日本臨床細胞学会雑誌
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54 巻 , 1 号
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原著
  • 師岡 恭之, 渡邉 孝子, 小山 芳徳, 安達 純世, 豊永 安洋, 山本 善也, 梁 善光, 五十嵐 敏雄, 山﨑 一人, 石田 康生
    2015 年 54 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
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    目的 : 子宮頸部擦過細胞診に, 液状化検体細胞診の一つである SurePath 法を用いた場合の不適正検体率と診断精度を, 直接塗抹法 (従来法) と比較し, 検証する.
    方法 : SurePath 法の導入前年 (2010 年) に直接塗抹法 (従来法) によって作製された子宮頸部擦過細胞診 4196 検体と, 導入翌年 (2012 年) に作製された 4466 検体を対象として, 不適正率, および, 組織診を基準とした陽性適中率を比較した.
    成績 : 不適正率は従来法では 0.12%, SurePath 法では 0%であった. SurePath 法の検体において, CIN1 以上の病変に対する陽性適中率は ASC-US, LSIL をカットオフとした場合に各 77.1%, 85.1%, CIN2 以上の病変に対する陽性適中率は ASC-US, LSIL, HSIL をカットオフとした場合に各 52.2%, 62.1%, 82.6%で, いずれにおいても従来法との間に有意差を認めなかった.
    結論 : SurePath 法では従来法と比較して不適正検体率が減少するが, 異型上皮内病変を推定する精度は従来法とほぼ同等と考えられた.
  • 田口 明美, 柴 光年, 沢田 ひとみ, 早田 篤子, 桑原 竹一郎, 渋谷 潔, 中谷 行雄, 中島 崇裕, 吉野 一郎, 藤澤 武彦
    2015 年 54 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル 認証あり
    目的 : 肺がん検診喀痰細胞診では, 肺癌のみならず肺以外の癌が発見されている. 喀痰集検から発見された頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) の細胞像を解析し, 肺扁平上皮癌 (LSCC) と比較検討を行った.
    方法 : 1995∼2008 年の喀痰集検で病変部位が確定している HNSCC 39 例を対象に臨床学的検討を行い, また重複癌と細胞学的検討不能例を除く 31 例で, 粘液融解法による蓄痰標本 1 枚に出現した異型扁平上皮細胞 (ASC) および癌細胞における異型度・形状・染色性・変性について, 同集検で発見された LSCC と比較検討した.
    成績 : 喀痰集検が契機で発見された癌の 17.2% (40 例) は HNSCC で, 声門癌は 88.9%がI期癌であった. 細胞像では, 声門癌で OG 好性多稜形 ASC の出現比率が高く, 下咽頭癌・声門上癌は LG 好性円形 ASC が優勢であった (p<0.01). また HNSCC は LSCC より細胞変性の程度が軽度であった (p<0.01).
    結論 : 声門癌はI期癌が高率で, 喀痰細胞診による早期発見が期待された. また ASC の形態学的パターン解析は, HNSCC と LSCC の鑑別に有用であり, 癌発生部位推定の一助になると考えられた.
  • 古旗 淳, 広岡 保明, 東井 靖子, 阿部 加奈子, 阿部 佳之, 権田 厚文
    2015 年 54 巻 1 号 p. 16-27
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル 認証あり
    目的 : 従来の胆汁細胞診の問題点と貯留胆汁細胞診・細胞判定基準 (以下, 判定基準) の有用性について, 胆汁細胞診の初学者を対象に検討した.
    方法 : 細胞検査士資格認定試験の受験希望者 116 名に対し, スライド法 (良性 4 例, 悪性 4 例) と鏡検法 (良性 3 例, 悪性 3 例) で判定基準の検証を行った. 検証手順は, 判定基準応用前 : (1)従来の各自の基準で判定 (応用前・1 回目), (2)同じ方法で再判定 (応用前・2 回目). 判定基準応用法 : (3)判定基準の用語説明の後判定 (応用後・用語説明後), (4)追加検証として各所見の評価の基準を追加説明した後再判定 (応用後・追加説明後), とした. 各方法の診断成績と各所見の判定結果を比較した.
    成績 : 全体の正診率は, 応用前ではスライド法, 鏡検法で 1 回目がそれぞれ 43%, 48%, 2 回目が 46%, 50%であった. 応用後では用語説明後で 52%, 53%と上昇し, 追加説明後では 59%, 61%とさらに上昇した.
    結論 : 判定基準の応用は診断精度の向上に有用と思われた. 一方, この応用の有無に関係なく, 従来の胆汁細胞診には各所見の異型度の基準に曖昧さがあると思われた. より正確な診断のためには, まずこれを改善すべきと思われた.
調査報告
  • 秀島 克巳, 岩橋 輝明, 渡邊 正章, 管野 貴浩, 成相 義樹, 関根 浄治
    2015 年 54 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル 認証あり
    目的 : 口腔癌の早期発見を目的に, 細胞診を用いた口腔癌検出システムを構築した. かかりつけ医療機関との連携で運用する本システムの有用性について報告する.
