日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
ISSN-L : 0914-6423
最新号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
原著
  • 浅海 くるみ, 村上 好恵
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_1_asaumi
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,外来薬物療法中に複数の症状を抱えた転移・再発乳がん患者の予後を見据えた外来看護の実践と困難を明らかにすることである.

    方法:都内の2施設の乳腺外科外来あるいは外来化学療法室に勤務する看護師6名に半構造化面接を実施し,質的帰納的に分析した.

    結果:薬物療法中に複数の症状を抱えた転移・再発乳がん患者の予後を見据えた外来看護の実践は,【身体的苦痛の塊から核となる症状を明確にする】【自宅療養の継続に向けて優先すべきケアを整理する】【再発告知から死を意識する時期に至る患者・家族に伴走する】であった.薬物療法中に複数の症状を抱えた転移・再発乳がん患者の予後を見据えた外来看護の困難は【悪い知らせを受けた患者との対峙に戸惑う】【心身ともに脆弱化した患者の急変を予測しにくい】【死が迫った患者と家族の動揺に巻き込まれる】であった.

    考察および結論:外来看護師は,診察までの待ち時間という限られた時間で患者の複数症状の整理とケア方略の見極めを円環的に実践していることが推察された.一方,外来看護師の実践上の困難から,緩和ケア主体の医療への転換期の患者に対する外来での「終末期の話し合い」の効果的な実施,患者の自宅療養継続に向けた外来と在宅の看護連携に課題があると考えられた.今後は,本研究の知見を基に,薬物療法中の転移・再発乳がん患者の予後を見据えた外来看護支援の体系化が必要である.

  • 小林 成光, 長坂 育代, 増島 麻里子
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_10_kobayashi
    発行日: 2021/01/08
    公開日: 2021/01/08
    ジャーナル フリー

    研究の目的は,がん罹患後に離職した就労世代のがん患者のがん罹患後から離職に至るまでの体験の過程を明らかにし,就労世代のがん患者への看護支援を検討することである.がん罹患後に離職した患者8名を対象に,記録調査,非参与観察,面接調査よりデータ収集を行い,Sandelowski M による質的記述的分析の手法を参考に分析した.

    その結果,就労世代のがん患者の体験は,【がん治療によるつらい身体症状をかかえながらでも働き続けたい】【がん治療による身体の変化に直面し,対処できずに苦悩する】【仕事について相談したいが相談できる相手を見出せない】【離職後も治療を続けながら生活していけるか不安に思う】【がん罹患や身体症状が仕事に支障をきたし,辞めざるをえない状況に立たされる】【周囲の人の発言から仕事の進退について決断する】など10のカテゴリーに集約された.また,カテゴリー間の関係性を時系列で示すと,がん罹患から離職に至るまでには,〔がん治療と仕事の両立を願い葛藤する時期〕〔がん治療と仕事の両立が困難な現実に直面する時期〕〔離職を決断する時期〕という3つの体験の過程をたどることが明らかとなった.

    就労世代のがん患者への看護支援は,就労に関する意思決定を支えること,就業継続に向けて苦痛症状を緩和すること,患者の置かれた状況に合わせた情報提供,経済的問題に関する専門家との連携が必要であると考えた.

  • 川村 三希子, 小島 悦子
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_20_kawamura
    発行日: 2021/02/19
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,在宅療養中の高齢がん患者のがん疼痛の体験と方略を明らかにすることである.

    方法:症状マネジメントモデル(Dodd, 2001)を概念枠組みとし,がん疼痛のある高齢がん患者を対象に,半構造的面接によりデータを収集し内容分析の手法を用い分析した.

