コロンビア国アンティオキア花こう岩体の風化殻分帯については, すでに報告したように11に分帯されているが, 今回はそのうちのレスおよび土壌を除いた8帯を研究対象とした。
粒度分析の結果, マサA (zone V) からマサB (zone VI) への変化は, 礫から砂への変化が特徴であり, マサBから赤色マサ (zone VII) への変化は, シルトから粘土への変化が特徴である。また, 赤色マサからしもふり粘土 (zone VIII) への変化はシルトから粘土への変化はあまり見られず, 砂からシルトへの変化が進行する。
鉱物組成の変化をX線回析法により調べた結果, 石英は全く風化しないが, 日本においてはほとんど変化しないカリ長石は, 風化花こう岩A (zone III) より変質が始まり, マサBで消滅してしまう。斜長石, 黒雲母も風化の初期段階で消滅する。これに対し, 中間生成物として緑泥石, イライト, ハロイサイト, ギブサイトが見られ, 最終段階でカオリナイトが現われる。日本の花こう岩の風化においては, ギブサイトが最終産物であると考えられてきたが, ここではカオリナイトであった。このことは, XRFによる化学分析の結果, SiO
2は風化の進行に伴い減少する傾向を示すが, 赤色マサになるときに逆に増加することとよく対応する。すなわち, 赤色マサになるとSiO
2が濃集し, それに伴いギブサイトがカオリナイトに変化すると考えられる。
化学組成の変化を日本の風化殻での結果と比較すると, CaO, Na
20, K
20, SiO
2などが風化の進行に伴い減少する傾向にあるのは同じであるが, その時期はコロンビアの方がかなり早い。すなわち, CaO, Na
20は日本においては風化の中期-後期になってから減少するが, コロンビアでは風化の初期に著しく減少する。また, K
20, MgOは日本ではわずかに減少するにすぎないが, コロンビアではマサBになると急減する。
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