日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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30 巻 , 1 号
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原著
  • 大川 宣容
    30 巻 (2016) 1 号 p. 5-13
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    要 旨 肺がん手術後は,疼痛の残存や肺機能障害により日常生活が制限され,無力感を抱きやすい.本研究は手術を受けた肺がん患者の手術後早期における身体経験を理解し,看護援助への示唆を得ることを目的とする. 研究デザインは解釈学的現象学の手法を用いた質的記述的研究である.肺がんの診断で肺切除術を受けた手術後8 週間以内の17 名の患者に面接を行い,データを得た.分析は,Cohen ら1)の方法を参考にして行った. 手術を受けた肺がん患者の身体経験は,【普段とは違う脆弱な身体に気づく】【行動による感覚から身体の回復をつかむ】【残された肺で挑戦できる身体を取り戻していく】【周りから力を得る身体を認識する】の4 つのテーマから理解された.患者は,手術後の細かな変化を普段との違いとして捉え,身体の脆弱性を認識し,生活世界の中で身体の位置づけを考え直す.自分なりに身体の回復を確かめ,残された肺で挑戦できる身体を取り戻そうと努力し,新たな価値や自信を得る.また,周りからの支援を受けとり,信頼や気づかいの感覚を得ていく.脆弱な身体を認識するときや,回復に向けて一歩を踏み出すときに,必要なタイミングで他者からの支援を受けとることで,患者は未来に向かって挑戦できる身体を取り戻していく力を得る.
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  • 中森 美季, 荒尾 晴惠
    30 巻 (2016) 1 号 p. 14-22
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    要 旨 続発性リンパ浮腫は,いつ症状が出るかわからない.また,出現した症状にも個人差が大きい.患者自らが患者にしかわからない微細な変化に気づけるかどうかが大切である.そこで,本研究では,がん術後の続発性リンパ浮腫をもつ患者による症状の気づき(awareness)に関する概念を明らかにすることを目的とした.看護学,医学,社会学,心理学の領域から抽出した文献と関連書籍の20 資料を分析対象とし,Walker &Avant の手法を参考に分析を行った.分析の結果,がん術後の続発性リンパ浮腫をもつ患者による症状の気づきの属性は,「自己への注目」「違和感」「普段の状態からの変化」「関心の高さ」「危機感」であった.以上に基づき,がん術後の続発性リンパ浮腫をもつ患者による症状の気づきとは,「リンパ浮腫の発症のリスクへの危機感やこのような自分への関心をもつことで,自分に注目し,違和感や普段の状態からの変化といった感覚をもつというリンパ浮腫の症状や徴候に対して主観的に感知する概念で,リンパ浮腫に関する知識や経験,生活への支障,症状の辛さ,がん治療後の身体の捉え方に影響を受ける」と定義された.本概念は,セルフモニタリングといった症状をマネジメントしていく概念に包括され,セルフモニタリングにおける対処や管理の対象である症状を認知するために必要な概念である.そのため,症状の早期発見においては,重要な概念であり,より具体的で効果的な援助を考える基本となるといえる.
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  • 山中 政子, 鈴木 久美, 佐藤 禮子
    30 巻 (2016) 1 号 p. 23-33
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    要 旨 研究目的は,がん疼痛のある進行肺がん患者の情動体験を明らかにすることである.がん疼痛のある進行肺がん患者12 名を対象に,参加観察と半構成的面接を行い,質的統合法(KJ 法)で分析した.がん疼痛のある進行肺がん患者の情動体験は,【悲観的意識の自己調整と周囲の支援によって心身の回復が得られる実感】【痛みの緩和がもたらす安心感とがんからの解放】【麻薬性鎮痛薬への懸念ゆえの自助努力と痛み増強時の最終手段としての受け止め】【完治できなくとも現状維持するための療養への取り組み】【心の拠り所や信仰,新たな生きる意味を糧とした療養への取り組み】【がんと死の経過を想定した予測的対応による死の恐怖が和らぐ実感】の6 つに統合され,回復意欲に基づいた自律的存在として社会の中で生きるための取り組みであり,死期に向けた予測的対応へと帰結するものであることが示された.がん疼痛のある患者への看護実践のあり方として,心身の回復への期待感を高め回復意欲を促すこと,自律的存在として社会で生きることを支えることが必要であると考える.
