著者らは, 落石における落下速度, 回転速度, 落下経路, 跳躍量, 走向方向への広がりなどの落石特性値をできるだけ正確に推定する目的で三次元落石シミュレーション法に関する研究を行っている. 既報では, シミュレーションの理論と直線型斜面で岩塊形状をパラメータにした場合の計算結果を示した. 本研究では, プログラムにおける「斜面モデルの作成法」, 「斜面を構成するどの三角形上にブロック重心位置があるかの位置判定法」, 「ブロックの斜面への接触判定法」, 「斜面へ凹凸を与える方法」等を明らかにした. 次いで, 斜面モデルに凹凸の変化を与えた場合, 落石特性値がどのように変化するかを調べた. これらの研究から得られた内容をまとめると次のようである. 1) 実測データを基にして乱数を発生させ斜面の凹凸を表現する方法は有効である. 2) 斜面に凹凸の変化を与えても, 落下速度, 回転数, 跳躍量は変化しない. 3) 一方, 落下軌跡, 到達距離, 走向方向への広がりは凹凸により変化する. とくに凹凸が顕著になると走向方向への広がりが大きくなるが, 斜面の途中で停止する割合も増加する. 4) 対象とする斜面の三次元座標値200~300点を測距することで, 本シミュレーション法を実斜面に適用できると考えられる.
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