要 旨
目的:がん患者の抑うつ状態を早期発見するためのアセスメントツールを開発する.
研究方法:研究倫理審査委員会の承認を得て実施した.アセスメントツール(以下,
AT)28 項目は文献から選定し,DSM―Ⅳ―TR 大うつ病エピソードとの適合を検討した.
内容妥当性を,がん看護または精神看護専門看護師5 名を対象にした修正デルファイ法で確認した.パイロットスタディ(以下,PS)で評定者間一致率を,本調査で項目選定,構成概念妥当性,基準関連妥当性および内的整合性を確認した.がん治療目的で入院している20 歳以上の患者に対し,看護師は日勤帯に7 日間,AT を用いて評価した.基準関連妥当性の確認のために患者にはBDI―Ⅱの記載を依頼した.
結果:修正デルファイ法の結果,AT は24 項目となり,4 段階評価に1~4 点の得点を付した.PS で患者27 名を15 名の看護師がAT を用いて評価し,評定者間一致率は93~
100%であった.本調査では377 名の患者を79 名の看護師がAT を用いて評価した.項
目選定分析で21 項目となり,検証的因子分析による適合度指標はGFI=0.768,α係数は
0.932 であった.BDI―Ⅱ重症度分類別のAT 合計得点に有意な差を認め(p<0.05),基準
関連妥当性を確認した.
考察:開発したAT の内容妥当性,評定者間信頼性,構成概念妥当性,信頼性および
基準関連妥当性が確認できたが,重症度を判別する精度が課題となった.
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