日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
検索
OR
閲覧
検索
27 巻 , 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
原著
  • 今泉 郷子
    27 巻 (2013) 3 号 p. 5-13
    公開日: 2016/12/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    目的は,進行食道がんのために化学放射線療法を受けた初老の男性食道がん患者が,いかにして食道がんを生き抜いていくか,そのプロセスを明らかにすることである.対象は,進行食道がんのために化学放射線療法を受けた60~70歳代の男性食道がん患者11名で,半構成的面接にてデータを収集し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析した.

    結果,食道がんの脅威の中を生きるだけではなく,食道がんを超えて生きる知恵を生み出すプロセスが示された.対象者らは,食道がんを告げられ,【食道がんの脅威の中を生きる】という衝撃の中を,自分の[からだと対話する]ことによって【食道がんを生き抜くために自分が動き出し】ていた.このことが【食道がんの脅威の中を生きる】ことを脱して,【食道がんを超えて自分の人生を生きる】ことへと,プロセス全体を大きく転換させていた.そして対象者らは,古い価値観やこだわりを捨て[新しいペースをつくり出]し,がんになった人生であっても,自分の人生を生き抜いてきた証として人生の意味を見いだした.そして[自分自身に誇りをも]ち,【がんを超えて自分の人生を生き】ようと変化していた.

    食道がんという疾患や侵襲の強い治療に伴う障害を改善し,対処するだけに留まらず,がんサバイバーシップの観点に立つがん看護実践に向けて,がんを超えて生きる力を支えていくこと,特に自分のからだと対話しながら,自分で動き出すという転換点に焦点を当てた看護を探究することが看護実践への示唆となった.

    抄録全体を表示
  • 黒田 寿美恵, 秋元 典子
    27 巻 (2013) 3 号 p. 14-23
    公開日: 2016/12/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    研究目的は,外来外照射療法適用決定後治療開始前のがん患者が必要とする情報の詳細と患者の内的世界とを明らかにし,外来外照射療法を受けるがん患者のセルフケアを促進する治療開始前の看護支援への示唆を得ることである.外来外照射療法開始前のがん患者21名に半構造化面接を実施し,Krippendorffの内容分析の手法を用いて分析した結果,がん患者が必要とする情報の詳細は,有害事象の種類および出現時期・部位・程度,治療がもたらす生活上の制約,原爆との相違点,抗腫瘍効果に関する客観的指標,治療にかかる費用,受けた人の体験談など,12大表題に類型化された.また,患者の内的世界は,病状の悪化や死の意識がもたらす脅威の知覚,がんの不確かさへの憂慮,ほかに選択肢はないという覚悟,長期間を要する治療であることに由来する困惑など,16大表題に類型化された.外来外照射療法開始前の看護支援への示唆として,がん患者が必要とする情報の12の大表題に関する内容を治療開始前に提供することで,患者が外来外照射療法をコントロールできる感覚を獲得できるようにする,集学的治療を体験した患者に過去に受けた治療に対する不満がある場合には治療開始前に解消する援助を行う,など計4つが得られた.

    抄録全体を表示
研究報告
  • 近藤 美紀, 外崎 明子
    27 巻 (2013) 3 号 p. 24-32
    公開日: 2016/12/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究は成人同種造血細胞移植体験者の心理的適応状況の評価指標となる質問紙を作成し,これを通して心理的適応状況を把握することと,加えて心理的適応にかかわる身体状況,気分状態との関係を明らかにすることを目的とした.文献検討と同種造血細胞移植体験者のインタビューから「自尊感情」「肯定感」「安定感」「満足」の4つの下位概念27項目の質問紙原案を作成し,同種造血細胞移植後3年未満の体験者69名を対象に調査を実施した.項目の分析と因子分析の結果,心理的適応質問紙は「自尊感情」「肯定感」「安定感」「満足」の4つの下位概念16質問項目となり,内的一貫性による信頼性(Cronbach’s α係数=0.72~0.88)が確認された.SF‒36v2との間に相関が認められ(r=0.63,p<0.01)併存的妥当性が確認された.精錬後の心理的適応質問紙を合計した得点と身体状況の関係においては,慢性GVHD(移植片対宿主病)あり群で有意に心理的適応得点が低く(p=0.026),倦怠感などの身体症状の得点が高いと心理的適応得点が低いという有意な負の相関が認められた(r=-0.58,p<0.01).質問紙の検証から移植治療によって変化した身体や生活でも状況を肯定的に評価する心理的適応が存在し,心理的適応とQOLの間に相関関係があることが示された.

    抄録全体を表示
  • 横浜 優子, 森 一恵
    27 巻 (2013) 3 号 p. 33-41
    公開日: 2016/12/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,ギアチェンジ後に一般病棟に転院したがん患者のターミナルケアを行う看護師のジレンマと対処方法を明らかにすることである.ギアチェンジ後に大学病院から転院したがん患者のターミナルケアを行う一般病棟の看護師11名に半構成的面接を行い,内容分析を行った.

    分析の結果,看護師のジレンマは,【医療者と患者の間でのギアチェンジへの認識の相違がある】【理解力がある患者に家族の希望で真実が伝えられない】など6カテゴリーが抽出された.看護師のジレンマへの対処方法は,【相談やかかわりの中で自分の気持ちに対処する】【忘れることやあきらめで自分の気持ちに対処する】【チームでケアができるよう調整を行う】など7カテゴリーが抽出された.

