応用地質
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45 巻, 1 号
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  • 凹凸のある砕石場の斜面へ適用した場合
    細谷 昭悟, 中根 昌士, 松本 直樹, 氏平 増之, 樋口 澄志
    2004 年 45 巻 1 号 p. 2-12
    発行日: 2004/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    著者らは, 落石における落下速度, 回転速度, 落下経路, 跳躍量, 走向方向への広がりなどの落石特性値をできるだけ正確に推定する目的で三次元落石シミュレーション法に関する研究を行っている. 既報では, シミュレーションの理論と直線型斜面で岩塊形状をパラメータにした場合の計算結果を示した. 本研究では, プログラムにおける「斜面モデルの作成法」, 「斜面を構成するどの三角形上にブロック重心位置があるかの位置判定法」, 「ブロックの斜面への接触判定法」, 「斜面へ凹凸を与える方法」等を明らかにした. 次いで, 斜面モデルに凹凸の変化を与えた場合, 落石特性値がどのように変化するかを調べた. これらの研究から得られた内容をまとめると次のようである. 1) 実測データを基にして乱数を発生させ斜面の凹凸を表現する方法は有効である. 2) 斜面に凹凸の変化を与えても, 落下速度, 回転数, 跳躍量は変化しない. 3) 一方, 落下軌跡, 到達距離, 走向方向への広がりは凹凸により変化する. とくに凹凸が顕著になると走向方向への広がりが大きくなるが, 斜面の途中で停止する割合も増加する. 4) 対象とする斜面の三次元座標値200~300点を測距することで, 本シミュレーション法を実斜面に適用できると考えられる.
  • 斜面の傾斜を考慮した寸法補正法
    氏平 増之, 中島 一平, 川村 洋平, 川北 稔
    2004 年 45 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2004/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    調査目的の被写体が遠すぎたり危険で近寄れない場合には, 撮影距離とレンズの焦点距離を測定しておき, 写真から簡易的に被写体寸法を算定する方法がある. しかし, 地質調査等で斜面を脚部から撮影するような場合は一枚の写真内に遠い位置の物体と近い位置の物体の両方が写されていることが多く, 画像上で測定した寸法に結像倍率を乗ずるだけでなく斜面の傾斜を考慮した傾斜補正が必要である. 本研究では, 傾斜補正法を明らかにするとともに, 六角形板の寸法, 平板上に450個分布させた岩石の寸法, 発破ずりの寸法に関する補正試験を行った. その結果, 六角形の平板については実寸法の0.85~1.04倍の補正値が得られ, 発破ずりに関しては実測した粒度特性値の0.94倍の補正値が得られたと述べた. 以上, 本論で述べた被写体寸法測定時の傾斜補正法は有効といえる.
  • 伊藤 俊方, 小松原 岳史, 佐藤 修
    2004 年 45 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2004/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    新第三紀以降の地層が厚く分布する北部フォッサマグナ地域の深層地下水は, 化石海水を起源とするNa-Cl型地下水で代表される. 高濃度のNa-Cl型地下水が地下浅所にまで上昇してきていることもあり, 地下水の電気伝導度などを測定することにより活断層などの地質構造の把握に寄与できる.
    天水とほとんど混合していない強塩化物泉のCl-濃度は, 地質時代を遡るにつれて減少し, δ18Oは大きくなる傾向がある. したがってCl-濃度とδ18Oを測定することによって, どの時代の化石海水に由来したものかが想定でき, 温泉湧出母岩を判定する場合に活用できる可能性がある.
  • 桑野 健, 佐々木 靖人, 脇坂 安彦
    2004 年 45 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 2004/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    岩盤崩壊は重大な自然災害の1つであり, 豊浜トンネルなどでの岩盤崩落事故に代表されるようにその被害は甚大かつ深刻な影響を与えることがある. そのため岩盤崩壊のハザードマップ作成に向けて到達範囲を的確かつ効果的に把握することは極めて重要である. 本研究では岩盤崩壊の到達範囲として, 見通し仰角と飛散角を取り上げ, 到達範囲に影響する因子およびその寄与度合いについて, 多変量解析の1つである数量化理論I類を適用し, 検討を行うとともに, 到達範囲の確率的予測の可能性について考察を行った.
    その結果, 見通し仰角には崩壊の規模と崩壊形態の影響が大きく, 崩壊斜面下部の状況の違いによる影響は比較的小さいことが判明した. また飛散角には崩壊高さおよび崩壊幅の影響が大きいことが判明した. 数量化理論から導かれた見通し仰角および飛散角の予測式を用いると, 決定係数がいずれも0.55程度で比較的良い精度で到達範囲の予測が可能となった. また到達範囲の実測値と予測値の残差から到達確率分布を求めることにより, 確率的に幅を持たせた到達範囲の予測の検討を行った. これらの定量的な到達範囲予測は岩盤崩壊におけるGISハザードマップを作成する上で今後, 極めて有効な資料となるであろう.
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