応用地質
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39 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 田尻 要, 中山 洋, 荒牧 昭二郎, 古澤 二, 今泉 繁良
    1998 年 39 巻 4 号 p. 346-351
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    熊本市街地とその周辺部の地質は, 近傍の中央構造線や阿蘇山の影響を受け複雑な地下構造を持つ. 従来より部分的な地質構造や個別の断層などで考察されてきた熊本市域の地下構造について, 地盤情報データベースを用いて広域的かつ三次元的に解明を進めた. その結果, 熊本市上水道の水源で地下水帯水層となっている砥川溶岩層の地質特性について考察を行い分布を明らかにした. また, 砥川溶岩層の地下水を被圧している阿蘇山の火砕流堆積物であるAso-3層およびAso-4層の分布から, 上江津湖 (水前寺) における湧水のメカニズムを推測した. さらに, 構造物などの基礎地盤に利用されることが多い段丘砂礫層の層厚分布も明らかにした.
  • 鷲見 武富
    1998 年 39 巻 4 号 p. 352-360
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    一般に, 礫岩や地下深所に分布する礫層などの粒度分析は, 岩石断面やボーリング試料を用いて行われる. しかし, これらの方法で求まる粒度分布は, 任意の断面や直線上に現れた見掛けの粒度分布であり, 本来の粒度分布とは異なる. したがって, 見掛けの粒度分布から本来の粒度分布をいかに推定するかが問題となる.
    本研究では, ある仮定条件の下で, 任意の直線によって貫かれた粒子群の累積切片長確率分布関数を確率論的に誘導した. その結果をもとに, 標準的な切片粒度の分布曲線を作成し, これらの曲線を用いた粒度分布の推定法を示した. さらに, この粒度分布推定法の適用性を人工礫岩により検証した.
  • 山内 靖喜, 岩田 昭夫
    1998 年 39 巻 4 号 p. 361-371
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    島根県東部~鳥取県西部の宍道低地帯東部の松江平野と弓ヶ浜半島での試錐資料と物理探査資料に基づいて, 両地域の地熱資源を評価した. 両地域の中新統の違いが泉源の違いに現れており, 前者では深度1,200m付近の火山岩類を切る断層が熱水貯留体になっている. 泉源は層厚600m前後の塊状泥岩層によって被覆され, 水圧が高く, そこには70℃前後の硫酸塩泉が存在する. 後者では, 泥岩と砂岩が互層をなし, 帯水層の砂岩の上位の泥岩層が帽岩になった地層水型の泉源である. 深度1,200m付近では40℃程度の食塩泉が存在し, 湯量は1,000l/min以上であるが, 1,500m以上の深度ではより高温の熱水が採取できる可能性が大きい.
  • 阪上 最一, 林 正夫, 亀井 健史, 紫 錦春
    1998 年 39 巻 4 号 p. 372-379
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    粘土質およびシルト質軟岩の非排水せん断挙動を土の弾粘塑性モデルを用いて, 有限要素法によりシミュレートした. また, 数値解析に用いた土質定数は工学的観点から塑性指数から決定した. また, 得られた数値解析結果の信頼性を検討するため, 応力-ひずみ関係, 過剰間隙水圧一ひずみ関係, さらには有効応力経路に関して, 実測結果と数値解析結果とを比較検討した.
    結果として, 本解析法に基づいた数値解析法は, 異なる圧密圧力さらには正規圧密・過圧密状態によらず, 軟岩の非排水せん断挙動をよく再現できる手法であることが示唆された.
  • 小川 健太, 氏平 増之, 鈴木 新吾, 細谷 昭悟, 石井 文明, 皿田 滋
    1998 年 39 巻 4 号 p. 380-390
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    岩盤斜面や地下空洞の壁面における破壊音や小規模の崩壊音の発生位置を2次元的に標定する方法の一つとして, ケーブルセンサの利用が考えられる. しかしながら既存のケーブルセンサについては, 詳細な計測原理が公表されていないためその応用が遅れていると考えられる. この研究ではケーブルセンサの基礎的な原理と特性について研究し次の事項を明らかにした. (1) ケーブルセンサの信号源は心線とそれを取り巻く絶縁材料の接触部にある. 絶縁材料に四フッ化エチレンと六フッ化プロピレン (FEP) を用いている今の場合, 両者の接触時, 仕事関数が小さい心線側から仕事関数の大きいFEP側に電子が流れ, 分離時には逆流する. この電荷の移動と接触部にできた電気容量を時間で微分した関数が計測回路への入力信号になっている. 出力電圧はこの微分関数を入力とした微分方程式を解くことで得られる. (2) ケーブルセンサの出力電圧は加速度測定値とべキ関数的な関係を持ち, 高い精度が要求されない場合にはケーブルセンサを加速度計の代替センサとして使用できる. (3) ケーブルセンサ複数本を床面に格子状に敷設することにより衝撃による震源位置を2次元的に位置標定できる. 以上, ケーブルセンサは岩盤料面における崩壊の前兆となる破壊音や小崩壊音や覆道, トンネル巻き出しへの落石衝撃を計測するのに利用できる可能性が高いといえる.
  • 川崎 了, 伊藤 洋, 小泉 和広
    1998 年 39 巻 4 号 p. 391-400
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    礫岩の強度・変形特性を岩石試験から評価する際には, 供試体の寸法効果およびサンプリングによるコアの乱れが問題となる. これらの問題は, サンプリングの深度が大きいほど重要であると考えられることから, 大深度から採取した礫岩および人工礫岩を用いた室内岩石試験を実施して, 礫岩の寸法効果に関する検討およびサンプリングによるコアの乱れの評価を実施した. 寸法効果については, 供試体直径Dと最大礫径dの比D/dが1~10程度の人工礫岩を主に用いて, 供試体の物理・力学特性と供試体寸法との関係を調査した. その結果, 物理・力学特性に関する寸法効果は小さく, ほとんど存在しないことが明らかとなった. 一方, 乱れの評価に関しては, 一軸圧縮試験より得られる接線ヤング率とせん断応力レベルの関係からコアの乱れのパターンについて整理し, 乱れの評価パラメータについて検討した.
  • 原口 強, 井ノ口 敏雄, 松岡 裕美
    1998 年 39 巻 4 号 p. 401-405
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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