 産後の病変の軽快は 26/71 例 (37%), 持続は 38/71 例 (53%), 増悪は 7/71 例 (10%) であった. 浸潤癌に増悪した症例は 1 例もなかった. 分娩様式と病変の軽快との相関はみられたが (p=0.014), 喫煙と病変の持続・増悪との相関はみられなかった (p=0.30). 細胞診と組織診の不一致は 5/38 例 (13%) に認められた.
    結論 : CIN 合併妊婦の保存的管理は妥当であるが, 妊娠中は細胞診と組織診の乖離がまれではないため, コルポスコピーを積極的に施行することでより安全な管理が可能となる. 病変の持続例が多いため産後も厳重な管理が必要である.
  • 森村 豊, 寅磐 亮子, 佐藤 奈美, 塚原 孝, 佐藤 美賀子, 柴田 眞一, 若木 優, 渡辺 尚文, 西山 浩, 藤森 敬也
    2013 年 52 巻 4 号 p. 323-329
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    目的 : 子宮頸がん検診へのベセスダ式報告と HPV 検査の導入で, 精度向上や効率化が期待される. SIL 例で HPV 検査の有用性を検討した.
    方法 : 2008 年 4 月∼2009 年 3 月の福島県子宮頸がん集団検診で LSIL 190 例, HSIL で CIN2 推測の 76 例, HSIL で CIN3 推測の 69 例の HPV 検査と組織診, 経過や転帰を比較した.
    成績 : SIL の HPV 陽性率は 80%前後で, SIL 各群で差はなかった. LSIL で CIN3 以上の病変が 9 例 (4.7%) 検出され全例 HPV 陽性であった. HSIL, CIN2 推測例で CIN3 以上は 25 例 (32.9%) で HPV 検査結果による差はみられなかった. HSIL, CIN3 推測例で CIN3 以上は 41 例 (59.4%) で HPV 検査結果による差はみられなかった.
    LSIL で HPV 検査結果に関係なく, また HSIL, CIN2 推測例で HPV 陰性群が, 異型細胞消失率が高かった.
    結論 : SIL 例は HPV 検査陽性率が高く, HPV 検査による triage に向かないと思われる. LSIL 例の精検異常なし例や HSIL, CIN2 推測例でも HPV 陰性例では, 異型細胞消失例が多く, 早期の追跡終了の指標となる可能性がある.
  • 森村 豊, 千葉 聖子, 荒木 由佳理, 塚原 孝, 佐藤 美賀子, 柴田 眞一, 古川 茂宣, 添田 周, 渡辺 尚文, 藤森 敬也
    2013 年 52 巻 4 号 p. 330-334
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    目的 : ベセスダ方式の導入で, 標本の適正・不適正が評価されるようになった. 不適正標本の減少のため, 検体採取医にみずからの不適正発生率を通知し, 改善効果を検討した.
    方法 : 福島県内の子宮頸がん集団検診で, 施設検診を行った 114 施設に, 2009 年 4 月∼2010 年 3 月の各施設の不適正率を報告した. 次いで 2010 年 4 月∼2011 年 3 月の 114 施設の不適正率の推移を比較した.
    成績 : 2009 年 4 月∼2010 年 3 月の不適正率は 51,863 件中 3,529 件, 6.8%であったが, 2010 年 4 月∼2011 年 3 月は 56,162 件中 1,875 件, 3.3%で有意に減少した.
    不適正標本が有意に減少した施設は 54 (47.4%), 有意ではないが減少した施設は 42 (36.8%) であった.
    改善施設では, 一部は綿棒採取をやめたことで, 不適正検体が著しく減少した施設もあったが, 従来からスパーテル, ブラシ採取であった施設でも多くで改善がみられた.
    結論 : 施設ごとの不適正発生率を報告することで, 検体採取医が採取器具を変更したり, 検体採取時に留意を促すことで, 不適正標本の減少が期待できる.
症例
  • 遠藤 由香利, 永見 光子, 大野 千恵子, 桑本 聡史, 野坂 加苗, 廣岡 保明, 堀江 靖
    2013 年 52 巻 4 号 p. 335-340
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    背景 : 腎類上皮型血管筋脂肪腫 (epithelioid angiomyolipoma : 以下 eAML) は通常の血管筋脂肪腫 (angiomyolipoma : AML) とは異なり, 再発や転移をきたし, 悪性の経過をたどることがある. 今回われわれは捺印細胞診を併用して診断した eAML の 1 例を経験したので文献的考察を加え報告する.