    結果:対象は高齢がん患者9名であった. がん疼痛の体験には,【がんがある限り痛みとは縁が切れない】【常に痛みを意識し 暮らしの自立が妨げられる】【日々,暮らす中で,痛みの緩急のパターンが分かる】【失敗する体験から「無理できない範囲」を体得する】【指導されたとおりに鎮痛薬を使えていない】【暮らすうちに徐々に 鎮痛薬の効果を体得する】の 6 カテゴリが抽出された.また,方略には,【体の感覚を頼りに痛みによいと思う方法 を探り,試し続ける】【自分でできないと思ったことは,助けを求める】 【これまでのとらえ方ややり方を変え, 楽しみを見つけて過ごす】【体の感覚を指標に 養生し,痛くならないよう備える】【医師に痛みが伝わるよう努める】【自分が感じたままに痛みを医師に伝えられない】【医師に任せる】の 7 カテゴリが抽出された.

    考察:うまくいかなかった体験から無理できない範囲を体得し,よいと思う方法を試し続けるという方略は,在宅療養の場において,高齢がん患者が自立した生活を維持するために編み出した積極的方略ととらえ,支援することが必要である.

  • 杉本 美希, 小松 浩子, 林田 哲
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_29_sugimoto
    発行日: 2021/02/26
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,タキサン系薬剤を用いた乳がん患者の化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)と,身体活動および生活の質(HRQOL)の関連を明らかにすることである.タキサン系薬剤を用いた乳がん患者43名に対し,基本情報,疾患・治療関連情報,CIPN(Ntx subscale),HRQOL(FACT-G),身体活動(IPAQ-SF),抑うつ・不安(K6)について自記式質問紙および診療録で調査した.分析の結果,CIPNはHRQOL(r=0.55, p < 0.001),HRQOLの身体面(r=0.72, p < 0.001),精神面(r=0.41, p < 0.01),機能面(r=0.47, p < 0.01)と有意な正の相関がみられた.CIPNと身体活動,身体活動とHRQOLの相関は有意ではなかった.CIPNの症状が強い19名において,身体活動は7名(36.8%)がinactive,12名(63.2%)がactiveであった.CIPNは乳がん患者の生活に影響する症状であり,症状があっても自己管理を行い,症状に耐えて個々の役割や環境に応じて身体活動を行っている者がいることが考えられた.看護師は,CIPNによる日常生活と身体活動への影響について具体的に確認し,活動する背景について受け止めを聞き,支援することが重要である.そして,CIPNをかかえて安全に身体活動を行う方法を個別に検討することが必要である.

  • 渡邉 直美, 鎌倉 やよい, 深田 順子
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_45_watanabe
    発行日: 2021/03/23
    公開日: 2021/03/23
    ジャーナル フリー

    【目的】喉頭全摘術および下咽頭喉頭頸部食道切除術に共通する喉頭の摘出によって生じる形態・機能の変化から生活上の問題を導き出し,失声以外の生活上の問題を確定すること,それらの問題の術後経過年数による問題の程度,術後経過年数による変化および個別に工夫された対処法を明らかにする.

    【方法】喉頭摘出者の患者会に所属する喉頭摘出者1,602名に質問紙調査を実施した.799名から返送され(回収率49.9%),統計解析,内容分析を行った.

    【結果】生活上の問題は,第Ⅰ因子[永久気管孔・呼吸]:②重いものが持てない,⑧入浴・シャワー時に気管孔に水が入りやすい,⑪気管孔から異物が入りやすい,⑫気道が乾燥しやすい,⑬気管孔から出血しやすい,⑭痰が頻繁に出やすい,⑮気管孔周囲の皮膚がただれやすい,第Ⅱ因子[食事・排泄]:③排泄時にいきみにくい,④熱い食べ物をフーフーと息を吹いて冷ませない,⑤麺類や汁物をすすれない,⑥げっぷやおならがよく出る,⑦固形物が喉に詰まりやすい,⑩匂いが分かりにくい,第Ⅲ因子[運動]:①全力で走ることが難しい,⑨水泳など運動に制限が生じる,の3因子15項目が確定された.③④⑤⑧⑭は,術後経過年数により問題の程度が減少した.失声・永久気管孔・痰・食事・便秘・生活全般に関わる対処法が示された.

