日本臨床細胞学会雑誌
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原著
  • 青木 弘, 安岡 弘直, 金田 敦代, 郡司 有理子, 福田 沙織, 島田 香, 築山 あゆみ, 辻 洋美, 辻本 正彦
    2021 年 60 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 甲状腺穿刺吸引細胞診における ThinPrep® の有用性と細胞像の特徴を検討した.

    方法 : 従来法のみで診断した 358 結節と ThinPrep® のみで診断した 308 結節を対象とし, 細胞診断結果の比較, 組織診断結果との対比および ThinPrep® の細胞像の特徴を検討した.

    成績 : 検体不適正率は従来法 18.7%, ThinPrep® 9.7%で, 検体不適正率は統計学的に有意に減少した. 従来法の感度は 92.5%, 特異度は 100%で, ThinPrep® の感度は 86.7%, 特異度は 100%であった. ThinPrep® の細胞像は背景がクリーンで, 細胞集塊とコロイドには断片化がみられた. クロマチンは明瞭で, 乳頭癌では核溝や核内細胞質封入体が容易に観察できた. 散在性細胞は集団を形成する傾向にあり, また細胞集塊周囲に細胞が塗抹されにくい傾向があった.

    結論 : ThinPrep® を使用した甲状腺穿刺吸引細胞診の診断精度は従来法と遜色がなく, 検体不適正率が減少し, 標準化された標本作製が可能で, 検鏡者の負担が軽減するなどさまざまな利点があり, 有用であると考えられた. 細胞像は全体的に従来法の見方を大きく変更せずに診断可能であった.

  • 末光 正昌, 松本 敬, 瀬戸 宏之, 中山 光子, 森川 美雪, 横山 愛, 山本 泰, 宇都宮 忠彦, 浮ケ谷 匡恭, 久山 佳代
    2021 年 60 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 細胞診判定別に出現した深層型扁平上皮細胞の特徴を明らかにし, スクリーニングでの主観的判定を数値化する目的で, 深層型扁平上皮細胞を細胞形態計測学的に解析し, 細胞診判定別に比較検討した.

    方法 : 2016 年 1 月〜 2016 年 12 月に本学付属病院にて細胞診を行った症例のうち舌縁部から検体が採取された 384 例を対象とし, 画像解析の手法を用いて核面積, 細胞面積, 核・細胞質比, 核形不整の程度, 核の濃染性を明らかにした.

    成績 : 細胞診判定別の深層型扁平上皮細胞出現症例数 [比率 (実数)] は, NILM : 27 例 [8.6% (27/314)], SIL : 1 例 [2.0% (1/50)], SCC : 8 例 [40.0% (8/20)] であった. 核面積の平均値 (標準偏差) は, NILM : 66.0 μm2 (34.8), SCC : 82.6 μm2 (43.7) となり, SCC が有意に (p=0.042) 高値を示した. 形態解析の結果, 核形不整の程度は NILM : 1.25 (0.08), SCC : 1.29 (0.09) となり, SCC が有意に (p=0.028) 高値を示した.

    結論 : SCC に出現した深層型扁平上皮細胞の核面積と核形不整の程度はNILMより有意に大きく, これらは細胞診判定の一助となる細胞所見であることが示唆された.

  • —ホルマリン固定プロセスの違い—
    村田 和也, 河原 明彦, 安倍 秀幸, 髙瀬 頼妃呼, 吉田 友子, 福満 千容, 篠田 由佳子, 牧野 諒央, 内藤 嘉紀, 秋葉 純
    2021 年 60 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル 認証あり

    目的 : アルギン酸ナトリウムを用いたホルマリン固定パラフィン包埋セルブロック法が, 核酸品質と蛋白発現に及ぼす影響についてホルマリン固定条件の違いを通して検討した.

    方法 : 10%中性緩衝ホルマリンおよび 10%ホルマリン (非緩衝) を用いて培養細胞を異なる時間で固定後, アルギン酸ナトリウムを用いて formalin fixed paraffin embedded (FFPE) セルブロックを作製した. これらのすべてから DNA integrity number (DIN) 値を測定した. 免疫細胞化学に関しては, 染色性や発現率について評価した.

    成績 : ホルマリン固定された培養細胞は, 時間依存的に DNA 品質が低下を示し, 10%中性緩衝ホルマリンで 3 時間および 6 時間固定された培養細胞は, 24 時間以上固定された培養細胞に比べ, DNA は高品質であった. サイトケラチン抗体において, 10%中性緩衝および非緩衝ホルマリンで 3 時間および 6 時間固定された培養細胞は良好な染色性を認め, 24 時間以上固定された培養細胞の Ki-67 核発現割合は低発現を認めた.

    結論 : アルギン酸ナトリウム FFPE セルブロックにおいて 10%中性緩衝ホルマリンで 3〜6 時間固定された細胞検体は, 比較的高品質な DNA と安定した蛋白発現を得ることができる.

