応用地質
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38 巻, 2 号
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  • 森 一司, 加藤 俊典, 西田 研, 小田 友也
    1997 年 38 巻 2 号 p. 54-64
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    琉球石灰岩分布地帯への垂直電気探査の適用性を検証するため, 砂川地下ダム流域において実施された垂直電気探査結果とボーリングデータとの比較を行った。
    垂直電気探査で得られたVES曲線は高比抵抗層が低比抵抗層に挟まれた3ないし4層構造を示し, ボーリング結果と調和的である。電気探査の解析結果から, 標準曲線法とリニアフィルター法による層厚の推定はあまりうまくいかないが, 直視法による推定基盤深度とボーリングデータとの相関係数は0.79と比較的高く, リニアフィルタ法による推定方法よりも良好である。
    琉球石灰岩の比抵抗値は, 亀裂の頻度, 2次的な粘土の含有量, および表層の粘土層厚により影響されている。透水係数と比抵抗値とには弱い正の相関が認められるが, 本調査地域と同様の地質構造を有する琉球石灰岩地域においては垂直電気探査から透水性を予測することは困難であることが明らかになった。
  • (法地質学への応用)
    平岡 義博, 三田村 宗樹
    1997 年 38 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    化学分析法に基づき大阪層群の堆積物の供給源を推定することを検討した。調査地は宇治丘陵に分布する大阪層群堆積盆の縁辺地域であり, ここには青谷礫層, 城陽A礫層, 城陽B礫層, 宇治礫層が観察される。
    全岩の化学分析は蛍光X線分析装置により, 堆積物中の黒雲母の化学分析は電子線マイクロアナライザ (EPMA) を用いて行った。
    土砂の判別に有効な蛍光X線分析におけるSrとRbの含有量では, 宇治礫層の堆積物と城陽A礫層, 城陽B礫層の堆積物の識別はできなかった。しかし, 堆積物や花崗岩質風化礫中の黒雲母のFeOとMgO量 (またはMgO/FeO比) は堆積物の識別に有効であった。
    分析結果をMgO/FeO比により後背地に分布する花崗岩質岩石およびその風化物中の黒雲母と比較した。その結果, 城陽A礫層と城陽B礫層は柳生型花崗岩に由来する風化物により特徴づけられるのに対し, 宇治礫層には信楽型花崗岩に由来する風化物が見い出せる傾向があることがわかった。
  • 楠見 晴重, 中村 真, 西田 一彦
    1997 年 38 巻 2 号 p. 74-82
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    岩盤斜面内の地下水は, 主に亀裂, 断層や不連続面内を流れることはよく知られている。本論文では, ダイポール・ダイポール電気探査法を用いて, 5つの降雨パターンで, ある岩盤斜面で連続的に見かけ比抵抗を測定した。そのときの測線は, 1つの破砕帯を横切って設けている。そして, 比抵抗の変化と降雨との関係について考察した。
    その結果, 破砕帯部分とほかの岩盤内とでは, 比抵抗の変化特性は全く異なっており, とくに, 比抵抗の変化と降雨とは1つの指数関数に近似できることが認められた。そして, この指数関数の係数を用いて, 降雨浸透に伴う岩盤斜面の状態変化のモニタリングが可能であることを示した。
  • アンカー工と鋼管杭工
    守隨 治雄
    1997 年 38 巻 2 号 p. 83-93
    発行日: 1997/06/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地すべり機構が複雑な御荷鉾帯の地すべり地で, 地質調査, 地すべり対策工の設計を行った。対策工は法枠アンカー工を主体にしたが, 一部鋼管杭工にして設計した。また, アンカー定着部の地質性状および分布状況に留意して検討した。
    対策工の片利きの心配を考慮し, 地すべり変動状況の把握および対策工の効果を確認する目的で, アンカー荷重計および孔内傾斜計により, 現在観測している。
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