日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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12 巻, 2 号
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原著
  • 林 直子
    1998 年 12 巻 2 号 p. 45-58
    発行日: 1998年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    要 旨

    臨床でがん患者のPain Managementに携わる看護婦のうち,効果的なPain Managementを行う看護婦が疼痛緩和ケアを行う際に判断根拠としていることを明らかにすること,さらに疼痛緩和をもたらす看護婦とそうでない看護婦との相違を明らかにすることを目的として調査を行った.がん専門病院に入院中の患者3人とそのケアにあたった看護婦23人を調査対象とし,参与観察,自記式調査票およびインタビューにて患者の痛みの経時的変化,ケア内容とケア施行者,ケアの判断根拠に関するデータを収集し,看護記録の内容と併せて分析の対象とした.その結果,患者に疼痛緩和をもたらす看護ケアの判断根拠は「専門的知識」「患者のアセスメントによって得られた情報」「看護婦自身の経験」の3つに大別された.また疼痛緩和をもたらすケアを行った看護婦と行わなかった看護婦について知識テストを用いて比較したところ,前者は後者に比べ得点が有意に高かった(p<.01).本研究の結果からも,がん患者のPain Managementにおいて,ケアに携わる臨床看護婦が適切な知識を得ていることがいかに重要であるかが示唆された.

  • ―学習教材における教育項目の選定―
    林 直子
    1998 年 12 巻 2 号 p. 59-74
    発行日: 1998年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    要 旨

    がん専門病院の1病棟に勤務する看護職27人を対象に,がん患者のPain Managementに必要だと認識する知識を問う調査を半構造的質問紙を用いて行った.その結果,Pain Managementに必要な知識は「疾患に関する知識」「痛みに関する知識」「がん患者の痛みに関する理論・概念の知識」「情報収集の実施に関連した知識」の4つの大項目に大別された.各大項目はいくつかの中・小項目から構成され,「痛みに関する知識」を構成する中項目「疼痛緩和ケア」の小項目「薬物治療」は全記述の半数近くを占めていた.そこで「薬物治療」に関する項目を中心とした「Pain Managementに必要な知識項目リスト」(全19項目)を作成し,このリストを用いてがん専門病院2施設に勤める看護職316人を対象に,各項目の重要度,精通度,および知識を問う調査を行った.その結果,「強オピオイド鎮痛薬(モルヒネ)の副作用及びその対応」「癌患者が持つ痛みの原因」「痛みの閾値に影響を及ぼす因子」の3項目は重要度,精通度共にスコアが高く,精通度についてはがん専門病院における臨床経験満5年以上が5年未満より全項目でスコアが高かった.知識テストの平均は10.4点(19点満点)で満5年以上と5年未満との間で得点に有意差が認められた.対象全体の正答率が40%を切る設問は「痛みの発生機序」に関する設問(正答率17%),「異なる鎮痛薬に変更する際の換算方法」に関する設問(正答率26.9%)等であった.本研究の結果をもとに,がん患者のPain Management初心者を使用対象に想定した学習教材を作成することとした.(約650字)

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