応用地質
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47 巻 , 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 服部 修一, 太田 岳洋, 菊地 良弘
    2007 年 47 巻 6 号 p. 323-336
    発行日: 2007/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    掘削残土からの酸性水や金属元素の溶出が懸念された八甲田トンネルでは, 溶出特性を評価する岩石判定手法が提案され, これに基づき残土処分が行われた. そこで本論では, 本トンネルで実施された岩石判定結果の実績と土捨場浸出水のモニタリング結果から, 提案された岩石判定手法の妥当性を検証した.
    掘削残土の判定に最も寄与する判定項目が, 泥岩ではS/Caモル比, 火山岩・火砕岩類では硫黄含有量であることが明らかとなった. また, 管理型土捨場の浸出水でもpHの低下や金属元素の排水基準以上の濃集が認められなかったことから, これらの判定手法が十分安全側であったと評価できる. 岩石の簡易溶出試験における56日後の溶出水水質や昨今の社会情勢を鑑みると妥当であったと考えられるが, 今
    後の同種の工事においてはさらに経済的な処理方法を検討する必要がある. 今後の鉱山跡地周辺における掘削工事では, (1) 事前調査時に水平ボーリングコア試料などを用いて管理型区間長, 管理型土捨場容量などを的確に推定すること, (2) 施工時に切羽地質の確認と土捨場浸出水のモニタリングを行うこと, が必要であると考えられる. また, 管理型掘削残土の処分法としては, 「管理型土捨場」が効果的であるが, より経済的で同様の効果のある土捨場構造の検討が必要である.
  • 中山 千栄子, 田中 芳則
    2007 年 47 巻 6 号 p. 337-345
    発行日: 2007/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    近年, 化石燃料の燃焼を起源とする酸性雨や, 多肥集約農業における化学肥料の散布などにより大量の硝酸態窒素が地表面に負荷されている. その結果, 不飽和帯から飽和帯への浸透過程において, 塩基の溶脱, アルミニウムや有害重金属の可溶化が生じ人為による土壌環境破壊が問題となっている.
    本研究は硝酸態窒素による浅層地下環境汚染に対する関東ロームの応答について検討している. 武蔵野台地下の関東ロームより深度ごとに採取した試料土を使用し, 交換酸度試験ならびに0.14mM硝酸溶液を流入するカラム試験を行い, 流出水のpH測定ならびに硝酸濃度を測定し破過曲線の作成を行った. 交換酸度試験において, 表層より採取した試料土では活酸性および潜酸性ともに低pHを示した. カラム試験において, 立川ローム, 武蔵野ロームに相当する深度より採取した試料土の破過曲線の形状は大きく異なった.
    以上より立川ロームの酸に対する緩衝能は低下傾向にあるが武蔵野ロームではこの緩衝能が維持されていることがわかった. 関東ロームの酸に対する緩衝能は, 立川ローム上層と立川ローム下層および武蔵野ロームにおいて異なっている可能性がある. 今後, 人為的な硝酸態窒素の負荷の増加により関東ローム深部の酸に対する緩衝能も失われる可能性を示している.
  • 細川 迭男, 菅井 皇人, 山崎 充
    2007 年 47 巻 6 号 p. 346-353
    発行日: 2007/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    日本海沿岸東北自動車道大館北インターチェンジ (仮称) ~小坂ジャンクション (仮称) 間の最も東に位置する雪沢第二トンネルでは, トンネル掘削の対象となる泥岩の一部で, セレンが土壌汚染対策法に定められた溶出量基準を超過することが工事着手前に行った調査でわかっていた.
    また, 雪沢第二トンネル着工時期より先に着工している当該区間の西に位置する大茂内第一トンネルでは, 工事中に粘土化した凝灰岩と泥岩凝灰岩互層で砒素の溶出量基準超過がみられ, 簡易溶出試験のpHと強熱減量が高い試料での溶出が顕著であることがわかった.
    掘削土について土壌汚染対策法に定められた分析を行い, 溶出量基準を超過するか否かを判定するには時間を要する. トンネル工事では日々, 掘削土を坑外に搬出するため, 試験に長時間要すると, 掘削作業の休止または掘削土の仮置き等が長時間に及び, トンネル掘削作業を効率的に行うことが困難となる. よって, 掘削作業の効率化には, 迅速かつ簡易な掘削土の判定方法が必要となった.
    本報告では, 前述した大茂内第一トンネルでの事象を参考に, (1) 簡易溶出試験pH, (2) 強熱減量, (3) 全岩硫黄含有量, (4) S/Ca (モル比) にしきい値を設けて行っている, 雪沢第二トンネルの掘削土の簡易な判定方法と, 溶出量基準を超過する掘削土の処理方法について述べる.
  • 阿南 修司, 柴田 光博, 品川 俊介, 佐々木 靖人, 岩石由来の環境汚染対策研究グループ
    2007 年 47 巻 6 号 p. 354-359
    発行日: 2007/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    鉱山はしばしば環境汚染を引き起こす一方, 鉱山の存在やその地質特性は, 岩石に由来する環境汚染リスクの予見のための情報とな.
    本研究では, 岩石中に天然に含まれる重金属等による環境汚染リスクを建設工事にあたって事前に把握するために, 全国の鉱山分布図や鉱山データベースを作成し, 主な重金属等の種類ごとに鉱床に起因する環境汚染リスク箇所を整理した.
  • 八村 智明, 宮原 哲也, 大野 博之
    2007 年 47 巻 6 号 p. 360-368
    発行日: 2007/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    災害発生に伴う廃棄物は多量で雑多なものが短期間に排出される. このため, 通常の処理・処分システムにのらないことが多く, 長期的に放置される場合も見受けられる. 本論では, 現状のデータや知見から, 以下の可能性が示された.
    1) 災害廃棄物の仮置き場では, 嫌気環境下での有機物の腐敗が発生する可能性が高く, 早期の処理・処分が必要となる. さらに, 嫌気環境下の腐敗と悪臭対策のために, 消臭剤を添加したりすることは, 事態をより悪化させる場合がある. 災害廃棄物は雑多なものが分別されていないことが多く, とくに注意を要する.
    2) 仮置き場では, 有害重金属が溶出し, 地下水・土壌にそれが濃縮することが懸念される. このため, 早期の処理・処分とともに適切な地下水・土壌汚染対策の実施が必要である.
    3) 崩壊土砂の中などに長期に放置された災害廃棄物は, その量や状態にもよるが, 重金属類や石油化合物などによる複合的汚染の発生源となったり, 腐敗による火災や有害なガス等が発生したりすることが懸念される.
    4) 崩壊土砂の中などに長期に放置された災害廃棄物のうち, 地震や火山災害などで燃焼した家屋などは, これら残渣や焼却灰に高濃度のダイオキシン類が含有されている可能性がある.
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