日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
ISSN-L : 0914-6423
最新号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
原著
  • 本多 恵子, 京田 亜由美, 神田 清子
    原稿種別: 原著
    2022 年 36 巻 論文ID: 36_1_honda
    発行日: 2022/01/28
    公開日: 2022/01/28
    ジャーナル フリー

    目的:国民の多くはがんで余命が限られた時に自宅で過ごしたいと望むが,実際の自宅死亡率は1割程度に過ぎない.その要因の一つとして,仕事や子どもの世話と介護の両立による介護者の負担がある.本研究の目的は,主介護者が仕事や子どもの世話と介護の役割を両立しながら,終末期がん療養者を自宅で看取るまでのプロセスを明らかにし,看護支援を検討することである.

    方法:仕事や子どもの世話役割を担いながらがん療養者を自宅で看取った主介護者で,研究の同意が得られた15名を対象に半構造的面接を行った.分析焦点者に照らし3名を除外し12名を分析対象とした.得られたデータは修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用い,質的記述的に分析した.

    結果:本プロセスは,対象者が自宅看取りの決意をし,今までと変わらない暮らしの中での介護を行うところから始まる.療養者の状態悪化を契機に自宅看取りの決意が揺らぐものの,自宅で過ごす療養者の姿や思いから自宅で看取ることを再決意し,自宅での看取りに至っていた.

    考察:看護支援として,状態が安定し介護の必要性が低い時期には,病状に合わせた病状予測の説明や,状態悪化後の仕事や子どもの世話の調整が必要である.また,状態悪化後は両立しているが故の苦悩と奮起する心の鬩ぎ合いに対し,ありのままの心の状態を受け入れる姿勢を示すと共に,根本にあるニーズを見極める視点が必要とされる.

  • 高根 秀成, 菅原 よしえ
    原稿種別: 原著
    2022 年 36 巻 論文ID: 36_11_takane
    発行日: 2022/02/01
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,精巣腫瘍やその治療により,精巣腫瘍サバイバーのセクシュアリティにどのような影響があるかを明らかにすることである.

    方法:研究デザインは質的記述的研究で,精巣腫瘍の治療後に外来通院する精巣腫瘍サバイバーへ半構造化インタビューを実施した.

    結果:対象者は,精巣腫瘍サバイバー11名(平均年齢39.8歳)であった.内容分析の結果,精巣腫瘍の治療がセクシュアリティに与える影響として,大カテゴリー【ボディイメージの変化や仕事ができなくなることで男らしさを失うと思う】【治療を経験していくなかで,治療前の男らしさが変化しないことに気づく】【造精機能や治療後に生まれた子どもの発育が気がかり】【性欲の状態での生活の変化はない】【性欲と意欲の減退で,生活全般がうまくいかない】【男らしい振る舞いをとらえなおす】が抽出された.

    考察および結論:対象者は,性欲や意欲の減退にともないパートナーとの関係や仕事への影響,治療による精子の機能への影響を経験していた.これらの影響は,治療前にイメージすることが難しく,個人差があり,治療後に初めて自覚することから,対処が難しい状況に置かれていた.看護師は,精巣腫瘍サバイバーが対処を必要とした時に情報を得られるように支援を行うことが必要である.また,男性としての自己認知のとらえなおしに対する看護支援の必要性も示唆された.

  • 山田 希, 石田 和子
    原稿種別: 原著
    2022 年 36 巻 論文ID: 36_44_yamada
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    目的:経口抗がん薬治療を受ける高齢者のストレス・コーピングを明らかにすることである.

    方法:外来通院にて経口抗がん薬治療を受ける高齢者12名を対象にした.診療録調査と半構造化面接調査にてデータを収集し,質的帰納的に分析した.

    結果:【がん罹患が頭から離れない】とがん罹患を強く意識し,〖自分の人生を歩み続ける〗ことを励みに,〖経口抗がん薬を確実に飲む〗と治療に取り組んでいた. 生活のなかで〖がん罹患を忘れる時間をもつ〗ことを大切にしていた.一方で,【経口抗がん薬治療を続ける意味を迷う】というストレスをかかえており,〖医療者に任せる〗ことで治療の継続につながっていた.【副作用と付き合っていかなくてはならない】と受け止め,生活しながら無理なく服薬管理や副作用対策に取り組めるよう〖新たな習慣にする〗方法を習得し,〖この体調なら生活できる〗とコントロール感覚を得ていた.また,【子ども・兄弟に負担をかけたくない】【収入が変化するなかでの医療費負担が大きい】と家族や経済面への負担を心配し,〖自分自身で治療に取り組む〗と対策を講じていた.

