日本臨床細胞学会雑誌
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53 巻 , 6 号
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原著
  • 鳥羽 希和子, 峰 宗太郎, 村田 行則, 飯塚 利彦, 猪狩 亨
    2014 年 53 巻 6 号 p. 419-426
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    目的 : Primary effusion lymphoma (PEL) は従来, 免疫抑制状態で発症し体腔液中に増殖する B 細胞性の悪性リンパ腫と分類されていたが, WHO 分類第 3 版, 第 4 版 (WHO2008) において human herpes virus 8 (HHV-8) の感染によるリンパ腫と定義が変更された. 新しい分類に基づく PEL の細胞学的特徴を検討した.
    方法 : 2002∼2013 年に国立国際医療研究センター病院で診断された HHV-8 陽性 AIDS 関連悪性リンパ腫 3 例について細胞形態学的検討, 細胞計測, 免疫染色を行った.
    成績 : 腫瘍細胞は大型で, 核は類円形で大型明瞭な核小体を有し核クロマチンは繊細であった. 細胞質は好塩基性で核周囲明庭様の淡明な部分がみられた. 細胞面積は 232∼306 μm2, 核面積は 145∼187 μm2で, N/C 比は 0.53∼0.63 であった. 免疫染色は CD38 と LANA-1 が陽性で, CD20 は陰性であった.
    結論 : HHV-8 陽性 AIDS 関連悪性リンパ腫の腫瘍細胞は異型の強い plasmablastic な大型細胞で LANA-1 免疫染色が陽性であり, 鑑別診断に有用な所見と考えられた.
  • 小山 芳徳, 安達 純世, 渡邉 孝子, 豊永 安洋, 山本 善也, 山﨑 一人, 松嵜 理, 石田 康生
    2014 年 53 巻 6 号 p. 427-434
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
    目的 : 膀胱原発小細胞癌は全膀胱悪性腫瘍の 1%以下とまれで, 早期に遠隔転移をきたし急速に進行する予後不良な腫瘍である. 近年, 組織標本を用いた免疫染色において肺や肺以外の臓器発生の小細胞癌で kit タンパクの発現が報告されている. c-kit の発現様式を検証し, 尿細胞診での推定診断に有用な所見となりうるかを検討した.
    方法 : 膀胱原発小細胞癌 4 例の臨床病理事項, 尿細胞診での腫瘍細胞の形態, 神経内分泌および上皮性マーカーを用いた免疫染色, および c-kit の発現様式を組織/尿細胞診標本で行い検証した.
    成績 : 尿細胞診での細胞学的特徴は, 核の長径平均が 7.0μm の小型の腫瘍細胞が木目込み状配列を示す小集塊で出現し, 文献的にも述べられている特徴と同様であった.
    免疫染色による c-kit の発現は 4 例中 2 例 (50%) が強陽性, 1 例 (25%) は中等度陽性, 1 例 (25%) は弱陽性を示した.
    結論 : 尿細胞診での小細胞癌の推定は, 特徴的な腫瘍細胞形態を認識することである程度可能と考えるが, 免疫染色パネルとして, 神経内分泌マーカーのほかに, 組織標本の染色結果と相関の良い c-kit を加えることで診断がより容易になる可能性が示唆された.
  • 斉藤 誠人, 小保方 亜光, 永瀬 泰平, 櫻井 信司
    2014 年 53 巻 6 号 p. 435-440
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    目的 : われわれは, ハイリスク HPV 感染の頻度が低い ASCUS not otherwise specified (ASCUS-NOS) と, 頻度の高い ASCUS favor dysplasia (ASCUS-D) を感覚的に区別してきた. 今回, 細胞所見をスコア化し, 両者を客観的に鑑別することが可能か検討した.
    方法 : ASC-US と判定され, HPV テストが施行された 122 例について, 独自のスコアリングシステムで再評価し, ハイリスク HPV 感染との相関を検討した.
