犯罪社会学研究
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選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 「コミュニティと犯罪」研究の系譜と将来展望
    野田 陽子
    2020 年 45 巻 p. 5-12
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー
  • 竹中 祐二
    2020 年 45 巻 p. 13-26
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー

     本稿では,「地域社会/コミュニティと犯罪の関係をめぐる諸研究」の中にソーシャル・キャピタル(SC)論の居場所がなかったのはどうしてかを,大きく三つの視点から考察した.一つ目は,犯罪学・刑事政策の動向に基づく視点である.その結果,犯罪多発地域という着想を得たことで,「どこが」ではなく「なぜ」というメカニズム解明に関心が移行したことが理由の一つとして確認された.同時に,再犯対策が高まる中で,犯罪予防論への関心自体が後景化したことも理由の一つとして確認された.二つ目は,SC論的視点からの検討である.SCは地域社会との関わりでその重要性が指摘されるが,SCだけで地域社会のほとんどを説明できる訳でもない.また,SCにはマクロからミクロまで多様な形態が想定される.つまり,SCと地域社会の重なり合いを見ることは,全体像のごく一部に過ぎないことから,十分な説明がなされてこなかったと考えられる.三つ目に,SC論における議論の錯綜状況が問題を難しくしている可能性について言及した.その上で,本稿では SC論の限界を克服するものとして,批判的実在論が持つ可能性について言及した.

  • 海外と日本の社会調査に基づく研究の系譜と今後の展望
    島田 貴仁
    2020 年 45 巻 p. 27-45
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー

    本論文は,日本における,社会調査に基づくコミュニティと犯罪に関する実証研究の現状と課題を議論することを目的とした.まず,アメリカ,オーストラリア,中国,韓国の6都市におけるコミュニティと犯罪研究を,サンプリング,背景理論,方法論からレビューした.次に日本における1970年以降の実証研究23調査を同じようにコーディングした.さらに,著者は,調査の規模,調査デザインの質,分析方法の脆弱性を指摘して,改善点を指摘した.最後に展望として,犯罪オープンデータ,警察機関と大学研究者とのコラボレーションについて言及した.

  • Felson and Eckert の“Overt Crime Areas”論を鍵として
    原田 豊
    2020 年 45 巻 p. 46-56
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー

     日本犯罪社会学会第46回大会シンポジウム『コミュニティと犯罪』での報告ならびにその後の討論を踏まえ,これをFelson and Eckert (2018: 242) の “Overt Crime Areas”論の観点から再整理することにより,米国における「コミュニティと犯罪」研究の今日的な意義について検討した.Overt CrimeAreas論は,顕在的犯罪と潜伏的犯罪,犯罪と無秩序とを峻別し,顕在的犯罪と無秩序に支配された無法な近隣地区の状態を,犯罪の「原因」ではなく「促進要因」だと捉える点に特色があると考えられる.この観点は,地域社会と犯罪との関連に関する新たな研究知見や,1970年代半ば以降の米国社会の変容をよく反映したものと見られるが,それだけいっそう,近年のわが国の犯罪問題に関する参照枠組みとして適切であるか否かについては,慎重な検討が必要だと考えられる.

  • その系譜と,「統治の社会化」にむけた探索的アプローチ
    平井 秀幸
    2020 年 45 巻 p. 57-78
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー

     犯罪統治のアクターとしてのコミュニティは, ─「社会的なものを通した統治」から「コミュニティを通した統治」へ,といった物語に象徴されるように ─近年においてその存在感を高めていると言われる.本論文の前半では,「シカゴ・エリア・プロジェクト」や「青少年動員計画」に代表されるようなコミュニティ・オーガニゼーション・アプローチの展開を振り返りながら,そうした物語に疑義を呈し,実のところ犯罪統治のアクターとしてのコミュニティには,福祉国家期より重要性を付与されてきた長い歴史があることに注意を促す.翻ってその歴史は,犯罪統治実践に関わるコミュニティ組織が,“個人の変容やそれを条件とした社会的包摂ではない,社会の変革を通した社会構造上の抑圧・差別・不平等の解決”(「統治の社会化」)にさまざまなかたちで挫折していく歴史でもあった.さらに,近年の新自由主義・新保守主義的な「コミュニティを通した統治」のなかでは,コミュニティ組織は“犯罪者が責任化された主体として立ち直りを果たすように支援すること”を責任化されるようになってきており(「責任化の責任化」),コミュニティが「統治の社会化」に寄与する方途はますます先細っているように思える.現代において,「統治の社会化」はどのように展望されるべきだろうか.本論文の後半では,犯罪統治実践におけるいくつかの経験的事例(治療共同体,ハームリダクション,アボリショニズム)を手がかりに,この問いに対する探索的な考察を試みる.