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  • 仙波 美幸, 小松 浩子
    30 巻 (2016) 1 号 p. 34-44
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    要 旨 本研究の目的は,前立腺全摘除術後のがん患者の尿失禁の自覚的重症度,情緒的支援の認知とQOL の関係を明らかにすることである.術後尿失禁のある患者77 名に,対象者の属性,尿失禁の自覚的重症度(ICIQ-SF),他者からの情緒的支援の認知(情緒的支援ネットワーク認知尺度),QOL(尿失禁特異性QOL 尺度日本語版キング健康調査)について自記式質問紙調査を行った.記述統計,各変数の相関を求め,QOL を従属変数とする階層的重回帰分析を行った.結果,対象者の尿失禁の自覚的重症度は中等度,「全般的健康感」と有意な差は認めず,排尿による「生活への影響」,日常の活動7 項目すべてと有意な差を認めた.階層的重回帰分析では日常の活動「身体的活動の制限」「心の問題」で有意な変化があり,「身体的活動の制限」は尿失禁の自覚的重症度,情緒的支援の認知「その他」(β=.618,p<0.01,β=-.230,p<0.01)と,「心の問題」は尿失禁の自覚的重症度,情緒的支援の認知「職場」(β=.419,p<0.01,β=-.236,p<0.10)と主効果の直接効果を認めたが,どちらも交互作用項に有意な差は認めなかった.術後のがん患者は排尿による「生活への影響」を感じ生活している.その中で,日常の活動「身体的活動の制限」はその他の人の情緒的支援の認知を,「心の問題」は職場の中の情緒的支援の認知を感じることで尿失禁の生活の影響を和らげることに繋がることが考えられた.看護師は局限性前立腺全摘除術(RP)後の尿失禁の自覚的重症度を的確に捉え,情緒的支援の認知を評価し,日常生活の影響を身体的,心理的(精神的)に細やかに支援することが必要である.
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  • 徳岡 良恵, 林田 裕美, 田中 京子, 香川 由美子, 古谷 緑
    30 巻 (2016) 1 号 p. 45-53
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    要 旨 【目的】進行・再発治療期のがん患者・家族を看護するうえで訪問看護師が感じる困難と学習ニーズを明らかにする.【研究方法】研究参加者:訪問看護師18 名.データ収集:半構成的質問紙による面接法と質問紙調査.分析:進行・再発治療期のがん患者・家族を看護するうえでの困難と学習ニーズについて語られている部分を抽出しカテゴリー化した.【結果】進行・再発治療期のがん患者・家族を看護する上での困難は,《治療の継続・中止に関わる介入に思い悩む》《先の見えない不安への対応に悩む》《化学療法に関連した知識がわからない》など9 カテゴリー,困難の解決に向けた学習のニーズは,《化学療法に関する基礎知識を得たい》《最新の薬物療法について学びたい》など7 カテゴリーが抽出された.【考察】進行・再発治療期のがん患者・家族に対する訪問看護師の看護実践上の困難は,倫理的問題,看護を実践するうえでの拠り所となる知識や技術,在宅ケアの提供システムに関することであった.訪問看護師のがん看護実践上の困難を軽減し,地域で患者・家族を支えるためには,看護倫理や最新の知識,コミュニケーション技術や精神面の援助を含めた教育の必要性が示唆された.
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  • 髙尾 鮎美, 荒尾 晴惠
    30 巻 (2016) 1 号 p. 54-63
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    要 旨 本研究の目的は,化学放射線療法を受ける肺がん患者が,治療を継続するうえで必要とする体力と,体力を維持するための取り組みについて具体的に明らかにし,治療完遂に向けた支援を考察することである.対象者は6 名で,各2 回の半構成的面接法にて体力に関するデータを収集し,質的帰納的方法で分析した.その結果,患者が捉える体力は,【がんに向き合うために不可欠なもの】【自分の体への信頼から生まれる】【心のありようを反映する】【恒常性を保つ指標】【目的に応じた行動を可能にする】の5 のコアカテゴリーに集約された.また体力を維持するための取り組みとして【体力を維持することへの強い意思を持つ】【ある程度の体力低下を受容する】【治療中の不安や葛藤と付き合う】【生死に対峙し,自分の人生を俯瞰する】【食事量を維持する】【生活リズムを調整する】【活動量を調整する】【東洋医学を取り入れる】【重要他者とのつながりやサポートを大事にする】の9 のコアカテゴリーが得られた.患者は,進行肺がんという厳しい生命予後に向き合う中,本治療を完遂するためにこれまでの人生で培ったあらゆる力を体力という言葉に集約していた.また【体力を維持することへの強い意思を持つ】のように,具体的行動だけでなく体力への向き合い方も模索していた.看護師は,体力が患者にとって身体能力以上の意味を持つことを理解し,心身両面から支援することが重要である.
