日本臨床細胞学会雑誌
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56 巻 , 4 号
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原著
  • 佐々木 瞳, 江澤 瑞穂, 西野 武夫, 髙橋 年美, 梶 幸子, 太枝 良夫, 山田 正俊, 石田 康生, 山崎 一人
    2017 年 56 巻 4 号 p. 163-171
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
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    目的 : 顕著なアポクリン分化を伴う浸潤性小葉癌 (A-ILC) の細胞学的特徴を明らかにする.

    方法 : A-ILC 4 例の細胞学的特徴を明らかにし, 比較対象となる古典的浸潤性小葉癌 (C-ILC), アポクリン癌 (AC) との類似点, 相違点について検討した.

    成績 : A-ILC と C-ILC の類似点として, 1) 背景は清明で重積集塊はみられない, 2) 腫瘍細胞は孤在性, 数珠状に疎に分布する, 3) 細胞質内小腺腔を高頻度に認める (平均 15.3%), ことが挙げられた. AC との類似点として, 1) 細胞は C-ILC より有意に大型で (平均径 21.1 μm), N/C 比は低い, 2) 胞体は豊かで泡沫状・顆粒状である, 3) 核は偏心性でクロマチンは繊細均一に分布し, 明瞭な核小体を含む, ことが挙げられた. 上皮内病変の目立つ症例においては大型細胞のシート状集塊がみられ, これは捺印細胞診において顕著であった.

    結論 : 乳腺細胞診において, 清明な背景の中にみられる細胞質内小腺腔を高頻度に含んだ大型異型アポクリン化生細胞の孤在性・数珠状配列は A-ILC を示唆する所見と考えられた.

症例
  • 小堺 智文, 立石 文子, 神宮 邦彦, 飯塚 啓二, 岩本 拓朗, 石田 章子, 太田 浩良
    2017 年 56 巻 4 号 p. 172-177
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル 認証あり

    背景 : Granulocyte-colony stimulating factor (G-CSF) 産生腫瘍はさまざまな臓器に発生し, 予後不良である. 今回, G-CSF 産生膀胱癌の 1 例を報告する.

    症例 : 82 歳, 女性. 血尿を主訴とし当院を受診. 血算では白血球数が 38700/μlと増加し, 膀胱鏡では結節状腫瘍を認めた. 膀胱洗浄液細胞診では, 多数の好中球を背景に, 大型核と豊富な胞体を示す大型で円形~類円形の異型細胞が観察された. また, 胞体内に好中球の emperipolesis を示す巨大な異型細胞を認め, G-CSF 産生腫瘍を推定した. 経尿道的膀胱腫瘍切除検体の組織診では, 著明な好中球浸潤を認め, 高異型度尿路上皮癌の成分に加え, 大型で円形~類円形の異型細胞の増生からなった巨細胞亜型尿路上皮癌の成分を認めた. 両組織型とも免疫組織化学的に G-CSF 陽性を示し, G-CSF 陽性の巨細胞亜型を伴う高異型度尿路上皮癌と診断した. 膀胱全摘除術後, 白血球数は基準値内に低下した.

    結論 : G-CSF 産生腫瘍の細胞診断では, 背景の著明な好中球浸潤と腫瘍細胞胞体内の好中球の emperipolesis に注目することが重要である.

  • 原武 晃子, 伊藤 園江, 塚本 孝久, 長山 大輔, 西田 直代, 檜垣 浩一, 木村 芳三
    2017 年 56 巻 4 号 p. 178-181
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 40 年以上にわたりい草栽培に従事していた農業の男性に発生したい草染土塵肺の 1 例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.

    症例 : 70 歳代, 男性で前立腺癌の既往あり. 持続する咳嗽の精査目的のため当院呼吸器内科を受診し, 画像検査にて異常陰影を認めたため, 前立腺癌の転移も念頭におき気管支肺胞洗浄液細胞診と経気管支肺生検を施行した. 気管支肺胞洗浄液細胞診では, マクロファージ主体の細胞像を呈し, アスベスト小体とマクロファージの細胞質内に遊離珪酸 (シリカ) と思われる結晶を認めた. 経気管支肺生検でも間質に炭粉沈着と結晶沈着を認めた.

