日本がん看護学会誌
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24 巻, 2 号
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原著
  • 秋元 典子, 森 恵子, 中塚 幹也
    2010 年 24 巻 2 号 p. 5-14
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/01/13
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    要 旨

    本研究の目的は,若年子宮頸がん患者の手術決意過程を明らかにし,看護実践への示唆を得ることである.対象は,初発の子宮頸がんのために子宮頸部手術を受けた20歳以上30歳未満の女性9名で,退院後約6週間が経過した外来受診時に半構成的面接を行い質的帰納的に分析した.その結果,若年子宮頸がん患者の手術決意過程は,【一瞬の衝撃】に始まるが,『信じられる医師の存在』と【背中を押してくれる身内の存在】により【迷いのない手術決意】をし,それ以降『医師以外の情報の遮断』および【入院できる環境づくり】をして入院に至る過程であった.衝撃を一瞬のものにしたのは,【がんを取っても産めるという医師の太鼓判】と『出産への強い願い』であった.一方,【迷いのない手術決意】後【疑いの浮上】が起きる場合があった.その場合,【疑いを晴らす試み】をして疑いが解決すれば『詮索の中止』をする.『保身による質問の遠慮』をして疑いが解決できない場合であっても『詮索の中止』をして,【医師に従うしかないと手術決意】する場合もあった.また,この過程で『遊んでいる女という偏見への怯え』を抱え込む患者もいた.さらに,この手術決意過程にかかわる看護師の存在はきわめて希薄であった.看護師は,患者に迷いや疑問が生じた時,電話や電子メールによる相談にのることで,手術決意過程における人的資源となりうる存在であることを示していく必要があると示唆された.

研究報告
  • 佐藤 大介, 佐藤 冨美子
    2010 年 24 巻 2 号 p. 15-23
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    目的:術後1年以内までの前立腺がん患者の排尿機能障害および性機能障害の対処行動とQOLとの関連を明らかにすることである.

    方法:前立腺全摘除術後患者76名(平均年齢65.9歳)を対象とし,自己記入式質問紙調査を実施した.

    結果:対象者の78.9%が排尿機能障害を,90.8%が性機能障害を,69.7%が排尿機能障害と性機能障害の両方を認知していた.対処行動である「問題への取り組み」とQOLの下位尺度である家族社会面(rs=.44,p<.01),機能面(rs=.35,p<.01),「外的資源の活用」と家族社会面(rs=.26,p<.05),心理面(rs=.25,p<.05),「積極的気分転換」と家族社会面(rs=.34,p<.01),機能面(rs=.25,p<.05)とには有意な正の相関がみられた.また,「問題への取り組み」と身体面(rs=-.29,p<.01),「自己統制」と身体面(rs=-.31,p<.01),「陰性感情発散」と機能面(rs=-.40,p<.01)には有意な負の相関がみられた.

    結論:術後機能障害を認知している前立腺全摘除術後患者の対処行動とQOLとの関連からは,術後機能障害に直面している患者のQOL向上に向けて,その対処行動を高める支援の必要性が示唆された.具体的には問題解決に向けて社会におけるさまざまな人達との交流を営んでいく能力を高める支援,外部から得られるさまざまな解決方法を患者自身が選択し活用していく能力を高める支援,術後機能障害に影響する合併症を管理し気分転換を促す支援である.

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