    方法 : 2007 年 12 月 1 日∼2014 年 7 月 31 日の 6 年 8 ヵ月間に, 島根県内のかかりつけ医療機関にて細胞診が行われた 815 名を対象とした.
    成績 : 細胞診検体部位は, 歯肉 263 例 (32.3%) が最も多く, 次いで舌 259 例, 頬粘膜 145 例, 口蓋 57 例, 口唇 39 例, その他 52 例であった. 細胞診の結果は, NILM 659 例 (80.9%) が最も多く, LSIL 89 例, HSIL 20 例, SCC 41 例, 判定不能 6 例であった. これらのうち病理組織検査を行った 35 例中 29 例が悪性と診断された (82.9%). その内訳は, 25 例が病理組織学的に扁平上皮癌, 2 例は OIN (oral intraepithelial neoplasia), 1 例が OIN/CIS (carcinoma in situ), さらに 1 例は肉腫と診断され, 癌検出率は 3.6%であった.
    結論 : 対策型口腔がん検診における癌検出率は 0.1%未満とされており, 本システムの有用性が示唆された.
症例
  • 辻 要, 飯塚 徳重, 中谷 理加, 黒田 卓, 林 輝嘉, 堀井 活子, 森田 章介, 島 盛隆
    2015 年 54 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル 認証あり
    背景 : ランゲルハンス細胞組織球症 (Langerhans cell histiocytosis : 以下 LCH) は, ランゲルハンス細胞の増殖を特徴とする疾患で, 下顎骨に発生することはまれである. 今回われわれは細胞診を施行した下顎 LCH の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 2 歳, 男児. 右側頬部の腫脹を主訴に当院を受診した. 画像検査にて右側下顎臼歯部∼下顎枝部にかけて著明な膨隆および骨吸収像を認め, 骨シンチグラフィでは同部にのみ異常集積を確認した. 術前の細胞診で, 好酸球とともに核溝や不整なくびれを有する核を伴った大型組織球様細胞を認めた. 手術摘出標本において, 好酸球浸潤を背景にランゲルハンス細胞を多数認めた. 免疫染色ではランゲルハンス細胞は S-100 protein, vimentin, CD1a, langerin, HLA-DR に陽性であった. 電子顕微鏡ではランゲルハンス細胞の細胞質内に多数の Birbeck 顆粒が確認でき, LCH と診断された.
    結論 : 今回は細胞診のみで確定的な診断を得なかったが, このような症例の積み重ねが今後の LCH の診断に重要であると考えられた.
  • 下山 玲子, 佐々木 志保, 西川 京子, 松井 美智代, 藤中 浩樹, 島津 宏樹, 伏見 博彰
    2015 年 54 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 胞巣型横紋筋肉腫 (ARMS) は骨格筋への分化を伴う軟部悪性腫瘍である. 未分化な小型円形細胞を主体とし, 形態学的所見のみで組織型を推定することは必ずしも容易ではない. 今回われわれは ARMS を経験したので, 細胞学的特徴とセルブロックの有用性を併せて報告する.
    症例 : 40 歳代, 男性. 眼瞼浮腫を主訴に近医眼科受診. 精査目的に当センター耳鼻咽喉・頭頸部外科紹介となった. 画像上, 篩骨洞中心に不整な腫瘤と左唾液腺領域やリンパ節に転移を疑う腫瘤が認められた. 左耳下腺部および頸部リンパ節から穿刺吸引細胞診が施行された. 腫瘍細胞の多くは核密度の高い集塊を形成して出現し, 木目込み配列も観察された. 線維状に伸びる間質には裸核状の腫瘍細胞が強固に結合していた. ライトグリーン好性でやや厚みのある細胞質を有する腫瘍細胞もみられた. セルブロックを作製し, 免疫染色を追加した結果, 腫瘍細胞は myogenin に対し高率に陽性を呈したことから, ARMS が疑われた. また, 副鼻腔より生検が施行された.
    結論 : ARMS は日常の検査で遭遇する頻度は高くない. 細胞所見を丁寧にとり, セルブロックを用いて免疫染色を併用したことが組織型の推定に有用であった.
  • 荒川 文子, 田島 秀昭, 村田 行則, 齋藤 広樹, 石井 幸雄, 當銘 良也, 石田 剛
    2015 年 54 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 孤在性線維性腫瘍 (SFT) の一亜型である脂肪形成性孤在性線維性腫瘍 (FFSFT) の悪性型を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
    症例 : 70 歳代女性, 肝血管性腫瘍の臨床診断で, 前腹壁腫瘍と肝転移巣を摘出術施行. 腫瘍割面の捺印細胞診標本を作製した. 壊死性背景に多数の裸核状細胞と大小不同や核形不整が著明な紡錘形∼長円形核を有する N/C 比大の腫瘍細胞が血管周囲に集塊でみられ, 集塊内に脂肪細胞が認められた. 組織学的には, 血管周皮腫パターンを呈して異型紡錘形細胞が増殖し, 多数の核分裂像や出血, 壊死も認められた. 多空胞状脂肪芽細胞を含む脂肪細胞が混在していた. 免疫染色では, CD34, bcl-2, CD99 が陽性であった. 以上の所見から悪性 FFSFT と診断した.
