【目的】労働者,大学生,糖尿病患者の肥満と食事の速度の関係を調査した横断研究は既に報告があるが,これまでに,夜間定時制高等学校に通う生徒に対する横断的研究は認められない.そこで,本研究は夜間定時制高等学校の生徒を対象に肥満と食事の速度との関連を横断的に検討することを目的とした.
【方法】2015年に夜間定時制高等学校の生徒2 , 520人(男性1 , 861人,女性659人)を対象に,生活習慣や食生活に関する自記式質問紙調査を実施した.肥満はボディマス指数25 kg/㎡以上と,早食いは「あなたの食事の速さはどれですか?」という質問に対する「速い」という自己申告の回答として定義した.ロジスティック回帰分析で肥満に対するオッズ比を推定した.
【結果】肥満と早食いの存在割合は,男性で14.9%と29.6%,女性で9.4%と22.5%.肥満に対する早食いの年齢(18歳以上)調整オッズ比は,男性で1.69(95%信頼区間1.30,2.21),女性で2.55(1.47,4.40).さらに,就業状況,身体活動レベル,満腹になるまで食べること,朝食の欠食,ファストフードの利用頻度で調整したオッズ比は,男性で1.70(1.25,2.30),女性で2.78(1.51,511).
【結論】夜間定時制高等学校の生徒の肥満に早食いが関連している可能性が示された.
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