日本臨床細胞学会雑誌
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52 巻 , 5 号
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原著
  • 吉田 佳史, 田中 陽一, 佐藤 一道, 山内 智博, 片倉 朗, 山根 源之
    2013 年 52 巻 5 号 p. 399-405
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    目的 : 侵襲の少ない擦過細胞診は直視直達が可能という環境を背景に, 口腔扁平上皮癌に対する有用な診断手段と考える. しかし, 口腔細胞診では, いまだに以前の婦人科の診断基準である Papanicolaou class 分類を用いており, 口腔特有の病態から診断に配慮が必要なことがある. 今回, 口腔擦過細胞診の診断において, 組織診等との関連性を検討した.
    方法 : 2007 年 7 月∼2010 年 6 月の 3 年間に東京歯科大学口腔がんセンターで加療を行った症例で初診時に液状化検体細胞診を行い, その後の病理組織学的に口腔扁平上皮癌と診断した 91 例において発現部位, 臨床発育様式, 細胞診所見について検討を行った.
    成績 : 91 例における細胞診の確診率は 67.0%, classIII (疑陽性) 以上の正診率では 87.9%であった. 発現部位別で classIV (陽性) 以上の割合は歯肉 56.8%, 頬粘膜 57.1%, 舌 73.0%, 口底 87.5%, 口蓋と口唇 100%であった. 臨床発育様式別の classIV (陽性) 以上の割合は, 内向型 82.4%, 外向型 20.0%, 表在型 23.1%であった.
    結論 : 今回の検討から, 扁平上皮癌を疑い, 細胞診で classIII (疑陽性) 以下の診断となった症例であっても 33%程度で扁平上皮癌を認めたことから, その扱いには十分な配慮の必要性が再認識された.
  • 土田 秀, 中里 宜正, 神山 晴美, 布瀬川 卓也, 吉田 勤, 飯島 美砂, 小島 勝, 杉原 志朗
    2013 年 52 巻 5 号 p. 406-410
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    目的 : 尿細胞診の検体処理に液状化細胞診 (Liquid based cytology : LBC) を用いることで診断価値の高い標本が作製可能か検討した.
    方法 : 同一検体を用いて従来法と用手法による処理が可能な 3 種類の LBC 法による検体処理で標本を作成した. 各標本で細胞の評価, 平均細胞数, 腫瘍細胞の核面積および好中球の直径を計測して比較を行った.
    成績 : 上皮細胞数は従来法と比較するとすべての LBC 法で多かったが, 処理法の違いにより細胞数や腫瘍細胞の出現に差がみられた. 腫瘍細胞の核面積は処理法により小型になる方法と大型になる方法が存在した. 細胞所見は核と細胞質がともに濃染する方法と細胞質のみが濃染して核は淡染する方法が確認された.
    結論 : LBC 法を利用することで細胞集塊の剥離が少ない標本が作製可能であるが, 処理法の違いにより細胞数や細胞の変化が異なるため, 施設にあった処理法を選択し, 処理後の細胞の特徴を考慮することが診断精度を高めるためには重要と思われた.
  • 城戸 貴之, 白波瀬 浩幸, 平田 勝啓, 白井 孝夫, 古畑 彩子, 辻 眞里子, 南口 早智子, 三上 芳喜, 羽賀 博典, 中泉 明彦
    2013 年 52 巻 5 号 p. 411-414
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    目的 : 上皮成長因子受容体 (EGFR) の遺伝子変異を伴う非小細胞肺癌に EGFR-TKI による分子標的治療が有効であり, 治療方針決定には EGFR 遺伝子変異検査が不可欠である. 組織採取が困難な場合, 細胞診検体を用いて確定診断とともに EGFR 遺伝子変異検査を行うが, 細胞診検体の保存方法に関する報告はない. 本研究では EGFR 遺伝子変異解析に供する細胞診検体の保存方法を比較検討した.
    方法 : 京都大学医学部附属病院で非小細胞肺癌と診断された症例 24 例 (気管支洗浄液 20 例, 胸水 4 例) を対象とした. 採取した検体はそれぞれ細胞診断用, PreservCyt® Solution (以下 PC 液) による室温保存用, 凍結保存用 (−80°C) の 3 検体に等分した. 遺伝子解析は三菱化学メディエンス社にて PNA-LNA PCR CLAMP 法により行った.
    成績 : 凍結保存法と PC 液保存法の EGFR 遺伝子変異陽性率はそれぞれ 50% (12/24), 54% (13/24) で, 1 例のみ 2 つの方法間で乖離を認め, 一致率は 96%と良好だった.
