目的:就労可能年齢にある進行大腸がん患者の診断時から初回治療開始前における就労に関する体験を明らかにし,がん患者の就労に関する看護支援への示唆を得る.
方法:がんの診断時に就労している20~60歳までの進行大腸がん患者10名を研究対象者とし,診断時に就労について感じたこと,行動したことなどを,インタビューガイドを用いて半構造化面接を行い質的記述的に分析した.
結果:就労可能年齢にある進行大腸がん患者の診断時から初回治療開始前の就労に関する体験は,【がんと診断されたことによって困惑する】【現実を認識しながら大腸がんに向き合っていく】【予定されている目の前の治療に向かっていく】【仕事と収入への影響について思い巡らせる】【状況をよく考え,仕事上必要な人に報告と相談の機会をもつ】【がんと診断されても就労の継続を志す】【診断から治療を迎えるまでを通して家族からサポートがあると実感する】などの9つのカテゴリーに集約された.
考察:就労可能年齢にある進行大腸がん患者は,がんの診断時から自身の仕事について思い巡らせて見通しを立て,仕事上必要な人に報告し,診断されても就労の継続を志していた.就労継続の意思を支えるうえで,看護師からも就労に影響を及ぼす可能性のある治療内容の情報提供や患者の認識の確認を診断時から積極的に行う必要があると示唆された.
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