日本がん看護学会誌
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25 巻 , 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
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原著
  • 内海 知子, 藤野 文代
    25 巻 (2011) 2 号 p. 6-13
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    がん罹患者数が増える中,初期の病期であるステージⅠという段階で治療を受ける人々も増えてきている.ステージⅠでの5年生存率は,胃がん・子宮がんでは90%以上であり,がん体験者としてその後の人生を生きる人が多いことを示している.しかし,病期のうちでも初期に焦点をあてた研究は少ない.本研究は,ステージⅠで手術療法を受けた胃がん患者がどのように病気を受けとめていくのか,そのプロセスを明らかにすることを目的とした.手術後5年以内である27名の研究協力者から半構造化面接法によりデータ収集し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析を行った.ステージⅠで手術を受けた胃がん体験者が病気を受け止めるプロセスは,【がん診断により限定された生に直面】するが,『偶然戻った生に気づく』ことを経て,【取り戻せた生を生きる】という1方向への変化のプロセスであった.そしてその変化には,【がん診断と手術により変化した生活の回復】と,【日常性の回復】による『初期のがんであったことの恩恵を受け取る』ことが必要であった.看護支援では,変化した生活の回復と日常性回復のための具体的方略の提示が有効と考えられた.さらに身近にあるがん情報との相互作用の場面が多かったことより,提供する情報は,同じ病院で治療を受けたがん体験者の声などのリアリティがあること,いつでもアクセスできる媒体での提供,長期間に対応した内容であることが求められていることが示唆された.

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研究報告
  • 横田 宜子, 上村 智彦, 小田 正枝
    25 巻 (2011) 2 号 p. 14-23
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    Jonsen 4分割表を用いた臨床倫理カンファレンスが医師と看護師に与える影響と,臨床現場の医師と看護師がとらえる臨床倫理的問題とは何かを検証した.2006年3月より血液内科病棟で週1回の臨床倫理カンファレンスを実施,医師3名と看護師10名を対象に,臨床倫理カンファレンスに関する半構成的面接を行い,質的帰納的方法でデータ分析した.看護師への影響要因は14カテゴリー,4つのコアカテゴリー,<自己成長>,<プライマリーナースの自覚>,<チームアプローチの重要性認識>,<達成感を得る>を導きだした.医師への影響要因は8カテゴリーと4つのコアカテゴリー,<自己成長>,<チームアプローチの重要性認識>,<看護師の変化を知る>,<チーム全体の意欲が増す>を導いた.医師・看護師が臨床倫理的問題ととらえていることは6つのカテゴリー,<患者の不信感・拒否>,<重大な決定機会の多さによる不安・ゆらぎ>,<対処能力の未熟さ>,<治療方針へのジレンマ>,<医師と看護師のコミュニケーション不足>,<医師は患者の心理面を考える機会が少ない>を導きだした.看護師はJonsen 4分割表をまとめることが患者・家族を全人的にとらえる機会となり,医師も看護師の成長が病棟全体の雰囲気の変化につながると実感していた.臨床倫理カンファレンスは,看護師が医師にケア目標を提案する機会,医師が看護師の意見を知る機会ととらえており,医療チームの情報ツールとして機能しつつあった.医療現場の臨床倫理的問題を解決に向けて意見交換する機会となり,患者の全体像を把握するうえで有用である可能性が示唆された.

