本研究の目的は,舌がんの部分切除術を受けた患者の食事場面における心理社会的影響に関する経験を明らかにすることである.
舌部分切除術を受け術後3カ月以上経過している患者5名に半構造化面接を行い,インタビューで得られたデータは逐語録とし,質的帰納的にカテゴリーを抽出し,カテゴリーの内容を類似項目にまとめ,各カテゴリーの内容を包括するテーマの命名を行った.
舌がん部分切除術を受けた患者の食事場面における心理社会的影響に関する経験の語りから,『舌の機能低下に合わせた食べ方の試行錯誤』『滑舌の悪さから言葉が伝わりにくい不安と伝わらないもどかしさ』『舌がん術後に受けた周囲からのサポート』『社会的交流としての食事や趣味の機会の減少』『舌がん術後の症状と向き合う努力』の5つのテーマが抽出された.
研究参加者らは,舌の機能に応じて食べられるものを模索しながら機能障害に向き合っていたが,社会的交流としての食事の機会の減少を引き起こしていた.また,周囲からの配慮に感謝する一方で気遣いを負担に思うなど,日常生活のなかでアンビバレンスに直面していたことが示された.
このことから,看護師は入院中から退院後の外来受診時まで継続的に関わり,食事の価値観や生活状況,機能障害の回復過程に応じて必要な情報提供を行うなど,患者が明確な見通しをもち主体的に機能回復に向けて取り組むことができるように関わる必要があると考えられる.
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