日本がん看護学会誌
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23 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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総説
原著
  • 永井 庸央, 遠藤 恵美子
    23 巻 (2009) 1 号 p. 21-30
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    研究目的は,マーガレット・ニューマンの「健康の理論」のもと,造血幹細胞移植後,困難な状況で長期外来通院中の成人前期男性患者と看護師がパートナーとなって,患者が自己の軌跡をなぞり自分全体のあり様を認識する看護支援を行い,それによって患者の病気体験にどのような変化が生まれるかを探究することであった.研究デザインは実践的看護研究のもとで,ニューマンが提唱する解釈学的・弁証法的方法を採用した.研究参加者は30歳代男性患者4名であった.データは面談の内容と研究者のジャーナルであった.参加者らの病気体験は,「自分の人生の表面的な振り返りと直視できない病気体験の開示」,「自分の本音の気持ちを模索して表出」,「現在の困難な状況にある自分の承認」,「新しい気づきと自己成長」という4つの局面を経て変化し,ニューマンが主張する‘いまの自分自身のあり様を認識することから得る洞察による人間の成長’の様を示した.本支援は,移植後長期間困難な状況にあり,発達課題の達成に苦悩している成人前期男性患者に役立つという示唆を得た.

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  • 石本 万里子
    23 巻 (2009) 1 号 p. 31-43
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,病気になる以前から家族としての歴史を持った終末期がん患者と家族が,死別を意識し苦難が多くても在宅で過ごしながら時間と空間を共有する中で,家族として象徴的な意味づけや価値を持った行動を今の状況に調和させて日常的に行うことによって,相互の関係性を深めたりそれぞれのアイデンティティを確立するといった肯定的な感情や認知をもたらすプロセスであるEnrichmentとして明らかにすることにより,終末期の在宅療養を継続していくための新たな看護の示唆を得ることである.

    訪問看護ステーションから紹介され研究参加に同意を得た家族介護者15名を対象に,半構成的面接によって得たデータを質的帰納的に分析した.

    その結果,患者と家族の歴史や関係性を踏まえて行われる出来事(Enriching event)には,[これまでの日常的な交流から生まれる出来事][今までどおりできなくても二人で取り戻す出来事][終末期になって近づいた二人の出来事][一度きりでも大きな意味をもたらす出来事]の4つのカテゴリーが抽出され,これらの出来事には≪二人の日常に幸福感がもどる≫≪感動や喜びを分かちあう≫≪残された二人の時間を創りかえる≫≪互いの安心感を伝えあう≫≪相手が今は元気でいることを実感する≫≪一緒に生きてきたことを互いに認めあえる≫≪相手の人生に想いを馳せる≫≪二人の時間がよみがえる≫≪相手の自尊心や威厳を再認識する≫といった9つの意味づけが含まれていた.そしてこれらの出来事を繰り返し意図的に行うことで,家族介護者は【なじんできた生活を最期まで保つ】という介護の意味づけを見いだしたり,【二人の絆が強まる】【自分の気持ちを整える】【自分の存在意義を見いだす】といった成果がもたらされていることが明らかになった.

    終末期がん患者との苦悩の多い日々を自宅で過ごす中で,家族介護者が短時間でも豊かな気持ちになることや,肯定的な認知が得られて自分の人生を認められるようになることは,予期的悲嘆や患者の死後の悲嘆の過程に向き合う力になると考えられ,日ごろのかかわりから患者と家族がこれまでの生活の中で大切にしてきたことや人生の意味づけを引き出す看護支援が必要であることが示唆された.

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  • 西村 歌織
    23 巻 (2009) 1 号 p. 44-52
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究は,喉頭全摘出術を受ける選択をした患者が,手術直前の段階で自己の置かれている状況をどのように認識しているかを明らかにすることを目的とした.データは喉頭全摘出術の目的で入院した患者5名への参加観察と半構成的面接により収集し,以下の手順で分析した.①自己の置かれている状況に対する認識や評価についての内容を文脈を踏まえ簡潔な一文にまとめる,②個人データの整理:類似した内容の文を集め,カテゴリー間の関連を見ながら表題をつける,③個人のデータが整理された後,全員の内容をまとめ,共通性のあるカテゴリーに表題をつける.

    分析の結果,【喉頭摘出に至ることの必然性】,【納得できず受け入れがたい現実】,【喉頭を取ってしまうことが最善である願い】,【生き続ける可能性を与えられた自己】の4つのカテゴリーが明らかとなり,喉頭がんで失声までも負う手術を受けることに不本意さを感じながら,それが最善と認識し向き合おうとしていることが明らかとなった.看護においては,患者が手術を納得したと思われる表現をしても,実際は納得できずためらいを感じていることを理解することが必要である.

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研究報告
  • 齊田 菜穂子, 森山 美知子
    23 巻 (2009) 1 号 p. 53-60
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究は,外来で化学療法を受けるがん患者が,治療を受けながら生活をしていくうえで知覚している苦痛を明らかにするために,外来で化学療法を受けているがん患者に対し,面接を通して治療を受けながら生活をするうえで苦痛を感じている内容を抽出することを試みた.外来で化学療法を受けているがん患者の5割以上が苦痛と知覚する症状は,身体的症状では「倦怠感」,「脱毛」,非身体的症状では「治療に来なければならないという思い」,「ほかの患者と待たなければならない」,「仕事や家事への影響」で,上位10項目中6項目が非身体的症状であった.がん患者が知覚する困難や気がかりな内容は,『長期化する治療への苦痛』,『治療を受ける体力への不安』など治療に関する苦痛や不安が6カテゴリー,『家族が病気のことを心配する』,『家族が協力してくれない』など家族への不安や不満が6カテゴリー,そして『仕事への不安』,『経済面への不安』,『常に病気のことが頭から離れない』,『死に対する不安』,『医療者の対応』,『相談できる人がいない』,『社会の偏見』の計19カテゴリーであった.家族への不安や不満など家族関係は化学療法の副作用の知覚に影響するため,患者が化学療法による副作用や不安を最小限にし,QOLが維持できるためにも,家族に患者へのサポートの大切さやサポート方法を援助していく必要があることが明らかになった.

