日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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最新号
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総説
原著
  • 鈴木 久美, 大畑 美里, 林 直子, 府川 晃子, 大坂 和可子, 池口 佳子, 小松 浩子
    2018 年 32 巻 32_suzuki_20171120
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル フリー

    要 旨

    目的:本研究の目的は,乳がんおよび乳房自己検診,マンモグラフィ検診に対する健

    康信念を高めて行動変容を促進するために,乳がん早期発見のための乳房セルフケアを促す教育プログラムを実施し,その効果を明らかにすることとした.

    方法:対照群を置かない前後比較の介入研究デザインを用いた.20 歳以上で乳がん既往のない女性42 名を対象に,教育プログラムを乳がん体験者と協働のもと実施した.介入効果の検討は,定期的乳房自己検診およびマンモグラフィ検診の実施状況,日本版Champion Health Belief Model Scale(CHBMS)を用いて,介入前後で評価した.

    結果:対象は,平均年齢50.6 歳(SD=11.5)で,有職者が59.5%,乳腺疾患のある者が16.7%だった.定期的乳房自己検診実施率は,介入前21.4%に比べ介入後1 年で54.8%(χ2 値=9.389, p=0.002,効果量w=0.602)と有意に高かった.マンモグラフィ検診受診率でも,介入前23.8%に比べ介入後1 年で47.6%(χ2 値=8.100, p=0.004,効果量w=0.569)と有意に高かった.日本版CHBMS の「乳房自己検診の自己効力感」は,介入前後で有意差が認められ(F 値=34.080, p<0.001,効果量f=0.586),介入前よりも介入後1 カ月,6 カ月,1 年で得点が有意に高かった.また,90%以上の者が,プログラムを満足かつ有用と評価し,内容や方法も適切であると回答した.

    結論:本プログラムは,対象者の「乳房自己検診の自己効力感」を高め,乳房自己検診,マンモグラフィ検診への動機づけを強化し,定期的乳房自己検診実施率およびマンモグラフィ検診受診率を高める効果があることが示された.

  • 大久保 明子, 小山 千加代
    2018 年 32 巻 32_ohkubo_20171129
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,小児がんの子どもの死を契機とした看護師の態度変容過程を明らかにすることである.

    参加者は,小児がんの子どもの死を体験した看護師13 名である.データ収集は,半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて質的帰納的に分析した.

    本プロセスは,【喪失の悲しみを抱える】【関わりの中での慰めを感じる】【揺らぎつつ変えていく】【生きられる時間を意識して技を尽くす】【生の限界を了解する】という過程を辿ると考えられた. そしてその過程には,【闘病支援とターミナルケアの板ばさみに悩む】という看護師の葛藤が表出された.すなわちそれは,子どもの死を契機として,看護師が,初期には関係性の中に身を置くことで悲嘆からの回復過程を辿りながら変わり,闘病支援に葛藤しながら技を駆使して,最終的には死をも承認する態度へと変容し,成長していく過程として捉えられた.

    本結果は,新人看護師も含めて,子どものターミナルケアに関わり,最期の時まで受持つことの重要性と,そのための精神的支援,および技術的・教育的支援の必要性を示唆するものであった.

  • 大泉 千賀子, 佐藤 冨美子, 佐藤 菜保子
    2018 年 32 巻 32_oizumi_20171214
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/03/29
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,(1)治療期膵がん患者の家族のQOL,(2)家族が認知する患者の症状,療養支援状況,患者の治療状況と家族のQOL の関連を明らかにすることである.