    結論 : 気管支肺胞洗浄液中にアスベスト小体と結晶の存在を認めたことと職業歴も考慮し, い草染土塵肺を指摘することができた.

  • 杉山 佳代, 米谷 久美子, 神田 真規, 佐々木 健司, 米原 修治
    2017 年 56 巻 4 号 p. 182-188
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 胆囊に発生する神経内分泌癌の発生頻度は低く, またその細胞像に関する報告はきわめて少ない. 今回, われわれは胆汁細胞診にて小細胞神経内分泌癌と診断しえた 1 例を経験したので, 文献的考察も含めて報告する.

    症例 : 80 歳代, 女性. 悪性胆道狭窄による閉塞性黄疸の疑いで内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP) が行われ, 採取された胆汁細胞診で小細胞神経内分泌癌と診断された. 細胞像は腫瘍性背景に小集塊状, 索状配列を示す N/C 比の大きい小型異型細胞を認め, 他組織に発生する小細胞癌の像に一致した. 鑑別診断として腺癌, 悪性リンパ腫が挙がるが, 細胞配列や細胞の結合性より鑑別可能であった. 入院 7 日目に死亡し, 病理解剖が行われた. 全身検索の末, 胆囊原発小細胞神経内分泌癌と診断された.

    結論 : 胆汁中に出現する悪性細胞は腺癌が圧倒的に多く, 腺癌と他組織像の混在も視野に入れた注意深いスクリーニングが重要である. また胆汁では細胞変性を起こしやすく, 検体の取り扱いにも注意が必要である. 本例は予後不良であり, 早期診断や早期治療が必要である. そのため細胞診による組織型推定は重要と考える.

  • 増田 友紀江, 浦崎 政浩, 髙橋 年美, 小林 貴代, 田中 都子, 中村 恵, 麻生 晃, 亀田 典章
    2017 年 56 巻 4 号 p. 189-192
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
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    背景 : 自然界には莫大な種類の線形動物 (線虫類) が存在し, その大半が自由生活性である. 今回われわれは腟頸部細胞診にて寄生種との鑑別を要した自由生活線虫の検出例を経験したので報告する.

    症例 : 58 歳, 女性. 主訴は頻回の膀胱炎. 子宮がん検診にて採取された腟頸部スメアに虫体が見出された. 体長や内部構造の観察により寄生種は除外され, 自由生活線虫の可能性が示唆された. また, 染色処理過程での混入の可能性を排除するため, 当施設の自動染色装置および水回りを検索した結果, 線虫は見出されなかった. 細胞診と同時期に行われた血液検査では特筆すべき所見はなく, 約 1 年後の腟頸部・内膜細胞診において線虫や炎症所見は認めなかった. これより, 本例は自由生活線虫が一過性に腟に存在した所見を観察したスメアであると考えられた.

    結論 : 腟頸部細胞診にて虫体を見出すことはまれであるが, 線虫の生活史や内部構造を理解し, 十分に観察を行うことにより, 寄生種と自由生活種の鑑別が可能となる.

短報
  • 松家 由紀, 和泉元 雅子, 湊 憲武, 岡田 雄平, 大朏 祐治
    2017 年 56 巻 4 号 p. 193-194
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
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    We report a case of cystic hypersecretory carcinoma of the breast containing hyperplasia and dysplasia in a Japanese female patient in her 70’s.

    It was not easy to obtain the final diagnosis by FNAC, because of the presence of various grades of dysplasia and hyperplasia. Histology revealed obviously hyperplastic benign epithelium and various grades of dysplasia in the cyst walls. A micropapillary growth pattern was detected in parts, with increased Ki-67 labelling, suggestive of malignancy.

    Cytologists and pathologists should bear in mind this very characteristic breast lesion in cases with multicystic lesions of the breast detected by ultrasound and histopathology.

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