日本臨床細胞学会雑誌
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53 巻 , 3 号
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原著
  • 高橋 顕雅, 石田 光明, 山中 章義, 天野 創, 郭 翔志, 脇ノ上 史朗, 中川 哲也, 岡部 英俊, 高橋 健太郎
    2014 年 53 巻 3 号 p. 169-175
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    目的 : 超音波機器の進歩に伴い, 胎児腹水の原因の診断精度は増しているが, 確定診断にいたらない例もある. より確実な診断手法が必要であり, 胎児腹水細胞診が早期診断に有用かを検討した.
    方法 : 2010 年 4 月∼2013 年 9 月に胎児腹水で当院に紹介され, 胎児腹水細胞診を施行した 8 例について, 臨床像, 細胞像の検討, および最終診断との合致について検討した.
    成績 : 細胞診を施行した 8 例のうち, 1 例は滲出性腹水であり, 2 例が胎便性腹膜炎, 5 例が乳び腹水であった. 滲出性腹水は細胞成分に乏しく, 胎便性腹膜炎は扁平上皮細胞の集塊とともに好中球, 組織球がリンパ球と同程度に存在した. 乳び腹水は, 一部扁平上皮細胞を認めるものもあったが, 孤発性であり, 白血球分画において, リンパ球が 90%以上認められた. 細胞診の結果が最終診断とすべて合致した.
    結論 : 超音波断層法に頼った診断より, 胎児腹水細胞診を施行したほうが, 確実に診断できることから, 侵襲的な検査ではあるが, 診断に迷ったときは積極的に腹水細胞診を施行するべきと考えられた.
  • 須貝 美佳, 内藤 眞, 高橋 加奈絵, 池亀 央嗣, 坂下 千明, 梅津 哉
    2014 年 53 巻 3 号 p. 176-181
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    目的 : われわれは抗 HNF4α抗体を用いた免疫染色が体腔液細胞診標本中の悪性細胞の同定および原発巣推定に役立つか否かについて検討した.
    方法 : 臨床病理学的に原発巣が判明している腹水 82 例 (消化器由来腺癌 43 例, 卵巣癌 32 例, 子宮内膜癌 7 例) と胸水 38 例 (肺癌 14 例, 消化器由来腺癌 11 例, 卵巣癌 3 例, 腎癌 2 例, 悪性中皮腫 6 例, 悪性リンパ腫 2 例) を対象とし, 抗 HNF4α抗体を用いた免疫染色を行った.
    成績 : 腹水・胸水の消化器由来腺癌, 腹水の卵巣粘液性腺癌, 胸水の腎癌は全例陽性であった. 腹水の子宮内膜癌の 7 例中 1 例が陽性であったが, 胸水の肺癌も含めその他の症例はすべて陰性であった. 標本中にみられる良性細胞には陽性細胞は確認されなかった.
    結論 : 体腔液細胞診標本において, 消化器由来腺癌, 腎癌, 卵巣粘液性腺癌は HNF4α陽性であった. 消化器由来腺癌が出現しやすい腹水では悪性細胞と良性細胞の鑑別に有用であった. 胸水では原発性肺癌と転移性癌との鑑別に有効であった. 体腔液の細胞診断は, 細胞形態, 臨床所見および従来有用とされている抗体を踏まえ, 抗 HNF4αを併用することにより原発巣の推定の一助となると思われた.
  • 丸田 淳子, 橋本 裕信, 野口 仁志, 常岡 英弘, 高橋 睦夫
    2014 年 53 巻 3 号 p. 182-189
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    目的 : 細胞像の客観的評価として細胞形態学的計測を行い, おのおのの計測値の重要性を検討し組織型を推定するロジスティック回帰式を求めた.
    方法 : 乳頭癌 28 例, 濾胞癌 19 例, 濾胞腺腫 23 例, 腺腫様甲状腺腫 29 例を対象とした. 核面積, 核面積 SD, 周囲長, 縦横比, 重畳性, 重積性を計測し病理組織診断と比較した. 変数減少法を用いて組織型推定に重要な計測項目を選択した. 計測項目の中央値と四分位点の値を用いて確率を試算した.
