日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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22 巻 , 1 号
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原著
  • 廣岡 佳代, 小松 浩子
    22 巻 (2008) 1 号 p. 3-11
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,ターミナル期にあるがん患者の自己の支えを振り返る体験とその意味を明らかにすることである.緩和ケア病棟に入院中のがん患者5名を対象に,現象学的アプローチを参考とし,非構成的面接,半構成的面接を行い,Colliazi. Pの方法を参考に分析を行った.自己の支えを振り返る体験の意味をまとめた結果,以下が見いだされた.【他者とのつながりの中で,自分らしさを保つ】は,重要な存在である他者との関係の振り返りを通して得られるものであり,今の自己を成り立たせる基盤や安心できる存在の確認を意味していた.【自己を肯定的に受け止める】とは,つらい状況に向き合い,その中でどう在るかと考えていくことを意味していた.【自分らしさを高めていく】とは,これまで行ってきた仕事や好きなことの振り返りを通して,その意味や価値を見いだすことであった.これは,自分らしさの感覚を高め,より自分らしく在ることを意味していた.研究協力者は,自己の支えの振り返りを通して,困難な状況の中でもより自分らしく在ることを求め,生きようとしていることがうかがえた.

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  • 笹原 朋代, 三條 真紀子, 梅田 恵, 樋口 比登実, 篠田 淳子, 柴山 大賀, 宮下 光令, 河 正子, 数間 恵子
    22 巻 (2008) 1 号 p. 12-22
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー

    要 旨

    <背景>がん診療連携拠点病院の増加に伴い,緩和ケアチーム(PCT)が急増しているが,PCTが具体的にどのような支援をするのかは明らかでない.

    <目的>これまで先駆的な活動をしてきた一大学病院で活動するPCTの支援内容を,参加観察法を用いて明らかにする.

    <方法>2004年2~10月,緩和ケア診療加算算定以前から活動を行う一大学病院のPCTメンバー3名を対象とし参加観察を行った.観察場面は特定せず,PCTメンバーと病棟スタッフや患者・家族,その他の職種との相互作用の過程でとった言動を観察した.観察した事柄についてフィールドノーツを作成し,内容分析の手法を参考として分析を行った.

    <結果>PCTの支援内容は,82のサブカテゴリから成る7つのカテゴリに整理された.すなわち,【症状緩和】【患者の精神的サポート】【治療目標の明確化】【療養場所の選択・移行のサポート】【看取りが近い患者のサポート】【家族のケア】【医療者への教育・サポート】であった.加えて,PCTがよりよく機能するための基盤作りについて,6つのサブカテゴリから成る1つのカテゴリが得られた.

    <結論>先駆的な活動をしてきたPCTが実際に提供している支援内容が明らかとなった.これは,PCTの具体的な活動指針になる点で非常に有用と考えられる.

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  • 掛屋 純子, 掛橋 千賀子
    22 巻 (2008) 1 号 p. 23-30
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,前立腺がん患者の排尿機能・排便機能・性機能に対する自己評価および精神的負担感が自尊感情に及ぼす影響について明らかにすることである.外来通院中の前立腺がん患者を対象にアンケート調査を行い,102名を分析対象とした.対象者の平均年齢は,71.1±7.1歳であった.自尊感情を予測するのに重要な変数として年齢,治療期間,排尿機能・排便機能・性機能に対する自己評価および精神的負担感を重回帰分析ステップダウン法を用い分析した.その結果,すべての独立変数によるモデルⅠの重相関係数(R)は0.506,決定係数(R2)は,0.192(自由度調整済み),モデルⅡの重相関係数(R)は0.474,決定係数(R2)は0.201(自由度調整済み)であり,モデルⅠとモデルⅡの決定係数の増分(ΔR2)0.009 は,有意ではなかった.モデルⅡを構成する2変数では,排尿障害負担感(β=0.238,p=0.018),性機能障害負担感(β=0.231,p=0.024)で自尊感情に有意に影響していることが明らかになった.このことは,機能的な評価よりも患者の精神的負担感が自尊感情に影響するといえる.

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  • 佐藤 冨美子
    22 巻 (2008) 1 号 p. 31-42
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究は乳がん体験者の術後上肢機能障害に対する主観的認知尺度を作成し,信頼性および妥当性を検討することを目的とした.尺度原案は文献および乳がん体験者,医師,作業療法士を対象とした面接調査による質的なデータを基盤として,5段階のリッカート尺度をもつ腫脹,痛み,肩関節可動域の縮小,知覚鈍麻,筋力の低下,皮膚のひきつれ感に関する12項目で作成した.次に看護研究者9名と看護実践者8名を対象に尺度原案の内容妥当性を検討し,3項目加えて15項目にし,修正した.信頼性および妥当性の検討を目的とした調査は2回実施し,被験者1が56名,被験者2が150名を対象とした.その結果,尺度のCronbach’s α係数は0.88~0.92であり,項目と全体の相関係数は被験者1の調査でrs=.41~.80(p<.01),被験者2でrs=.37~.84(p<.01)と有意な相関が認められ,内的整合性が確認された.因子分析では1因子が抽出されたが,治療や看護が異なる15項目を個別に捉える尺度として分析した.日本版上肢障害評価表との相関係数はrs=.26~.71(p<.01~.05)で,5~26項目と有意な正の相関がみられた.VASとの相関係数はrs=.25~.50(p<.01~.05)で有意な相関がみられ,基準関連妥当性が確認された.また,表面妥当性は支持された.臨床的妥当性の検討では,尺度15項目が14.0~69.3%の対象者に認知されていた(被験者2).したがって,本尺度の信頼性および妥当性は保持されていると考えられた.今後,本尺度は乳がん体験者の身体状況を測定する研究や,術後上肢機能障害の予防緩和に向けた介入のアセスメントツールの一つとして活用が可能であろう.