    膵がん患者の家族67 名を対象に,基本属性,治療状況,家族の療養支援状況,家族が認知する患者の症状,健康関連QOL(SF­36v2 尺度)について自記式質問紙および診療録調査を実施した.その結果,QOL の中央値が60 歳で調整した国民標準値と比較して「日常役割機能(精神)」が有意に低かった(p<0.05).また,家族が認知する患者の症状合計得点が高い者ほど,「活力」「日常役割機能(精神)」「心の健康」が有意に低かった(rS=-0.29~-0.39;p<0.01~0.05).療養支援状況におけるQOL の比較では,患者の症状を理由とした食事に関する負担がある者ほど(p<0.01~0.05),また,経済的負担がある者ほどQOL が有意に低かった(p<0.05).重回帰分析の結果,膵がん患者の家族のQOL に影響する要因は,食事の準備や食卓を囲むことの負担の有無,家族が認知する患者の症状得点(体重減少,不安,痛み),手術経験の有無,病期,内服薬管理状況,患者と病気についての話し合い状況,医師による症状出現時の対応に関する説明の有無だった.治療期膵がん患者の家族に対する患者の症状マネジメントに関する教育および情緒的支援の必要性が示唆された.

  • 前田 節子, 山本 敬子
    2018 年 32 巻 32_maeda_20180122
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー

    要 旨

    がん患者の呼吸困難感は発生頻度が高く,がん性疼痛に比べて標準的治療が確立されていない緩和困難な症状である.呼吸困難の感じ方は個人差があるため,その評価は主観的な指標が中心となっている.本研究は,フットリフレクソロジーによるがん患者の呼吸困難感の変化を主観的・生理学的観点から明らかにし,呼吸困難感の評価指標としての自律神経活動の有用性について検討した.

    呼吸困難感のある進行期がん患者8 名に対して,(介入群)と安静臥床(非介入群)を同一対象に実施した.施術は3 日間,1 回に20 分間実施し,施術前後は10 分間安静臥床とした.介入・非介入ともに実験の全行程において,心拍計によるモニタリングを行い,交感神経と副交感神経を分離評価できる心拍変動解析を行った.測定項目は,主観的評価(呼吸困難感,リラックス感,眠気),自律神経活動(心拍数,HF・LF/HF)とした.その結果,2 群間の有意差はみられなかったが,介入群は呼吸困難感が有意に低下した(p=0.034).触圧刺激による心地よさは自律神経系に影響を与えるとされ,リラックス感や眠気の有意な増加に対応して,自律神経活動は,心拍数の有意な低下(p=0.008)および施術終了後,副交感神経活動の参考指標であるHF の有意な上昇を示した(p=0.045).また呼吸困難感と自律神経活動の相関係数は,0.25-0.80 を示した.以上より,自律神経活動は,がん患者の呼吸困難感の評価指標となりうる可能性が示唆された.

  • 小暮 郁恵, 中西 陽子, 廣瀬 規代美
    2018 年 32 巻 32_kogure_20180118
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/05/16
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,緩和ケア病棟入院中の終末期がん患者の家族が,在宅療養移行に向き合うプロセスを明らかにし,緩和ケア病棟から在宅療養移行に向けた家族への看護支援の示唆を得ることである.

    緩和ケア病棟から在宅療養移行した終末期がん患者の遺族15 名に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.

    分析の結果,緩和ケア病棟入院中の終末期がん患者の家族は,入院時には〈自宅に連れて帰れるか分からない思い〉などさまざまな思いを抱えていたが,いずれの家族も患者の命の期限を意識しながら限られた時間の中で思いを巡らし,〈入院継続と在宅療養を天秤にかけ在宅療養に傾く思い〉を経て〈「今しかない時宜」と在宅療養移行を決意〉していた.その後在宅療養移行日までの短期間において,《医療者のリードによるめまぐるしい在宅療養準備への取り組み》をする中で《在宅でも医療介護専門職者による継続支援が得られる安心感》を得て〈在宅療養に対して少しずつ前向きになる〉ことを経ながら在宅療養移行に至っていた.在宅療養移行を意識した時から《終末期がん患者を在宅で看ることへの不安》を抱きながらも,根底にある〈患者本人の“家に帰りたい願望”を叶えたい思い〉を基盤に〈いつでもこの場所に戻ってこられる安心感〉に支えられながら在宅療養移行に進んでいた.

    以上を踏まえ,早期から不安に寄り添い,緩和ケア病棟への再入院の機会を保障し,医療者がリードする在宅療養移行準備の支援の必要性が示唆された.