    結論:経口抗がん薬を確実に服用するなかで,経口抗がん薬治療を続ける意味に迷いが生じていた.経口抗がん薬治療に対する懸念や日常生活の活動範囲・社会的役割への心配に対する看護が重要である.生活のなかでの楽しみや社会的役割の継続を支え,今までの生活習慣を活かしたセルフケア支援が示唆された.

  • 清原 花, 川崎 優子
    原稿種別: 原著
    2022 年 36 巻 論文ID: 36_55_kiyohara
    発行日: 2022/04/26
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー

    目的:同種造血幹細胞移植(以下,移植)を受けたがん患者の退院後の転倒予防行動や,転倒予防行動に影響を与える諸条件を明らかにすることである.

    方法:造血器腫瘍に対して移植を行った患者5名を対象に半構造化面接を行い,保健行動シーソーモデルに基づき質的記述的に分析した.

    結果:移植患者の転倒予防行動を促進する動機として【治療後の身体脆弱性の自覚】【転倒に対する危機感の自覚】【参考にできる過去の経験がある】【副次的効果への期待】【社会的役割における目標がある】などの7カテゴリーが抽出された.一方で,転倒予防行動を阻害する動機として,【治療による影響でできない】【転倒予防行動への関心が低い】【社会的支援の不足】などの5カテゴリーが抽出された.対象者によって,意思決定における主体性や他者からの支援の受け入れが異なっていた.社会的支援として,医療者,家族,友人・知人からの支援や公的制度の利用を認めた.これらの影響を受けて,移植患者が退院後に行っていた転倒予防行動は,【症状への対処】【移動動作時の注意】【日常生活の調整】【身体機能回復のための運動】であった.

    結論:看護師は,患者が身体脆弱性を感じる場面に出合った際にはタイミングを逃さず支援を行い,転倒予防行動の効果を伝えることや,過去の経験を参考にしながら,患者のもつ目標に沿った具体的方法を検討し,継続的に支援する重要性が示唆された.

  • 小西 玲奈, 秋元 典子, 露無 祐子, 枝園 忠彦, 土井原 博義
    原稿種別: 原著
    2022 年 36 巻 論文ID: 36_66_konishi
    発行日: 2022/04/29
    公開日: 2022/04/29
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,生殖年齢にある女性乳がん患者の妊孕性温存に関する意思決定過程 を明らかにし,必要な看護実践への示唆を得ることである.

    がん罹患歴のない初発女性乳がん患者で,薬物療法開始前の妊孕性温存に関する意思決定時に生殖年齢にあり,最初の治療として手術療法を受け,薬物療法開始後は6カ月以上10年以下にあり,面接時に転移や再発がない外来通院中の患者30名に半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析した.その結果,生殖年齢にある女性乳がん患者の妊孕性温存に関する意思決定過程は,『まだ決めなくて よかった 産む・産まないのいずれかを期日までに選びとる』『私の人生の地図を描き変え始める』の2つをコアカテゴリとする過程として説明でき,【他者の力を借りる】が全過程の 進行を支えていた.また,『まだ決めなくてよかった 産む・産まないのいずれかを期日までに選びとる』過程は, 4パターンの過程から成っていた.

    意思決定支援として,妊孕性温存に関して提供された情報の受け止め方を把握し,それに続く温存する・しないことを選択決定するまでの過程のパターンを予測し,その過程に内包される体験に応じた個別的支援,迷い・混乱などの多様な感情の表出を促す支援,医師と連携した診断時の情報提供,温存しない場合における継続的な支援,挙児希望へと気持ちが変化した時の支援が示唆された.

  • 德永 亜希子, 今井 芳枝, 板東 孝枝, 高橋 亜希, 雄西 智恵美
    原稿種別: 原著
    2022 年 36 巻 論文ID: 36_78_tokunaga
    発行日: 2022/05/17
    公開日: 2022/05/17
    ジャーナル フリー

    本研究は,初期治療終了後の初発乳がんサバイバーが就労継続するプロセスを明らかにし,就労継続を支援する看護実践への示唆を得ることを目的とした.

    対象者は,外来通院中の治療前と同じ職場にて就労継続している14名の成人期の女性乳がんサバイバーとした.