    結論 : PC 液を用いた LBC 実施後の残検体は, そのまま EGFR 遺伝子変異検査に使えるため, 円滑な治療方針決定に有用である.
  • 加戸 伸明, 伊藤 仁, 芹澤 昭彦, 古田島 繁美, 宮嶋 葉子, 小山田 裕行, 町田 知久, 井野元 智恵, 梶原 博, 中村 直哉
    2013 年 52 巻 5 号 p. 415-421
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    目的 : Liquid-based cytology (LBC) 法は標本作製の標準化を図れるとともに Papanicolaou (Pap) 標本のほかに未染標本の作製を可能とする. 今回われわれは ThinPrep 法を用いて, LBC 法はリンパ節病変に応用可能かを検討した.
    方法 : 反応性濾胞過形成 15 例, 濾胞性リンパ腫 Grade 1-2 8 例, びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫 18 例を対象とした. 生検リンパ節より穿刺吸引にて細胞を採取し, 従来法と ThinPrep 法 (直接法, 間接法) にて Pap 標本を作製し形態学的比較を行った. さらに ThinPrep 間接法にて作製した標本を用いて免疫細胞化学染色や分子病理学的検索を行った.
    成績 : ThinPrep 直接法では従来法に比べ細胞が凝集し集塊状に出現する傾向がみられた. 一方, ThinPrep 間接法では検討を行ったすべてのリンパ節病変において散在性に細胞が塗抹され, それぞれに特徴的な細胞像が得られた. 免疫細胞化学染色や分子病理学的検索においても良好な結果が得られた.
    結論 : リンパ節病変において ThinPrep 間接法は有用であり, 診断精度の向上が図れると考えられた.
  • 清山 和昭, 荒武 八起, 白濱 幸生, 寺田 一弥, 佐藤 信也, 丸塚 浩助, 佐藤 勇一郎, 年森 啓隆, 栗林 忠信
    2013 年 52 巻 5 号 p. 422-427
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    目的 : 穿刺吸引細胞診による甲状腺癌の組織型分化度推定における CD26/Dipeptidyl (amino) peptidase IV (DAPIV, DPPIV : CD26/DPPIV活性染色) の有用性について検討した.
    方法 : 甲状腺乳頭癌, 濾胞癌, 低分化癌の穿刺吸引細胞診標本を対象に, 細胞学的所見ならびに CD26/DPPIV活性染色について評価した.
    成績 : 甲状腺癌における CD26/DPPIV活性染色パターンには, apical pattern (APP), diffuse pattern (DFP), dot pattern (DTP) および mixed pattern (MXP) があり, 乳頭癌 100 例のうち, APP が 24 例 (24%), DFP が 51 例 (51%), MXP が 25 例 (25%) であった. 濾胞癌 5 例においては, 全例が APP であった. これに対し低分化癌 23 例では, APP が 3 例 (13.0%), DFP が 7 例 (30.4%), DTP が 4 例 (17.4%) および MXP が 9 例 (39.1%) あった. DTP は乳頭癌, 濾胞癌にはなく, 低分化癌のみにみられ, DTP を示した 4 例は低分化成分が主体であった. DTP を示した 4 例の細胞所見ではいずれも細胞採取量が多く, 4 例中 3 例は乳頭癌と, 1 例は濾胞性病変と判定した.
    結論 : 術前のパパニコロウ染色の細胞所見から低分化癌, 特に低分化成分の少ない症例における組織型の推定は困難であった. しかしながら, CD26/DPPIV活性染色において, 低分化癌のみに DTP を示したことから, 本染色パターンは低分化癌の組織型に特異的なものと考えられ, 甲状腺細胞診の術前診断, 特に低分化成分の有無を推定する補助的方法として有用であると思われた.
  • 蒲 貞行, 廣川 満良, 延岡 由梨, 樋口 観世子, 山尾 直輝, 鈴木 彩菜, 高木 希, 小島 勝, 宮内 昭
    2013 年 52 巻 5 号 p. 428-436
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    目的 : 甲状腺 fine needle aspiration (FNA) による Papanicolaou 染色標本にみられる山脈状集塊とその意義について検討した.
    方法 : 隈病院で組織診と細胞診が実施された MALT リンパ腫 44 例, 橋本病 20 例, 計 64 例から得られた Papanicolaou 染色標本を対象とした. 塗抹標本は, ガラス上の穿刺物を他のガラスで挟み, 垂直に引き離して作製した.
    今回, 腫瘍細胞の核所見, MALT リンパ腫に由来する細胞集塊, および山脈状集塊の内部所見とその由来などを検討した. 橋本病と鑑別する MALT リンパ腫の所見は判別分析により検討した. 山脈状集塊は, Papanicolaou 染色標本の低倍率で [集塊の長さ÷平均的幅] >4 倍で, 長く連続した細胞集塊と定義した.