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  • 新貝 夫弥子, 横内 光子, 国府 浩子
    22 巻 (2008) 1 号 p. 43-54
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究は,乳がんの術前化学療法を受ける患者の栄養状態の変化を明らかにすることを目的とした.2004~2007年に初回術前化学療法を受けた乳がん患者50名を対象とし,診療記録の栄養指標となるデータについて統計的に分析した.全対象者の平均年齢は48.7(SD±9.0)歳で,DOC療法―FEC療法の順に治療を受けたレジメンⅠ群が31名(62%),FEC療法―DOC療法の順に治療を受けたレジメンⅡ群は19名(38%)であった.分析の結果,対象者全体で化学療法後のBMIは有意に増加していた.2元配置の分散分析では,体重,血清アルブミン,血清総蛋白では交互作用が認められ,レジメンによってこれらの変化のパターンが異なることが示された.レジメンⅠ,Ⅱ群いずれも前半化学療法後に,血清総蛋白と血清アルブミン値の有意な低下が認められたが,レジメンⅠ群では後半化学療法後にいずれも有意な増加があり,改善傾向がみられた.レジメンⅡ群では,後半化学療法後にも血清アルブミンと血清総蛋白の有意な低下と体重の有意な増加が認められており,浮腫や体液貯留による体重増加の可能性が考えられた.血清総コレステロールは,化学療法前後で両群とも有意な上昇が認められた.以上から,従来の症状と食事量の減少に対する指導のみならず,過剰な食事摂取の予防や,浮腫の助長を予防する食事や生活の注意を含めた指導の必要性が示唆された.

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  • 森 一恵
    22 巻 (2008) 1 号 p. 55-64
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,患者が移植の自己決定した過程および,病名告知から移植実施に至るまでの身体的問題,心理・社会的問題を明らかにし,造血幹細胞移植(以下,移植)を受ける患者の自己決定を支援するための看護介入プログラムを開発することである.

    半構成的質問紙を用いた面接を,研究参加に同意を得られた18~55歳の移植を受けた患者(13名)に行い,対象者が移植を医師から説明され決定し,移植を受けるまでの期間における身体的苦痛について内容を分析した.

    その結果,移植に関する受け止めは,『命が助かる』,『移植しかない』,『先延ばしできない』,『病院に来なくて済む』の4つのカテゴリーに分類され,疾患や治療の解釈がさまざまであった.特に意思決定するまでの気持ちの揺れと迷いは,〈移植の目的の再確認〉〈自己の有能さの再確認〉の2つのフィードバックの過程であると考えられた.医師から提示された移植を外発的動機づけによって選択した後,気持ちの揺れや迷いに対処して内発的動機づけによる移植の自己決定へと転換する過程であり,一度行った意思決定を移植までの期間に前向きに進めるためには,Deciの認知的評価理論が適応できると考えられた.

    移植を受ける患者の自己決定を支援するためには,自己決定の過程での気持ちの揺れや迷いに対処できることが必要である.これらのことから,認知的・情緒的・教育的支援と積極的傾聴を用いて内発的動機づけによる自己決定を支援するための看護介入プログラムを開発した.

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  • 庄村 雅子
    22 巻 (2008) 1 号 p. 65-76
    公開日: 2017/01/19
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    要 旨

    本研究の目的は,死にゆくがん患者と家族員が,患者に死が訪れるまでの期間に,どのような相互作用をしているのかと相互作用の影響要因とを明らかにし,患者と家族員との相互作用を支え,末期の危機にある両者が日々の事柄にうまく対処していけるような看護援助を検討することである.ここでは相互作用を,患者と家族員が,さまざまな思いを抱きつつ,あらゆる形のやりとりによって,お互いの認知,感情,思考,行動に影響しあうさまと定義する.4組8名の患者と家族員を対象に,両者の間のやりとりや思いを中心に,参加観察法,面接法によって調査し,質的帰納的分析を行い,以下を明らかにした.

