日本臨床細胞学会雑誌
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53 巻 , 1 号
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原著
  • 方山 揚誠, 熊谷 幸江, 奥沢 悦子, 須藤 安史, 板橋 智映子, 矢嶋 信久, 會田 剛史, 松田 雪香
    2014 年 53 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    目的 : 癌の見落としである子宮内膜細胞診の偽陰性を減らす.
    方法 : 採取器具はエンドサイトないしソフトサイトを用い, 石井らの提唱した生食洗浄法にて処理した. 細胞診所見では集塊を重視し, 樹枝状, 乳頭状, 不整形の集塊をチェックした. 2007 年からの 5 年間の成績を検討した.
    成績 : 材料適切な 1680 件の内訳は悪性 118 件 7.0%, 悪性疑い 26 件 1.5%, 鑑別困難 95 件 5.7%, 良性 1441 件 85.8%であった. 細胞診にて悪性と判定した 118 件中の 116 件に組織診断が施行され, 全例組織診で癌 (癌肉腫を含む) が確認され, 偽陽性はなかった. 悪性疑いの 26 件中 25 件に組織診断が施行され, 癌は 23 件で, 1 件は異型増殖症で, 1 件のみが腫瘍なしであった. 組織診で確認された子宮体癌 (癌肉腫を含む) は 107 例で, その初回細胞診は悪性 76 例 71.0%, 悪性疑い 13 例 12.2%, 鑑別困難 13 例 12.2%で, 鑑別困難以上に判定できたのは 95.1%であり, 偽陰性は 4.6%であった. 偽陰性例は再検討した結果, 全例サンプリングエラーと考えられた.
    結論 : 生食洗浄法は内膜細胞診の処理法として優れている.
  • 志賀 尚美, 岡本 聡, 海法 道子, 宇都宮 裕貴, 永瀬 智, 高野 忠夫, 新倉 仁, 伊藤 潔, 八重樫 伸生
    2014 年 53 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    目的 : 子宮癌肉腫の診断と治療における術前内膜細胞診の意義を検討した.
    方法 : 当院で過去 11 年間に子宮悪性腫瘍を疑われ精査した症例で子宮癌肉腫と最終診断された 31 例の術前内膜細胞診, 内膜組織診と最終診断を検討した. また同じ条件下で内膜細胞診にて癌肉腫を推定した 13 例の最終診断を検討した.
    成績 : 最終診断と一致したのは内膜細胞診で 10 例, 内膜組織診で 14 例であった. しかし, 癌肉腫もしくは癌腫と診断した症例は内膜細胞診で 27 例, 内膜組織診で 26 例, 内膜細胞診と内膜組織診どちらか一方では 30 例であった. また, 内膜細胞診で癌肉腫を推定した症例の最終診断の上皮性成分は癌腫と推定した症例に比較して有意にI型体癌が多かった (p=0.0068). 次に, 内膜細胞診で癌肉腫を推定した症例の最終診断は 13 例中 10 例が癌肉腫, 3 例が癌腫であった.
    結論 : 子宮癌肉腫の術前内膜細胞診は高い割合で癌肉腫もしくは癌腫を診断しており, 内膜組織診と組み合わせることでさらに診断能は向上した. 子宮癌肉腫の治療は子宮体癌に準じているので術前の内膜細胞診と内膜組織診との組み合わせにより治療方針はほぼ適切に決定できる可能性が示唆された.
症例
  • 橋口 真理子, 中尾 佳史, 山崎 文朗, 安永 牧生, 内山 倫子, 野口 光代, 横山 正俊, 岩坂 剛
    2014 年 53 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    背景 : 性索間質性腫瘍に類似する組織形態を併せもつ類内膜腺癌は子宮体癌としてまれである.
