日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
56 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 白幡 浩人, 本間 尚子, 小谷 隆史, 今泉 雅之, 浜島 裕理, 江坂 四季音, 木下 真由美, 鈴木 明美, 櫻井 うらら, 新井 冨 ...
    2017 年 56 巻 2 号 p. 75-84
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 高齢者における乳腺粘液癌の細胞学的特徴を明らかにする.

    方法 : 当センターで 2005 年 4 月~2011 年 12 月に実施された穿刺吸引細胞診において, 組織学的に粘液癌と診断された 65 歳以上の 13 例を対象に細胞学的, 組織学的, 免疫組織化学的に検討を行い, さらに文献的考察を加えた.

    成績 : 組織学的に 3 例が Type A, 10 例が Type B に分類された. Type B は非浸潤癌成分を有し, 免疫組織化学的に ER, PgR, GCDFP-15, 神経内分泌マーカーとの関連がみられた. Type A では非浸潤癌成分はみられず, 全例 ER 陽性を示すものの, GCDFP-15, PgR, 神経内分泌マーカーは全例陰性であった.

    細胞学的には, 全例で豊富な採取細胞量で多彩な出現パターンを示した. Type A, Type B とも血管成分がみられ, 核異型が強いものが多かった. Type B で腫瘍細胞が疎結合性に出現する傾向がみられ, うち 3 例で神経内分泌腫瘍に特徴的な核所見が認められた.

    結論 : 高齢者の粘液癌は多彩な細胞像を示した. これは, 神経内分泌分化傾向を示す Type B が多く, Type A であっても Type B に近い性質を併せもつものがあることなどによると考えられる.

  • 石井 恵子, 浅香 志穂, 堀川 美栄子, 小林 幸弘, 下條 康代, 百瀬 正信, 仲田 梨恵, 中嶋 智之
    2017 年 56 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 子宮頸部および内膜スメアにおいて粘液の色調異常を認めた症例の臨床病理学的検討を行った.

    方法 : 子宮頸部・内膜スメアで, two-color pattern (TCP) あるいは黄色調粘液を認めた 54 例につき臨床所見および組織像を含めた追跡調査を行った.

    成績 : 54 例中 4 例は頸部・内膜の両方, うち 1 例は初回, 内膜のみに黄色調粘液細胞が認められた. 多くは頸部多発囊胞や水様帯下等の自・他覚症状があったが, 無症状でスクリーニングされた症例が 12 例あった. 54 例中 49 例で HIK 陽性であった. 胃型粘液確認後, 摘出材料にて分葉状頸管腺過形成 (LEGH) と診断された症例は 11 例, 異型 LEGH 4 例, 悪性腺腫 (MDA) 3 例, MDA を伴った胃型腺癌 1 例であった. 胃型腺癌や MDA では, 色調異常に加え腺細胞異型もみられた.

    結論 : 子宮頸部・内膜スメアにおける粘液の TCP は, 胃型粘液の存在を鋭敏に反映しており, 注意深く色調を観察することによって LEGH や MDA などの胃型腺系病変の早期診断に貢献できる. TCP がみられず黄色調粘液のみが観察される症例ももちろん胃型腺系病変の可能性があるため, 腺細胞異常としスクリーニングすべきである.

症例
  • 竹田 (寺田) 倫子, 玉手 雅人, 杉田 真太朗, 鈴木 孝浩, 齋藤 豪
    2017 年 56 巻 2 号 p. 92-95
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 子宮平滑筋肉腫は子宮体部に発生することが多く, 子宮頸部原発の平滑筋肉腫はまれである. われわれは, 子宮頸部に発生した平滑筋肉腫の症例を経験したので報告する.

    症例 : 症例は 45 歳. 不正出血が続くため当科を受診した. 子宮頸部に 1.5 cm 大の筋腫様腫瘤を認めた. 腫瘍擦過細胞診では NILM (negative for intraepithelial lesion or malignancy) と診断し, 子宮鏡下に腫瘍摘出術を施行したところ平滑筋肉腫との診断にて, 初回手術から 23 日後に準広汎子宮全摘出術+両付属器摘出術を施行した. 術後約 2 年経過したが, 今のところ再発の徴候はない.

    結論 : 平滑筋肉腫は細胞診で診断することが困難な場合があるため, 細胞診で紡錘形細胞を認めた場合は, 悪性腫瘍である可能性も考慮しながら診断を進めていく必要がある.

  • 才荷 翼, 伊藤 仁, 芹澤 昭彦, 宮嶋 葉子, 小山田 裕行, 渡具知 克, 梶原 博, 中村 直哉
    2017 年 56 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 大胸筋や気管に発生する顆粒細胞腫はまれであり, その報告例も少ない. 大胸筋と気管に発生し, 細胞診が診断に有用となった 2 例を経験したので報告する.

