応用地質
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47 巻 , 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 川崎 了, 村尾 彰了, 広吉 直樹, 恒川 昌美, 金子 勝比古
    2006 年 47 巻 1 号 p. 2-12
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    通常土壌には, 1gあたり107~109の微生物が含まれている. この非常に多くの微生物を, 土や岩を対象とする工学の中でもとくに力学分野において利用することができれば, 地球環境に配慮した新たな技術が開発されるものと期待される. 筆者らは, 土や岩の代表的なセメント物質の1つである炭酸カルシウムを主成分とし, 微生物の代謝活動により土や岩の間隙や岩の割れ目を自然に閉塞させる新たな概念に基づくグラウト, すなわち, バイオグラウトを開発するための基礎的な室内試験を実施した. 具体的には, 市販のイースト菌および自然の土壌中に生息する微生物を用いて試験管による炭酸カルシウムの析出試験を行い, 試験時の諸条件である温度, 有機栄養源, 緩衝溶液が炭酸カルシウムの析出に与える影響について検討した. また, バイオグラウトによる砂および粘土の透水特性の改良試験を実施し, バイオグラウト処理により両者の透水係数が処理前に比べて約1桁低下することを確認した. 解決すべき残された課題は少なくないが, 得られた試験結果より土壌微生物の代謝活動を利用したバイオグラウトによる地盤の物性改良およびバイオグラウトの開発に関して明るい見通しが得られた.
  • 丸山 大悟, 小嶋 智, 大谷 具幸
    2006 年 47 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    地下深部の割れ目の特徴を明らかにするために, ボーリングコアに認められた割れ目とボアホールテレビ画像に認められた割れ目を対応させ, 割れ目の走向・傾斜, 割れ目面の形状, 充填鉱物などについて検討を行った. 研究対象は, 岐阜県土岐市で掘削された垂直ボーリング孔の深度51~1,012mの部分で, 白亜紀後期の土岐花崗岩である. 割れ目は, 急傾斜でNNW, NS, NE~ENE走向のものと水平なものが卓越する. 深度別に見ると, 急傾斜割れ目の走向は, 深くなるにつれ, NNW→NNE, ENE→EWへと変化する. 割れ目の形状には, 直線的ででこぼこしたもの (Pr), 平らなもの (Pf), 条線がみられるもの (Ps), および, 起伏してでこぼこしたもの (Wr) が認められる. Ps割れ目の解析から, 深度340m付近に, 横ずれのせん断運動によって形成された, NNW-SSE走向で急傾斜の割れ目群があることが明らかとなった. Pr, Pf, Ps割れ目は急傾斜のものがほとんどで, 形状等の特徴からせん断運動によって形成されたものと推定される. Wr割れ目は水平なものと急傾斜のものの両方がある. このうち, 浅部にみられる水平なものの一部はシーティング割れ目, その他のものは冷却割れ目である可能性が高い.
  • 高梨 文治
    2006 年 47 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    関東ロームの圧密降伏応力 (Pc) は水浸条件と非水浸条件で異なるのか否か, 異なるとしたらどの程度異なるのかを調べた. その結果, 全体の76%で非水浸Pcは水浸Pcの1.0~1.2倍, 24%で同じく1.3~1.7倍あることがわかった.
    また, これらのデータを用いて両者を対比したところある程度強い相関性が見られた. したがって, いずれか一方の値から他方の値を 推定できる可能性もある.
    次に, 関東ロームの現場でその圧密沈下に関して非水浸Pcの採用が可能なら水浸Pcの採用の場合より設計は経済的に優位なものとなる. よって非水浸Pcが水浸Pcより大きくなるメカニズムに関して検討する意義があるものと思われる.
  • 大島 洋志, 村尾 彰了
    2006 年 47 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    渡邊貫はわが国の地質工学の祖ともいうべき人物で, 彼の著になる『地質工学』はその功績がしのばれる成果の一つである. 筆者はこの本に若いころ感化された一人であるが, 本著が出版されて70年になる今, 改めてこの本を通して, 筆者の目から見た渡邊の偉大な点, われわれ後進が見習うべき点などについて再考してみる.
  • 大野 博之, 村尾 彰了
    2006 年 47 巻 1 号 p. 40-49
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    地球は誕生してからこれまでの45.6億年間, 常に環境が変化してきた. このことは, これからも環境は変化し, 場合によっては, 人類が生存できないような環境変化が起きうる可能性も示唆している. とくに, 人為的な環境変化だけは避けたいという観点から, 最近, 環境問題への取り組みが盛んになっている. こうした環境問題は, 同時に, 食料やエネルギーなどの資源問題でもある.
    応用地質学に携わるわれわれは, これまでものづくりに関することや防災には多くの力を注いできたが, 環境問題にはそれほど多くの力を注いできたとは言えないのではなかろうか. 本論では, 地球史における環境変化をベースに, 現在の環境問題にわれわれがEngineeringとしてどう対処するべきかを微力ながら考えてみた. そこでいえることは, 複数の手 (専門) を持ったうえで確たる理念・倫理観を持ち, (1) 対象の近傍 (near-field) だけでなく広域 (far-field) も含めた階層的なスケールで問題に対応すること, (2) 十年程度の時間 (short-term) だけでなく, 数百年程度の時間 (long-term) も考慮に入れて問題に対応すること, すなわち, 4次元的な感覚をもつことが必要となることを示した. また, このための方策として, 学会などによる教育活動の推進, 調査・検討・評価内容についての品質の向上と保障のための枠組み作りを進めるとともに, 仕事などを通して自己研鑽を積むべきことを示した.
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