    成績 : [核形・核小体異常核] (目立つ核小体をもつ不整形核) 出現率のカットオフ値≧20%の所見に加え山脈状集塊と LEL-MALT (LEL 由来の細胞集塊) がみられる場合, 橋本病と鑑別するための MALT リンパ腫の判別率は 97%であった. 山脈状集塊は MALT リンパ腫の 90%で観察され橋本病ではみられなかった. 山脈状集塊内部には follicular dendritic cell 様細胞, tingible-body macrophage, small lymphocytes, 腫瘍細胞などの混在がみられた.
    結論 : 山脈状集塊はリンパ濾胞胚中心浸潤 (follicular colonization) 由来所見と推定され, 甲状腺 FNA 細胞診で橋本病との鑑別に有意義な MALT リンパ腫の特徴所見の一つと考えられた.
  • 田口 雅子, 弓場 吉哲, 仲村 佳世子, 今村 大輔, 萩原 葉子, 足羽 彩加, 坂下 裕美, 藤本 正数, 木村 瑞季
    2013 年 52 巻 5 号 p. 437-443
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    目的 : 唾液腺腫瘍にみられる基底細胞腺腫の細胞診診断においてはさまざまな細胞像が報告されているにもかかわらず, 実際には典型像が必ずしも得られないため診断に苦慮することが多い. 今回われわれは切除材料を得た基底細胞腺腫の細胞像を検討した.
    方法 : 2006 年 6 月∼2010 年 12 月の間に手術を行い耳下腺基底細胞腺腫と診断されたもののうち, 穿刺吸引細胞診または術中組織診断で得られた捺印標本 (捺印細胞診) を行っていた 10 例を検討の対象とした. 標本は Papanicolaou 染色, 一部の症例に対しては May-Giemsa 染色も施行した.
    成績 : 従来から基底細胞腺腫の特徴として報告されてきたもののほかに, 3D 集塊, 挫滅細胞, 大型集塊辺縁を縁取る濃染核の細胞, 泡沫細胞などが高い頻度で観察された. また, 特徴的な細胞所見として基底膜様物質に覆われた尖った集塊も認めた.
    結論 : 今回の検討で, いくつかの基底細胞腺腫に特徴的と思われる細胞学的所見を提示した. 多症例での検討や他疾患との比較が今後の検討課題と考える.
症例
  • 土橋 千琴, 植田 清文, 上杉 忠雄, 佐藤 隆夫, 筑後 孝章, 木村 雅友
    2013 年 52 巻 5 号 p. 444-447
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    背景 : Conidiobolus 属真菌は接合菌の一種で, 熱帯付近で鼻顔部皮下の限局性肉芽腫性感染症を生じる起因真菌であると知られてきた. 播種性感染を生じることは極めてまれで, 本邦における報告例はない. Conidiobolus 属真菌による播種性感染症例を経験したので, その細胞像を報告する.
    症例 : 61 歳, 男性. 悪性リンパ腫に対する骨髄移植が実施されたが, 移植後 2 ヵ月で肺炎を生じ, 呼吸不全で死亡した. 死亡前日の気管支吸引細胞診では壁が薄く屈曲の多い菌糸と, 有隔性で Y 字状に分岐する, アスペルギルスに特徴的な菌糸が混在していた. 剖検で得られたさまざまな臓器の組織にも 2 種類の菌糸の増殖が認められ, 複数の臓器から Conidiobolus 属真菌が分離された.
    結論 : Conidiobolus 属真菌感染症の細胞診では接合菌に特徴的な菌糸とアスペルギルスに類似の菌糸が混在するので, 注意が必要である.
  • 狩森 基更, 大石 彩子, 清水 隆之, 寺元 加奈, 古本 あゆみ
    2013 年 52 巻 5 号 p. 448-453
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    背景 : PEComa (perivascular epithelioid cell tumor) は, 全身のあらゆる臓器から発生するまれな間葉系腫瘍であり, その細胞像についての報告は少ない. 今回われわれは後腹膜に発生し浸潤, 転移をきたした malignant PEComa を経験したのでその細胞像を中心に報告する.