    死にゆく患者と家族員との相互作用は,【互いの気遣いによる支えあい】,【互いの気遣いをめぐるすれ違い】,【互いに真実へ触れないことによる安定の保持】,【希望へ向けた取り組みによる支えあい】など8つであった.相互作用の影響要因は,家族の関係性,家族の対処機制など6つが導かれ,また相互作用の中心的意味の検討から,患者と家族員との結びつきを強める,両者の人間的成長が促される,両者の間の溝を深めうる,の3つの成りゆきが表された.

    死にゆくがん患者と家族員が日々の事柄にうまく対処していくためには,両者の相互作用とその影響要因および成りゆきの関係性に着目し,相互作用を支える看護援助が重要である.

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  • 神間 洋子, 佐藤 禮子, 桑原 麻理子
    22 巻 (2008) 1 号 p. 77-85
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,脳機能障害をもつ原発性悪性脳腫瘍患者が体験する苦悩を明らかにし,苦悩を緩和するための看護援助を検討することである.脳機能障害をもつ原発性悪性脳腫瘍患者6名を対象に,半構成的面接調査法と参加観察法によりデータ収集し,質的帰納的分析を行った.その結果,脳機能障害をもつ原発性悪性脳腫瘍患者の苦悩は,最終的に,【A.悪性脳腫瘍罹病の脅威】【B.死との対峙】【C.自分らしさの喪失】【D.自己尊厳の低下】【E.生活力の減退】に5分類された.これら5分類の苦悩の性質から導かれる本質的苦悩は,「悪性脳腫瘍がもたらす生命の危機」(A,B),「実存に関わる自己存在の傷つき」(C,D),そして,「生活者としての自立性の低下」(E)であると考えられた.このことから,脳機能障害をもつ原発性悪性脳腫瘍患者が体験する苦悩を緩和するためには,悪性脳腫瘍がもたらす生命の危機に伴う患者の苦しみをありのままに認め患者自身が自分の病状を受容できるように助ける,悪性脳腫瘍患者が残存する脳機能を生かして最大限自立した生活を実現できるよう支援する,悪性脳腫瘍患者が抱く自分らしい存在感を尊重し肯定的価値を支える看護援助が必要であると考える.

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  • 近藤 由香
    22 巻 (2008) 1 号 p. 86-97
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,がん患者の漸進的筋弛緩法(以下,PMR)介入による効果を免疫力を含めた生理学的評価より明らかにすること,またPMRによる体験内容を明らかにすることである.15名のがん患者を対象に2週間PMRを介入し,実施前後に唾液中分泌型免疫グロブリンA(以下,S-IgA),収縮期血圧値,脈拍数の測定を行い,実施後にインタビューを行った.その結果,S-IgAは実施後有意に上昇しており,収縮期血圧値と脈拍数も実施後ほとんど有意に低下していた.PMRについての主観的な体験は内容分析の結果,10カテゴリーが抽出され,そのうち【肯定的な気持ちになれる体験】が1週間,2週間共に最も多くの割合を占め,2週間後にはさらに増加していた.しかし【習得のプロセスで感じる困難さの体験】も挙げられたことにより対象の状態に合わせて指導していく必要性も示唆された.また,がんについての体験も6カテゴリー挙げられ,対象者はPMRを通して,研究者にがんの発症からの経過や今後に対して不安,また自分ががんになってしまった悔しさなど,がんについての思いも語っていた.2週間のPMRの体験は,S-IgAを上昇させたり,がん患者の心身をコントロールしていくために有効な技法であること,またPMRの指導の関わりを通して,がん患者の思いを表出できることが示唆された.しかし,がん患者は症状が悪化しやすいため,状態の落ち着いている時期からPMRの指導を行い習得できるよう支援していくことが重要である.

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  • 横田 美智子, 秋元 典子
    22 巻 (2008) 1 号 p. 98-107
    公開日: 2017/01/19
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    要 旨

    本研究の目的は在宅で終末期がん患者を介護した家族の体験を明らかにすることである.対象は訪問看護を受けながら終末期がん患者を在宅介護した家族員(遺族)15名(13家族)で,半構造化面接を実施し,面接内容を逐語訳し質的帰納的に分析した.分析の結果,在宅で終末期がん患者を介護した家族の体験は【無力さを感じる】【医療・保険制度に不満と怒りを感じる】【介護者自身の心身の安定を求める】【介護の主体者であることを自負する】【専門職者とのつながりを支えに頑張る】【患者に死期が迫りつつあることを意識し苦悩する】【介護に奮闘する】【患者の状況に気持ちがゆれる】【在宅介護の良さも困難さも実感する】【介護の力を高める】【家族成員間のつながりを再認識する】【新しい家族の姿を模索する】の12に集約された.明らかにされた12の体験には,以下の4つの特徴があることがわかった.すなわち“患者の死の過程に向き合い苦悩しながら生存と安楽を願う”,“介護を担う重責を感じ学習し介護の力をつけていく”,“医療職者との密接なつながりと専門職者間の連携を支えとし在宅介護を継続する”,“在宅介護がもたらす家族関係の変化と新たな家族の課題に対処する”.考察を通じて,家族が主体的にがん患者の介護を学ぶ力をもち,家族の新しい課題に対処しようとしていることが示唆された.

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