  • 宮原 知子
    2018 年 32 巻 31_miyahara_20180117
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/05/17
    ジャーナル フリー

    要 旨

    研究目的は,がん終末期にある患者の最期が,“患者とその家族にとって意味深い体験”となることを目指して,研究者と緩和ケア病棟に所属する看護師の協働のもとで,看護師が“患者・家族にとっての意味深いケア環境”として自らを創出していく過程を探求し,その過程を可視化することと,その過程に潜む推進力を明らかにすることであった.

    方法は,全体論の見方に立つM. Newman の健康の理論に準拠したミューチュアル・アクションリサーチ(MAR)の手法を用い,実践事例をもとに参加者の内省と自己のケアパターン認識を奨励する「対話の会」を繰り返した.データは,会の逐語録,研究者と参加者のジャーナル,研究者のフィールドノートであった.分析方法は,Newman の健康の理論を踏まえ,研究目的に即して関連する部分の意味を抽出し,過程として眺め,意味づけた.当該大学と医療施設で倫理的側面の審査・承認を受けた.

    参加者は,緩和ケア病棟における看護師17 名であった.会は20 回開催され,参加者の延べ数は126 名,取り上げられた事例は18 事例であった.

    本MAR を通して,参加者らの集合的な変化は6 局面を経ながら,らせん状に進化する過程として可視化され,そこに潜む推進力として7 つの要素が明らかとなった.

    本研究結果から,看護師らが全体性のパラダイムに準拠したNewman 理論と看護実践のつながりに関心を持ち,ケアの事例について対話を重ね,そこでの学びを実践につなげていくならばMAR は可能であり,類似したらせん状の過程をたどりながら,変化・成長を遂げていくであろうことが示唆された.

  • 日下田 那美, 神田 清子, 今井 洋子, 徳満 葉子, 藤本 桂子, 菊地 沙織
    2018 年 32 巻 32_higeta_20180226
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/05/18
    ジャーナル フリー

    要 旨

    【目的】がん化学療法による慢性末梢神経障害を抱える患者のQOL に及ぼす要因を明らかにし,今後の看護支援を検討する.

    【方法】短期入院・外来通院にてがん化学療法を施行している末梢神経障害を有する患者を対象に,一般背景,治療基盤要因,心理・社会・末梢神経障害の認知要因および

    QOL 測定尺度(FACT-G)を用いて質問紙調査を行った.データ分析は,統計ソフトIBM SPSS(Ver.23.0),IBM SPSS Amos(Ver.23.0)を使用した.

    【結果】患者174 名に調査用紙を配布し,有効回答163 名を分析した.QOL 得点は平均70.2(SD=13.23)点であった.単変量解析の結果,QOL に影響する要因は末梢神経章症状(CTCAE)と心理・社会・末梢神経障害の認知要因の8 項目であった.また重回帰分析の結果,QOL に影響する要因は治療による気がかり,ソーシャルサポート(家族内,家族外),FACT-GOG-Ntx の4 項目であった.さらに共分散構造分析の結果,QOL と治療による気がかり,ソーシャルサポート(家族外),FACT-GOG-Ntx などの9 因子に有意な関連傾向が示された.

    【考察】がん化学療法による慢性末梢神経障害を抱える患者のQOL に及ぼす影響要因が明らかとなった.看護師は慢性末梢神経障害の程度を的確に把握し,症状緩和法や対処方法について説明し,患者がセルフモニタリングを継続できるように支援する必要がある.そして治療による気がかりの内容を的確に把握し,それらの解決に向けた看護支援を行うことで患者のQOL を維持・向上できると示唆された.

  • 大川 恵, 青木 美紀子, 有森 直子
    2018 年 32 巻 32_okawa_20180221
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/05/29
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究は,乳がんに罹患したことを契機に遺伝性乳がん卵巣がん(hereditary breast and ovarian cancer; HBOC)と診断され,リスク低減手術を選択した女性の体験を明らかにすることを目的としている.

    研究協力者5 名に対して半構成的インタビュー調査を行い,そのうち4 名の協力者のデータを質的記述的方法に基づき分析を行った.