    成績 : 再評価後, ASC-US 23 例は NILM と判定され, いずれもハイリスク HPV 陰性症例であった. ASC-US 全体のハイリスク HPV 陽性率は 34.4%から 42.4%に上昇し, 内訳は ASCUS-NOS 15.2%, ASCUS-D 56.1%であった.
    結論 : 細胞所見をスコア化することで ASCUS-NOS, ASCUS-D の判定を, 客観的に有意差をもって区別することができた. しかし, それでもなお ASCUS-NOS には一定程度のハイリスク HPV 感染が存在するため, 初回スクリーニングでは ASC-US の範疇を幅広くとらえ, HPV テストへ促すことが重要と思われた.
調査報告
  • 小保方 亜光, 斉藤 誠人, 永瀬 泰平, 櫻井 信司
    2014 年 53 巻 6 号 p. 441-445
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    目的 : ベセスダシステムでは atypical squamous cells of undetermined significance (ASC-US) の概念を導入しているが, それでもなお, negative for intraepithelial lesion or malignancy と ASC-US, Low grade squamous intraepithelial lesion と ASC-US の区別に悩む症例は存在する.
    方法 : 今回, ASC-US のカテゴリーを, 異形成を強く疑う ASCUS favor dysplasia (ASCUS-D) と, 積極的には疑わない ASCUS not otherwise specified (ASCUS-NOS) に亜分類し, ハイリスク HPV の陽性率, 生検の結果について比較検討した.
    成績 : 頸部細胞診 14655 例中, ASCUS-NOS 354 例, ASCUS-D 150 例で, HPV 陽性率はおのおの 19.1%, 54.1%であった. 生検では HPV 陽性例の 90.4%に異形成病変を確認した.
    結論 : ASCUS-NOS, ASCUS-D の亜分類はハイリスク HPV の陽性率を反映する. 診断の際に亜分類を意識することは, 診断能力の向上に有用と考える.
症例
  • 佐々木 陽介, 岸本 浩次, 北村 隆司, 塩沢 英輔, 本間 まゆみ, 矢持 淑子, 光谷 俊幸, 瀧本 雅文
    2014 年 53 巻 6 号 p. 446-452
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    背景 : Double-hit lymphoma (DHL) は MYC/8q24 を含む 2 つ以上の染色体転座を有する悪性リンパ腫で予後は極めて不良とされる. 今回われわれは, 化学療法寛解後に再発, 治療抵抗性を示し死亡にいたった DHL の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 60 歳代, 男性. 2 年前より左頸部腫瘤を自覚し, 半年後に左頸部リンパ節穿刺吸引細胞診を施行. 大小さまざまな大きさのリンパ球様細胞に花弁状, 分葉状など著明な核形不整を認め悪性リンパ腫を疑った. 同部生検組織像では, 小∼大型で核形不整著明な腫瘍細胞のびまん性増殖を認めた. 免疫組織化学では CD20+, CD10+, BCL6+, MUM1+, BCL2+, EBER−, Ki-67 index 50%を示し, びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫と診断した. 染色体分析で BCL2/IGHMYC/IGH の転座がみられ DHL と考えられた. 化学療法によりいったんは寛解したが再燃し, 以後は治療抵抗性となり死亡, 病理解剖が行われた.
    結論 : DHL は細胞形態学的, 免疫組織化学的特徴を有しており, それらを認識することは染色体分析を行うべき症例の選別に有用であると考えられた.
  • 石田 誠実, 織田 みほ, 岡村 義弘, 鳥居 良貴, 造住 誠孝, 井出 良浩, 廣田 誠一
    2014 年 53 巻 6 号 p. 453-459
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    背景 : 腎集合管癌は, 腎上皮性悪性腫瘍の 1%以下とされるまれな腫瘍で, Bellini 管に類似した構造を呈する高悪性度の腫瘍である. 今回われわれは, 広範な肉腫様変化を伴った集合管癌の 1 例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
    症例 : 50 歳代男性. 無症候性肉眼的血尿にて近医を受診し, 画像検査で右腎腫瘍を指摘され, 精査目的で当院に紹介受診となった. 腎盂尿細胞診では, 乳頭状集塊, 細胞質の小空胞化, 核偏在傾向など, 腺系の特徴を有する異型細胞を認めた. 腹腔鏡下右腎摘出術が施行され, 摘出された腫瘍の捺印細胞診では, おたまじゃくし様の異型細胞を多数認め, 核中心性の紡錘形肉腫様細胞もみられた. 組織学的に広範な肉腫様変化を伴う集合管癌と診断された.