    症例 : 20 歳代, 女性. 発熱, 食思不振, 貧血, LDH 高値にて当院に紹介された. 捺印細胞診では, 出血・壊死を背景に緩い結合性を示す平面的な細胞集塊や, 孤在性の大型異型細胞が多数出現していた. 腫瘍細胞はライトグリーン好染性の幅広い細胞質を有し, メラニン顆粒をもった細胞が混在していた. 核は類円型で核内封入体や大型核小体を認め, クロマチンは細顆粒状で増量していた. 組織像では明るい細胞質を有する腫瘍細胞が血管成分に囲まれた胞巣状の形態を呈していた. 腫瘍細胞は, 細胞質にメラニン顆粒を有し, HMB-45 (+), S-100 蛋白 (−), CK (−) を示した. 脈管侵襲像, 膵への浸潤を認め, 後腹膜原発の malignant PEComa と診断された.
    結論 : PEComa の細胞像を認識し, 腫瘍の発生部位を問わず鑑別診断としてあげる必要がある.
  • 松尾 梢恵, 熊坂 利夫, 中 昂一, 阿部 直也, 橋本 昭一, 藤原 睦憲, 武村 民子
    2013 年 52 巻 5 号 p. 454-458
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    背景 : Myeloid sarcoma (MS) は, 骨髄芽球や未分化な骨髄系細胞が髄外に腫瘤を形成する疾患と定義される. 今回われわれは, 非白血病患者の縦隔および骨盤腔内に腫瘤を形成し, 胸水・心嚢水の貯留が認められ, 胸水細胞診で診断しえた MS の 1 例を報告する.
    症例 : 32 歳, 女性. 発熱, 咳, 胸痛を主訴に受診. 縦隔および骨盤腔内の腫瘤と左胸水・心嚢水貯留を認めた. 左胸水細胞診にて悪性リンパ腫 (ML) が疑われた. セルブロックの免疫染色にてリンパ球マーカーが陰性であったため, 細胞診標本を再検討し, 微細顆粒状のクロマチンを有する核に大きな湾曲するくびれをもつ細胞が 11%認められ, ギムザ染色にてアズール顆粒を認めた. セルブロック・縦隔腫瘍生検組織において免疫組織化学的に myeloperoxidase (MPO) を検出し MS と診断された.
    結論 : MS は頻度が少なく ML と誤診され, 初期診断の正診率は低い. 組織診断の難しい MS においてその細胞像は特徴的であり, 早期診断に有用であると考えられ, 早期治療へとつながることにより予後の改善も期待されると考えられた.
  • 小堺 智文, 西澤 和世, 石田 章子, 米田 傑, 太田 浩良
    2013 年 52 巻 5 号 p. 459-465
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    背景 : 血管肉腫は皮膚や軟部に好発するまれな内皮細胞由来の肉腫であり, 悪性度が高い. 今回われわれは, 胸膜転移を認めた皮膚血管肉腫の 1 例につき, 胸水細胞診所見を報告する.
    症例 : 100 歳の女性. 約 2 年前に左膝皮膚血管肉腫の既往がある. 今回, 発熱と食欲不振を主訴とし, 精査, 加療目的で当院入院となった. 胸部 CT 検査では左胸腔の著明な胸水の貯留と左肺の無気肺を指摘された. 胸水細胞診では明瞭な核小体を示す円形∼類円形の異型細胞が孤立性∼集塊状に多数認められた. 特徴的な所見として, 印環細胞様形態, 細胞質内小腺腔様構造, 腺房あるいは, 腺腔様細胞集塊および, hobnail 像が観察された. 鑑別として腺癌と悪性中皮腫があがったが, セルブロック標本における免疫組織化学染色では異型細胞は CD31, CD34, D2-40 が陽性で, cytokeratin が陰性であり, 皮膚血管肉腫の胸膜転移と確定診断された.
    結論 : 本例の血管肉腫において, 胸膜転移の診断確定にはセルブロックによる免疫組織化学染色が有用であった.
  • 望野 唯明, 清水 禎彦, 村田 晋一, 安田 政実, 茅野 秀一, 佐々木 惇, 清水 道生
    2013 年 52 巻 5 号 p. 466-472
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    背景 : 肺末梢領域に発生した極めてまれな mixed squamous cell and glandular papilloma (mixed papilloma) の 2 例を経験したので報告する.
    症例 : 症例 1. 70 歳代女性で, 右肺 S5 領域に 23 mm 大の腫瘤を認めた. 症例 2 は 40 歳代女性で, 左肺 S10 領域に 30 mm 大の充実性腫瘤を認めた. いずれも, 葉切除術が施行された. 細胞診では症例 1, 2 ともに, 背景に多数の角化した異型扁平上皮細胞と化生性変化を示す腫瘍細胞の胞体に粘液物質, また, 腺系腫瘍細胞集塊には刷子縁, 線毛が認められ mixed papilloma の特徴的な細胞像と思われた.