    症例 : 81 歳, 女性. 半年間持続する不正性器出血と貧血の進行を主訴として紹介され来院した. 子宮体部は手拳大に腫大しており, MRI では子宮内に 10.3×7.2 cm の腫瘤を認め, 造影効果より平滑筋肉腫あるいは癌肉腫が疑われた. 子宮内膜細胞診では, N/C 比の高い円形~類円形の腫瘍細胞が接着性のある集塊と接着性の比較的ゆるい孤在性の細胞としてみられた. 子宮体部悪性腫瘍の診断の下に子宮摘出術を行った. 術後病理組織では, 子宮前壁よりポリープ状に突出した腫瘤を認め, 類内膜腺癌が 5%, 性索間質様組織が 10%, 充実性悪性腫瘍が 85%を占めていた. 免疫染色では EMA が類内膜腺癌の部分で陽性, カルレチニンが性索間質性腫瘍の部分で陽性であり, SMA, CD10, サイトケラチンについては一定の傾向はみられなかった. 最終診断は endometrioid adenocarcinoma with sex-cord like feature とした.
    結論 : 本例は類内膜腺癌が一部に認められ, 明らかな肉腫成分が認められなかったことから癌肉腫の可能性は否定的と考えた.
  • 土田 秀, 小島 勝, 中里 宜正, 神山 晴美, 布瀬川 卓也, 吉田 勤, 飯島 美砂, 杉原 志朗
    2014 年 53 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    背景 : 悪性リンパ腫の診断・治療において flow cytometry (FCM) による免疫表現型の検索や染色体分析を行うことが推奨されるが, 気管支鏡下で採取された肺の生検組織はホルマリンで固定された状態で提出されるため, 生検体の確保は困難である. 今回, 経気管支肺生検の迅速細胞診検査で悪性リンパ腫を推測し, FCM のための組織の追加採取が可能であった肺 MALT リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 62 歳, 男性. 近医で胸部異常陰影を指摘され当院受診となり, 胸部 C T で右上葉肺門部に境界明瞭な軟部腫瘤, 両肺の末梢肺野に多発結節影が認められ肺癌が疑われた. 気管支鏡下肺生検時の迅速細胞診検査で多数の中型リンパ球大の異型細胞が散在性に認められた. 悪性リンパ腫が推測されたため, FCM のための組織を追加採取する提案を行った.
    結論 : 気管支鏡などの組織採取時に迅速細胞診検査を併用することで, 悪性リンパ腫が疑われた場合に FCM などに用いる組織の追加採取が可能となり迅速かつ効率的に診断が行えるものと思われた.
  • 古屋 能孝, 齋藤 生朗, 宅見 智晴, 浦田 育美, 高橋 聡子, 高清水 恵子, 山下 茂郎, 瀧 和博
    2014 年 53 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    背景 : 心臓原発腫瘍の頻度は少なく, 心臓原発悪性リンパ腫 (primary cardiac lymphoma, 以下, PCL) は極めてまれである. 今回, 胸水貯留を伴った PCL の 1 剖検例を経験したので報告する.
    症例 : 80 歳代, 男性. 心不全疑いにて近医より当院紹介受診. CT にて右房に腫瘍を認めた. 施行された胸水細胞診では異型細胞は孤立散在性に認められた. 中~大型で裸核状を呈していたため, 悪性リンパ腫を推定した. 剖検では右房を主座とし, 心臓周囲の心嚢内腔を埋めるように充実性腫瘤を認めた. 組織学的に大型類円形, 異型の目立つ腫瘍細胞がびまん性に浸潤していた. 腫瘍細胞は, 免疫組織学的に CD20 (+), CD79a (+), CD3 (−), CD5 (−), CD10 (−) で, Diffuse large B-cell lymphoma, NOS と診断された. リンパ節や心臓以外の臓器には悪性リンパ腫の病巣は明らかでなく, PCL と考えた.
    結論 : PCL は予後不良で, 組織生検のみでは確定困難な場合もある. 画像検査に加え細胞診の併用が早期診断の一助となりうると考えられた.