症例
  • 貝田 芽衣, 妹尾 美加, 佐藤 利瑞, 成田 真一, 小池 昇, 荒井 克己, 高橋 学, 日野 眞人
    2021 年 60 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 乳腺は, 結核菌感染において抵抗性臓器とされており, 乳房に結核をみることは極めてまれである. 今回, 乳房結核の 1 例を経験したので, 本邦報告例に若干の文献的考察を加えて報告する.

    症例 : 70 歳代, 女性. 主訴は右乳房腫瘤の自覚. 触診で触れた腫瘍部の皮膚には淡い発赤がみられた. MRI では BI-RADS® Category5 であり, 乳癌が疑われた. 穿刺吸引細胞診標本には, 多数のリンパ球と顆粒状物を背景に類上皮細胞や多核組織球が認められ, 肉芽腫性乳腺炎を考えたが, 核腫大・核形不整を示す異型細胞がみられ, 良悪判定困難とした. 腫瘤切除材料の組織標本では, 大小の結節形成, 類上皮細胞の集簇, ラングハンス型巨細胞, 部分的に乾酪壊死を伴った肉芽腫形成などがみられることから結核と診断された.

    結論 : 乳房結核の 1 例を経験しその細胞像を報告した. 本例では細胞診標本で異型細胞を認めたために診断に苦慮した. 乳房結核は画像上乳癌を疑う所見を示すことがあり, 穿刺吸引細胞診の対象となりうる. 診断の際は結核の存在を念頭に置く必要があると思われた.

  • 河嶋 友美, 武田 遼, 橋本 哲夫, 佐藤 勝明, 上田 善道, 田中 卓二
    2021 年 60 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 胞状奇胎の診断を目的として, 細胞診は通常行われない. 今回, 閉経期前後の患者に腫瘍性病変の診断目的で行われた内膜細胞診で, 胞状奇胎を推定しえた 1 例を経験したので報告する.

    症例 : 53 歳, 女性, 5 妊 3 産. 約 2 ヵ月前に最終月経があり, 不正出血を主訴に来院した. 血清 hCG 値は 1.21×106 mIU/ml と高値で, 画像では拡張した子宮内腔に腫瘍性病変を認めた. 内膜細胞診では, 出血性背景に, 絨毛および合胞体性と中間型の栄養膜細胞を認めた. 合胞体性栄養膜細胞は, 類円形や有尾型などの不規則な形で出現し, 細胞質は厚く, 数十個までの核を認め, 異型は乏しかった. 中間型栄養膜細胞は, 孤在性からシート状集塊で出現し, 核は腫大し大小不同があり, 核縁は不整, クロマチンの軽度増量と明瞭な核小体をもち軽度の異型を認めたが, 核分裂像はなかった. 絨毛癌は否定的で, 胞状奇胎を疑った. 全摘子宮では, 20 mm 大まで水腫状に腫大した絨毛が確認され, 絨毛周囲には栄養膜細胞が全周性に軽度増殖していた. 免疫染色では細胞性栄養膜細胞が p57Kip2 陰性であり, 全胞状奇胎と診断された.

    結論 : 内膜細胞診で胞状奇胎を推定することができ, 絨毛癌との鑑別において有用であった.

  • 牧野 諒央, 河原 明彦, 安倍 秀幸, 髙瀬 頼妃呼, 福満 千容, 村田 和也, 吉田 友子, 篠田 由佳子, 内藤 嘉紀, 秋葉 純
    2021 年 60 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 腺様囊胞癌は, 悪性小唾液腺腫瘍の代表的な腫瘍である. 今回われわれは, 基底細胞様腫瘍との鑑別を要した腺様囊胞癌の口腔内擦過液状化検体細胞診 (LBC) を経験したので報告する.

    症例 : 60 歳代, 男性. 右口蓋に違和感を認め, 当院紹介となった. 内視鏡検査において隆起性病変が認められ, 潰瘍部から擦過 LBC が施行された. LBC 標本において, 異型のない扁平上皮細胞を背景に, 小型類円形を示す基底細胞様の腫瘍細胞が集塊でみられた. 明らかな篩状集塊は認められなかったが, 単調な細胞形態より腺様囊胞癌が疑われた. 腫瘍細胞は MYB 蛋白の強発現を示したため, 腺様囊胞癌を推定した. 生検組織では小型類円形の腫瘍細胞が充実性および胞巣状に増殖しており, 充実性増殖を主体とする中に二層性を含む異型腺管が混在していた. MYB 染色では腫瘍細胞に強発現がみられ, FISH 解析では, MYB 遺伝子の split signal (68%) が腫瘍細胞に検出された. これらの所見より腺様囊胞癌と診断された.

    結論 : 本例は基底細胞様腫瘍との鑑別を要したが, 臨床情報, 細胞所見および MYB 染色などの総合的な判断により腺様囊胞癌の組織型推定は可能であった.

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