日本臨床細胞学会雑誌
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54 巻 , 6 号
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原著
  • 花田 梓, 平井 康夫, 岡田 薫子, 木村 祐子, 秋澤 叔香, 長嶋 洋治, 則松 良明, 矢納 研二, 石谷 健, 松井 英雄
    2015 年 54 巻 6 号 p. 351-357
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/10
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    目的 : 記述式子宮内膜細胞診報告様式は, 多施設共同研究による直接塗抹標本の検討結果から検体適正基準を設定している. この検体適正基準を液状化検体細胞診標本に適用する妥当性については, エビデンスに乏しいため検討を行った.
    方法 : 直接塗抹法および SurePathTM (SP) 法による split-sample での子宮内膜細胞診, および子宮内膜組織診を採取した 1,097 例を対象とし, 集塊構成内膜上皮細胞数が 50 または 30 個以上を細胞集塊と定義した場合の不適正率や診断精度を検討した.
    成績 : 内膜上皮細胞 50 個以上を細胞集塊と定義した場合, 1 検体当たりの集塊数が 10 以上認めるものは, 10 未満と比較して悪性と診断する感度が有意に高値であった (78.7% vs 36.8%). 一方, 内膜上皮細胞 30 個以上を細胞集塊と定義した場合, 50 個以上とした場合と比較して, 診断精度は有意差を認めなかった.
    結論 : SP 標本では, 小型の集塊も含めた全集塊数が検体適正基準項目として重要である. 検討の結果から, SP 標本においては「1 集塊当たりの内膜上皮細胞 30 個以上の集塊が 10 以上出現している検体」を検体適正基準とすることが示唆された.
  • 笹本 香織, 谷田部 恭, 北脇 城, 中西 透
    2015 年 54 巻 6 号 p. 358-363
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/10
    ジャーナル 認証あり
    目的 : 子宮内膜細胞診が陽性にもかかわらず, 子宮内膜組織診が陰性であった子宮体癌の臨床病理学的特徴について検討した.
    方法 : 過去 30 年間に初回手術治療を施行した子宮体癌症例のうち内膜細胞診陽性かつ内膜組織診陰性であった 12 例を対象とし, 患者背景, 細胞像, 手術までの経過, 術後病理診断および予後について検討した.
    成績 : 子宮体癌全体に対する対象症例の割合は 1.4% (12/880) であり, 半数例では内膜に限局しているか, 浅い筋層浸潤のみである表層性病変であった. 進行期はⅠ期 9 例, Ⅲ期 2 例, Ⅳ期 1 例であり, 組織型は Grade 1・2 類内膜腺癌 8 例, 漿液性腺癌 2 例, 粘液性腺癌 1 例, 癌肉腫 1 例であった. 類内膜腺癌の細胞像は異型の乏しい細胞のシート状集塊であったが, 漿液性腺癌は異型の強い細胞の乳頭状集塊が特徴であった. Ⅲ/Ⅳ期の 3 例が再発により死亡し, 5 年生存率は 75%であった.
    結論 : 細胞診陽性かつ組織診陰性であった子宮体癌は, 早期の Grade 1・2 類内膜腺癌と子宮外に進展しやすい表層性漿液性腺癌の 2 つのグループに分類でき, 両者を鑑別する手段として内膜細胞診所見が有用と考えられた.
症例
  • 高橋 久美子, 中村 泰行, 八重樫 弘, 黒瀬 顕, 佐熊 勉
    2015 年 54 巻 6 号 p. 364-371
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/10
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    背景 : 脳腫瘍はまれに頭蓋外へ転移する. 今回, 私たちは膠肉腫術後に両側胸水貯留をきたした症例を経験した. 胸水の細胞標本中には膠肉腫由来と思われる異型細胞が出現しており, 貴重な症例と思われた.
    症例 : 70 歳代, 男性. 膠肉腫術後約 4 ヵ月で食欲不振と意識障害が出現し, 再入院. 画像上, 腫瘍の再増大と両側胸水のほか, 両側肺および肝に多発する結節状病変が指摘された.