    【考察】①⑨⑩は対処法が示されず,術後経過年数に関係なく問題が継続するため,指導方法の確立が必要である.

  • 田代 真理, 藤田 佐和
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_70_tashiro
    発行日: 2021/04/02
    公開日: 2021/04/02
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,がん患者のACPにおける看護支援の構成要素とその影響要因を明らかにすることである.ACPの概念分析と面接調査の結果をもとに,個人属性9項目,ACPの看護支援55項目,ACPの認識11項目からなる自記式質問紙を作成した.無作為抽出した全国の病院,訪問看護事業所147施設で,経験年数5年以上の看護師に質問紙を配布し,回収は対象者からの個別投函とした.2018年6月1日から9月30日に質問紙1,354部を配付し,798部の回答が得られ(回収率58.9%),780部を有効回答とした(有効回答率97.7%).データは因子分析と重回帰分析を行った.

    看護支援の構成要素として【対話に基づく確かな情報共有】【患者の今後の希望の探求】【終末期に備えた取り決め】【患者の意向の擁護】【患者の生き方の理解】【ケアへの患者の価値観の反映】【継続的な取り組み】が抽出された.また,ACPの看護支援の影響要因として,今後の治療や意向について患者に繰り返し確認するのは当然であるという認識やACP研修受講回数,訪問看護事業所,ACPの体制整備などが正の影響を及ぼし,外来やACPの知識不足・コミュニケーション能力不足などが負の影響を及ぼしていることが示された.本研究で抽出された7つの構成要素は,がん患者のACPへの看護実践における有用な指標になると考えられる.

  • 和田 知世, 鈴木 志津枝
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_80_wada
    発行日: 2021/04/06
    公開日: 2021/04/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,低位前方切除術を受けた初発直腸がん患者の社会生活におけるResilienceの要素を明らかにすることである.低位前方切除術を受けた外来通院中の初発直腸がん患者12名を対象に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.その結果,低位前方切除術を受けた初発直腸がん患者のResilienceを構成する要素として,4コアカテゴリーと18カテゴリーが抽出された.

    社会生活において自分らしさの回復をもたらすプロセスとしてのResilienceは,術後排便機能障害とがんを患うことから【低位前方切除術後に変わってしまった受け入れがたい現実を注視する】という自己喪失の直面化を起点に,これが問題の熟考や他者の援助を引き出すものとなり【前向きな意味へと自らに備わった力を発動する】ことで自己の再統合が促進され,【変化した自分と調和のとれた健やかな暮らしが拡がる】結果が得られ,このプロセスを通して【新しく獲得された自己成長を認める】と新たな自己の獲得を含んだ心理的な動的プロセスを呈していた.

    これらから,看護者による患者の退院早期の面談を通して,患者が知覚する問題を共有する支持的な治療関係を築き,消耗する心身機能の抵抗性を高めるための日常生活支援の必要性や,Resilienceの力は他者との関係性のなかで拡がるため,患者の内省・客観的自己理解による自己の力の気づきや他者からの知識・スキルを得て新たな力を生み出す,Resilienceを理解する看護者による心理的介入の重要性が示唆された.

  • 浦 綾子, 牧 香里, 石橋 曜子, 岩永 和代, 小田 真由美, 内田 京華, 井上 雅史, 宮林 郁子
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_91_ura
    発行日: 2021/04/09
    公開日: 2021/04/09
    ジャーナル フリー

    【目的】がん化学療法を受ける患者の睡眠の特徴と影響要因を明らかにした.

    【方法】化学療法中のがん患者を対象にPSQI-Jを用いて自己記述調査を行った.影響要因はPSQI総得点による睡眠不良の有無と各変数を比較し,有意差を認めた5項目と年齢,性別を独立変数にし,変数増加法で重回帰分析を行った.