    成績 : 悪性病変の計測値は全項目にて良性病変のものより有意に大きかった. 悪性病変では核の 70.0%以上が重畳性を示し, 87.4%以上が重積性を示した. 乳頭癌は核面積, 核面積 SD, 周囲長, 縦横比, 重畳性の計測値が最も大きく, 濾胞癌は重積性の計測値が最も大きい値であった. 組織型を推定する回帰式にて重要な項目は, 乳頭癌と腺腫様甲状腺腫では核面積, 縦横比, 重畳性であり, 濾胞癌と濾胞腺腫では重積性であった. 四分位点における推定確率は, 乳頭癌では 93%, 腺腫様甲状腺腫では 98%, 濾胞癌では 65%, 濾胞腺腫では 45%であった.
    結論 : 乳頭癌と腺腫様甲状腺腫では高い推定確率が得られるロジスティック回帰式を変数減少法によって求めた.
症例
  • 竹原 幹雄, 大橋 寛嗣, 岩城 真理子, 金本 貴之, 河合 賢, 向井 英代, 橋本 俊朗
    2014 年 53 巻 3 号 p. 190-194
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    背景 : 卵巣混合型胚細胞腫瘍は若年者に発症するまれな腫瘍である. 今回, human chorionic gonadotropin (hCG) 産生を伴う卵黄嚢腫瘍および成熟奇形腫からなる卵巣混合型胚細胞腫瘍の 1 例を経験したので, 腹水・捺印細胞診所見について検討した.
    症例 : 16 歳, 女性, 未経妊. 腹部膨満感を主訴に来院. 画像所見および血清 AFP・hCG 高値から卵巣胚細胞腫瘍が疑われた. 開腹所見で 20 cm 大の右卵巣腫瘍と左卵巣・骨盤腹膜転移を認め, 右付属器摘出術および左卵巣・骨盤腹膜の病巣摘出術を施行した. 病理診断は, 卵黄嚢腫瘍および成熟奇形腫が混在する卵巣混合型胚細胞腫瘍であった. 腹水・捺印細胞診で, 卵黄嚢腫瘍の特徴的所見である balloon animal 様細胞集塊・鋭角的核異型が確認された. また, 免疫組織化学染色で hCG 陽性の合胞性栄養膜細胞様巨細胞が同定された.
    結論 : balloon animal 様細胞集塊と鋭角的核異型所見は, 卵黄嚢腫瘍の診断の手掛かりとなる可能性がある.
  • 阿部 彰子, 古田 玲子, 荒井 祐司, 野村 秀高, 山本 阿紀子, 的田 眞紀, 岡本 三四郎, 竹島 信宏
    2014 年 53 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    背景 : Lobular endocervical glandular hyperplasia (LEGH) を伴う adenocarcinoma in situ (AIS) および子宮体癌の共存を認めた重複癌の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 53 歳, 女性. 不正出血を主訴に婦人科を受診. 子宮頸部細胞診では平面的なシート状大型集塊で核は偏在, 重積性はなく, 核小体は目立たない細胞質が黄色調に染まる LEGH の細胞像と, 一部に核縁肥厚を認める核異型を示す異型腺細胞や, さらに異型を増した腺癌細胞を認めた. 子宮内膜細胞診では, G1 の類内膜腺癌細胞を認め子宮体癌と診断した. 手術を施行し, 摘出子宮には, 内膜腺に限局する類内膜腺癌, 頸部には嚢胞状に拡張した腺管周囲に集簇する小腺管を認めた. HIK1083 陽性となる LEGH 部と陰性であった異型 LEGH と AIS を認めた. 類内膜腺癌は頸部 LEGH との連続性は認められなかった.
    結論 : LEGH を伴う AIS および子宮体癌が共存する 1 例を経験した. 体頸部の重複癌であること, および頸部は LEGH を伴う AIS であることを術前細胞診により推定可能であった.