    研究方法は,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて,分析テーマは「初期治療終了後の初発乳がんサバイバーが就労を継続していくプロセス」,分析焦点者は,「乳がん罹患前と同じ職場に退院後復帰した就労中の乳がんサバイバー」とした.結果,乳がんサバイバーの就労継続のプロセスとして,6カテゴリーとカテゴリーと同等の説明力をもつ2概念,カテゴリーと概念を総括する『よりどころである仕事』『仕事と適度な距離感を保つ』の2つのコアカテゴリーが生成された.

    『よりどころである仕事』は,乳がんの多くは生産世代で罹患するため,就労は自己実現の土壌や基盤として重要な位置づけであるという特徴が根底にみられた.『仕事と適度な距離感を保つ』は,乳がんサバイバーである自分にとって継続可能な仕事との向き合い方を模索し,『仕事と適度な距離感を保つ』という新たな働き方を受け入れていくことが,乳がんサバイバーの就労継続のプロセスを強固なものにしていた.

  • 小沼 美加, 藤本 桂子, 京田 亜由美, 神田 清子
    原稿種別: 原著
    2022 年 36 巻 論文ID: 36_87_konuma
    発行日: 2022/05/20
    公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

    本研究では,最期1カ月にある療養者と家族に対して訪問看護師が重要と判断したケアを明らかにすることを目的とした.対象者は在宅でがん療養者の看取りを重点的に行っている訪問看護師7名とした.方法は,半構造化面接法による質的帰納的研究デザインであり,面接内容は看取りまでの最期1カ月にあるがん療養者および家族に対して重要と判断したケアについてである.

    分析の結果,死亡前1カ月から1週間までは6カテゴリ【療養者や家族の変化をとらえ介護負担の軽減に努める】【家族と看護師間の共通認識に向け看取りへの準備をサポートする】【療養者の病状や生活背景を考慮した医療の提供や管理を行う】【訪問時の状況から安全・安楽な日常生活を支える】【思いを尊重し療養者が最期まで自分らしく生き抜くために寄り添う】【多職種間の連携を強化する】が抽出された.死亡前1週間未満から看取り直後までは7カテゴリが抽出され,新たに【グリーフケアとして在宅看取りを認め家族に寄り添う】が見出された.

    訪問看護師は,療養者の生活状況や病状,予後に加えて,療養者や家族の発言だけでなく表情などの小さな変化に気づくことで,介護負担の軽減や自分らしく生き抜くための支援につなげていた.また,家族の看取りの準備の調整,グリーフケアを見据えた支援,多職種連携の調整が重要と判断していた.

  • 髙西 裕子, 今井 芳枝, 小川 佳宏, 板東 孝枝, 高橋 亜希
    原稿種別: 原著
    2022 年 36 巻 論文ID: 36_101_takanishi
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2022/06/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,ICG検査・リンパマッピングを受けたリンパ浮腫患者の経験を明らかにすることを目的とした.研究対象は,リンパ浮腫専門治療施設で,ICG検査とリンパマッピングを受けた続発性リンパ浮腫患者18名とし,ICG検査とリンパマッピングを受けた経験について,半構造化面接調査を実施し,質的帰納的分析を行った.

    結果,ICG検査・リンパマッピングを受けたリンパ浮腫患者の経験として 【自分のリンパ状態を目の当たりにした】【習ってきたリンパの流れと異なることに衝撃を受けた】【なんとか流れようとしているリンパが愛おしく感じた】【暗闇のなかで一筋の希望の光が見えた】【自分でどうにかしていこうという意欲が沸きあがるのを感じた】【リンパの状態に対して自分はどうしたらよいかわかった】の6つのカテゴリーが得られた.

    患者は自分のリンパの状態を目の当たりにし,既知の知識との違いに衝撃を受け,一方ではリンパの状態と自覚症状が一致することに納得し,リンパ液がどうにか流れようとするのを見て希望や労わりの気持ちが生じ,現状を維持したいという気持ちからセルフケアへの意欲が高まったと推察された.

    以上から,ICG検査・リンパマッピングによるリンパの可視化は,リンパ浮腫と対峙する状況をつくり出し,その経験は完治が難しいリンパ浮腫だからこそ希望につながった.リンパの状態を可視化することは長期にわたるリンパ浮腫のセルフケアを支える鍵となることが示唆された.

実践報告
資料
総説
委員会報告
feedback
Top