日本臨床細胞学会雑誌
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56 巻 , 1 号
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原著
  • 佐々木 健司, 杉山 佳代, 神田 真規, 米原 修治
    2017 年 56 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
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    目的 : 内視鏡的経鼻膵管ドレナージ (endoscopic nasopancreatic drainage ; ENPD) 留置下膵液細胞診における膵上皮内腫瘍性病変 (pancreatic intraepithelial neoplasia ; PanIN) の細胞学的鑑別についての報告はみられない. そこで, PanIN の細胞学的鑑別点を明らかにすることを目的として膵液細胞像を検討した.

    方法 : 手術摘出標本にて確定診断された 15 例を検討対象とした. 症例の内訳は PanIN-1B を伴う慢性膵炎が 1 例, PanIN-2 が 2 例, 上皮内癌が 12 例である. ENPD 留置下膵液標本を鏡検し, 背景所見, 細胞の多形性, 不規則重積配列, 核の大小不同, 核形不整, クロマチンの増量や不均等分布, 多彩性 (細胞相互のクロマチンパターンの差) について観察した.

    成績 : 核形不整はすべての対象症例でみられたが, クロマチンの増量, 不均等分布, 多彩性は上皮内癌症例のみに認められた.

    結論 : 上皮内癌と PanIN-1B, 2 との鑑別に最も有用な所見はクロマチン所見であると考える.

  • 高瀬 頼妃呼, 河原 明彦, 山口 知彦, 安倍 秀幸, 多比良 朋希, 福満 千容, 吉田 友子, 村田 和也, 内藤 嘉紀, 秋葉 純
    2017 年 56 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
    ジャーナル 認証あり

    目的 : われわれは体腔液細胞診の免疫細胞化学における CytoRich Red 保存液の固定効果について検討した.

    方法 : 対象は良性体腔液の反応性中皮細胞 23 例, 上皮型中皮腫 8 例および肺腺癌 10 例の 41 例である. 良性体腔液, 肺腺癌症例は, 同一検体を CytoRich Red 固定液および 95%エタノール固定液で固定した. 上皮型中皮腫は CytoRich Red 固定の 4 例と 95%エタノール固定の 4 例である. これらの症例に対してカルレチニンと CD146 抗体を用いた免疫細胞化学を施行し, 陽性率を算出し, 11%以上を示した症例を陽性と判定した.

    成績 : 反応性中皮細胞症例は両固定液においてカルレチニン陽性, CD146 陰性を示した. カルレチニン陽性率は, CytoRich Red 固定のほうが高く, 有意差を認めた (p<0.05). 一方, CD146 は少数の反応性中皮細胞に発現を認めたが, 有意差はみられなかった (p=0.15). 上皮型中皮腫症例は両固定液にて CD146 陽性を示し, 肺腺癌症例は 4 例の CD146 陽性を認めた.

    結論 : カルレチニンは固定液により陽性率が異なり, CD146 は反応性中皮細胞においても少数ではあるが陽性を示す場合がある. 体腔液細胞診において, 固定液の違いや抗体クローンにより免疫細胞化学の発現に影響を与えることがあるため, 固定法の選択とその評価に留意すべきである.

  • 矢羽田 一信, 南雲 サチ子, 矢野 恵子, 竹中 明美, 吉村 英雄, 田路 英作, 三村 明弘, 寺本 友昭, 芦村 純一, 植田 政嗣
    2017 年 56 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 大阪における継続的精度改善活動 (CQIP) が細胞検査士の細胞判定水準の向上と格差の是正に効果があったか評価することを目的とした.

    方法 : CQIP として細胞診教育の PDCA cycle を構築した. 2005~2014 年に自己採点方式スライドカンファレンス (SAQC) に参加した延べ 763 名の成績を対象とし CQIP の効果について検討した. 有意差検定は t 検定を用いた.

    成績 : SAQC の参加回数が 1 回~9 回の細胞検査士の平均正解率と標準偏差は 72%±12%, 75%±12%, 74%±11%, 74%±11%, 76%±11%, 76%±11%, 81%±10%, 83%±8%, 83%±8%であり, 参加回数と SAQC の成績の間には強い正の相関を認めた. t 検定の結果, 初めて参加した細胞検査士と参加回数 5 回以上の細胞検査士の正解率には有意水準 5%の有意差が示された. 標準偏差は参加回数が 8 回以上では 10%を切りデータの収束が認められた.

    結論 : SAQC で自己能力の定期的な反省と検証を繰り返し, CQIP で改善行動をとり続けることが, 細胞検査士の細胞判定水準の向上と格差の是正に効果があったと考える.

症例
  • 日野 寛子, 畠 榮, 高須賀 博久, 成富 真理, 物部 泰昌
    2017 年 56 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
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    背景 : アステロイド小体はサルコイドーシスなどでみられる星芒状の封入体として知られるが, 細胞診標本でみられることは非常にまれである. 今回, 甲状腺乳頭癌に随伴したコレステリン肉芽腫でアステロイド小体を認めた症例を経験したので報告する.