    【結果】対象者は64名,平均年齢56.4±7.2歳,消化器がんが81.3%,StageⅣが64.1%を占めた.鎮痛薬内服が31.3%,ステロイド薬内服が37.5%,睡眠薬内服が12.5%であった.PSQI総得点は平均5.2(±2.9)点で,睡眠不良が37.5%を占めた.睡眠不良の人は,入眠の所要時間が34.4±24.7分,実睡眠時間は5.9±1.2時間,睡眠の効率は84.5±12.6%で有意差を認めた.身体症状は末梢神経障害が42.2%,食欲低下が37.5%,倦怠感が35.9%,痛みが17.2%に出現した.痛み,味覚障害のある患者は,実睡眠時間が有意に短く睡眠不良であった.ステロイド薬と睡眠薬の内服,痛みや味覚障害はPSQI総得点の影響要因として抽出された(調整済みR2=0.432)

    【考察】がん化学療法はステロイド薬内服,痛みや味覚障害により睡眠が障害されやすく,睡眠薬は入眠を促す効果が不十分で,睡眠不良の患者には痛みの症状緩和を図る必要性が示唆された.

  • 安田 弘子, 二渡 玉江, 堀越 政孝
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_102_yasuda
    発行日: 2021/04/12
    公開日: 2021/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,術後膵臓がん患者が苦悩をかかえながら生きるプロセスを明らかにすることである.17名の患者に半構成面接を行い,得られたデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプロ―チに基づき分析した.

    その結果,対象者は膵臓がん告知後に,〈もう人生終わりなのか,手遅れなのか〉と動揺したが,『手術に命を懸けるしかない』と手術を受けた.術後『これからも生きられる』と実感した一方で,手術と術後補助化学療法によって〈からだも辛いし,見た目もいやだ〉と苦しんだ.〈よくなるために,自分ができることをとにかく試し〉たが効果が得られず,〈このまま死んでしまうのか〉と死に脅えた.この時,感情が生と死の狭間で行き来し,〈生きられるのか,それともやっぱり死んでしまうのか〉と悩み苦しんだ.このプロセスが【生と死の不確実性に翻弄される】を示す.時間の経過とともに〈食べられるようになってきた〉実感をすると〈死にたくない,まだやりたいことがある〉と,『自分の力で苦しみから逃れる方法を探し』た.〈普通に生活できている〉ことと,『生きることを支えてくれる人が身近にいる』ことを実感し,〈大丈夫,まだ生きられそうだ〉と感じた.このように【自己コントロール感覚を取り戻す】ことで〈生と死が不確実な時間を精一杯生きる〉と決意していた.

    看護支援では,身体的精神的苦痛を緩和し,“食べられるようになってきた”実感を促進することが重要である.

  • 八田 理恵, 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 堀口 智美
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_112_hatta
    発行日: 2021/04/22
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

    研究目的は,患者が舌がんと診断されて手術を受け,その後現在に至るまでのことをどのような体験として意味づけているのかを明らかにし,患者理解を深め,今後の看護の示唆を得ることである.研究デザインは,現象学を基盤とする質的記述的研究であり,データ収集は7名の参加者に非構造化面接法を用いて行った.分析は現象学的方法にもとづいて行った.

    分析の結果,10個の意味単位から【診断まではがん患者にしてもらえることに苦労し,手術後はもう患者なのに自分でがんから守ると決意しなければならない】【舌がん患者であることを,ことさらに気づかされる場面が日常にある】【“舌足らず”の発語が,人との関係を窮屈にさせている】【医師が治そうとしてくれた身体と命の期待に,今は自分も応えようとしている】の4つのテーマが導き出された.それは,舌の痛みを自覚した時から始まる舌がん患者になるための思いや行動,舌を喪失したことによる戸惑い,そしてそれでもなお,社会に適応していこうとする現在も含んだ舌がん患者としての生活のいとなみであった.

