地すべり対策工事の規模を大きく左右する要因のうち, すべり面のせん断強度は最も重要な数値であるにもかかわらず, 正確な値を求めることが困難である. 一般に地すべりのせん断強度は現況斜面の安全率を1.00前後と仮定して逆算法により求めることが多い. しかしながら, 現在活動中でない, 非活動的な地すべりにおいて現況安全率を1.00前後と仮定した場合, せん断強度を過小に見積り, 対策工事が過大設計となる. このため, 非活動的な個々の地すべりにおいて信頼性の高いせん断強度を決定することが要求される. 著者らは山口県油谷半島の地すべりを例として, 長大な緩斜面の崩積土地すべりにおける地すべり強度を決定する方法の開発を試みた. この地域の地すべり防止区域内に分布する代表的な地すべりブロックで採用された逆算強度を, 斜面勾配やすべり層厚との関係で整理するとともに, リングせん断試験により代表的な崩積土の残留強度を測定した. これらの結果をもとに, 長大斜面を形成する非活動的な崩積土地すべりの強度定数を決定するための簡便法, すなわち, 逆算法で得られた
c-tanφ直線を残留強度まで平行移動させ, すべり層厚から定まる
cまたはすべり面勾配から定まるφを仮定して地すべり強度を決定する方法を提案した.
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