本研究では,触覚過敏の相談先とその対応法や効果を確認するために,歯科施設に受診した障害児の保護者に対してアンケートを行い,触覚過敏に対する家族の対応を検討することを目的とした.
日本障害者歯科学会宿題委託研究の協力歯科施設を受診し,障害児に関するアンケートの協力に同意した保護者97名に無記名でアンケートを行い,日常生活で子どもの触覚過敏による困りごとがあると回答した62名の保護者を解析対象とした.粗大運動とコミュニケーション能力に関する回答から,軽度障害9名,肢体不自由10名,知的能力障害2名,重複障害41名に4分類した.
触覚過敏の困りごとについて他者に相談した割合は67.7%(42/62名)であった.相談先は医療関係者が最も多かった.相談先から脱感作を指導された割合は,軽度障害50.0%(4/8名),肢体不自由62.5%(5/8名),知的能力障害50.0%(1/2名),重複障害58.3%(14/24名)であった.
本調査は,保護者へのアンケートのため触覚過敏の客観的評価は行えず,心理的拒否が混在している可能性がある.また,脱感作を指導された割合も低いことから,触覚過敏と脱感作のどちらか,または一方の用語について,受け取り方に違いがある可能性が考えられた.
触覚過敏の困りごとについて,相談先がわからない保護者がいることや,触覚過敏と脱感作の適切な情報の取得が難しいことが予測されるため,相談できる医療機関の紹介や,適切な情報の発信が必要であると考えられた.
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