日本臨床細胞学会雑誌
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56 巻 , 3 号
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原著
  • 三浦 宏弥, 関本 弘, 米山 こずえ, 原田 友未香, 林 聖子, 二谷 悦子, 吉田 朋美, 小川 晃, 福田 利夫
    2017 年 56 巻 3 号 p. 123-129
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 液状化検体細胞診 TACASTM 法による LBC 単独運用での要精密検査例の推移, 組織診との判定一致率, ヒトパピローマウイルス (HPV) 検査結果と細胞診判定の関連性について検証した.

    方法 : 2013 年度子宮頸がん検診にて採取された 12158 例を対象とし, 細胞診判定で ASC-US 以上の症例において組織診および HPV 検査の受診有無と結果の追跡を行った.

    成績 : ASC-US 以上の判定は 3.2%であり, LBC 単独運用前の 1.7%より増加した. 検体不良による再検査実施率は 0.6%であり, LBC 単独運用前の 14.4%より大幅に減少した. 年代別細胞診陽性率は 20 歳代が 7.2%と最も高かった. 組織診との判定一致率は扁平上皮系病変では 76.2%, 腺系病変では 100%であった. HPV 検査は ASC-US 13 例, LSIL 9 例, ASC-H 3 例, HSIL 1 例が HPV 陽性であった. 組織診が陰性または慢性頸管炎であり, かつ HPV 検査を実施したなかで 92.9%が HPV 陽性であった.

    結論 : LBC 単独運用に移行後, 確実な細胞回収および乾燥軽減等による標本品質の向上が示唆された. また, TACASTM 法を用いて微小な細胞変化を捉えることで, 初期病変の検出感度が向上する可能性が示唆された. 各対象者の経過追跡により, 早期発見の効果が立証される可能性が高く, 受診者に対し精検受診の重要性を一層強く発信すべきと考えられた.

  • 山口 朋美, 大貫 なつみ, 赤羽 俊章, 坂東 伸幸, 田中 伸哉
    2017 年 56 巻 3 号 p. 130-136
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 甲状腺結節に対する LBC プレップ 2 を用いた報告はほとんどみられない. 今回われわれは, LBC プレップ 2 を使用した甲状腺穿刺吸引細胞診での診断精度と細胞像の特徴を検討した.

    方法 : 2011 年 6 月~2015 年 5 月に甲状腺穿刺吸引細胞診を施行した 887 病変を対象とした. LBC プレップ 2 を用いて標本を作製し, 甲状腺癌取り扱い規約第 7 版を用いて判定を行った.

    成績 : 887 病変のうち組織診断と対比できた 204 病変は意義不明を除くと感度 98.0%, 特異度 89.3%, 正診率 96.6%であった. 赤血球の多くは溶血し, その破砕物が背景に出現していた. コロイドの性状は BD シュアパスTM 法と一部異なっていた. 腺腫様甲状腺腫の濾胞上皮細胞集塊辺縁にライトグリーン好染性の境界明瞭な基底膜様物質を認めた. 乳頭癌の核所見は観察しやすく ThinPrepTM 法より優れていた.

    結論 : LBC プレップ 2 を用いた当院での成績は他 LBC 法の報告に劣らなかった. 細胞所見は他 LBC 法と異なる点があることに注意する必要がある.

症例
  • 那須 篤子, 畠 榮, 藤田 勝, 濵田 香菜, 今井 みどり, 田中 健大, 柳井 広之
    2017 年 56 巻 3 号 p. 137-142
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 耳下腺に発生したラブドイド細胞を主体とした筋上皮癌の 1 例を経験したので細胞所見を中心に報告する.

