応用地質
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42 巻, 3 号
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  • 林為 人, 山岡 博, 杉田 信隆, 高橋 学
    2001 年 42 巻 3 号 p. 140-148
    発行日: 2001/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    粒度組成が異なる豊浦標準砂, 笠間マサ土および左官砂を用い, さまざまなNaC1濃度の溶液で飽和した砂試料の含水を乾燥状態まで変化させながら, 比誘電率~体積含水率関係および比抵抗~飽和度関係を測定した. 砂の飽和状態での比誘電率は, 2,000ppmまでの低NaCl濃度領域では間隙水の比抵抗の影響をほとんど受けておらず, 5,000ppm以上の高濃度領域では顕著に大きくなることが判明した. したがって, 比誘電率の測定から体積含水率を求める場合には, 間隙水の塩分濃度条件を考慮したキャリブレーションカーブの取得を行う必要がある. 同一NaCl濃度における3種類の砂の比誘電率は, 体積含水率の減少に伴い顕著に低下した. 笠間マサ土および左官砂の比誘電率~体積含水率関係はTOPP et al. の経験式と一致したが, 豊浦標準砂の比誘電率~体積含水率関係は含水状態の不均一分布の影響に起因して同経験式とやや異なった. 一方, 砂の同一飽和度における比抵抗は, 間隙水の比抵抗が小さくなるにつれ, 顕著に低下した. また, 豊浦標準砂と左官砂の飽和状態における比抵抗は間隙水の比抵抗と概ね線形関係を呈したが, 笠間マサ土の場合では, 非線形な関係となった.
  • 那須火山地域を例として
    稲垣 秀輝, 小坂 英輝
    2001 年 42 巻 3 号 p. 149-162
    発行日: 2001/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1990年11月の雲仙普賢岳の噴火や2000年3月の有珠山噴火, あるいは2000年7月の三宅島の水蒸気爆発や火山ガスの噴出など過去幾多の火山活動は人々の生活を苦しあている. 一方, 火山地域では温泉や自然豊かな景観など観光資源に恵まれているほか, 火山地形特有の裾野の広い高原地形が分布しており, ここでは酪農を中心とした農業や, 別荘地などのリゾート施設がある. 火山地域の人々は, これらの自然災害がもたらすリスクを知ることは重要であり, 自然災害の特徴を把握し, 自然災害のリスクをいかに減らすかはわれわれ技術者が考えていかなくてはならない. したがって, 本論文では火山地域の地形・地質の特徴とそれに起因する自然災害とその対応方法を明らかにすることを目的とし, 調査を行った. 調査方法は那須火山地域およびそれに隣接する足尾山地の地形判読と, その地形データの解析・地質情報・土地利用情報の分析およびこれらの総合解析である. これらの解析により, 以下に示す結論を得た.
    1) 急峻な斜面の多いわが国の山地部の中でも火山地域では, その山麓に人の生活の場になり得る広い緩斜面があることが定量的に把握できた.
    2) ただし, 火山地域の緩斜面はその成因上いろいろな自然災害が発生する可能性があることがわかった.
    3) さらに, これらの自然災害は火山噴火に伴うものと豪雨による土砂災害などがあり, それぞれの自然災害に対応しながら, 平穏時の豊かな自然を享受するためには時間の概念を入れたリスク管理や土地利用の工夫が必要であることを提案した.
  • 田中 克則, 高橋 広幸, 町田 聡
    2001 年 42 巻 3 号 p. 163-169
    発行日: 2001/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    高速道路の建設・管理業務へのGISの利用事例は少なく今後の研究開発が期待されている. 本研究では, 既往のデジタル地理情報に東名高速道路のボーリング調査等を含めた面的な広がりを持つデータセットを整備し, それらを用いて地下の地質構造の推定を試みた. 面的な情報をハンドリングするうえで, そのデータ作成, 解析, 結果の出力にGISの活用が有効であること, 標高など一般に入手可能な一次的地理情報のみではなく, それらを基に作成した二次的情報の有効性が明らかになった.
  • 青函トンネル竜飛側先進導坑湧水量データを基にして
    齋藤 和春, 渡辺 邦夫, Mahesh Raj GAUTAM
    2001 年 42 巻 3 号 p. 170-180
    発行日: 2001/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    本研究は, 青函トンネル掘削時の地質および湧水量データを用いて, 統計解析的手法により岩盤割れ目とトンネル湧水量との関係を明らかにするものである. 本報告では湧水量と地質的要因との相関を調べ, さらに数量化理論とニューラルネットワーク (ANN) 解析による湧水の地点と量の予測を試みた. その結果, 数量化理論では定性的要因をも考慮して湧水量に与える地質要因の影響をある程度調べることができたが, 予測精度では実用上問題もあった. それに比ベニューラルネットワーク解析では予測も実用的に高いことがわかった. とくに, 湧水量の再現性は極めて高い結果を得た. しかし, 局所的な突発湧水についての予測は確度が低く, また定性的要因をいかにして定量的に評価してパラメータとして扱うかなどについての課題を示した.
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