    結論 : 尿細胞診において集合管癌を特定することは困難とされているが, 腺系の特徴を有する細胞に加えて, 肉腫様細胞がみられた場合は集合管癌の可能性があることを念頭に置いて細胞判定する必要がある.
  • 吉野 敦子, 村田 由美子, 久冨 元治, 法木 左近, 今村 好章, 伊藤 浩史
    2014 年 53 巻 6 号 p. 460-466
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    背景 : 甲状腺未分化癌は非常に悪性度の高い腫瘍で, いくつかの特殊型が報告されているが, いずれも非常にまれである. 今回われわれは, ラブドイド細胞を伴った甲状腺未分化癌を経験したので報告する.
    症例 : 64 歳, 男性. 嗄声が出現し, 近医で右声帯麻痺と診断され, 当院に紹介された. 超音波検査で甲状腺右葉の大部分を占める腫瘤を認めた. 穿刺吸引細胞診では, 壊死性・炎症性背景に核異型が著明で多核や巨核細胞が混在している未分化癌成分がみられた. また, 細胞質内に硝子様の類円形封入体を有し, 核が偏在し核小体が目立ち, 豊富な好酸性の細胞質を有するラブドイド細胞も出現していた. 甲状腺全摘術および右頸部郭清術が施行された. 組織学的には乳頭癌と未分化癌が混在しており, 後者にはラブドイド細胞が含まれていた. 切除リンパ節にも広範に乳頭癌と未分化癌の転移を認めた.
    結論 : ラブドイド細胞を伴う甲状腺癌の報告例は少ないが, 予後は極めて不良である. 未分化癌においてラブドイド細胞の出現の有無による予後の比較検討はなされていないが, 甲状腺未分化癌はそれ自体が極めて予後不良で, 本例でも嗄声出現から約 2 ヵ月半と非常に短い経過で死亡した.
  • 奥沢 悦子, 熊谷 幸江, 須藤 安史, 矢嶋 信久, 松田 雪香, 曾田 剛史, 板橋 智映子, 方山 揚誠
    2014 年 53 巻 6 号 p. 467-472
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    背景 : 尿膜管癌は遺残した尿膜管より発生する極めてまれな疾患である. 今回われわれは膀胱癌の経過観察 10 年後に尿膜管癌を発症した 1 例を経験した.
    症例 : 70 歳, 男性. 膀胱癌の既往があり, 経過観察 10 年後に肉眼的血尿を主訴に受診した. CT で膀胱頂部から腹腔内に腫瘤を認め尿膜管癌と診断した. 自排尿の尿細胞診では出血性背景に柵状配列を呈し, 高度の重積性をみる腫瘍細胞が大型集塊で認められた. また N/C 比がやや高く, 結合性の弱い小集塊も混在し, 一部には細胞質内小腺腔 (ICL) がみられた. 組織学的にはシート状配列と管状構造が混在した腺への分化を伴う尿路上皮癌の像であった. 部分的に微小乳頭状の増生を伴う部分と, 杯細胞型, 印環細胞型などの多彩な腫瘍像を示した.
    結論 : 尿細胞診において小腺腔と柵状配列が混在した高度な重積性をみる大型樹枝状集塊の出現と ICL の出現は尿膜管癌を疑う重要な所見と考える.
