応用地質
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45 巻, 4 号
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  • 今井 忠男, 山口 伸次, 鴨志田 直人, 杉本 文男
    2004 年 45 巻 4 号 p. 174-182
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    液化天然ガスの低温貯蔵や放射性廃棄物の地層処分など, 多様な利用が期待されている地下空間の設計にあたっては, 岩石の熱伝導率や熱拡散率など, 熱物性値に関する情報が重要なパラメータとなる.
    従来用いられてきた熱伝導率や熱拡散率の測定方法は, 試験片の形状, 加熱条件, 断熱条件などに制約条件が多く, 岩石コアの熱物性値を簡易的に測定することは難しかった. さらに, 岩盤中には多くの不連続面が存在するため, 実際の岩盤の熱物性値については, 岩石コアから得られるデータだけでなく, 不連続面の影響を考慮した原位置での測定が望まれる.
    本研究では, 熱物性値の測定原理において, 加熱条件に制約のない任意加熱法を用い, 岩石コアおよび岩盤に対する熱拡散率の測定方法の開発を試みた. この測定方法によれば, 現場から採取された岩石コアをあまり加工せず, 岩石コアを周表面から加熱し, コア内部の温度変化を測定することで, 岩石の熱拡散率が簡易的に求められる. さらに, この測定方法を岩盤に応用し, 岩盤に棒状のヒーターを挿入し, その周辺の温度変化を測定することで, 不連続面を含む岩盤の熱拡散率が簡易的に求められる測定方法も考案した.
    本研究で提案する測定方法により, 岩石コアおよび不連続面のない岩盤モデルとしての岩石ブロックの熱拡散率は, それぞれ妥当な値を得ることができた. また, 岩盤の熱拡散率は, 不連続面の影響によって, 著しく低下することがわかった.
  • 佐藤 浩
    2004 年 45 巻 4 号 p. 183-191
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    八戸市周辺の沖積層は最大海抜-45mまで存在し, 下位から, 基底礫, 砂, シルトからなる小中野層, 貝殻片を含む海成粘土や砂で特徴づけられる長苗代層, 縄文時代の貝化石を含み種々の土質からなる類家層の3つの地層に区分できる. 一方, 沖積層下には3つの埋没河成段丘堆積物が存在する. 地表における段丘面・段丘堆積物を基に追跡すると, 古い方から海抜-5~-14mの面は河原木面 (段丘堆積物は河原木層), 海抜-5~-21mの面は田面木面 (段丘堆積物は田面木層) および海抜-24~-37mの面は名久井面 (段丘堆積物は名久井層) として認められた. 土木・建築構造物の支持層を検討する際には沖積層中の礫層や粘性土が問題となる. 小規模構造物なら長苗代層の級化構造を利用した杭設計が可能であるが, 大規模構造物なら長苗代層の礫層の下位に存在する粘性土の圧密沈下の検討が必要であるとともに, 小中野層の基底礫や埋没段丘堆積物を含む洪積層に支持層を求める必要がある.
  • 高橋 学, 竹村 貴人, 加藤 昌治
    2004 年 45 巻 4 号 p. 192-196
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    拘束圧下にある岩石の内部構造を可視化するために, 耐圧100MPaのマイクロフォーカスX線CT (空間分解能10μm) 用の圧力容器を新規に開発した. この圧力容器を用いて, 三軸破壊された花崗岩や泥岩の供試体中に発達した潜在亀裂の拘束圧の増加に伴う開口変化を観察し, これらの潜在亀裂の開口幅が拘束圧の増加とともに減少することを確認した.
    マイクロフォーカスX線CTのMPR (Multi Planar Reconstruction) 画像では, 供試体の個々の粒子や空隙を正確に区別することができる. 新しく開発した圧力容器とマイクロフォーカスX線CTを併用することによって, 供試体の個々の粒子や空隙, 亀裂などに関する有益な情報を非破壊的に取得できることが明らかとなった.
  • 大島 洋志
    2004 年 45 巻 4 号 p. 197-209
    発行日: 2004/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    筆者は長年, 鉄道の地質技術者として主に鉄道トンネルの路線計画や設計・施工計画にかかわってきた. 本稿は, 筆者が体験してきたことがらのうち, トンネルの路線選定を対象に, 一地質技術者としてどのような点に留意してきたかを, 事例を交えながら随想風にまとめたものである.
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