    分析の結果,乳がんに罹患したことを契機にHBOC と診断され,リスク低減手術を選択した女性の体験は【がんという病気が当事者とその周囲の人に与える影響を実感する】【いつがんに罹患しても慌てないように心構えをしながら生活する】【自分のことよりもがんや遺伝による周囲への影響を心配する】【遺伝子検査結果に抱いていた不安と期待が落胆に変化する】【リスク低減手術に対する葛藤を経て最終的にがんのリスクを減らすことを優先する】などの10 の体験が明らかになった.

    協力者らの体験から,リスク低減手術を選択した女性は,乳がんに罹患する前から,長期にわたるがんに対する恐怖心との共存があったこと,リスク低減手術の選択には葛藤が伴っていたことが示され,過去のがん体験に配慮した対象の理解を行うことや適切な情報提供を行うことが,看護として重要であることが示唆された.

  • 櫻庭 奈美
    2018 年 32 巻 32_sakuraba_20180219
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,看護師が認知機能低下を伴う高齢がん患者のがん疼痛をどのようにアセスメントしているのかを明らかにすることである.対象者は,5 年以上の臨床経験があり,認知機能低下を伴う高齢がん患者の疼痛緩和の経験がある看護師7 名である.方法は半構造化面接法と参与観察法を用い質的帰納的に分析した.結果,看護師が実践する認知機能低下を伴う高齢がん患者に対するがん疼痛アセスメントは【取り繕いの奥にある“つらさ”を推しはかる】【定まらない痛みの表現と向き合う】【時間をかけて痛みによる変化の裏付けを探す】【病態を基点に目に見えない痛みを予測する】【生活の中から“いつもの患者”を見直す】【記憶に働きかけ居心地を整える】という6 つのカテゴリに集約された.

    認知機能低下を伴う高齢がん患者に対して看護師が実践するがん疼痛アセスメントでは,患者の微細な変化を捉え,その変化の原因と内容を察知する能力が必要であることが示唆された.さらに,看護師自身の患者への関わり方についても検証し,患者の表現が痛みによる変化であるのかを複合的に判断していく必要性が示唆された.

  • 渡邉 千春, 丸山 美香, 横川 史穂子, 柏木 夕香, 三浦 一二美, 樋口 伸子
    2018 年 32 巻 32_watanabe_20180320
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/06/08
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,終末期がん患者の輸液を減量・中止する際に看護師が行う合意形成支援プロセスを明らかにすることである.機縁法により選定されたがん看護経験年数5 年以上の看護師10 名を対象に半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.

    分析の結果,看護師は,日々の患者との関わりで得られる輸液に関連した苦痛やQOL の情報から【輸液の意味の自問自答】を行い,【多職種での減量・中止の吟味】を図っていた.また,吟味された輸液の減量・中止を患者・家族に提案する際,『飢餓と悪液質との違いの説明』を基にした【輸液認識のパラダイムシフト】と〈揺れる思いへの寄り添い〉を円環的に行い合意形成へと向かっていた.これらには,減量・中止に『難色を示す家族への共感』や治療が少なくなっていく中での『見放され感への配慮』という【見捨てないことの保証】を行っていた.また,このプロセス全体を促進させる要因として,【変化する終末期の情報提供】や【可能な限りの経口摂取の促し】を行っていた.

    看護師は,終末期だからとやみくもに減量・中止の検討を進めるのではなく,多様に出現している苦痛やQOL の低下と輸液との関連性について考え判断することが重要である.また,輸液の減量や中止が行われた後も,それに伴う効果や変化を伝えていくこと,家族がどう捉えているかを確認していくことも必要である.

  • 元井 好美, 掛橋 千賀子
    2018 年 32 巻 32_motoi_20170529
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/07/04
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,外来化学療法を受けている初発乳がん患者の就労上の困難と対処を明らかにすることである.就労しながら外来化学療法を受けている初発乳がん患者8 名に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した.