  • 西田 ゆかり, 畑中 一仁, 竹下 かおり, 舞木 公子, 二反田 隆夫, 田中 和彦, 義岡 孝子, 北島 信一
    2014 年 53 巻 6 号 p. 473-476
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    背景 : 組織球肉腫 (histiocytic sarcoma, 以下 HS) は成人のリンパ節, 皮膚, 消化管に好発するまれな腫瘍である. 極めてまれな脾臓原発 HS を経験したので, その捺印細胞像を含めて報告する.
    症例 : 60 歳代, 女性. 検診で径 5 cm の脾臓内腫瘤を指摘された. 脾臓原発悪性リンパ腫が疑われ, 確定診断と治療目的で脾臓摘出術が施行された. 割面では径 4.5 cm の境界明瞭な黒褐色調の変色域があり, 捺印細胞診ではリンパ球および好中球を背景に, 多形性の豊富な胞体を有する細胞が散在性ないし小集塊状に認められ, 空胞を伴っていた. 核は大型で, クロマチンの不均等分布がみられた. また, 血球貪食像も認められた. 組織標本では泡沫状の豊富な胞体を有する細胞のびまん性増殖を認め, 核異型および核分裂像を伴っていた. また, 多核細胞や血球貪食像も認められた. 免疫染色では CD68 (PGM1), CD163 および lysozyme が陽性で, 脾臓原発 HS と診断した.
    結論 : 形態からの HS の診断は困難であり, 臨床情報や免疫染色を加えた総合的な評価が必要である. なお, 脾臓原発例を含めて HS の細胞像の報告は極めて少なく, 貴重な症例と考えられた.
  • 岡本 啓, 大下 孝史, 松本 真平, 花岡 香織, 池田 征幸, 熊澤 鈴子, 國安 弘基
    2014 年 53 巻 6 号 p. 477-481
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    背景 : 子宮頸部, 内膜細胞診で子宮外臓器の悪性細胞が出現することはまれであり, そのなかでも肺癌由来の報告は少ない.
    症例 : 70 歳代, 女性. 肺癌に対して再燃化学療法を施行中, 偶然に受けた子宮がん検診で other malig. であったため当科を紹介受診した. 当科では子宮内膜細胞診で腺癌細胞を認めるも, 経腟超音波検査, magnetic resonance imaging (MRI), 子宮鏡検査で腫瘤形成がなく, 子宮内膜組織診でも異常を認めなかった. そこで子宮内膜細胞診検体を用いてセルブロックを作成し, thyroid transcription factor-1 (TTF-1), surfactant proteins A (SP-A), estrogen receptor (ER), progesterone receptor (PgR) の免疫染色を行った. その結果, TTF-1, SP-A は腺癌細胞で陽性, 子宮内膜腺上皮では陰性であった. 一方で ER は腺癌細胞で陰性, 子宮内膜上皮では陽性であり, PgR は両者で陰性であった. 以上より, 腺癌細胞は肺腺癌由来であると診断した.
    結論 : 子宮の細胞診で子宮外臓器由来が疑われる悪性細胞を認めた際には, 各臓器癌における特徴的な細胞診所見を熟知しておくことは原発性または転移性癌の鑑別診断に寄与するが, 一方で組織診断が得られない場合にはセルブロックを作成し, 各種免疫染色を積極的に利用すべきであると考えられた.
  • 望野 唯明, 市村 隆也, 茅野 秀一, 安田 政実, 清水 道生, 佐々木 惇
    2014 年 53 巻 6 号 p. 482-487
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 術中腹水細胞診で異型細胞が上皮様結合で認められた未分化子宮内膜肉腫の 1 例を報告する.
    症例 : 45 歳, 女性. 検診で子宮筋腫を指摘され, 経過観察中に貧血, 筋腫増大, 不正性器出血がみられ, MRI 検査で子宮体部前壁に不整腫瘤と内部にポリープ状領域を認め, 腹式単純子宮全摘術・両側付属器切除術が施行された. 術中時の腹水細胞診で, 小型の異型細胞が木目込み状配列, 相互封入像などの上皮様の結合と一部の異型細胞の核に, 立体的なくびれや深い切れ込みを認めた. 迅速時の捺印細胞診では小型の異型細胞が血管を軸に増生した集塊でみられ, また, 核分裂像も多数認められた. 細胞転写法による免疫細胞化学では, 腹水および捺印細胞診ともに CD10, vimentin が陽性で平滑筋細胞, 神経系細胞の両マーカーは陰性であった. 上皮様結合でみられた異型細胞は, 小細胞癌などとの鑑別が問題となったが, 形態像を詳細に観察することや免疫細胞化学の結果から子宮内膜間質腫瘍と推定診断した.