    免疫組織化学染色では, いずれの症例にも CEA, CAM5.2, CK7, MUC4, p63 が, 腺系と扁平上皮系の腫瘍細胞に陽性であった.
    結論 : 本症例では, 低悪性度の粘表皮癌との鑑別が問題となったが細胞学的特徴をよく認識することで, mixed papilloma の診断は可能と思われた. また, 免疫組織化学染色の検討から本症例は腺上皮が腫瘍の本態で, 扁平上皮は化生に伴う変化である可能性が示唆された.
  • 福満 千容, 河原 明彦, 山口 知彦, 安倍 秀幸, 多比良 朋希, 高瀬 頼妃呼, 秋葉 純, 鹿毛 政義
    2013 年 52 巻 5 号 p. 473-477
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 気管支発生の粘表皮癌は全肺癌の 0.1%とまれな悪性腫瘍である. 今回われわれは, 液状細胞診を用いた気管支擦過細胞診にて診断しえた粘表皮癌の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 20 歳代, 男性. 検診の胸部 X 線で右肺門部陰影を指摘され, 気管支拡張症と診断された. その後, 胸部 CT で結節性病変を指摘され, 気管支擦過細胞診が施行された. 腫瘍細胞は, N/C 比が高く, シート状や腺腔様配列を示す立体的な集塊でみられた. 一部に細胞質の豊富な扁平上皮様細胞や粘液産生細胞が混在し, 免疫細胞化学において扁平上皮様細胞は p63 陽性, 粘液産生細胞は human gastric mucin 陽性を示したため, 粘表皮癌と診断した. 切除の組織標本では, 腫瘍は線維性間質を伴いながら充実性に増殖し, 部分的に大小の嚢胞形成を認めた. 腫瘍細胞は扁平上皮様細胞, 粘液産生細胞および中間細胞が混在し, Ki-67 labeling index が 1%以下であり, 神経浸潤, 壊死および核分裂像は認められなかった. WHO 分類の基準により低悪性度粘表皮癌と診断した.
    結論 : 液状細胞診は直接塗抹法と比較して組織構築を反映した立体的な集塊で出現するため, 液状検体を用いた細胞診断ではこの所見に留意し組織推定を行うべきである.
短報
  • 吉田 桂子, 石田 光明, 籠谷 亜希子, 岩井 宗男, 岡部 英俊
    2013 年 52 巻 5 号 p. 478-479
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    We report a case of pigmented villonodular synovitis (PVNS) of the knee diagnosed in a 69-year-old woman. The fine-needle aspiration smear of the joint fluid showed loose aggregates of mononuclear cells relatively rich in cytoplasm with bland nuclei containing a single nucleolus. Hemosiderin-containing cells and multinucleated cells were also observed. Histopathological study of the resected synovial tumor confirmed the diagnosis of PVNS.
    The characteristic cytological features of PVNS are as follows : i) aggregates of bland mononuclear cells, and ii) presence of hemosiderin-containing mononuclear cells and multinucleated cells. Recognition of these features can facilitate the cytodiagnosis of PVNS.
  • 大沼 利通, 松永 研吾
    2013 年 52 巻 5 号 p. 480-481
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    We report a case of hidradenoma papilliferum of the vulva. A 70-year-old woman was admitted to our hospital with a vulvar tumor. Cytologic smear examination revealed seat-shaped tumor cells. The nuclei contained uniformly distributed fine granular chromatin. Around the seat, cells with thin concentrated chromatin were detected. Subsequently, local excision was performed. Histological findings of the resected specimen showed that the tumor was composed of cells organized in tubular and papillary structures. The tumor contained epithelial cells with apical snouts and p63-positive myoepithelial cells were observed on immunostaining. Apocrine metaplasia was detected. No mitotic figures or atypical nuclei were observed.
  • 國本 由里子, 佐久間 市朗, 秋田 英貴, 瀧本 雅文, 鄭 子文
    2013 年 52 巻 5 号 p. 482-483
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/08
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    Cytologic diagnosis of malignant lymphoma of the uterine cervix is difficult, because the malignant cells usually proliferate under the epithelium. However, the existence of erosion may help to diagnose malignant lymphoma of the uterine cervix. A middle-aged woman visited our hospital with a history of genital bleeding. Colposcopy revealed obvious redness on the upper lip of the uterine cervix, suggesting the existence of erosion. Cytologic examination revealed atypical cells in a background of inflammatory cell infiltration with erosion. Histological and immunohistochemical examination revealed diffuse large B-cell lymphoma. This case served to underscore the significance of the erosion of the uterine cervix in the diagnosis of malignant lymphoma.
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