    就労上の困難として【化学療法による副作用症状は仕事に支障を来たす】【治療中は全力で仕事に打ち込めない】【化学療法による副作用は女性としての外見に影響する】など8 カテゴリー,その対処として【仕事が万全にできるように自己管理する】【女性としての外見が変わらないように工夫する】【仕事をよりどころとして前向きに生きる】【重要他者を心の支えにする】など7 カテゴリーが抽出された.仕事は前向きに生きるよりどころとなっていたが,副作用症状は仕事や家事に支障を来たしていた.中でも脱毛により女性として外見が変化していくことは心理面だけでなく社会的にも影響を及ぼしていた.また,がんや副作用を抱え仕事を継続している同病者はモデル的存在となっており,交流を通してレジリエンスを獲得していた.化学療法を受けながら就労する上でアピアランスケアやピアサポートの必要性が示唆された.

  • 小池 万里子, 荒尾 晴惠, 田墨 惠子, 嘉戸 怜子, 山下 亮子
    2018 年 32 巻 32_koike_20180530
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/08/30
    ジャーナル フリー

    要 旨

    本研究の目的は,化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者が,口腔粘膜炎の疼痛に対する看護支援に対して,どのように捉えているのかを明らかにすることである.化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者5 名に,30Gy 照射後と治療終了後に半構成的面接を行い,疼痛緩和への看護支援をどのように捉えていたかについて,Krippendorff の内容分析を用いて質的帰納的に分析を行った.

    1 回目の面接では,患者は【増強する疼痛へ備えるための事前説明】と【疼痛を増強させないための看護師主導の疼痛緩和】を受け,【患者として実施すべき疼痛管理への理解】をもち,疼痛管理を継続していたが【看護支援を受けても難しい疼痛緩和】と捉えていた.2 回目の面接では治療後半の時期について語ってもらったところ,引き続き【強い疼痛に対する看護師主導の疼痛緩和】が提供され,【目的をもち患者ができる範囲でケアを行うという認識】をもち疼痛管理を継続していたが,【看護支援を受けても難しい疼痛緩和】に直面し,【個別的な看護支援の不足】を捉えていた.

    治療開始時から継続して看護師による口腔内や疼痛の観察が行われ,疼痛の増強に伴い鎮痛剤の調整が行われていたことから,対象者らは看護師主導の疼痛緩和が提供されていると捉えていた.これらは,麻薬性鎮痛剤の導入には効果的であったが,治療後半から増強する疼痛への緩和は難しい状況であった.そのため,看護師には患者の疼痛体験に寄り添い,より個別的で具体的な看護支援が求められていた.

  • 千﨑 美登子
    原稿種別: 原著
    2018 年 32 巻 32_senzaki_20180719
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/09/19
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,進行膵がん患者・家族と看護師とのパートナーシップの過程における相互行為がどのように行われたのか,その特徴を明らかにし,それらによって成し遂げられる彼らの療養体験の変容を明らかにすることであった.

    デザインは事例研究で,大学病院で切除不能化学療法を受ける膵がん患者3名・その家族各1〜3名計5名を倫理委員会で承認された方法で募集した.拡張する意識としての健康理論(HEC)に基づく研究プロトコールを参考に,「患者・家族の対人関係を示した図(関係図)」を取り入れ,対話を中心とした「パートナーシップの過程」を事前に定めた.先に患者,次に家族を含めた対話を計6回(約2カ月)予定してパートナーシップの過程を辿った.データ収集・分析は,①全対話を録音・エスノメソドロジー的相互行為分析(EM),②看護師記載のジャーナルを基にその場面を振り返り,発話場面の感情,思考,気づきを分析,③全事例の共通点分析,を行った.

    その結果,①進行膵がん患者とその家族の療養体験は,5〜6回の対話を経て段階的に変容した.②療養生活における家族関係の変化が対話を重ねるごとに表出され,最終的にはその変化を受け止め,意味づけて家族としての療養生活の方向性を見出すという体験変容であった.③相互行為の特徴には,看護師の意図していた行為と対話参加者で創り出した行為があった.

資料
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