    症例 : 症例 1 は 60 歳代, 女性. 左乳房部に痛みを感じ, 当院を受診. 超音波検査において大胸筋内に腫瘤が指摘され, 穿刺吸引細胞診にて顆粒細胞腫が疑われた. その後, 針生検にて顆粒細胞腫と診断されたが, 腫瘍摘出は施行されず, 現在, 経過観察中である.

    症例 2 は 40 歳代, 女性. 咳嗽を主訴に当院を受診. CT 検査において気管中部右側壁に隆起性病変が認められ, 気管擦過細胞診および気管生検が施行された. その後, 顆粒細胞腫と診断され, 腫瘍の摘出が行われた. 2 例とも細胞診にて, 豊富な細胞質を有し, 核は小型で N/C 比は低く, 細胞境界が不明瞭な腫瘍細胞が出現していた. 細胞質内と背景には黄色調の顆粒状物質が認められ, 顆粒細胞腫が疑われた.

    結論 : 大胸筋および気管原発の顆粒細胞腫はまれであるが, 顆粒細胞腫に特徴的な細胞境界の不明瞭さと細胞質内や背景における黄色調の顆粒状物質を指摘すれば推定は可能であると思われた.

  • 林 真也, 酒井 剛, 岩渕 三哉
    2017 年 56 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 甲状腺や皮膚の MALT リンパ腫では他臓器と比較し形質細胞への分化が高率に認められる. 今回, 著しく形質細胞への分化を示した甲状腺 MALT リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.

    症例 : 80 歳代, 男性. 右前頸部に腫瘤性病変を指摘され, 甲状腺および右頸部リンパ節の穿刺吸引細胞診が施行された. 核偏在傾向を示し, 好酸性の細胞質を有する境界明瞭な細胞, 細胞質顆粒状で境界不明瞭な細胞が出現していた. 車軸状に凝集した粗大クロマチンを有する細胞, 胞巣状構造やロゼット様配列を認めた. 形質細胞様の異型細胞が増殖する腫瘍性病変が疑われた. その後, 甲状腺生検が施行された. 形質細胞様の細胞がびまん性, 密に増殖し, 免疫染色では CD10−, CD20+/−, CD79a+, CD138−, CD56−, κ+, λ−, IgG4−, CEA−, カルシトニン−であった. 細胞の形態・増殖様式および免疫組織化学的検索の結果より MALT リンパ腫と診断された.

    結論 : MALT リンパ腫の診断確定には組織学的検索および免疫組織学的検索が必要であり, さらに臨床所見, その他の検査結果等を含めた総合的な判断が必要なことがあるため, 甲状腺穿刺吸引細胞診にて, 著しく形質細胞への分化を示す甲状腺 MALT リンパ腫を推定病変に挙げることは重要と考える.

  • 町田 浩美, 小島 勝, 加藤 輝, 永井 多美子, 佐々木 英夫, 圓谷 勝, 黒田 一, 今井 康雄
    2017 年 56 巻 2 号 p. 107-111
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 胸水細胞診にて類上皮細胞および多核組織球を認め, 胸膜生検にてリウマチ結節が確認された, リウマチ性胸膜炎の 1 例を経験したので報告する.

    症例 : 40 歳代, 女性. 関節リウマチ疑いで外来に通院中, 左側胸水貯留を認め精査目的に入院. 胸水穿刺細胞診検査で関節リウマチによる胸膜炎を考える像であった. 細胞像はリウマチ性胸膜炎の細胞像の特徴とされる多量の顆粒状の壊死物質を背景に紡錘形の組織球と多核組織球が混在していた. さらに多数の好中球と好中球の崩壊した核から形成されたリウマチ細胞と, リウマチ結節に由来する類上皮細胞の集簇像がみられ, 中皮細胞はほとんどみられなかった. 胸腔鏡検査の組織標本ではリウマチ結節を認め, リウマチ性胸膜炎と診断が確定した.

    結論 : 関節リウマチではまれながら胸膜にリウマチ結節が形成されることが知られており, 胸水中に現れた類上皮細胞は組織生検でみられた結節の一部であると思われた. 鑑別診断に挙げられる悪性腫瘍や結核や膿胸などの炎症疾患とは, リウマチ性胸膜炎の特徴的な細胞所見を知り, 詳細な細胞像の観察によって鑑別が可能と思われる.

短報
  • 林 裕司, 石田 光明, 岡本 望, 春日 希, 九嶋 亮治
    2017 年 56 巻 2 号 p. 112-113
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル 認証あり

    We present a case of Langerhans cell histiocytosis (LCH) involving the cranial bone in a 13-year-old boy. Imprint smear cytology showed polygonal cells having relatively abundant cytoplasm with pseudopodial-like projections and convoluted nuclei in a background of eosinophils and small lymphocytes. Immunocytochemical analyses demonstrated positive staining results for CD1a and langerin. Accordingly, a cytological diagnosis of LCH was made. The presence of pseudopodial-like projections in the Langerhans cells may have hitherto been under-recognized. This cytologic feature is considered to be a characteristic finding of LCH in addition to the characteristic nuclear features.

feedback
Top