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  • 小西 玲奈, 秋元 典子
    30 巻 (2016) 1 号 p. 64-72
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    要 旨 本研究の目的は,がん薬物療法に起因する脱毛が発現した成人男性患者の職場復帰時の感情,考え,対処を明らかにし,必要な看護実践について検討することである。脱毛したまま職場復帰した成人男性患者6 名に,半構造化面接を実施し,Krippendorff の内容分析の手法を用いて分析した結果,【自然な姿ではないことの恥ずかしさ】【就業に脱毛は無関係】【脱毛対処行動決定要因は自分と他者との関係性】【自己イメージ回復への切望】【他者への配慮としての脱毛カムフラージュ】の5 大表題に類型化された。このうち,【自然な姿ではないことの恥かしさ】および【他者への配慮としての脱毛カムフラージュ】は,先行研究結果とは異なる新しい知見であった。看護実践として,かつら装着や眉を描くという対処を選択しようと考えている患者には,職場復帰までに物品の準備とコントロール感覚を掴めるような実践トレーニングが必要であること,かつら装着の健康上の意義を強調すること,患者のわずかの再発毛であっても肯定すること,などの支援の必要性が示唆された。
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  • 笹井 知子, 雄西 智恵美
    30 巻 (2016) 1 号 p. 73-81
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    要 旨 目的:本研究は,進行肺がんの診断から初回治療導入の期間に患者がどのように不確かさを管理しているのか明らかにする質的研究である.方法:研究協力者15 名に半構造化面接を行い,質的記述的研究手法を用いて分析をした.結果:コアカテゴリーとして《死ぬかもしれない自己の先行きが混迷する中で,生きる道筋を見出す》が抽出された.これは,【死が迫っているかもしれない肺がんの治療の先行きが読めない】【自己が存在していく基盤が揺れ動く】という不確かさに対して【死を遠ざけて,まだ生きられると挑戦をする】【がんとつき合いながら生きる甲斐を見出していく】という生きることへ専心していく管理と捉えられた.結論:進行肺がんと診断された患者の不確かさの管理は,命を長く延ばす取り組みと生きる意味を見出す取り組みの2 つを包含していた.これは,死ぬかもしれないという不確かさの中で,周りの環境を活用しながら自己の力を駆使した生きることへの挑戦であり,進行肺がん患者の不確かさの管理の特徴であると言える.
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  • 大西 ゆかり, 藤田 佐和
    30 巻 (2016) 1 号 p. 82-92
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    要 旨 本研究の目的は,社会的認知理論を基盤に「リンパ浮腫セルフマネジメントプログラム」を開発し,短期的評価を行い,よりよいプログラムに修正することである.研究協力の得られたA 施設で,1 群事後テストデザインによる準実験研究を行った.対象者は乳がん,子宮がん,卵巣がんと診断され,リンパ節郭清術を受けた31 名である.対象者にリンパ浮腫セルフマネジメントプログラムを用いた介入を行い,質問紙調査による教育目標の達成度と教育方法の適切性,およびリンパ浮腫の初期徴候の有無からプログラムの短期的評価を行った.質問紙は,リンパ浮腫セルフマネジメントプログラムの教育目標の達成度と教育方法の適切性を問うもので,認識41 項目,行動11 項目,計52 項目で構成した.質問紙調査の結果,教育目標の達成度と教育方法の適切性において対象者の支持を得ることができた.また,ベースラインと2 カ月後の四肢の容積の変化率,リンパ浮腫の症状の項目数を比較した結果,2 名(6.5%)に初期徴候が現れたが,早期発見により重症化を予防することができた.個別分析の結果を基に,退院後の仕事などを無理なく続けるための方策に関する内容を修正し,よりよいプログラムになったと考える.社会的認知理論を基盤とし,がんサバイバーの学習を支援するためのリンパ浮腫セルフマネジメントプログラムは,患者のself-efficacy を高め,リンパ浮腫の3 つのマネジメントの習得に有用であると考える.
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