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  • 山中 愛子, 神里 みどり
    23 巻 (2009) 1 号 p. 61-69
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,終末期がん患者にアロママッサージを実践しているセラピスト看護師は患者から何を汲み取り,何を働きかけているのか,患者との間で生じている相互作用を明らかにすることである.アロマセラピーに関する専門資格を有し,終末期がん患者にアロママッサージを実践している看護師10名を対象に,半構成的面接を行ない,質的帰納的に分析した.その結果,患者との間に生じているセラピスト看護師の相互作用では9つのカテゴリーが,セラピスト看護師と患者の両者に共通して1つのカテゴリーが抽出された.セラピスト看護師はマッサージ全体を通して【相手の幸せを希求し最善のケアへ挑戦】する気持ちをもち,【意識を集中し相手の波長を汲み取る】作用を受けながら,【相手を尊重したケア行動】を実践し,患者に働きかけをしていた.マッサージ前には【アセスメントにより精油を調合】し,マッサージ中には【手で身体状態を看ることができる卓越した技】を駆使し,【相手の反応に応じたさらなるアセスメント】をし,マッサージが患者に合っているか確認していた.また患者の身体に触れながら【相手から受けるエネルギー】を感じていた.マッサージ後には【相手の良好な反応による充実感】を感じながら,患者に【症状緩和に関する教育】を実施していた.セラピスト看護師はマッサージ開始後から,患者と【精油による効果を共有】していた.セラピスト看護師はマッサージをしながらケアリング行動をとっており,アロママッサージはケアリングを実践する一つのツールになる可能性があり,看護ケアの一つとして普及させ,実践する価値は高いと考える.

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  • 酒井 篤子, 稲吉 光子
    23 巻 (2009) 1 号 p. 70-81
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,ホスピスで療養するがんサバイバーにとっての生活の豊かさとはどのようなものであるか,さらに,彼らは終末期の生活の中で自らの生活の豊かさをどのように変化させているかを明らかにすることである.研究参加に同意を得た4名のホスピスで療養するがんサバイバーを対象として,半構成面接法と診療カルテによる付加的情報をもちいてデータ収集を行い,得られたデータを質的帰納的に分析した.

    その結果,生活の豊かさの要素として,【人生に価値を見出す】,【他者とのつながりを深める】,【内的なまとまりをつける】,【変化との釣り合いをとる】,【意のままに生きる】,【困難と折り合いをつける】の6主要カテゴリーが明らかになった.さらに,生活の豊かさの変化の要素として,{豊さの実現のために感受的な姿勢をもつ},{豊さを取り込むための心的エネルギーを内的な方向へ向ける},{日常的な生活を重視することへ豊さの価値基準を移す},{状況と調和して流動的に豊さを創り上げる}の4要素が明らかになった.

    ホスピスで療養するがんサバイバーにとっての生活の豊かさは,希望を見出す要素との類似性があったが,内的なまとまりをつけることにおいて安らぎの空間を得ることが重要視されている点に特徴があった.さらに,生活の豊かさの変化は,がんサバイバーの生活の豊かさの発展性であり,それは彼らの自己成長のプロセスであると考えられた.

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  • 今泉 郷子, 稲吉 光子
    23 巻 (2009) 1 号 p. 82-91
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    【目的】がんサバイバーのコントロール感覚の概念の特性を明らかにする.【方法】データ収集:1996~2007年8月で,Medline・CINAHL・CiNiiなどを用いて,コントロール感覚とがんサバイバーなどをキーワードに検索し,がんサバイバーのコントロール感覚に関する内容の説明が提示されているもの38件を選定した.データ分析:Rodgersの概念分析の手法を用いて,対象文献から概念の属性・先行要件・帰結を抽出し内容分析を行い概念の特性を見出した.【結果】がんサバイバーにおけるコントロール感覚概念は,幅広い時期と状況の中で活用されていた.サバイバーとしてのコントロール感覚は〈多様性〉があり〈状態の変化〉を生じ,自らが〈関与している〉ことを〈認識的〉に了解できること,がんサバイバーとしての不確かさをも含めた人生に〈精通している〉という属性を持ち,先行要件として〈信念〉,〈他者との関係性〉,〈自己への信頼感〉,〈がん情報の量と質〉が存在し,帰結として〈生活の質〉,〈より良い適応〉,〈がんとの共存〉につながっていることが明らかになった.【考察】“がんサバイバーにおけるコントロール感覚”とは,変化する状況の中でがんサバイバーらがダイナミックに多様性を持ちながらも生活の質と適応を求め,がんとの共存という未来に向け変化し続ける人間の本質的なありようであり,がんという驚異的な出来事をともに携えながらも,未来に向けた可能性を見いだすことにつながる重要な概念である.

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