  • 長嶋 武雄, 宇津木 悟, 福島 良明, 大塚 光一, 永光 雄造, 清水 基弘, 渋谷 誠, 藤村 正樹
    2014 年 53 巻 3 号 p. 200-205
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    背景 : 今回われわれは, 術前に子宮筋腫と診断されたが, 術中に後腹膜リンパ節腫大を認め, その生検および再度の子宮頸部細胞診・子宮頸管キュレットにてようやく正診にいたった進行子宮頸癌症例を経験したので報告する.
    症例 : 43 歳, 女性. 下腹痛を主訴に当科を初診. 経腟超音波断層法および MRI にて骨盤に充実性の腫瘤像を認め, 子宮筋腫が疑われた. また, サイトブラシを用いた子宮頸部・頸管細胞診は陰性 (NILM) であった. 以上より子宮筋腫の術前診断にて, 腹腔鏡下手術を施行した. 術中, 腫瘤が右後腹膜腫瘤であることが判明したため開腹術に移行し, 同腫瘤の生検を施行した. 術後の病理診断は高分化型扁平上皮癌であったため, 骨盤内の後腹膜リンパ節に扁平上皮癌の転移をきたす可能性のある原発臓器を検索したが, 原発巣を同定しえず, 再度子宮頸部細胞診および子宮頸管キュレットを施行したところ, 陽性 (SCC) および扁平上皮癌の結果となり, 原発巣は子宮頸部と想定された. 本例は, 子宮頸部原発巣病変が極めて小さく, 転移リンパ節腫大が子宮筋腫と診断され, 手術されたことによって初めて診断が可能となった, 正診が困難な症例であった.
  • 安達 純世, 山崎 一人, 山本 善也, 豊永 安洋, 渡邉 孝子, 小山 芳徳, 梁 善光, 石田 康生
    2014 年 53 巻 3 号 p. 206-212
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    背景 : 子宮頸部・腟原発乳頭状扁平上皮癌. 子宮頸部に CIS を合併した腟原発 PSCC の 1 例について, LBC (Liquid based cytology) 標本の細胞像を中心に報告する.
    症例 : 69 歳, 3 経妊 2 経産. 腟円蓋部にカリフラワー状の PSCC, 子宮頸部には CIS を認めた. いずれも HPV52 型陽性で別個の病変と考えられた. LBC 標本における PSCC の細胞所見では, (1) CIS と比較してより大型の集塊, (2) 線維血管性間質を軸とする分枝乳頭状配列, (3) 乳頭状集塊の辺縁における扁平化した腫瘍細胞の同心円状配列, (4) 核形態は CIS に類似し, 1∼2 個の小型の核小体を含む, (5) 細胞形態は基底細胞様で, 細胞質は厚くライトグリーン好染性, 細胞境界は不明瞭, (6) コイロサイトーシスや角化はみられず, 細胞分裂像, アポトーシス体をしばしば認める, などの特徴的な所見が得られた.
    結論 : PSCC の LBC 標本では, 直接塗抹標本と比較して個々の細胞形態はより鮮明で, 特徴的な乳頭状集塊を立体的に観察することが可能である.
  • 丸 喜明, 有田 茂実, 酒井 えり, 中山 茂, 平田 哲士, 杉山 孝弘, 伊丹 真紀子, 堀江 弘
    2014 年 53 巻 3 号 p. 213-217
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    背景 : 印環細胞様を呈した悪性リンパ腫は, 比較的まれな腫瘍である. 今回われわれは, 縦隔リンパ節に対する EBUS-TBNA で, 印環細胞様を呈した濾胞性リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 68 歳, 男性. 数ヵ月前に摘出された顎下リンパ節で濾胞性リンパ腫と診断され, その後の治療前評価目的で行った PET/CT にて右気管傍リンパ節の腫脹と FDG 集積が認められた. 肺癌の可能性を否定するため, 千葉県がんセンターで気管分岐下リンパ節#7 に対して EBUS-TBNA が施行された. 細胞診標本では, 血性背景に核形不整を伴う小∼中型リンパ球様細胞や 2 核様くびれ細胞, 空胞を有する印環細胞様細胞が散在性にみられた. 組織診標本では, 著明な核形不整を伴う異型細胞が集簇してみられ, その多くが細胞質内空胞を有し, 印環細胞様を呈していた. 異型細胞は, 免疫組織化学染色にて CD10, CD20, BCL2 が陽性であった.