    結論 : 血管周皮腫様構造を取る腫瘍に脂肪細胞や著明な核異型, 壊死がみられた場合は悪性 FFSFT の可能性を考える必要がある.
  • 刑部 光正, 阿部 光展, 渡邉 清子, 渡邉 いづみ, 植松 美由紀, 柳川 直樹, 緒形 真也, 田村 元
    2015 年 54 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    ジャーナル 認証あり
    背景 : Solid papillary carcinoma (SPC) は, 繊細な線維血管性コアと, 異型に乏しい好酸性胞体を有する小型∼中型の卵円形あるいは紡錘形細胞が充実性増殖を示す乳頭癌の一型で, しばしば神経内分泌分化や細胞内外への粘液貯留を示す. 穿刺吸引細胞診では, 核異型に乏しい核偏在性で “plasmacytoid” と表現される小型卵円形細胞や紡錘形細胞が混在するゆるい細胞接着性を示す細胞集塊が多数出現し, 集塊周囲にも孤在性に腫瘍細胞がみられる.
    症例 : 症例は 70 歳の女性で, 検診のマンモグラフィーで異常陰影を指摘された. 右 EC 領域の不正形腫瘤から穿刺吸引細胞診が行われ, 異型に乏しい紡錘形細胞からなる細胞集塊と孤在性細胞が採取された. 同部からの針生検にて悪性の判定で, 右乳腺部分切除とセンチネルリンパ節生検が施行された. 腫瘤は紡錘形細胞の充実性増殖からなり, 免疫組織化学的に神経内分泌分化も確認され, SPC with invasion の診断となった.
    結論 : 腫瘍全体がほぼ紡錘形細胞からなる SPC では, 穿刺吸引細胞診において, 異型に乏しい紡錘形細胞のみが集塊状あるいは孤立散在性に出現する場合がある.
  • 鈴木 紗貴子, 齋藤 千世子, 佐々木 久, 横山 慶一, 三上 千尋, 檜山 美佐江, 黒滝 日出一
    2015 年 54 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
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    背景 : 骨髄脂肪腫は成熟脂肪組織と骨髄組織からなる良性腫瘍で, 多くは副腎皮質に発生し, 胸部領域の発生は非常にまれである. 今回, われわれは肺および後縦隔に発生した骨髄脂肪腫の 2 例を経験したので報告する.
    症例 : 症例 1 は 69 歳, 男性. 10 年以上前から胸部異常陰影を指摘され, 経過観察されていた. 陰影の増大傾向を認めたため, 肺癌疑いにて, 右下葉切除術が施行された.
    症例 2 は 28 歳, 男性. 急性虫垂炎罹患時撮影した CT にて偶然, 後縦隔腫瘍を発見された. 脂肪肉腫疑いにて, 縦隔腫瘍摘出術が施行された. 両症例ともに術中捺印細胞診でリンパ球様細胞などを背景として, 脂肪細胞や分葉傾向の著しい多核巨細胞が散見された. また, 術中迅速組織標本で脂肪組織や種々の骨髄成分が観察され, 骨髄脂肪腫と診断された.
    結論 : 副腎以外での骨髄脂肪腫の発生はまれであるが, 肺や後縦隔腫瘍において, 脂肪成分を含み, 分葉状核を有する多核巨細胞が観察された場合には, 骨髄細胞由来も考慮し, 鑑別診断の一つとして骨髄脂肪腫も念頭におく必要があると思われた. また Giemsa 染色や Diff-Quick 染色の併用が診断に有用であった.
  • 近成 直美, 川口 安紀, 平野 博嗣, 木﨑 智彦
    2015 年 54 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
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    背景 : 子宮 atypical leiomyoma は良性の間葉系腫瘍であるが, 細胞学的に奇異な多核巨細胞を認める点で悪性腫瘍との鑑別が困難なことがある. 今回, 内膜細胞診にて肉腫との鑑別に苦慮した atypical leiomyoma を経験したので報告する.
    症例 : 51 歳, 女性. 未閉経. 不正性器出血のため本院産婦人科を受診, CT で子宮筋腫が疑われた. 子宮内膜細胞診にて大型で奇異な形態を示す細胞を認め悪性腫瘍も疑われ, 子宮摘出術および両側付属器切除が行われた. 摘出標本の組織学的検査では楕円形∼紡錐形の腫瘍細胞が錯綜しながら密に増生しており, 奇異な形態を示す多核巨細胞が散見された. 核分裂像は 1/50HPF と少数であった. 免疫組織化学的には Vimentin, Desmin, α-smooth muscle actin, h-Caldesmon が陽性を示し, MIB-1labeling index は 1%以下であったので, atypical leiomyoma と診断した. 術後 3 年 6 ヵ月経過するが再発兆候はみられなかった.
    結論 : 子宮内膜細胞診で多核巨細胞や奇異な大型細胞などの細胞が観察された場合, 肉腫以外に atypical leiomyoma を念頭に臨床所見を含めた総合的な判断が必要であると考えられた.
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