1. 赤石山地の時代未詳中生層群および小仏層群の山崩れは、主として片理面・節理面および断層面にそっておこり、地質構造上の支配をつよくうけている。とくに粘板岩の層間槽曲の発達した部分では地下水の氾濫をおこし、かつ粘土化作用が進み山崩れの素因をなしている。
2. 両層群に発生する山崩れは、主に粘板岩・千枚岩質粘板岩におこり、それらの崩壊面の崩土のX線廻折曲線では、緑泥石・絹雲母の幅せまく鋭い廻折ピークが認められ、結晶度も高く粘土鉱物の続成作用における究極の安定な生成物であることを示している。
3. 断層破砕帯における断層粘土については、緑泥石・絹雲母の廻折ピークが原岩中のものより鋭く、かつ結晶度も高くあらわれており、山崩れの鉱物学的素因をなしている。
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