  • 島田 ゆうか, 三宅 真司, 五百部 浩昭, 長嶋 洋治, 松林 純, 大城 久, 池田 徳彦, 長尾 俊孝
    2014 年 53 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    背景 : 胞巣状軟部肉腫 (alveolar soft part sarcoma, ASPS) は若年成人の四肢に好発するまれな悪性腫瘍である. 今回, 肺転移を契機に発見された大腿部原発 ASPS の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 35 歳, 女性. 両肺に多発腫瘤を認め, 胸腔鏡下肺部分切除術が施行された. 肺腫瘤割面の捺印細胞診標本では, 類円形核と大型の核小体を有する異型細胞が結合性の緩い細胞集団として, あるいは孤立性に多数出現していた. これらの異型細胞は豊富な細胞質を伴い, 細胞質内には針状の結晶構造物を含んでいた. また, 免疫細胞化学的には transcription factor for immunoglobulin heavy-chain enhancer3 (TFE3) が異型細胞の核に陽性であった. これらの細胞学的所見より, ASPS の肺転移が示唆された. 病理組織学的検索でも ASPS に合致する所見が得られた. 電子顕微鏡的には細胞質内に格子状配列を示す結晶が認められた. さらに, RT-PCR 法にて ASPL-TFE3 融合遺伝子I型転写産物が検出された. その後の精査で, 右大腿軟部組織に原発巣が発見された.
    結論 : ASPS では転移巣が原発巣に先行してみつかることがしばしばあるが, 転移巣の細胞診材料でも診断を推定することが可能と考えられた.
  • 貞嶋 栄司, 河原 真弓子, 木下 準子, 山崎 加奈子, 貞嶋 奈津, 入江 康司
    2014 年 53 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    背景 : Undifferentiated pleomorphic sarcoma は, 2002 年の軟部腫瘍 WHO 分類で確立された非上皮性悪性腫瘍で, 中高年者の四肢や後腹膜に好発し, 胸壁を原発巣とすることはまれである. 今回われわれは, 胸水中に出現した胸壁原発の undifferentiated pleomorphic sarcoma with giant cells の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 70 歳代, 男性. 左背部痛を主訴に来院し, 胸膜内血腫が疑われ, 血腫除去術が施行された. 血腫内容液細胞診や胸水細胞診 (再発時) では, 重積性集塊ないし散在性に類円形~紡錘形の腫瘍細胞がみられ, 高度な核異型や核分裂像も散見された. また, 類円形で均一な核の破骨細胞様多核巨細胞も認めた. 病理組織学的にも類円形~紡錘形の肉腫様増生がみられ, 多形性高度の巨細胞や破骨細胞様多核巨細胞を認めた. 免疫組織化学的に腫瘍細胞は明らかな分化傾向はみられず, 破骨細胞様多核巨細胞は CD68 陽性であった.
    結論 : 本腫瘍は細胞像のみでの組織型の診断は困難であるため, 複数の免疫細胞化学染色を行う必要がある.
  • 蓑島 敦志, 益田 紗季子, 加藤 隆, 吉岡 明日香, 平尾 智美, 市原 真, 後藤田 裕子, 村岡 俊二
    2014 年 53 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    背景 : 乳腺基質産生癌 matrix-producing carcinoma (以下, MPC と略記) は特殊型乳癌の一つで, 発生頻度は全乳癌の 0.03~0.2%とされている. 今回, 乳腺基質産生癌の 1 例を経験したので細胞学的および病理組織学的検討を加え報告する.
    症例 : 53 歳, 女性. 左乳房 C 領域に腫瘤を自覚し前医受診. 精査を勧められ当院乳腺外来を受診. 穿刺吸引細胞診所見ではヘマトキシリンに染色される粘液様の軟骨基質を背景に, 弧在性の細胞や小型~大型の細胞集塊がみられた. 細胞集塊は 3 種類あり, 上皮性を考える細胞集塊と軟骨腫様の細胞集塊, そして軟骨様基質を伴う上皮細胞集塊も認められた. 組織学的には腫瘍の辺縁には癌腫が存在し, 腫瘍中心部には軟骨基質を認めた. この二領域は移行しており, 両者の間には紡錘形細胞や破骨型巨細胞の介在は認められないことから, MPC と診断された.
    結論 : 上皮性細胞集塊, 軟骨腫様細胞集塊, そしてその移行像が同時に確認できたときは, MPC との推定は可能であると考えられた. MPC は一般的にホルモンレセプター/HER2 陰性という報告が多いことから, 本組織型を推定することは治療方針の適切な決定の一助となると考えられた.