    結論 : 術中腹水細胞診で小細胞癌などとの鑑別が問題となったが, 細胞形態像や細胞転写法による免疫細胞化学の結果から, 本例は未分化子宮内膜肉腫として矛盾しないと考えられた.
  • 西野 勝, 小島 史好, 石田 光明, 横関 典子, 小林 学, 岡部 英俊
    2014 年 53 巻 6 号 p. 488-492
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 卵巣上衣腫は中枢神経系に発生する上衣腫 (CNS 上衣腫) と類似した組織像をとるまれな腫瘍である. 卵巣上衣腫の捺印細胞像と組織像との対応および卵巣上衣腫の組織学的特徴について検討した.
    症例 : 23 歳, 女性. 右卵巣の嚢胞性病変に対して腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術が施行された. 切除検体は隆起性病変を含む単房性嚢胞で, この隆起部より捺印細胞診標本を作製した. 細胞診標本では疎結合性重積集塊, 平面的集塊が出現し, rosette 様配列を認めるものがあった. 免疫染色にて明瞭となる GFAP 陽性の線維状の細胞質突起を認めた. 組織標本にて perivascular pseudorosette, ependymal rosette の形成や淡明細胞の増殖, 免疫染色による GFAP 陽性像を認めた. 以上の組織学的所見から卵巣上衣腫と診断した.
    結論 : 卵巣上衣腫は CNS 上衣腫と異なった組織学的特徴を有しており, 発生起源, 腫瘍発生機序の違いが示唆される. 年齢, 肉眼所見, 特徴的な細胞像, GFAP の免疫細胞染色から, 細胞診にて上衣腫を推定することが可能と考えられた.
  • 川嶋 大輔, 上原 俊貴, 金谷 直哉, 下代 清香, 井上 佳奈子, 桑岡 勲, 伏見 文良, 大屋 正文
    2014 年 53 巻 6 号 p. 493-497
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
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    背景 : Liquid-based cytology (LBC) と捺印細胞診において異なる所見の得られた子宮頸部原発 Ewing sarcoma/primitive neuroectodermal tumor (ES/PNET) を経験したので, 細胞像を中心に報告する.
    症例 : 30 歳, 女性. 主訴は過多月経および不正性器出血. 臨床的に子宮粘膜下筋腫・筋腫分娩が疑われたが, 腫瘍は子宮頸部から発生する嚢胞性腫瘍であり, 腫瘍部分切除術が施行され組織診断により ES/PNET と診断された. 捺印細胞診所見は, N/C 比の高い腫瘍細胞, 顆粒状クロマチン, 小型核小体, ロゼット様配列, 細胞質にグリコーゲンの存在が確認され典型像と思われた. しかし, LBC 検体においてクロマチンは微細顆粒状となり, 捺印細胞診と異なる所見が得られた.
    結論 : ES/PNET など神経外胚葉あるいは神経内分泌への分化をうかがう腫瘍において, 顆粒状のクロマチン形態は組織型を推定するうえで重要な情報となりうるが, LBC 検体においてそれらの所見が弱まる可能性が示唆された. 免疫細胞化学的染色を積極的に行うことにより, 診断に有用な情報を得ることが可能と考えられた.
  • 黒田 志保, 鈴木 潮人, 栗田 昭, 村木 真里, 谷岡 書彦
    2014 年 53 巻 6 号 p. 498-502
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 子宮原発血管肉腫は, 非常にまれな疾患であり, これまでに内膜細胞診と体腔液細胞診の所見に関する詳細な報告はない. 今回われわれは, 胸水中に腫瘍細胞が出現した子宮血管肉腫の 1 例を経験したので, 原発巣および胸水中の細胞像を中心に報告する.