    結論 : 胸水材料からセルブロックを作製し, 免疫細胞化学的検討を行った結果, 膠肉腫由来の腫瘍細胞と推測された. 頭蓋外転移例では, 脳腫瘍由来の細胞が日常の細胞標本中に出現する可能性もあり, 注意が必要と思われた.
  • 上原 俊貴, 川嶋 大輔, 下代 清香, 井上 佳奈子, 桑岡 勲, 伏見 文良, 大屋 正文
    2015 年 54 巻 6 号 p. 372-376
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/10
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    背景 : 乳癌の十二指腸転移は比較的まれであり, 胆汁・胆管擦過細胞診に乳癌細胞が出現することはさらにまれである. われわれは細胞診にて乳癌の十二指腸転移が示唆された 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 60 歳代, 女性. 200x 年に左乳房全切除術が施行され, 浸潤性乳管癌と診断された. 5 年後に黄疸・嘔吐・下痢・肝胆道系酵素の上昇と十二指腸乳頭部に腫瘤を認め ERCP が施行された. 十二指腸乳頭部腫瘤の生検では, 拡張したリンパ管内に原発巣と類似した異型細胞巣を認め, 免疫染色結果もあわせて乳癌の転移と診断された. 総胆管狭窄部の擦過細胞診, 胆汁細胞診標本には N/C 比が高く, クロマチンの増量した異型細胞を散在性~小集塊として認めた. 良性細胞集塊と異型細胞集塊との間に連続性が確認できなかったため転移性腫瘍を疑い, 病歴とあわせて乳癌の転移を考えた. また, 転写した異型細胞に対する免疫細胞化学も, 乳癌に矛盾しない結果となった.
    結論 : 胆汁・胆管擦過細胞診において悪性細胞が出現した場合には, 周囲の良性細胞集塊との連続性や病歴を確認し, 転移性腫瘍の可能性も考慮する必要がある. また, 転写法による免疫細胞化学的診断が有用であった.
  • 小堺 智文, 飯塚 啓二, 西澤 和世, 石田 章子, 太田 浩良
    2015 年 54 巻 6 号 p. 377-382
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/10
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    背景 : 胞巣型尿路上皮癌 (nested variant of urothelial carcinoma : NV-UC) はまれな悪性腫瘍である. 組織学的には異型上皮がブルン巣に類似した胞巣を形成し浸潤性増生を示す. 膀胱原発 NV-UC の 1 例を報告する.
    症例 : 80 歳の男性. CT では膀胱壁の肥厚を認めた. 膀胱生検では核異型度の低い異型細胞が小胞巣構造をなして筋層浸潤を認め, NV-UC と診断された. 腹腔洗浄液細胞診では, 腫大核を示す異型細胞が孤在性~小集塊を形成して認められ, 陽性と判定された. 膀胱留置カテーテル尿細胞診では重積を示す胞巣状集塊を形成する異型細胞が認められた. 核はおおむね中型均一であったが, 腫大核が混在しており, 陽性と判定された.
    結論 : 尿細胞診において NV-UC の推定に重要な所見として, 重積を伴う胞巣状集塊を形成する点, 核所見はおおむね均一であるが集塊内には腫大した異型核が混在する点が挙げられる. NV-UC は悪性度の高い腫瘍であり, 細胞診によるその亜型推定は臨床的に意義がある.
  • 星 暢夫, 中野 公子, 上田 香織, 小倉 祐紀子, 平林 かおる, 星 サユリ, 安藤 二郎, 五十嵐 誠治
    2015 年 54 巻 6 号 p. 383-388
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/10
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    背景 : 乳腺筋線維芽細胞腫 (mammary myofibroblastoma : m-MFB) は主に中高年男女に生じる間葉系良性腫瘍である. 紡錘形細胞腫瘍の一つであるが, 細胞像の多彩性から細胞診断に苦慮する症例が多い. 今回われわれは男性 m-MFB の 1 例を経験したので報告する.