  • 吉本 尚子, 今井 律子, 佐竹 立成, 溝口 良順
    2014 年 53 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    背景 : 乳腺原発の血管肉腫は非常にまれな疾患であるが, 予後が不良であるだけに, 早期発見が望まれる. 今回穿刺吸引細胞診標本を観察する機会を得たが, 吸引された材料は少ないものの, 注目すべき所見が認められたので報告する.
    症例 : 70 歳代, 女性. 乳がん検診マンモグラフィーにて左右乳房に異常所見を認め, 精査のため, 穿刺細胞診が施行された. 非常に強い出血を背景にして, 弱拡大像で大小の空胞を含む組織片が少数認められた. 強拡大では, 空胞の縁に核クロマチンが濃染する紡錘形, 類円形の核が認められた. また核異型を伴う細胞が対細胞として少数認められた. 細胞転写法により細胞診標本からセルブロック標本を作製し CD34 の免疫染色を施したところ, 対細胞は陽性を示した. 乳房部分切除標本で血管肉腫と診断された.
    結論 : 血管肉腫の穿刺細胞診標本には, 強い出血が認められること, 細血管と考えられる空胞構造や上皮細胞に類似した異型細胞が存在することなどを認識しておくことが必要と考えられた.
短報
  • 野畑 真奈美, 伊藤 誠, 山田 義広, 越川 卓
    2014 年 53 巻 1 号 p. 51-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    Tubular adenoma of the breast is a rare benign tumor with cytological findings similar to those of fibroadenoma. We report a case of tubular adenoma of the mammary gland in a 23-year-old female, with emphasis on the cytological findings. The cytological smears show abundant benign bimodal ductal cells arranged mainly in tubular structures as in pericanalicular fibroadenoma, and also small amounts of condensed secretions in the ductal lumen or in the background. Such secretions may be one of the important findings for the differential diagnosis between fibroadenoma and tubular adenoma of the breast by fine needle aspiration cytology.
  • 滝沢 京子, 山下 和也, 横澤 正志, 三上 哲夫, 三枝 信
    2014 年 53 巻 1 号 p. 53-54
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    We report herein on a case of malignant deciduoid mesothelioma arising in the peritoneum. A 74-year-old man was found to have ascites. Cytological examination of the ascites revealed large atypical oval cells with rich cytoplasm. The nucleus, single or multinucleated, was located at the center of the cell, and showed coarse granular chromatin and several nucleoli.
    Malignant mesothelioma was suspected from these findings. From the subsequent peritoneal biopsy, the tumor was diagnosed as a malignant deciduoid mesothelioma. Immunohistochemical and electron microscopic examinations confirmed the mesothelial characteristics of the tumor cells. Cytological findings of this rare variant of a malignant mesothelioma are shown for diagnostic purposes.
海外レポート
  • 黒島 義克, 大竹 賢太郎, 楾 清美, 松崎 晶子, 齊尾 征直, 吉見 直己
    2014 年 53 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/13
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    目的 : ラオス国は開発途上国で, いまだ女性の死亡原因の一位は子宮頸がんである. しかし, その予防のための検診のみならず, 細胞診に関しても十分に実施されていない. 今回, 健常女性における子宮頸部細胞診スクリーニングを実施・検討した.
    方法 : ラオス国首都ビエンチャン市内の 3 つの地区に居住する 22~65 歳の健常人ボランティア女性の総数 1000 名に対して自己採取型の加藤式自己搾過法器具を使用して子宮頸がん細胞診検査を実施した.
    成績 : 細胞診判定はベセスダシステム 2001 に準拠した. NILM ; 893 例 (89.3%), ASC-US ; 33 例 (3.3%), LSIL ; 19 例 (1.9%), ASC-H ; 3 例 (0.3%), HSIL ; 1 例 (0.1%), SCC ; 1 例 (0.1%), 不適正標本に関しては 50 例 (0.5%) であった. また, HPV 感染を示唆する koilocytosis を呈する症例は 24 例 (2.4%) であった.
    結論 : LSIL 以上の要精検率に関しては, 日本と比較すると 2 倍を示し明らかに高い印象であった. koilocytosis を呈する症例数も本邦と比べて多い傾向であった.
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