応用地質
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41 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 増田 信吾, 大石 朗
    2000 年 41 巻 3 号 p. 126-134
    発行日: 2000/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    山岳トンネルの掘削にあたり破砕帯などに起因する大規模な集中湧水に遭遇した場合, 沢水の枯渇などの環境問題トンネル施工の工程遅延, 工事費の増加などを招く. しかしながら, 岩盤亀裂中の地下水 (裂か水) の挙動は, 一般に非常に複雑で, その湧出箇所および量の予測は容易ではない. そこで, CSA・MT探査から得られた地山比抵抗分布を用いて, 地山岩盤をモデル化し, トンネル掘削に伴う地下水の挙動変化, トンネル湧水量の変化を予測する手法を構築し, トンネル施工時に岩盤性状および湧水量の変化について検証し, 集中湧水を含め良好な一致をみた. なお, 本報告で採用した湧水量予測システムは水理地質構造的に, (1) 表層モデル, (2) 地下水流動モデル, (3) トンネル湧水量算出モデルから構成されている.
  • 林 愛明
    2000 年 41 巻 3 号 p. 135-140
    発行日: 2000/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    断層破砕帯の変形メカニズムは地殻浅部の断層形成時の温度・圧力および変形速度などにより影響されるので, 断層破砕帯は断層形成時の変形環境を記録していると考えられる. したがって, 断層破砕帯の組織構造の解析によって, 断層活動史・古地震イベント・断層変位センスなどを推定することができる. 本論では, 五助橋断層・三峠断層などの例を挙げて, 活断層のトレンチ・土木工事の地質調査における基盤岩の断層破砕帯の組織構造の解析方法と適用法を述べるとともに, その問題点を指摘する.
  • 山口 嘉一, 岡部 登
    2000 年 41 巻 3 号 p. 141-149
    発行日: 2000/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    軟岩をフィルダムの基礎とした場合, 監査廊の設計や堤体遮水部の安全性を検討するために, 堤体築造による基礎の変形量やその分布を予測する必要がある. ダム基礎軟岩の変形性は, 平板載荷試験における載荷力と地表面の沈下量から, 均質等方1層地盤の弾性理論解を用いて評価されることが一般的である. しかし, 掘削による表層の緩みは変形性評価誤差の一因となる. 本論文では, 表層緩みが平板載荷試験結果に及ぼす影響をFEM弾性解析により定量的に評価した. さらに, 表層緩みが存在した場合に緩みのない層の変形性を評価する方法として, 載荷板中心軸沿いの地盤内鉛直ひずみの計測値を用いる方法と, 異なる径の載荷板による平板載荷試験を利用する方法について検討した.
    その結果, 緩みの深さと程度が増すにつれ, 載荷力と地表面の沈下量による変形性評価の誤差が大きくなるが, 載荷板中心軸沿いの多点で計測された地盤内鉛直ひずみを用いるか, 異なる3つの径の載荷板を用いて試験を実施することで, 緩みの深さと程度に加えて, 実用的な精度で緩みのない層の変形性を評価できることがわかった.
  • 廣瀬 亘, 田近 淳
    2000 年 41 巻 3 号 p. 150-154_2
    発行日: 2000/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    有珠山は, 2000年3月31日, 北西山麓からマグマ水蒸気爆発を起こした. 火口が住民の生活圏や主要交通路に近接していたこと, 噴火に伴う地殻変動が顕著であったため, 噴火の規模が比較的小さかったにもかかわらず, 住民の避難生活は長期化し, 周辺市町村に大きな被害を与えている. 火山活動は噴石や火口からの泥流の流下など, 噴火による直接的な被害のほか, 火口周辺のドーム隆起とそれに伴う山麓部の圧縮・横ずれなどの地盤変形をもたらした. このため, 火口周辺から山麓にかけての高速道路, 国道をはじめとする道路施設や, 上・下水道などのライフライン, 河川施設, 工場や住家などの建物が被害を受けている. 一方, 今回の噴火では, 地震活動, 地殻変動の観測から, 噴火が山体北西部から発生する可能性の高いことが噴火直前に予測され, ハザードマップに基づく住民の避難が速やかに行われたため, これまでに一人の犠牲者も出さずに至っている. 今回の噴火は, 適切なハザードマップが作られ, 十分に活用されれば, 有効な減災が行い得ることを示した.
  • 中筋 章人, 谷内 正博, 佐野 正明, 塚本 哲, 藤原 賢也
    2000 年 41 巻 3 号 p. 155-164
    発行日: 2000/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1999年9月21日, 台湾中部で発生した大地震は集集地震と呼ばれ, マグニチュードMS7.7という兵庫県南部地震の約10倍のエネルギー規模であった. この地震による被害は, 震源に近い南投懸・台中懸を中心に, 死者2,321名, 全半壊52,000棟以上 (1999年10月11日時点) に及んだ.
    本報告は, 地震発生から約1か月後に現地調査した結果をとりまとめたものであり, とくに都市施設被害と地盤, 地震断層と土木施設被害などに関し被害状況を記載するとともに, これに対する応用地質的な解釈を加えたものである.
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