    看護師は患者の置かれている状況を理解し,がんサバイバーとして認め生きることへの支援,新たな食事方法を獲得するための支援,人との関係をはじめとする社会生活への支援を行っていくことの重要性が示唆された.

  • 和田 美保, 本田 彰子
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_132_wada
    発行日: 2021/04/27
    公開日: 2021/04/27
    ジャーナル フリー

    がん患者の遺族は,死別後看取りの体験を振り返った時に後悔の念を抱き,その後悔は死別の悲しみに影響すると考えられる.そこで本研究では,がん患者の遺族が抱く後悔の内容と悲嘆プロセスにおける後悔への向き合い方を明らかにすることを目的とした.患者の身近で療養生活の世話をしていた遺族11名に半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した.その結果,後悔の内容は,それらの類似性により〈生き方に関連した後悔〉〈死に方に関連した後悔〉〈関わりに関連した後悔〉の3つに分類できた.悲嘆プロセスにおいて,〈生き方に関連した後悔〉では,【故人がつないでくれた周りの人の支えに気づく】,〈死に方に関連した後悔〉では,【最期の生き方に意味を見出す】,〈関わりに関連した後悔〉では,【思いや役割を引き継げる存在であることに気づく】という振り返りをしていた.これにより,後悔の思いをとらえなおし,喪失の適応に向かう様相が示された.遺族が抱く後悔は,死別,すなわち現実的なつながりが切れたことにより生じるが,振り返りを促す思いであり,とらえなおしにより故人とのつながりを見直すプロセスの重要な一部であった.また,見出された3つの後悔の内容から,とくに医療者が関わるべき重要な後悔は 〈死に方に関連した後悔〉であり,看取り期に後悔にも目を向けたケアの充実の必要性が示唆された.

  • 飯島 美穂, 小松 浩子, 仲村 勝
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_142_iijima
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は子宮頸がん患者の就労実態と就労者の特徴を明らかにすることである.

    方法:治療開始から6カ月~6年未満の患者を対象に横断的観察研究を行った.自記式質問紙および診療録から,がん診断時と調査時の就労の有無,就業の変化,対象背景,自尊心,自己効力感,機能障害を調査した.調査時の就労の有無よる群間比較を行った.

    結果:対象者127名のがん診断時の就労者は91.3%(116/127)であった.治療開始から平均3.2(±1.5)年経過した調査時の就労者は82.7%(105/127)であった.調査時の就労に婚姻の有無(p=0.002)や子どもの有無(p<0.001) が関連していた.がん診断時と調査時に就労していた者の66.3%は,がん治療後に転職や就労時間の調整などの就業の変化があった.就業の変化があった者は有意に非正規雇用者が多く(p=0.010),復職時期が遅かった(p=0.013).

    結論:子宮頸がん患者にとって就労は経済的な安定や社会との交流となる.就労の意義を尊重し,就労環境の調整や機能障害へのセルフケアなどを含めた就労支援が必要である.

  • 原田 智子, 木村 安貴
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_158_harada
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル フリー

    【目的】進行がん患者の意思決定支援を行ううえで,終末期の話し合い(End-of-Life discussion:EOLD)の有効性が確認されているが,看護師がEOLDに同席することが困難な現状にある.そこで本研究は,進行がん患者のEOLDへの看護師の同席を阻害している要因を明らかにする.

    【方法】A県の3つのがん診療拠点病院に勤務し,がん看護を実践している8名の病棟看護師を対象にEOLDへの同席を阻害している要因について半構造化インタビューを実施し,Krippendorff の内容分析法を用いて質的帰納的分析を行った.

    【結果】対象者は男性3名,女性5名であり,臨床経験年数は,5~24年であった.インタビューから 155コードが抽出され,14サブカテゴリー,5カテゴリーに集約された.EOLDへの病棟看護師の同席を阻害している要因は【話し合いへの同席の必要性の認識不足】【医療者間の連携不足】【同席するためのシステムの不足】【話し合いにおける役割認識やコミュニケーションスキルの不足】【患者と家族の特性に応じた関わりの難しさ】であった.