    症例 : 62 歳, 女性. 子宮内膜の肥厚を指摘された. 内膜細胞診では, 孤在性∼束状集団で紡錘形異型細胞が出現し, 非上皮性腫瘍が疑われた. 生検施行後に入院し, 子宮摘出術が施行された. 組織学的に内膜∼筋層に紡錘形および上皮様腫瘍細胞が不規則な血管腔や充実性小胞巣を形成していた. 免疫染色で腫瘍細胞は CD31, D2-40 に陽性を示し, 血管肉腫と診断された. 術後 4 年で胸水が貯留し, 胸水細胞診では, 上皮様異型細胞が孤在性, 小集団で出現し, 脈管形成を示唆する腺腔様配列, 同心円状配列, 細胞質空胞がみられた. 免疫染色で異型細胞は CD31, D2-40 に陽性を示し, 子宮血管肉腫の胸腔内転移と診断された.
    結論 : 転移性血管肉腫の体腔液細胞診において, 脈管形成を示唆する特徴的な所見を注意深く同定し, 免疫染色で血管内皮マーカーの発現を確認することにより, 確定診断が可能となる.
  • 刑部 光正, 鈴木 郁美, 國井 徹, 狩野 正昭, 阿部 光展, 柳川 直樹, 緒形 真也, 田村 元
    2014 年 53 巻 6 号 p. 503-506
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 子宮摘出後の腟断端卵管脱は, 子宮摘出後に発生するまれな合併症である. その細胞像は成熟扁平上皮細胞と多数の炎症細胞を背景に, 卵管上皮由来と推定される好中球浸潤などの炎症細胞浸潤を伴う低円柱状細胞からなる細胞集塊が出現するとされているが, 線毛上皮がほとんどみられないことが細胞診断を困難としている原因と考えられる.
    症例 : 症例は 38 歳の女性で, 子宮摘出 4 ヵ月後に褐色帯下が出現し, 腟断端部に肉芽組織様の小隆起を認めた. 腟断端擦過細胞診にて, 炎症性背景中に扁平上皮細胞に混じて, 円柱状細胞からなる細胞集塊を認めた. 腫瘤の切除が行われ, 卵管脱の診断となった. 腟断端擦過細胞診標本中に線毛上皮がみられなかった理由を明らかにすべく, 対照として子宮頸癌症例の広汎子宮全摘術の際に得られた非腫瘍性卵管の捺印標本と擦過標本を作製したところ, 捺印標本では線毛上皮がみられたが, 擦過標本ではみられなかった.
    結論 : 腟断端部卵管脱の擦過細胞標本に線毛上皮がほとんどみられない理由は, 採取時のアーチファクトが原因と思われた. 擦過法以外の採取法を用いれば, 線毛上皮が保存され, より診断にいたりやすくなる可能性が示された.
特集
  • 坂本 穆彦, 加藤 良平
    2014 年 53 巻 6 号 p. 507
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
  • 近藤 哲夫
    2014 年 53 巻 6 号 p. 508-514
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
    小児・若年者の甲状腺癌はまれである. 成人と同じく乳頭癌の頻度が最も高いが, 充実型/充実濾胞型, びまん性硬化型, 篩型などの亜型の頻度が高いことは小児・若年者の甲状腺癌の特徴の一つである. 充実型/充実濾胞型はチェルノブイリ原子力発電事故後に周辺地域で増加した乳頭癌として報告された. 主に充実性構造からなり, その発生には RET/PTC3 遺伝子再構成との関連が示唆されている. びまん性硬化型は拡張したリンパ洞内に扁平上皮化生を伴う腫瘍塊が進展して広がるという独特な増殖形態を示し, 背景には多数の砂粒小体, リンパ球浸潤, 線維化をみる. 篩型ではコロイドを欠いた篩状構造, モルラ形成がみられる. 家族性大腸ポリポーシスに併発する甲状腺癌としても知られ, APC 遺伝子変異に関わりがある. 本稿では小児・若年者にみられる甲状腺癌の臨床病理学的特徴, 病理組織所見と診断上のポイント, これら組織亜型の遺伝子異常について概説する.