    症例 : 60 歳代, 女性. 約 1 年前に S 状結腸癌の腔鏡切除術後, 化学療法を施行した. 治療効果判定目的の PET-CT にて甲状腺峡部に異常集積を認め精査となった. 超音波で甲状腺右葉峡部寄りに 1 cm 大の微細高エコーを伴う低エコー腫瘤を認め穿刺吸引細胞診が施行された. 少量のフィルム状コロイドとコレステリン結晶を背景に, 少数の核溝や核内封入体を有する濾胞上皮細胞と多数の多核巨細胞が認められた. 一部に多核巨細胞の胞体にはアステロイド小体がみられた. 甲状腺右葉と峡部摘出術が行われ, 濾胞型乳頭癌と診断した. 腫瘍に随伴し約 3 mm 大のコレステリン肉芽腫を認め, 多核巨細胞内にアステロイド小体を認めた.

    結論 : アステロイド小体を有する多核巨細胞は, サルコイドーシスや悪性腫瘍に伴う肉芽腫などの疾患でも出現することがあるため, 出現細胞の全体像を総合的に判断して, 診断を進めることが肝要である.

  • 成富 真理, 畠 榮, 物部 泰昌, 日野 寛子, 高須賀 博久
    2017 年 56 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
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    背景 : 嗅神経芽細胞腫は鼻腔上部の嗅上皮部より発生するまれな腫瘍である. 今回われわれは嗅神経芽細胞腫の 1 例を経験したので細胞像を中心に報告する.

    症例 : 50 歳代, 男性. 繰り返す左鼻出血を主訴に, 当院紹介受診. 左鼻腔に 22 mm 大の充実性腫瘤を認め, 内視鏡的摘出術が施行された. 術中迅速組織標本および捺印標本を作製し診断した. 捺印標本では, 小型円形で N/C 比大を呈した細胞が疎な集塊から散在性に多数認められた. 細胞境界は不明瞭で, 核は円形~楕円形, クロマチンはごま塩状であった. 一部にロゼット様構造や神経細線維基質が認められた. 組織標本では, 結合組織内に小型円形細胞がびまん性あるいは胞巣状に浸潤増殖していた. 腫瘍細胞は捺印標本と類似していた. 一部で Homer Wright 型ロゼット形成が認められた. 免疫組織化学的に, synaptophysin 陽性, calretinin は一部陽性, S100 は支持細胞に陽性で, 嗅神経芽細胞腫と診断した.

    結論 : 鼻腔で小型円形細胞が多数みられた場合, 臨床情報や免疫組織化学と併せて診断する必要がある.

  • 岩崎 和美, 黒川 哲司, 品川 明子, 森 正樹, 酒井 康弘, 今村 好章, 吉田 好雄
    2017 年 56 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
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    背景 : 未分化子宮肉腫は, 2014 年 WHO の子宮内膜間質腫瘍の組織学的分類で, 初めて提唱された疾患名である. そして, その鑑別診断の一つが, 全く治療法が異なる未分化癌である. 本例は, 液状検体法 (LBC 法) を導入した子宮内膜細胞診断が 「肉腫疑い」 で, 術前の子宮内膜組織診断が 「未分化癌」 であった未分化子宮肉腫である.

    そこで, なぜ, 子宮内膜細胞診 (LBC 法) が子宮内膜組織診に比べ, 摘出腫瘍の組織を反映したかを考察したので報告する.

    症例 : 52 歳, 女性. 主訴は不正出血. 子宮内膜細胞診像は, 孤立散在性に出現する多形性細胞で, 核所見はきわめて異型が強かった. 子宮内膜組織診像は, 大部分が赤血球でごく一部に蜂巣状に発育した腫瘍細胞を認めるのみであった. 本例の診断において, 子宮内膜細胞診 (LBC 法) が有効であった理由は, 溶血操作により赤血球に邪魔されず腫瘍細胞を容易に観察できたことと, 標本を複数枚作製し免疫染色により間葉系への分化傾向を証明できたことである.

    結論 : 出血を伴う巨大な腫瘍を形成する未分化子宮肉腫では, 子宮内膜組織診に加え子宮内膜細胞診 (LBC 法) を併用することが術前診断の一助となりうると考えられる.

短報
  • 高根澤 裕介, 加藤 淳, 日下部 崇, 武市 和之, 川口 隆憲
    2017 年 56 巻 1 号 p. 39-40
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
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    We report the case of a 30-year-old pregnant woman with uterine cervical cancer, in which the tumor contained both small cell carcinoma and tubular adenocarcinoma components. Cytology showed atypical cells with small bare nuclei, scattered singly or in loose clusters, in addition to atypical glandular tissue. Cervical biopsy demonstrated both small cell carcinoma and tubular adenocarcinoma components. On immunohistochemistry, the small cell carcinoma cells showed positive staining for chromogranin A, somatostatin, NSE and SSTR2. At 29 weeks of gestation, the patient underwent abdominal cesarean section, delivering a female baby, followed by radical hysterectomy ; thereafter, she received chemotherapy. Until now, there has been no evidence of recurrence.

  • 池田 聡, 永田 千草, 本間 恵美子, 佐竹 藍, 鈴木 恵子
    2017 年 56 巻 1 号 p. 41-42
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
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    We examined the usefulness of ultra-rapid immunostaining of ascitic fluid for HNF4α, which is expressed in abundance in the gastrointestinal tract epithelium, for rapid and precise intraoperative cytological diagnosis of gastric cancer. In this examination, we used the R-IHC® system to obtain rapid results, and the results revealed that HNF4α was specifically expressed in gastric cancer cells and that no positively stained cells were found in other malignancies such as lung cancer, or in benign conditions. Therefore, ultra-rapid HNF4α immunostaining of ascitic fluid using R-IHC® was useful for rapid intraoperative cytological diagnosis of gastric cancer.

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