日本がん看護学会誌
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26 巻 , 1 号
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原著
  • 吉田 久美子, 神田 清子
    26 巻 (2012) 1 号 p. 4-11
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    治療に取り組んでいる多くのがん患者は,心身の安定を得るためにさまざまなセルフケアの継続が求められている.その継続にはセルフケアの基盤となるセルフケア能力の獲得と活用が重要と考える.本研究の目的は,がん治療を受ける際に必要となるセルフケア能力を明らかにすることであった.同意が得られた治療中のがん患者20人にインタビューを実施し,結果の信頼性を高めるため,論理をもとに推論できるKrippendorffの内容分析を行った.がん患者のセルフケア能力は看護師やその他の医療従事者の関与あるいは患者自身が体験から獲得した能力であった.そして【体調の変化をとらえる能力】,【自主的に判断し保健行動を形成する能力】,【がんの存在にとらわれないよう思考を和らげ進む能力】,【人とのつながりを保ち社会生活を調整する能力】,【生き方を見つめ自己の発達を促す能力】の5つの大表題と11の表題より表された.このセルフケア能力はセルフケアを促すための総合的な能力であることが明らかになった.

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  • 山内 栄子, 秋元 典子
    26 巻 (2012) 1 号 p. 12-21
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,喉頭摘出者の術前から退院後1年間の他者とのコミュニケーションを通したコミュニケーション方法の再構築過程を明らかにし,その過程を支援する看護実践への示唆を得ることである.対象は喉頭全摘術を受ける頭頸部がん患者12名で,術前から退院後1年間にわたって参加観察および半構成的面接を行い修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.

    その結果,喉頭摘出者の他者とのコミュニケーションを通したコミュニケーション方法の再構築過程は,『伝わらないことによって膨張化した欲求不満状態からの脱却化』を図る過程であった.この過程は,失声の予告が引き起こした〈声を失うことのイメージ化〉および【命と声の引き換え】の覚悟を持ち【喉頭発声機能喪失下での伝達の再適正化・再円滑化・効率化】を目指すことから始まり,術後の【相手を見て・合わせて・ひたすら伝える】ことを起点に生じた3つのサイクル,すなわちさらなる【喉頭発声機能喪失下での伝達の再適正化・再円滑化・効率化】を図るサイクル,【伝わらない伝えられない・話せない話さないことへの欲求不満の膨張化】を引き起こすサイクル,〈人とのコミュニケーションを楽しむ〉および【極限までに縮小化されたコミュニケーションからのわずかな拡充化】を図るサイクル,および【伝わらない伝えられない・話せない話さないことへの欲求不満の膨張化】を起点に【命と声の引き換え】の覚悟を想起するサイクル,の計4つのサイクルが相互に連動して循環するなかで患者は〈欲を出す〉ようになり,その欲を原動力としてさらなる【極限までに縮小化されたコミュニケーションからのわずかな拡充化】を図り,それがまた4つのサイクルを動かしていくという循環型の過程であった.患者自身が自然に〈欲を出す〉まで待ち続けその時の到来を見逃さないこと,〈欲を出す〉までに患者および周囲の人が体験する苦悩を緩和すること,という看護実践の必要性が示唆された.

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  • 森 恵子, 秋元 典子
    26 巻 (2012) 1 号 p. 22-31
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,食道切除術後の回復過程において補助療法を受けた患者の術後生活再構築過程を明らかにし,看護実践への示唆を得ることである.対象は,食道がん治療目的で食道切除術を受け退院後6カ月以上経過し,術後補助療法が終了している外来通院中の患者22名である.外来受診時に半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析した.

    その結果,食道切除術後の回復過程において術後補助療法を受けた患者の術後生活再構築過程は《生活圏の狭小化》および《命と引き替えに生活圏の狭小化を受け入れ自分流の暮らし方を獲得する》をコアカテゴリーとする過程として説明できた.この過程は,【予想をはるかに超えて苦痛と化した摂食・嚥下行動】が引き起こす『元には戻りそうにない実感』から始まっていた.この実感を『食べられなくなるのは当たり前』と捉える患者がいる一方で,『食道の手術を受けたことの意義を自問する』ことと『誰にでも起こることかどうか思い迷う』気持ちが交錯するが『食事にまつわる症状を他患と比べる』ことで納得する患者もいた.前者・後者ともにこの段階で『命と引き替え』と言い聞かせ,『今まで通り暮らしていくことの難しさ』に直面しながらも『周囲の期待を回復への糧にする』気持ちで『食べる量を増やすための試行錯誤を重ねる』試みを続けていた.しかし,この試みは術後補助療法により長期化し,これが『失職に伴う経済的困窮への懸念』および【活動可能範囲の狭まり】をもたらしていた.しかし,患者は,『命と引き替え』と言い聞かせたことを想起し自分の身体状況を客観視することで『時間の経過に伴う回復の実感』および『摂取可能量増加に伴う回復への期待』が生まれ,『これまでの生活を改め,健康に留意した生活を送る』という新たな価値観を身につけ,『慣れる努力をしつつ自分流の暮らし方を探す』ことで最終的に生活の再構築に至っていた.また,術後に生じた【転移・再発・新たな部位へのがん発症への怯え】が常に患者の心の根幹に存在していた.