    症例 : 70 歳代, 男性. 胸部打撲・肋骨骨折で近医を受診した際, 右乳頭直下に周囲との境界明瞭な腫瘍性病変を指摘された. 乳腺部分切除検体中には白色~灰白色調腫瘍病変が存在し, 同部から採取した捺印細胞診検体には紡錘形・多稜形細胞が緩い結合性の集塊状に, または孤立散在性に存在した. 核形不整が目立ち, 核溝や核内細胞質封入体を有する細胞が散見された. 組織学的には紡錘形腫瘍細胞の束状・類上皮様の増生があり, 膠原線維を介在していた. 免疫染色は desmin, CD34, SMA, vimentin, ER, PgR に陽性, CK (AE1/3), EMA, p63, E-cadherin, S-100 タンパクには陰性であった.
    結論 : 紡錘形細胞からなる乳腺腫瘍の細胞診断では m-MFB の可能性も念頭に置き, 診断に臨むべきである.
  • 鈴木 美和, 田中 綾一, 高橋 円, 郷久 晴朗, 寺本 瑞絵, 岩崎 雅宏, 伊東 英樹, 齋藤 豪
    2015 年 54 巻 6 号 p. 389-393
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/10
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    背景 : 子宮頸部原発悪性黒色腫は非常にまれな発生部位である. 他部位原発悪性黒色腫と同様の治療方針で, 原発巣の完全摘出が望ましいが, 術前病理診断がその後の治療に影響を及ぼした 2 例の子宮頸部原発悪性黒色腫における, 臨床経過および病理組織像について報告する.
    症例 : 症例は 76 歳および 58 歳女性で, いずれも不正性器出血が主訴であった. 症例 1 では, 低分化な扁平上皮癌の診断のもと放射線治療を施行したが無効であったため, 再精査を行ったところ悪性黒色腫と診断が変わり, 手術療法により長期生存が可能であった. 一方, 症例 2 では, 細胞診・組織診上, 悪性黒色腫に特徴的なメラニン顆粒を認めたため診断可能であり, 手術・化学療法を施行したが, 進行例のため原病死となった.
    結論 : 悪性黒色腫では, メラニン顆粒を有する悪性細胞の存在が特徴的であるが, メラニン顆粒に乏しい症例では免疫染色を併用した細胞診, 組織診の検討を要する. 病巣摘出を原則とし, 集学的治療により生存可能な症例もある.
短報
  • 園田 大, 坂口 忍, 中島 裕康, 吉田 功, 佐藤 之俊
    2015 年 54 巻 6 号 p. 394-395
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/10
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    A 73-year-old female underwent distal pancreatectomy in 2009. In 2011, chest CT revealed a nodular lesion. Based on the suspicion of primary lung cancer, right lower lobectomy was performed. Cytology of the tumor stump showed atypical cell clusters showing palisading and formation of tubular structures. The tumor cells had comparatively small and elliptic nuclei and were elliptical in shape cytoplasm. Histologically, the lesion was a metastatic tumor in the lung from primary pancreatic cancer. In addition to the past history, the presence of a solitary lung nodule composed of cylindrical cells forming tubular structures led to the presumptive diagnosis of a pulmonary metastasis from primary pancreatic cancer.
  • 林 直樹, 野畑 真奈美, 中井 美恵子, 伊藤 誠, 越川 卓
    2015 年 54 巻 6 号 p. 396-397
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/10
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    A case of nodular fasciitis occurring in the left breast region in a middle-aged woman is reported. Fine-needle aspiration cytology showed pleomorphic spindle cells with occasional multinucleated giant cells, superficially mimicking sarcomatous neoplasms. The diagnosis of nodular fasciitis was established by core needle biopsy. In order to obviate unnecessary surgical resection of this benign self-limited lesion, the initial cytologic evaluation is essential to rule out malignant mesenchymal tumors arising from the breast.
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