    症例 : 20 歳代, 男性. 肉眼的血尿を主訴に当院を受診. 画像検査にて左腎上極に 4 cm 大の境界明瞭な充実性腫瘤を認め, 左腎臓摘出術が施行された. 腫瘍捺印細胞標本では壊死性背景に細顆粒状の豊富な細胞質を有する大小の異型細胞が多数出現し, 巨大核, 分葉状核, 多核, 核内細胞質封入体が観察された. 組織像では類上皮様の異型細胞の増生が認められた. 免疫組織化学的にこれらの細胞は Melan-A, HMB-45, α-SMA に陽性を示し, eAML と診断された.
    結論 : eAML の組織および細胞所見は腎細胞癌や肉腫と類似し診断に苦慮する場合が多い. しかし, 顆粒状の豊富な細胞質を有する等の細胞所見を認めた際は, 本症例を鑑別にあげ, 適切な免疫組織化学的検索を行うことで確定診断が可能であると考えられた.
  • 鈴木 貴子, 舩本 康申, 三谷 由香利, 鬼松 幸子, 山川 けいこ, 今井田 克己, 大森 正樹, 竿尾 光祐
    2013 年 52 巻 4 号 p. 341-345
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    背景 : 予後不良でまれな膠肉腫の 1 例を経験した. Ultrafast-Papanicolaou (U-Pap) 染色での術中圧挫細胞診の有効性を中心に報告する.
    症例 : 68 歳, 女性. 右上肢に麻痺が出現し, 当院紹介. MRI にて左前頭葉にリング状に造影される腫瘤が認められ glioblastoma や転移等が疑われた. 腫瘍摘出術時の術中迅速組織診断では glioblastoma と診断されたが手術材料での組織診断では gliosarcoma と診断された. Papanicolaou (Pap) 染色を用いた術中圧挫細胞診では glioblastoma を推定するにとどまった. 後に再発が確認された. 再摘出時の U-Pap 染色を用いた術中圧挫細胞診ではグリア系と間葉系の 2 つの異なる腫瘍細胞集団を確認することができ gliosarcoma の再発と確認できた. 特に U-Pap 染色標本では Pap 染色標本よりグリア系腫瘍細胞におけるグリア線維が強調されて染め出され形態鑑別が容易であった.
    結論 : Gliosarcoma はまれな腫瘍ではあるが, グリア系腫瘍細胞と間葉系腫瘍細胞の混在が認められる場合, 本疾患を念頭に置いて鏡検すると細胞診でも診断可能と思われた. また, 確定には Pap 染色と比較して U-Pap 染色がより有効であると思われた.
  • 土田 秀, 中里 宜正, 神山 晴美, 布瀬川 卓也, 吉田 勤, 飯島 美砂, 小島 勝, 杉原 志朗
    2013 年 52 巻 4 号 p. 346-349
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    背景 : ALK 陽性肺癌に対し ALK チロシンキナーゼ阻害剤の有効性が認められ, 肺癌の個別化治療の可能性が期待されている. 今回, 胸水の迅速細胞診標本で腺癌を推測し, セルブロック標本で ALK 陽性が確認された 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 症例は 58 歳の女性, 肺腺癌の化学療法開始から約 1 年後に脳転移, 副腎転移, 胸水貯留が認められ, 胸水から細胞診標本とセルブロック標本を作製した. 迅速細胞診標本では, 腫大した偏在性の核に明瞭な核小体を認める異型細胞が集塊で認められた. セルブロック標本にも同様の異型細胞が認められ, 免疫組織化学的検索および FISH 法で ALK 陽性が確認された.
    結論 : セルブロックは検査材料の長期保存や遺伝子検査などに有効で, 迅速細胞診を併用することで残余検体の迅速かつ有効な処理が可能となり, 臨床貢献につながるものと思われる.
  • 井上 清香, 加勢 宏明, 五十嵐 俊彦
    2013 年 52 巻 4 号 p. 350-353
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    背景 : 腺様嚢胞癌は唾液腺腫瘍では最も多くみられる癌であるが, 子宮頸部腺癌の中では 1%以下といわれ, 非常にまれな疾患である. 今回われわれは, stageIb2 期で発見し異型扁平上皮細胞の出現を伴った子宮頸部腺様嚢胞癌の 1 例を経験したので, 細胞像を中心に文献的考察を加え報告する.