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研究報告
  • 佐藤 恵子
    26 巻 (2012) 1 号 p. 32-40
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    近年,がん患者・家族の交流の場としてがんサロン(以下,サロン)が設けられてきている.本研究は,がん患者や家族がボランティアとして看護師と協働でサロンを運営している場合において,ボランティアのサロンにおける体験を明らかにすることを目的とした.ボランティア8名に半構造化面接を行い,サロンに対する思いについての語りを抽出した.分析は質的帰納的方法で行った.結果,ボランティアの体験は,【がんで悩む人の元気回復への願い】,【サロンの必要性を実感】,【自己の存在意味の強化】,【対応の困難感】,【メンバーへの信頼】,【自分自身への癒し】の6コアカテゴリーに分類された.ボランティアは,がんで悩む人の力になりたい,元気を取り戻して欲しいという,【がんで悩む人の元気回復への願い】があり,そのためには気持ちを話すことが大切であり,実際共感しあえるなど,【サロンの必要性を実感】した.また,自分の人生を生かしたい,訪問者の役に立てたと実感するという,【自己の存在意味の強化】を体験した.一方,自己嫌悪におちいったり,訪問者の深刻な話に戸惑い,【対応の困難感】を感じた.対応の困難感は,【メンバーへの信頼】を深めることで対処できた.そして,サロンの体験がボランティア自身の気持ちの安定につながり,他者の生き方が学びとなる,自分自身の生かし方がみえてくるなど,【自分自身への癒し】となった.この癒しの体験は,がんサバイバーとして,新たながんに対するコントロール感覚の獲得を意味していると考えられる.医療者は,ボランティアの葛藤やニーズを理解し,共にいることの支援を継続していくことが重要と考える.

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  • 八尋 陽子, 秋元 典子
    26 巻 (2012) 1 号 p. 41-49
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,ターミナル期がん患者の看護実践経験を積んできた看護師が患者の自己決定支援に関して持ち合わせている価値観を明らかにし,患者の自己決定支援への示唆を得ることである.ターミナル期にある成人がん患者の看護実践経験が4年以上の看護師16名を対象に,半構成的面接を行い質的帰納的に分析した.分析の結果,【患者が最期まで自分の意思で決定する】,【患者が決定したことを何としても実現させるためにチームに働きかける】,【患者が希望すれば残りの時間を自宅で過ごせるよう支援する】,【家族が患者の意思を尊重して最期の治療・処置に関する代理決定ができるよう支援する】,【患者の自己決定への揺らぎを共有し,何度でも自己決定をやり直せるよう支援する】,【残りの時間を考慮して患者の自己決定を尊重できるようケアを工夫する】,【患者の自己決定内容の実現が及ぼす負の影響を考慮してケアを実践する】の7つの価値観が明らかとなった.患者の自己決定支援への示唆として,患者が正しい病状認識のもとで最期まで自己決定できることを重視し,代理決定や医療チームへの働きかけを含めた多様な方法で自己決定を尊重すること,患者が自宅での療養を希望した場合には,在宅療養を可能にするための要である家族に対して社会資源と医療者のサポート体制について十分な情報提供を行うこと,さらに,患者の自己決定内容の実現が及ぼす負の影響を考慮し,患者の安全を保証するケアを提供したうえで患者の自己決定内容実現を支援すること,が得られた.

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  • 堀河 美和, 清水 安子, 瀬戸 奈津子
    26 巻 (2012) 1 号 p. 50-61
    公開日: 2016/12/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,日本におけるがん化学療法を受ける血液・造血器疾患患者への看護師による口腔ケアの実態を明らかにすることである.日本血液学会研修施設の当該病棟看護師長と病棟看護師を対象に郵送による横断的・自記式質問紙調査をした.対象看護師長には,施設の概要・標準的口腔ケアなどについて,対象看護師には,看護師の属性・実施している口腔ケアについて調査した.

    対象施設497施設中172施設の協力が得られ1,746部の質問紙が回収できた(回収率30.4%).そのうち,有効回答は1,735件(99.4%)であった.氷片の含嗽は化学療法による口腔粘膜炎発生予防に効果的だが,実施しているとの回答は13.0%で,効果のないイソジン含嗽は78.6%と非常に高い割合だった.予防目的でのイソジン含嗽使用の割合は,施設内にがん看護専門看護師がいる場合は,いない場合より有意に低かった(χ2=15.698,df=1,p<.05).口腔内観察開始を口腔粘膜炎発生後に開始すると回答した割合は,院内にがん看護専門看護師,あるいはがん看護領域の認定看護師がいる場合は,いない場合より有意に低かった(χ2=24.274,df=1,p<.05).

    今回の調査で明らかになった口腔ケア実施状況での問題は,豊富な知識や熟練の技術を必要とするものではなく,まずは,口腔ケアに関する最新の基礎知識を得ることだけでも,大きく改善すると思われる内容であると考える.さらに結果は,口腔ケアの向上を図るうえで,がん看護の専門性の高い看護師の役割が重要であることを示唆していた.

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