    結論 : 本例は, 顎下リンパ節では印環細胞様を呈していなかったが, 気管分岐下リンパ節では印環細胞様を呈した濾胞性リンパ腫であった. このような症例の存在を認識し, 注意深く鏡検する必要があると考える.
  • 鈴木 俊市, 近藤 敏仁, 加藤 哲子, 内ケ崎 新也
    2014 年 53 巻 3 号 p. 218-223
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    背景 : ALK 陽性未分化大細胞型リンパ腫 (ALK 陽性 ALCL) は節外浸潤により, 臨床的に軟部腫瘍としてみつかることも少なくない. 若年齢層に好発するため鑑別診断は多岐にわたるが, 適切な治療選択には生検での細胞組織診断が極めて重要である.
    症例 : 30 歳代、女性. 腰痛のため整形外科を受診. 画像で左後腹膜に 6.5 cm 大の不整形腫瘤がみつかり, 針生検が行われた. 針洗浄液細胞診では, 類円形∼多辺形の異型細胞が豊富に認められ, 横紋筋片への浸潤像もみられた. N/C 比が高いものから, 淡明で豊富な細胞質を有するものまであり, 後者では核も多形性に富み馬蹄形などを呈するいわゆる hallmark cell も認められた. 上皮様配列や対細胞化を示すものもあった. 組織でも, 細胞診と基本的に同様の異型細胞が, 壊死を伴いながらびまん性∼敷石状に増殖しており, 免疫組織化学的に CD30, ALK がびまん性に陽性であった.
    結論 : ALK 陽性 ALCL の細胞診所見は, hallmark cell の出現や上皮様配列といった本腫瘍に特徴的な組織所見をよく反映している. 組織採取量が限られる針生検においては, 細胞診の併用が有用である.
  • 南 智也, 荻原 英里, 松木 慎一郎, 高垣 和代, 石田 由香里, 駒井 隆夫, 中島 直樹, 鷹巣 晃昌
    2014 年 53 巻 3 号 p. 224-228
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    背景 : 卵黄嚢腫瘍 (yolk sac tumor : 以下, YST) は胚細胞腫瘍の一亜型で若年層以下の性腺に発症し, AFP (alpha fetoprotein) を産生する比較的まれな疾患であるが, ごくまれに性腺外に発生する. われわれは, 縦隔に生じた YST の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 20 歳代後半, 女性. 胸部 X 線および CT にて左前縦隔に巨大腫瘤を認めたため, 腫瘤穿刺吸引細胞診を施行し, 未分化な悪性腫瘍と推定. その際に作製したセルブロックにて特殊染色を実施し, YST と診断した. その後, 細胞診標本を詳細に再検討したところ, 硝子球 (hyaline globules : 以下, HG) や “Balloon animal”-like cell cluster (動物風船様細胞集塊 : 以下, “BA”-like cluster) と呼ばれる細胞集塊など YST に特徴的な細胞所見を少数ながら認めた. 患者は化学療法後, 腫瘍摘出術が施行された. 摘出腫瘍組織は壊死塊を呈した. 術後経過良好である.
    結論 : YST の細胞診断において, HG や “BA”-like cluster などの細胞所見は診断的価値の高い所見であり, これらの所見を把握することは重要である. しかし, これらの細胞所見だけでは, 組織型の推定や類似疾患との鑑別が困難な場合がある. セルブロックを有効に活用し, HE 染色や免疫染色結果と臨床所見を総合することにより, 正しい診断に達することができると考える.