  • 越川 卓, 高木 希, 廣川 満良
    2014 年 53 巻 6 号 p. 515-520
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
    甲状腺のびまん性硬化型乳頭癌は, 小児および若年の女性に多く, 両側または片側にびまん性の甲状腺腫大をきたし高頻度にリンパ節転移を認めるなどの特徴を有する甲状腺乳頭癌のサブタイプの一つである. びまん性のリンパ管侵襲を特徴とする腫瘍であり, 通常型に比べリンパ節転移や遠隔転移が多く予後も不良とされている. 組織学的には, 主としてリンパ管内に小乳頭状集塊を形成する腫瘍細胞が増殖し, 扁平上皮化生, 多数の砂粒体, 著明なリンパ球浸潤や線維化などを認めることが良く知られているが, 細胞像に関する詳細な報告は少ない. 細胞像についても, 定型的な乳頭癌細胞の他に多数のリンパ球や砂粒体および扁平上皮化生細胞を認める点が特徴とされているが, この他に充実性ボール様集塊, ハローボール (Hollow ball) 様集塊, 隔壁性細胞質内空胞や大型空胞などもしばしばみられる所見である. 本稿では, びまん性硬化型乳頭癌の細胞像に関する文献検索を行い, 本腫瘍の細胞像の特色について報告した.
  • 廣川 満良
    2014 年 53 巻 6 号 p. 521-527
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
    甲状腺篩型乳頭癌は若年女性に好発する予後良好な乳頭癌の一型である. 肉眼的には境界明瞭な結節を形成し, 家族性大腸ポリポーシスを伴う症例は多発性で, 伴わない場合は単発性であることから, 前者は甲状腺全摘が, 後者は葉切除が推奨されている. 組織学的には, コロイドを含まない篩状増殖, 高円柱状腫瘍細胞の乳頭状増殖, 充実性増殖, 紡錘形細胞, モルラ, peculiar nuclear clearing などを特徴とする. 免疫組織化学的には, βカテニンが細胞質や核に陽性を示し, estrogen receptor (ER) が強陽性である. 細胞診で本亜型を疑う場合は, βカテニンや ER の免疫染色が有用である.
  • 坂本 穆彦, 逸見 正彦, 田﨑 和洋, 橋本 優子
    2014 年 53 巻 6 号 p. 528-531
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル 認証あり
    2011 年 3 月に発生した東日本大震災による東京電力 (株) 福島第一原子力発電所の事故後, 放射性ヨード (I-131) をふくむ種々の放射性物質が環境中に放出された. この中でもチェルノブイリ原発事故によるデータを参考にすると, 放射性ヨードによる小児甲状腺癌の誘発が危惧された. そのため, 政府ならびに県は福島県立医科大学を拠点とする福島県県民健康管理調査事業の柱の一つに甲状腺検査を設定した. すなわち, 原発事故発生時に 18 歳以下であった全県内居住者約 36 万人をその対象としてスクリーニングのための甲状腺超音波検査をスタートさせた. このうち, 精密検査が要請された場合には, 甲状腺穿刺吸引細胞診が行われる. 2014 年 3 月までに 1 巡目の検査が先行調査として行われ, その後は 5 年ごとの本格調査に移行する. 現在は先行調査が進行中であるが, すでに 75 人が細胞診にて悪性ないし悪性の疑いと判定された. このうち手術をうけた 34 名中 33 名に乳頭癌が見出された. これらの乳頭癌が放射線誘発癌か否かは現段階では判断は困難であり, 今後の推移の中で考察される. 本稿では原発事故に対してとりくまれている健康管理調査の中で甲状腺細胞診が果たしている役割について紹介する.
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