応用地質
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47 巻 , 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 横田 修一郎, 妹尾 大輔, 西山 賢一
    2006 年 47 巻 4 号 p. 188-195
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    島根県宍道湖南岸から産出する“来待石”は新第三紀中新世の凝灰質砂岩であり, 優れた加工性を有する反面, 急速に風化して軟質化する欠点がある. この岩石の風化過程では鉄成分の酸化による急速な褐色化が特徴である. そこで, 来待石の風化速度を得るため, 室内自然状態下に置いた新鮮な岩石表面の色彩値を, その風化過程を通じて2年間以上にわたり繰り返し計測した. その結果, 褐色化の主要な指標であるb*値は, 当初は急速に増大するが, 増大速度は時間とともに低下することが明らかとなった. これは, 時間 (経過日数) をtとすれば, b*=2.35log t+4.40のように表現できる. さらにb*値と岩石の一軸圧縮強度qu (MPa) との間の経験式を用いれば, 来待石の一軸圧縮強度は露出後102年以内に半減する. 一方, 岩石表面から内部への褐色化の進行に関しては, 試料切断面の色彩値にもとづけば, 少なくとも数十日間に表面から2cm以上に達することを確認した.
  • 小嶋 智, 西尾 洋三, 徐 勝, 永澤 智江, 後藤 紘亮, 大谷 具幸, 矢入 憲二
    2006 年 47 巻 4 号 p. 196-207
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    滋賀県東部の伊吹山の西麓を流れる姉川沿いには, 葉理・層理が発達した泥層が分布する. この泥層は, 岩相・分布などの特徴や伊吹山西面の崩壊堆積物との位置関係から, 伊吹山の大規模斜面崩壊によって形成されたせき止め湖堆積物と考えられる. この堆積物には新期・古期の2種類があり, 新期せき止め湖堆積物には, 砕屑粒子・珪藻殻・菱鉄鉱微粒子・有機物などからなる薄い葉理をもつ部分がある. この葉理は春にブルーミングを迎える珪藻の殻が濃集した葉理と湖底が還元的となる夏に形成される菱鉄鉱および粘土鉱物の濃集した葉理が繰り返す年縞に, 粗粒砕屑粒子・植物片などの有機物が時折供給されて形成されたものと考えられる. 新期・古期せき止め湖堆積物に含まれる植物遺体の14C年代は, ばらつきが大きいものの, それぞれ約5,000年前, 約3万~4万年前であった. 本研究で得られた14C年代, 葉理をもつ泥層から推定される堆積期間, 既往研究による火山灰の存在や古文書記録などから, 姉川流域にせき止め湖を出現させ, 長い期間存続させるような斜面崩壊が, 伊吹山西面で少なくとも過去に2度発生したことが明らかとなった.
  • 亀井 健史, 高嶋 純一
    2006 年 47 巻 4 号 p. 208-217
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    近年, 軟弱地盤上に土構造物を築造するための対策工法の一つとして, 大規模な地盤改良を必要としない軽量盛土工法が注目されている. 中でも, 気泡混合軽量土工法は地盤工学的に有意な特徴を数多く有していることから, その施工例は近年確実に増加している. しかしながら, 打設地盤内部において発生する80~100℃程度の水和熱が気泡混合軽量土の強度・変形特性に有害な影響を及ぼす可能性も明らかとなってきている. そこで本研究では, 高温養生が定体積条件下における気泡混合軽量土の一軸圧縮強さとその内部構造に及ぼす影響について検討した.
    その結果, 今回対象としたエアミルクのような比較的単位セメント量が多い場合, その一軸圧縮強さは, 養生温度の上昇に伴いほぼ直線的に減少し, 80℃以上の高温を受けた場合には, 20℃で養生した場合の50~60%程度にまで減少することが明らかになった. このような強度減少の割合は, 原位置から得られた供試体に対する実験結果とよく一致している. また, このような高温履歴に伴う強度減少の主要因として, 気泡の大きさや形状などの内部構造の変化の影響が大きいことを双眼実体顕微鏡の観察結果にもとづいて指摘している.
  • 金折 裕司, 田中 竹延, 柳田 誠, 下山 正一, 田中 和広, 福地 龍郎, 三浦 房紀, 山本 哲朗, 石田 毅
    2006 年 47 巻 4 号 p. 218-231
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    既往の研究成果と本研究で実施した断層露頭調査, トレンチ発掘調査およびボーリング調査などの結果を組み合わせて, 大原湖断層系とその構成断層の分布, 性状および活動性を明らかにした. この断層系は7活断層 (大原湖断層, 木戸山西方断層, 山口盆地北西縁断層, 吉敷川断層, 下郷断層, 宇部東部断層, 仁保川断層) から構成される. 本報告ではまず, 既往の研究を再検討することにより, 大原湖断層系の地形・地質に関する従来の知見を総説する. 次に, 本研究で実施した調査の結果を詳しく記載する. 以上の結果を総合すると, 大原湖断層には約3,200年前以降の活動は認められない. 一方, 木戸山西方断層と下郷断層については, 約3,500年前にほぼ同時に活動した可能性がある. その活動間隔は2.1万~2.4万年以上であると推定される. 平均鉛直変位速度は断層ごとに異なるが,0.01~0.08m/千年の範囲にある.
  • 古閑 美津久, 堀川 毅信, 宇城 輝, 谷内 正博
    2006 年 47 巻 4 号 p. 232-241
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    2005年9月初旬台風14号の通過に伴う豪雨により宮崎県下では土砂災害や浸水災害が発生した. 台風は広い暴風域を維持したまま九州西岸を時速15km程度でゆっくり北上したため, 長時間にわたって降雨が続き記録的な豪雨となった. 宮崎市の南西約20kmにある鰐塚山 (1,118m) の9月3~6日までの総雨量は1,013mmに達し, 山地の周辺, とくに北麓斜面で大規模な崩壊・土石流が発生し, 清武川上流の別府田野川, 片井野川, 境川では大量の土砂が流出して河道を埋めた. 幸いにも人的被害はなかったものの崩壊や流出土砂の規模は記録的なものであり, 今後の復旧および治山・砂防対策が課題となる. 筆者らは空中写真判読を実施し鰐塚山周辺域の災害の概要を把握するとともに9月22, 23日に別府田野川流域と鰐塚山の南方広渡川上流域について現地調査を実施した. その結果, 鰐塚山北麓では幅数十m, 長さ数百m以上に達する大規模崩壊が10か所以上発生し, 反面, 小~中規模の崩壊は少ないこと, 深層崩壊と地すべり性崩壊の2タイプがあることなどを把握した. 一方, 広渡川上流では大規模な斜面崩壊により崩土が河床部を埋め, 天然ダムが形成された. 本報はこれらの災害状況を報告するものである.
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