  • 田村 元, 緒形 真也, 柳川 直樹, 刑部 光正, 阿部 光展, 渡邉 清子, 渡邊 いづみ, 植松 美由紀
    2014 年 53 巻 3 号 p. 229-234
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    背景 : 乳腺穿刺吸引細胞診誤陽性例は腺筋上皮腫が高率であるといわれている. 腺筋上皮腫はまれな腫瘍であるが, ありふれた乳管内乳頭腫でも筋上皮細胞の増殖が旺盛な症例では誤陽性判定の危険を孕んでいる. 乳腺穿刺吸引細胞診で悪性と判定した 2 例の乳管内乳頭腫の細胞像と組織像を供覧する.
    症例 : 症例 1 20 歳代, 女性. 症例 2 50 歳代, 女性. いずれも乳房腫瘤の穿刺吸引細胞診で悪性判定のため乳房温存術が施行され, 最終的な病理組織診断は乳管内乳頭腫であった. 症例 1, 2 ともに結合性の低下した不整な細胞集塊や孤在性細胞を乳管癌細胞と判断したが, 摘出標本の組織像と免疫染色の結果から筋上皮細胞を乳管癌細胞と誤認したものと考えられた. 症例 1 の細胞診標本で行ったα-SMA 免疫染色でも上記細胞に陽性像を確認した.
    結論 : 筋上皮細胞は結合性が緩く, ときに異型を伴うため, 乳管癌細胞との鑑別が難しい形態をとることがある. 乳腺穿刺吸引細胞診で結合性の低下した不整な細胞集塊や孤在性細胞をみた場合, 筋上皮細胞の可能性を常に念頭に置いて N/C 比やクロマチンパターン, 核内封入体の存在などから慎重に判断する必要がある.
  • 成富 真理, 畠 榮, 定平 吉都, 荒木 豊子, 小林 博久, 日野 寛子, 高須賀 博久, 物部 泰昌
    2014 年 53 巻 3 号 p. 235-240
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    背景 : びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫 (DLBCL) が尿中にみられることはまれである. 今回, われわれは留置カテーテル尿にて悪性リンパ腫を推定しえた症例を経験した. 従来法に加え液状化検体細胞診 (LBC 法) での細胞学的所見を中心に報告する.
    症例 : 85 歳, 男性. 1 年前, 肝細胞癌で入院治療中, MRI 検査にて左尿管に沿って浸潤増殖する腫瘤を指摘された. 生検の結果, DLBCL と診断され, 化学療法を行った. 今回, 前立腺肥大による尿閉のため前立腺摘出術を施行され, DLBCL の再発を認めた. 術後の留置カテーテル尿細胞診では多数の好中球, リンパ球を背景に, 大型で N/C 比大の異型細胞が散在性に出現し, 核は類円形∼円形, 一部不整や切れ込みを認めた. クロマチンは粗顆粒状で増量, 1∼数個の小型核小体がみられた. オートスメア法ならびにフィルター法では炎症細胞に埋もれ異型細胞の観察が困難であったが, LBC 法では容易に観察された. LBC 標本で, 異型細胞は CD20, CD79a 陽性で悪性リンパ腫と診断した.
    結論 : 炎症細胞が多い検体に LBC 法を取り入れることは, 異型細胞の観察が容易となり, 免疫染色への応用が可能で細胞診断に有用となると考えられた.
短報
  • 塩森 由季子, 三浦 由記, 本間 隆志, 遠藤 泰彦, 福永 真治
    2014 年 53 巻 3 号 p. 241-242
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/26
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    The significance of ascites cytology has been controversial as far as the diagnosis and staging of ovarian immature teratoma is concerned.
    A 22-year-old female presented with pelvic masses. Cytologic findings of the ascites were characterized by the presence of abundant sheets of glia cells with small uniform round nuclei, moderate amount of lace-like cytoplasm and cytoplasmic processes. Moreover, clusters of round cells with hyperchromatic small round nuclei, and scant cytoplasm, resembling neuroblastoma cells, were observed. Small rosette formations were also noted. Microscopic examination showed immature teratoma, grade 2 in the right ovary and gliomatosis peritonei with small foci of immature neuroepithelial elements. The patient underwent postoperative chemotherapy and is alive at 3 months later.
    Ascites cytology can be useful for diagnosis of gliomatosis peritonei with an immature ovarian teratoma in the clinical context.
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