応用地質
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40 巻, 1 号
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  • 西山 賢一, 横田 修一郎, 岩松 暉
    1999 年 40 巻 1 号 p. 2-13
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    わが国の更新世砂礫層に含まれるくさり礫の形成過程を考えるため, 扇状地の構成砂礫層を対象に, 礫の赤色化や物理的・力学的諸性質の変化について, その実態把握を試みた. 扇状地面を開析する2つの谷壁面での調査の結果, 旧地表である扇状地面から下方に行くにつれて赤色程度は単調に減少しているが, その間で礫の比重は単調増加, 有効間隙率は単調減少し, さらに貫入強度値は単調増加していることが明らかになった.
    また, 礫の赤色程度と物理的・力学的性質の変化はある程度対応していることから, 赤色化・軟質化は一連の風化作用として同時に進行してきたことがわかる. ただし, 詳細に見ると, このような風化の進行には地層中の地下水位などもかなり影響しているようであり, これは湧水が見られる薄いシルト層周辺での風化程度の急変によって推定される.
  • 竹村 貴人
    1999 年 40 巻 1 号 p. 14-24
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    岩石中の微小割れ目は応力場や岩石の不均質性などが原因となり複雑な幾何パターンを示し, 拡散係数や透水係数などの割れ目, 微小割れ目に関する各種物性値を変化させる要因となる. このような岩石中の微小割れ目の幾何パターンを特徴づける方法は微小割れ目の抽出, ディジタル化そして解析の3つの段階からなる.
    本研究では花崗岩質岩石中の微小割れ目の幾何パターンをレプリカ法, 8ビット (256階調) グレースケールとフラクタル幾何学を拡張したマルチフラクタルを用いて特徴づけた. その結果, 以下のことが明らかになった.
    1) 微小割れ目の幾何パターンはその間隙幅ごとに異なる.
    2) 微小割れ目は部分ごとに存在確率の異なるマルチフラクタル集合であり, 複数のフラクタル次元のスペクトルである一般化次元D (q) で特徴づける必要がある.
    3) 一般化次元D (q) は微小割れ目の幾何パターンの不均質さの度合いの指標となる.
    4) 微小割れ目はその成因 (広域応力, シーティング, 風化) により幾何パターンが異なる.
  • 林 為人, 高橋 学
    1999 年 40 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    稲田花崗岩のインタクトおよび100℃, 200℃までの高温履歴を有する供試体の透水係数をトランジェントパルス法で最大約26MPaまでの有効応力条件において測定した. また, 水銀庄入式ポロシメーターによる内部空隙の測定結果を用いて, 各種等価管路モデルでその透水係数を推定し, 実測値との比較検討を行った.
    稲田花崗岩は温度が高いほど, 透水係数が大きくなり, 200℃供試体の透水係数はインタクトな供試体のそれの約3.2倍となった. これは温度上昇によるマイクロクラックの新たな発生に起因するものである. 有効応力が大きくなるにつれ, 透水係数は小さくなり, かつ, 16MPa以上では透水係数に及ぼす高温履歴の影響がほとんど認められなくなる.
    稲田花崗岩の空隙率および空隙寸法分布を用いて, 動水半径モデルで推定した透水係数は実測値とほぼ一致した. キャピラリーモデル, マーシャル確率論モデルおよびジャンーホルツ確率論モデルによる透水係数の推定値は実測値と大きく異なったが, 透水係数~履歴温度関係曲線の傾きについて両者がほぼ一致した.
  • 長田 昌彦, 樫野 誠, 山辺 正, 吉中 龍之進
    1999 年 40 巻 1 号 p. 36-46
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    レプリカフィルムから画像処理技術によりクラックを抽出するために, 入力画像の獲得方法およびその画像処理・画像解析方法について検討した. その結果, レプリカフィルムからマイクロクラックを認識するための方法としては, 暗視野照明を用いる方法が画像処理に適した濃度差のある画像を獲得できること, およびその画像処理方法としては適応二値化処理が適していることがわかった. 画像解析方法の検討では, 線検出オペレータは直線的なオブジェクトに対して方向依存性をもつことを指摘するとともに, 入力画像を何段階か回転させて線検出オペレータを作用させることにより, この影響を最小限に抑えることができることを示した. これらの検討をもとにクラック抽出に対する画像解析手順を作成した. この手順に従い, 入力画像を3段階に回転させてクラックの長さと方向を計測し, これらを合わせて評価した場合, 10°刻みのクラックの方向分布およびクラック累計長の方向分布をある程度定量的に求めることができた.
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