    本研究より,ギアチェンジ後に一般病棟へ転院したがん患者のターミナルケアを行う看護師のジレンマの背景には,医療者と患者の間でのギアチェンジへの認識の相違があった.そして,患者・家族・医療者がターミナル期の共通の目標をもつことができないために看護師のジレンマが起きていることが明らかになった.その背景には,現状についての不十分な認識から,患者・家族の心理が揺れ動いていることが考えられた.ジレンマに対処するためには,患者・医師・看護師間での情報共有のための調整と,患者が主体的に症状緩和に取り組めるような支援が必要であると考えた.

    抄録全体を表示
  • 小島 悦子, 林 直子
    27 巻 (2013) 3 号 p. 42-53
    公開日: 2016/12/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,がん患者の倦怠感の概念特性を明らかにすることである.2011年8月までで,キーワードを医中誌Webは「倦怠感」「がん」,CINAHL,MEDLINE,PsycINFOは「fatigue」「cancer」として検索し,がん患者の倦怠感に関する論文から62文献を選定した.Rodgersの概念分析の手法を用いて,対象文献から概念の属性,先行要件,帰結を抽出した.分析の結果,【エネルギー低下】【不確かな感覚】【制御不能性】【変動性】の4つの属性と,【がんの疾患特性と治療パターン】【内的・外的環境の変化】【基本属性】の3つの先行要件が抽出された.さらに,【対処行動】【QOLの低下】【生存期間の短縮】の3つの帰結が導き出された.本概念は「身体的・精神的・認知的な【エネルギー低下】を伴う【不確かな感覚】で,がんやその治療,【内的・外的環境の変化】の影響を受けながらレベルやパターンが多様に【変動】し,【制御不能性】の感覚をもたらす」と定義された.倦怠感の緩和はがん看護における重要な課題であり,身体症状やストレスのマネジメントを強化することや生活機能を維持する支援が有用と考えられた.また,日本におけるさまざまな種類のがんや治療における倦怠感の変動性や効果のある対処方法を明らかにしたうえで,対象の状況に適した介入プログラムの考案,ソーシャルサポートシステムの構築が,今後の課題である.

    抄録全体を表示
  • 中澤 葉宇子, 上杉 英生, 細矢 美紀, 森 文子
    27 巻 (2013) 3 号 p. 54-62
    公開日: 2016/12/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    目的:本邦のがん対策推進基本計画では医療従事者の育成が重点課題となっているが,明確な指針はなく,研修の質の保障が課題となっている.われわれは,がん診療連携拠点病院のがん看護の教育担当者を対象とした研修を実施している.研修は,効果的に研修を企画・運営する能力の習得を目的としており,研修の最終的な目標はがん患者へのケアの質を向上させることである.本研究の目的は,「がん看護研修企画・指導者研修」受講者の研修後の変化を評価することである.

    方法:研修は講義とグループワークで構成し,2日間で実施した.調査は研修前・研修直後・研修約6カ月後の計3回,自記式質問紙を用いて実施した.対象は2010年度の受講者102名,調査項目はpilot testで実行可能性と内的整合性が得られた指標:研修企画・運営の実践に関する3ドメイン【研修の立案と準備】【研修の実施】【研修の評価】19項目(クロンバックα:0.72~0.87),研修の企画・運営に対する自信に関する4項目(クロンバックα:0.93)を用いた.

    結果:研修前・研修直後102名(回答率100%),研修約6カ月後94名(回答率92%)から回答を得た.受講者の約半数が研修企画・運営の経験年数2年未満であった.実践に関するドメインスコア平均値は,学習達成度の評価の実施や評価基準の設定などに関する【研修の評価】について,研修前19.4から研修約6カ月後21.7と変化した(p=0.004,effect size=0.43).また,研修の企画・運営を行うことなどに対する自信のトータルスコア平均値が研修前8.2,研修直後12.6,研修約6カ月後10.3(p<0.001,effect size=0.50)であった.

    結論:受講者の研修後の自己評価によって,受講者の研修企画・運営に関する実践と自信が改善した.本研究の結果,研修プログラムの有効性が示唆された.

    抄録全体を表示
  • 木全 明子, 嶺岸 秀子
    27 巻 (2013) 3 号 p. 63-70
    公開日: 2016/12/13
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,動物介在活動を体験した終末期がん患者に,活動に伴う心身への影響を聞き取り,主要な影響を見出すこと,看護実践への示唆を得ることである.対象は,緩和ケア病棟に入院中の終末期がん患者6名である.方法は,犬による施設訪問型動物介在活動の参加観察と動物介在活動前後に半構成的面接で,質的記述的に分析した.

    分析の結果,動物介在活動が終末期がん患者の心身に及ぼした影響として,【身体的安楽を得る】【幸福感を抱く】【癒しを得る】【病室が心地よい空間へと変わる】【非日常的な安らぎの時間を堪能する】【解放感が得られる】【人間と動物の絆を実感する】【自尊心が高まる】【今後の生き方を見出す】というカテゴリーが導き出された.

    死と対峙しながら入院生活を送る中で,動物と触れ合うという非日常を経験することにより,患者はさまざまな苦痛から一時的に解放され,安らぎを得ることができた.終末期がん患者にとって,家族のように近い存在と感じられる犬との触れ合いは,心身の苦痛緩和に効果的な補完代替療法として導入する意義が示唆された.

    抄録全体を表示
資料
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top