  • 主観的健康感をめぐる検討
    新海 浩之
    2020 年 45 巻 p. 81-94
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー

     長期刑受刑者は施設内で社会から忘れられ,研究の対象となりにくい.従来,長期刑受刑者が刑務所内に長く在所することで退行等の不適応が生ずると考えられてきたが,欧米の研究では,施設内の適応は,当該受刑者がもともと所持しいわば持ち込んだ性質によるものか,施設内での長期間の生活の影響により生じたものかという議論がなされている.本研究ではこの議論について,主観的健康感を適応の指標とし,在所期間の長短がそれに与える影響を実証的に検証した.無期刑受刑者と有期刑受刑者は質的に異なるとの結果から,それぞれについて検証したところ,有期刑の者については在所期間が主観的健康感に影響を与えない一方で,無期刑については在所期間が長いことが主観的健康感を押し下げる効果が確認された.しかしながら,検討した説明変数では主観的健康感全体のごく一部しか説明できておらず,刑期等の影響は限定的なものと考えられた.今後は,個人内の適応の変化を見るための縦断研究や変数間の非線形関係を前提とする分析が必要である.

  • 1948年少年法をめぐり言説化されなかった「語り」の分析
    竹原 幸太
    2020 年 45 巻 p. 95-108
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
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    本稿では,1948年少年法の保護原理の言説化過程を検討しつつ,その影に埋もれ,言説化されなかった戦前少年保護実務家の1948年少年法制をめぐる「語り」を明らかにし,今後の少年司法政策への示唆を得ることを目的とする . 先ず,戦後直後の少年法解説書等で描かれる少年法像を検討し,そこでは新しい少年法の構造が強調され,児童憲章制定等の動きも受けながら,少年の権利を尊重して健全な育成を図るべく,家庭裁判所先議で関連機関との連携を通じたケース・ワーク機能を重視する保護原理が言説化されたことを確認した.次に,戦前少年保護実務家の1948年少年法をめぐる「語り」を検討し,保護の決定と執行が分離し,各機関相互の人事異動が消滅したため,いかに各機関の役割を理解しながら連携を図り,更生を支える社会資源を開拓するかが課題とされていたことを確認した.最後に,戦前・戦後,一貫して少年司法機関と関連機関との連携が求められ,現在も多機関連携等が叫ばれる中,それをいかに具現化するか,戦前少年保護実務家の「語り」は問いかけていると指摘した.

  • 修復的司法の視座から
    湯山 祥, 藤野 京子
    2020 年 45 巻 p. 109-122
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー

    犯罪の被害者および加害者の中には,現行の刑事司法制度では充たすのが困難な自身らのニーズを,修復的司法における対話を通じて充たそうとする人もいる.しかし,我が国では諸外国に比べて,修復的司法における対話の実践および実証研究の蓄積が乏しい.したがって,我が国で今後実践が普及する可能性を検討すると同時に実証研究に新たな知見を提供するうえで,被害者あるいは加害者が相手との対話に意欲を示す要因を明らかにすることが求められる.本研究では大学生に対して,財産犯あるいは身体犯のシナリオを呈示し,自身がその被害者および加害者との想定のもと,相手との対話に関して回答を求めた.292名のデータ分析の結果,財産犯,身体犯ともに,自身が被害者であるとの想定では,加害者への許しや更生支援の希求が,加害者との対話意欲を高めることが示された.また,自らが望むタイミングや,安全・安心な場が提供される重要性が示唆された.さらに,自身が加害者であるとの想定では,自己内での事件の消化を好むことが,被害者との対話意欲を低めることが示された.他方,対話を通じて自身の立ち直りが期待できることが対話意欲を高めることが示唆された.

  • 四方 光
    2020 年 45 巻 p. 123-130
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー
  • 城下 裕二
    2020 年 45 巻 p. 131-139
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー
  • 岩井 宜子
    2020 年 45 巻 p. 141-145
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
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  • 山本 奈生
    2020 年 45 巻 p. 146-150
    発行日: 2020/11/20
    公開日: 2022/04/26
    ジャーナル フリー
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