応用地質
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46 巻, 3 号
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  • 千木良 雅弘
    2005 年46 巻3 号 p. 115-124
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    2004年新潟県中越地震 (M6.8) は, 中新世から第四紀の堆積岩地域に多数の地すべり・崩壊を発生した. 最も多かったのは急斜面の崩壊であったが, 地すべりも数多く発生した. 約100の深い地すべりの現地調査と空中写真判読による調査によれば, 地すべりの多くが既存地すべりの再活動であった. これらは層理面に平行な平面的なすべり面, あるいは斜面にほぼ平行な酸化フロントに沿うすべり面を有していた. 平面的で地層に平行なすべり面は, 変形した地表面の形態-例えば“地塁と地溝”や“ロールオーバー背斜”-から推定された. 層理面に平行なすべり面は, 上位の砂岩と下位のシルト岩との境界や砂岩シルト岩互層の層理面沿いに形成された. 酸化フロントに沿うすべり面は黒色泥岩地域に形成された. 新しい地すべり (岩石なだれ) がシルト岩にはさまれた凝灰岩にすべり面をもって発生した. 地すべりの多くは脚部を浸食あるいは人為によって切られた斜面に発生した. 地震前に座屈変形が徐々に進んでいた箇所に岩石なだれが発生した箇所もあった. 緩い谷を埋める堆積物の流動化が多く発生した. これはおそらく堆積物が飽和していて部分的に液状化したためであると考えられる. 以上の地質・地形的特徴は, 地震による地すべりの発生場所予測に貴重な示唆を与えている.
  • 筒井 健, 宮崎 早苗, 六川 修一, 中川 英朗
    2005 年46 巻3 号 p. 125-137
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    高分解能衛星ステレオ画像からの高精度数値標高データ (DEM) 作成手法を用いて, 2004年新潟県中越地震に伴う斜面災害の検出と災害規模の推定を試みた. 震災前後に新潟県小千谷市・山古志村周辺域を撮影したSPOT 5衛星ステレオペア画像から, 震災前後の5mメッシュDEMデータを抽出し, DEMデータの標高値変化を解析して地すべり・崩壊箇所の検出と規模の分析を行った. 精度評価の結果, 大規模な地すべり・崩壊域で標高変化の検出が確認された. 最大で約±50mの標高変化が計測され, 合計でおよそ25,000,000m3規模の標高変化体積が推定された.
  • 釜井 俊孝
    2005 年46 巻3 号 p. 138-144
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    新潟県中越地震による都市域の斜面災害を, 長岡市を中心に記載した. 斜面災害は, 1) 急斜面の崩壊 (崖崩れ), 2) 谷埋め盛土のすべり, 3) 既往地すべりの再活動, 4) 谷埋め盛土の液状化による沈下の事例が認められた. これら都市の斜面災害は, いずれも良く知られている災害の形態であり, 今回もそれが繰り返された. その意味では, 過去の震災の教訓は生かされていなかったと言える. しかし, 都市域の被害は山地で発生した自然斜面の崩壊に比べて数少なく小規模であるが, 典型的な都市の斜面災害として詳細に検討する価値を有している. これら都市域住宅地の災害に対する公的復興支援は, 山間地の集落に比べて不十分である. したがって, 今回の災害は, 有限な復興資源の有効な配分について議論する上からも今後の教訓とするべき重要な事例を提供するものである.
  • 八木 浩司, 山崎 孝成, 岩守 勉, 渥美 賢拓
    2005 年46 巻3 号 p. 145-152
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    2004年新潟県中越地震にともなって発生した地すべり・崩壊分布を1/10,000空中写真と1/5,000空中レーザー地形図を用いて判読した結果, 以下のことが明らかとなった.
    1) 2004年新潟県中越地震に際して発生した地すべり・斜面崩壊等の斜面災害は, 地質・地形条件に対応したさまざまな変位・移動様式に特徴づけられる.
    2) 深層すべりとしての地すべりは, 調査地域中央の芋川沿いと芋川と塩谷川に挟まれた地域に集中した分布が認められる. その集中した分布は, 梶金向斜を芋川等の河川が下刻し本地域内では比較的急な谷壁斜面が発達する位置に調和的である.
    3) 調査地域西部にも地すべりのやや集中した分布が認められる. それらは東山背斜の西翼部をなす西向き斜面の流れ盤斜面に発生した層すべりである.
    4) 崩壊は東部に多いが, 相対的に急傾斜を呈するケスタ地形の受け盤斜面にも卓越する.
    5) 本地域の地域特性としてため池の崩壊と溢流水による土石流の発生・長距離流動化が認められた. また谷底堆積物の液状化による長距離流動化も認められた.
  • 洪水流の流下様式と地形の関係
    平松 由起子, 安井 賢, 卜部 厚志, 本郷 美佐緒
    2005 年46 巻3 号 p. 153-161
    発行日: 2005/08/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    2004年7月13日, 新潟県中越地方を中心とした記録的な集中豪雨により, 五十嵐川や刈谷田川など複数の河川が各所で越流および破堤し, 三条市, 中之島町および見附市などで甚大な被害が発生した. 筆者らは刈谷田川沿いの中之島町中之島および見附市南部の被害状況について調査し, 洪水流の流下様式と地形の関係について検討した. 中之島町中之島は沖積低地上に立地し, 堤防の急激な破堤によって破堤箇所近傍では段波が発生した. 洪水流は主に道路や空き地を通って拡散したこと, 自然堤防の高まりを避けて途中から流路を変更したこと, および寺院に植えられている樹木や今回の破堤で生じた瓦礫の存在により, 洪水流の嵩上げが生じたことなどが明らかになった. 一方, 見附市南部は多くの段丘面で囲まれた谷底平野に位置し, 稚児清水川の破堤によって堤内に流入した洪水流の流路は現堤防と段丘面に規制された. 洪水流は沖積面の狭まる地形的狭窄部に位置していた旧堤防により一時的に塞き止められて嵩上げされ, その後, 旧堤防を破壊して, 稚児清水川から4km下流の, 堤防よりも低い段丘面の狭窄部を直撃したことが明らかとなった.
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