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  • 内山 美枝子
    25 巻 (2011) 2 号 p. 24-34
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究は,乳がんを体験した女性が治療過程で生じる心身苦痛体験を浮き彫りにし,その構造モデルを生成することを目的とする.治療を終えているまたは治療中の乳がん女性7名に半構造化面接法を実施し,質的帰納的分析を行った.治療過程で乳がん女性が体験していた苦痛体験として,初診時では《医療任意》の状況で診察が行われ,《命の意識化》をしながら《待つ間の苦悩》を体験していた.入院までは常に〈がん嫌悪〉を抱き,死を意識した生活を送りながら,《予後の想定》と《思うまま対処》を繰り返していた.また,入院から手術療法時までは,治療を決意しても《強葛藤》は続く.術後は《予想外の心身反応》が出現している一方で,〈無表現を解決とする不一致感〉と〈医療内の自己疎外〉を受けていた.追加治療説明時は治療への否定的な思いが《心身逆行》として現れた.そして,生活より治療が優先されることから《自己疎外》を感じながらも医療においては《弱者感》を抱いていた.追加治療では《不可抗力で妨げられる治療》の中,放射線療法では被曝に対する〈潜在的恐怖との闘い〉を体験しながら,〈継続維持の努力〉につとめていた.化学療法では《副反応との関連づけ》を行いながらも〈通常をふるまう生活〉を送るとともに〈左右する治療継続感〉で揺らいでいた.内分泌療法では〈ホルモン抑制でおこる身体異変徴候〉が出現する一方で,《治療への客観視》をし《闘病維持》をしていた.定期受診では,《心身消耗状態》のなかでも《身体責任感》のもと努力していた.しかし,闘病を〈支えになる体験者情報の提供〉によって保っているが,受診のたびに《病の意識》が強く蘇っていた.この構造から,乳がん体験者は治療時のみでなくその過程においてもなおさまざまな苦痛を体験していることが浮き彫りとなった.またそれが女性としての性役割にも強く影響を及ぼしていたことが明らかとなった.

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  • 熊谷 有記, 前川 厚子, 阿部 まゆみ, 国府 浩子, 田渕 康子
    25 巻 (2011) 2 号 p. 35-42
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,終末期がん(肺・胃・直腸結腸)患者の予後予測項目に対する訪問看護師と病院看護師間の評価の相違を明らかにすることである.

    独自に作成した予後予測項目を用いて,がん看護領域における臨床経験5年以上の看護師に質問紙調査を行った.協力が得られた訪問看護師27名,病院看護師17名を分析対象とした.

    訪問看護師と病院看護師が適切と評価した予後10日の項目例は,肺がんで安静時の呼吸困難,胃がんで腹水貯留,直腸結腸がんで尿量減少/無尿であった.予後3日の項目例は傾眠と尿量減少/無尿で,肺,胃,直腸結腸がんすべてに共通した.両者が適切性を認めなかった予後10日と予後3日の項目例は褥瘡であり,肺,胃,直腸結腸がんすべてに共通していた.訪問看護師だけが適切と評価した予後10日の項目例は,肺がんで発語減少,胃がんでベッドから起き上がれない,直腸結腸がんで嚥下困難,予後3日の項目例は,肺がんで昏睡,胃がんで脈の緊張,直腸結腸がんで不整脈の出現であった.

    訪問看護師と病院看護師の双方が適切と評価した項目は,がんの浸潤や身体機能低下等から生じる症状であり妥当性があると考える.両看護師間で異なる評価が出現したのは,療養の場で用いる機器や薬剤の違いが考えられる.シームレスケアを提供するためにも,両看護師がとらえる予後予測項目の相違に考慮して,情報を共有する必要がある.

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  • 宋 菜緒子, 井上 智子
    25 巻 (2011) 2 号 p. 43-51
    公開日: 2016/12/27
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    要 旨

    本研究の目的は,抗がん剤臨床試験の経過に伴う患者の体験を明らかにし,求められる看護示唆を得ることである.第1相または第2相の抗がん剤臨床試験に初めて参加する患者7名を対象として,臨床試験開始前から終了時における体験について半構成的面接調査を行った.得られたデータは現象学的に分析した.

    分析の結果抽出された29のテーマは,臨床試験の経過に伴い2つの時期に分けられた.

    <臨床試験の説明前から意思決定までの体験>は,対象者は,がんの診断や進行による衝撃の体験を経て,何もしなければ死という現実に追い詰められていた.<臨床試験の導入から終了までの体験>は,対象者は臨床試験の負担に困惑し継続をためらいながらも,自分にはこれしかないと奮起していた.そして,常に転移やがんの進行の恐怖に囚われながら,臨床試験による制約に責務として従っていた.また,臨床試験が中止となった対象者は,がんの進行に慌てふためき突然のことに戸惑っていた.

    看護師は,進行期のがん患者が,これしかない臨床試験に参加するという脆弱性を十分に考慮して積極的に負担の軽減に努めるとともに,臨床試験の結果にかかわらず患者の生き方を支え続けることが必要である.

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