    症例 : 60 歳代, 男性. 左耳前部腫瘤を主訴として近医を受診後, 当院を紹介受診. CT にて左耳前部に内部壊死様で辺縁不整を示す腫瘤影を認めた. 耳下腺穿刺吸引細胞診では, 壊死物質を背景にライトグリーン好性の豊富な細胞質と偏在核を有するラブドイド細胞が散在性あるいは小集塊状に出現していた. 悪性を除外しえないため, 耳下腺腫瘍摘出術ならびにリンパ節郭清術が施行された. 組織所見および免疫組織化学的所見より筋上皮癌と診断した.

    結論 : 唾液腺腫瘍の細胞診において, ラブドイド細胞を認めた場合には, まれではあるが筋上皮癌も念頭におき検索する必要があると考えられた.

  • 松尾 梢恵, 熊坂 利夫, 中 昂一, 橋本 昭一, 藤原 睦憲, 武村 民子
    2017 年 56 巻 3 号 p. 143-148
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 悪性腫瘍関連肺高血圧症はまれな疾患であり, 固形癌や慢性骨髄増殖性疾患にみられることが多く, 呼吸不全を伴うため診断困難な場合が多い. 今回われわれは肺動脈血吸引細胞診により診断・治療にいたった 2 例を経験したので報告する.

    症例 : 症例 1 : 59 歳, 女性. 乳房切除術・化学療法後 6 年後に呼吸困難を自覚. 肺高血圧症を疑い, 肺動脈血吸引細胞診が施行され乳癌細胞を認め腫瘍塞栓性肺動脈微小血管症 (以下 PTTM) と診断. 治療により呼吸状態の改善を認めたが, 呼吸困難により 7 ヵ月後に永眠. 症例 2 : 72 歳, 女性. 21 年前に真性多血症と診断. 治療により血小板数以外は正常化. 今回労作時呼吸困難により肺高血圧症と診断. 肺動脈血吸引細胞診にて血小板産生巨核球と巨大血小板を認め, 真性多血症による肺高血圧症と診断. 治療により状態安定したが, 約 1 年で永眠.

    結論 : 肺動脈血吸引細胞診は心臓カテーテル検査と同時に施行できるため生検困難な患者に対しても施行可能であり, 悪性腫瘍関連肺高血圧症の早期診断を可能にする非侵襲的な検査法である. また, 真性多血症を含めた慢性骨髄増殖性疾患の肺高血圧症の機序の解明にも寄与すると考える.

  • 松浦 祐介, 小原 光祥, 藤原 仁, 岡 春子, 島尻 正平, 蜂須賀 徹, 牛嶋 公生
    2017 年 56 巻 3 号 p. 149-153
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 顆粒細胞腫はまれな良性軟部組織腫瘍であり, 15%程度が外陰部に発生する.

    症例 : 36 歳, 2 回経妊 2 回経産. 5 年ほど前から 2 cm ほどの外陰部腫瘤を自覚していた. 腫瘤は徐々に増大傾向にあったため, 左大陰唇皮下の胡桃様に硬い長径 4 cm 大の腫瘤に対して外陰部腫瘍摘出術が施行された. 肉眼的には境界不明瞭な充実性腫瘤であり, 病理組織検査では線維化を伴った類円形~紡錘形の腫瘍細胞がシート状・索状に密に増殖していた. 小さな濃縮核と豊富な細胞質には好酸性顆粒が認められた. 免疫組織化学的には S-100 蛋白, CD68, NSE が陽性であり, 顆粒細胞腫と診断された. 腫瘍捺印細胞診では炎症性背景に広い顆粒状の細胞質を有する腫瘍細胞が出現していた. 核は小型類円型で中心に位置し, 小型核小体を有しており, 顆粒細胞腫に特徴的な所見であった. また, 裸核状の軽度異型細胞が多数認められ, 一部の核には核溝が認められた.

    結論 : 本腫瘍は末梢神経由来であり, 免疫染色で神経系マーカーが陽性であった. 約 2%と, まれに悪性の経過をとるものがあるため, 十分な範囲を設定したうえで腫瘍が切除されることが望ましい. また, 腫瘍径が 4~5 cm 以上の症例では, 治療後の厳重な経過観察が必要である.

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