    【考察】進行がん患者のEOLDへの看護師の同席を促進するためには,EOLDに看護師が同席する必要性の認識を統一することが重要である.さらに,看護師のEOLDについての知識やコミュニケーションスキルの教育をすること,感情的な患者への対応や倫理的葛藤が生じる事例においては他職種との連携を図ることが重要である.

  • 山下 慈, 小澤 尚子, 菊池 和子
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_175_yamashita
    発行日: 2021/06/18
    公開日: 2021/06/18
    ジャーナル フリー

    【目的】病棟看護師による終末期がん患者の在宅に向けた退院支援と緩和ケアの知識・実践・困難感,今後を予測した看護実践との関連を明らかにする.

    【方法】東北地方の2県に限定したがん診療拠点病院等7施設の看護師を対象に,基本属性,今後を予測した看護実践,緩和ケアに関する医療者の知識・実践・困難感評価尺度,在宅の視点のある病棟看護の実践に対する自己評価尺度の質問紙調査を行った.分析は,記述統計,因子分析,各変数間の相関を求め,緩和ケアの知識・実践・困難感,今後を予測した看護実践が在宅の視点のある病棟看護実践に影響を与えるモデルを設定しパス解析を行った.

    【結果】対象338名に調査用紙を配布,有効回答は116名である.在宅の視点のある病棟看護実践は,緩和ケアの「せん妄」「患者・家族中心のケア」「疼痛」「コミュニケーション」と「予測される事態を地域医療者と共有」の5観測変数によって適合度指標が高い十分に受容できるモデルが構築された.そのなかで,緩和ケアの実践「せん妄」と「患者・家族中心のケア」「予測される事態を地域医療者と共有」の3観測変数は,在宅の視点のある病棟看護実践の58.3%を説明した.

    【考察】在宅の視点のある病棟看護実践に直接関連した緩和ケアの実践の「せん妄」と「患者・家族中心のケア」は,「患者・家族」と「生活」に視点をおいたケアが求められ,これら2つが終末期がん患者の在宅に向けた退院支援において重要と考える.

  • 林 さえ子, 大石 ふみ子, 安藤 詳子
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 35_187_hayashi
    発行日: 2021/06/25
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,前立腺がん治療に伴う性機能障害への看護支援の実情を明らかにすることを目的とし,前立腺がんに関わる部署で 3 年以上勤務経験をもつ看護師10名に,性機能障害への関わりとその背景について半構成的面接を実施し得たデータを質的帰納的に分析した.

    看護師の関わりは〖性機能障害を抱えた患者を受け容れ問題解決に向かう〗態度と〖前立腺がん患者の性機能障害の支援に踏み込まない〗態度に大別された.{性機能障害を抱えた患者を受け容れ問題解決に向かわせるもの}には【看護師自身の志向や都合にかかわらず患者の性機能障害に向き合う姿勢】【関わりの辛さを傾聴・共感する看護師同士の支え合い】が示されていた.一方{前立腺がん患者の性機能障害の支援に踏み込みにくくさせるもの}には【性機能障害に対する看護師の思い込みや無関心】などの〖看護師の背景〗,【性機能障害を医療者に発信することへの不安と恐れ】などの〖考えられる患者の背景〗,【性機能障害に関わるための基礎・卒後教育の未整備】などの〖性機能障害に関わるシステムの未整備〗が示されていた.

    支援の促進に向け,性機能障害に関わる専門家の育成とチーム医療体制の構築,性の看護に対する看護師個々の感情に理解を示す職場風土の形成,前立腺がん患者の性機能障害に対応できる教育システムの構築,性機能障害に着目したマニュアル・ツールの作成,性に関わる倫理・行動規範の明示と遵守が必要である.

総説
資料
feedback
Top