    症例 : 80 歳代, 主訴は不正性器出血. 大量の性器出血のため救急搬送された. 頸部腫大を認め, 頸部細胞診は ASC-H であった. 腫瘍部位の細胞診および生検において腺様嚢胞癌と診断した. 腹式子宮全摘出術および両側付属器摘出術を施行した.
    細胞診にて孤立散在性にクロマチンの増量し濃縮した N/C 比の高い細胞がみられた. 重積性に富む集塊を認め, 内部に空洞を認めた. 一部の集塊では粘液を認めた.
    組織所見では細胞質の乏しい小型の傍基底細胞様の腫瘍細胞が篩状構造をなし, 腺様嚢胞癌に特徴的な像を示していた.
    結論 : 子宮頸部腺様嚢胞癌では淡明な粘液を含む嚢胞状構造を占める細胞集塊を認めることが特徴であり, また異型扁平上皮細胞を認めることもある. ごくまれな腫瘍であり, 一定の治療プロトコールは存在しない. しかし予後は不良であり, 注意深い診断が求められる.
  • 長友 忠相, 木村 勇人, 永野 輝明, 奥 和子, 杉生 憲二, 山根 三千秋, 吉野 龍一, 中塚 伸一
    2013 年 52 巻 4 号 p. 354-359
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    背景 : 子宮平滑筋肉腫の大部分は de novo に発生すると考えられており, 子宮平滑筋腫から発生した症例の報告は少ない. 今回, 子宮平滑筋腫から発生したと考えられる平滑筋肉腫の症例を 2 例経験したので報告する.
    症例 : 症例 1 は 60 歳代, 主訴は下腹部膨満感. MRI にて悪性が疑われたため, 単純子宮全摘術, 両側付属器摘出術が施行された. 術中の捺印細胞診は大型の異型紡錘形細胞の出現を認めたため「悪性疑い」と判定した. 術後の組織学的検討では脂肪平滑筋腫内に平滑筋肉腫の像を認めた. 症例 2 は 30 歳代, 主訴は不正性器出血. MRI にて指摘された子宮腫瘍に対して筋腫核出手術が施行された. 術中組織診, 捺印細胞診とも悪性を疑う巨大多核細胞が少数認められるも, 全体的に細胞は小型で比較的異型に乏しく, 「良悪性判定困難」にとどまった. 術後の検討では変形平滑筋腫内に平滑筋肉腫の像を確認した.
    結論 : 子宮平滑筋腫瘍に対して術中捺印細胞診を補助診断として活用する場合, まれながら子宮平滑筋腫から平滑筋肉腫が発生することがある点を念頭に置いて悪性度を評価する必要がある.
  • 中村 路彦, 田中 智人, 芦原 敬允, 棟方 哲, 藤田 茂樹, 大道 正英
    2013 年 52 巻 4 号 p. 360-363
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    背景 : 腟悪性腫瘍の多くは転移性であり, 診断には, 既往歴, 既往の原発巣の細胞像との比較も必要である. 子宮, 付属器からの転移が最も一般的であるが, 今回われわれは腟転移をきたした膵臓癌を経験した.
    症例 : 74 歳. 性器出血を主訴に当科を受診した. 膵体部癌の診断で 2 年前に膵体尾部切除術および幽門側胃合併切除術を施行されており, 最終診断は膵臓癌 tubal adenocarcinoma pT3N1MX であった. 術後補助化学療法施行後, 再発を認めたため second line の化学療法を施行したが効果は認めず経過観察となっていた. 内診にて腟壁に径 1 cm 程度の潰瘍形成を認め, 同部位の細胞をブラシで擦過し液状処理細胞診標本を作製した. パパニコロウ染色で腺系の異型細胞を認めたため, 余剰検体に免疫染色を行い, CK7, CK20, CEA および CA19-9 が陽性であった.
    結論 : 免疫細胞学的検査の結果と臨床経過から膵臓癌の腟転移と診断した. 確定診断は組織診によってなされるのが原則であるが, 出血, 感染のリスクを伴う場合, 免疫細胞学的検査を合わせた細胞所見は診断の手助けとなりうる. また, 液状処理検体 (Liquid based cytology : LBC 検体) を使用することにより, 余剰検体から容易に免疫染色を追加することができた.
  • 豊永 安洋, 山崎 一人, 渡邉 孝子, 安達 純世, 小山 芳徳, 五十嵐 敏雄, 梁 善光, 石田 康生
    2013 年 52 巻 4 号 p. 364-370
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    背景 : 卵巣原発類内膜腫瘍の多くは子宮内膜症に合併し, 形態的にも子宮内膜腫瘍に類する腫瘍群である. 類内膜腺癌の頻度が高く, 間質浸潤を欠く境界悪性類内膜腫瘍はまれである. われわれが経験した 1 例について捺印細胞像を中心に報告する.
    症例 : 43 歳, 女性. 右卵巣に充実性腫瘤を含む 嚢胞性病変を認め, 卵巣癌Ia 期疑いにて子宮・両側付属器切除が施行された. 嚢胞内に発育する充実性腫瘤は豊富な morule を伴う境界悪性類内膜腫瘍で, 子宮内膜にもこれに類する異型内膜増殖症を認めた. 卵巣腫瘍の捺印細胞においては, 辺縁に腺上皮を伴う morule 由来の重積細胞集塊を多数認めた.
    結論 : 卵巣腫瘍の捺印細胞診における異型を伴う腺上皮と morule の存在は, 前癌病変や低悪性度の類内膜を考慮すべき所見と考えられた.
  • 松井 成明, 梶原 博, 塚田 ひとみ, 伊藤 仁, 三上 幹男, 中村 直哉, 佐藤 慎吉
    2013 年 52 巻 4 号 p. 371-377
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
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    背景 : 子宮内膜に発生する純粋型の扁平上皮癌 (primary squamous cell carcinoma of the endometrium : 以下, PSCCE) は極めてまれである. われわれは, PSCCE 2 例の細胞学的所見および免疫組織化学的発現について検討した.
    症例 : 症例 1 は患者 65 歳. 不正性器出血を主訴に当院を受診した. 骨盤内 MRI では子宮体部から頸部の内膜肥厚と子宮留膿腫を指摘された. 症例 2 は患者 77 歳. 帯下増量を主訴として当院を受診した. 骨盤内 MRI では子宮体部に約 21×20 mm の腫瘤と留膿腫を指摘された. 各症例の細胞像は, いずれも無核の角化物を背景に短紡錘形から小型類円形を呈する腫瘍細胞として認められた. オレンジ G またはライトグリーンに染色される細胞質と粗大顆粒状に増量するクロマチンを有していた. しかし正常内膜腺細胞および腺癌細胞成分がみられず, 腫瘍の発生部位の特定にはいたらなかった. 免疫組織化学的には, p53, β catenin, p63 および CD10 は陽性, vimentin が部分的に陽性, ER, PgR, p16, CDX2 は陰性. In situ hybridization-HPV は陰性であった.
    結論 : 子宮体部原発の純粋型扁平上皮癌においては, 発生部位の特定が容易ではなく, その術前診断に際しては, 細胞学的所見に加え, コルポスコピー, 画像所見との対比が特に必要な組織型と考えられた.
  • 西村 和朗, 川越 俊典, 卜部 理恵, 松浦 祐介, 蜂須賀 徹
    2013 年 52 巻 4 号 p. 378-383
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/29
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 外陰癌腺癌は, 外陰癌の約 4%と比較的まれである. その中でも外陰部に発生した極めてまれな mammary gland-like adenocarcinoma (以下 MGA) を経験したので報告する.
    症例 : 症例は 56 歳. 1 年前から右側外陰部に腫瘤感を自覚した. 右外陰に 5 cm 大の可動性不良の硬い腫瘤があり, 骨盤内に多発リンパ節腫大を認めた. 腫瘍表面からのガラス擦過細胞診検査では核の偏在傾向を示す重積を伴う細胞集団を認め腺癌と診断され, また一部にインディアンファイルを思わせる線状配列を認めた. 腫瘍生検組織は, 乳癌の硬癌と類似の所見だった. 免疫組織染色は, ER・PgR は陽性だった. 外陰部腺癌 (MGA) stage IVB 期と診断し, 化学療法併用放射線療法を施行した.
    結論 : 正常外陰部皮膚には, mammary-like glands の存在が知られており, 同部位から発生する腺癌は極めてまれである. 病理組織学的には乳癌に類似していることが多く, 乳癌の転移性腺癌との鑑別が重要になる. これまでに乳癌や胸部疾患の既往はなく, mammary-like glands から発生した MGA と考えた.
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