応用地質
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47 巻 , 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 藤井 幸泰, 堀 伸三郎, 高橋 学, 竹村 貴人, 林 為人
    2006 年 47 巻 5 号 p. 252-258
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    花崗岩中に発生させた一軸引張破断面の粗さを, デジタル写真測量技術を用いて定量的に表す手法を考え, 実際に稲田花崗岩で試行した. 破断面の立体写真撮影には接写の手法を利用し, 30mm径の被写体に対して計測分解能を, 破断面に平行方向で0.02mm, 破断面に垂直方向で0.1mm程度にすることができた. 破断面粗度を, 二乗平均平方根粗さ, 中心線平均粗さ, 最大粗さなどの方法で表したところ, 割れ目はrift面, grain面, hardway面に平行な破断面の順に粗さが増加することがわかった.
    また, 立体写真測量による計測をいくつかの地質対象物にも適用し, この方法の適用範囲について考察した.
  • 田中 元, 山田 琢哉, 鈴木 茂之
    2006 年 47 巻 5 号 p. 259-268
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    岡山県の三畳系成羽層群分布域には炭層地すべりが多発し, 成羽層群地すべりと呼ばれている. 名原地区での事例研究から, 発生場の地質的背景とすべり面の特徴を検討した. 成羽層群地すべりでは, 破断した砂岩が主に地すべり土塊を構成し, すべり面は炭質層に形成されている. 地すべりと岩相, すべり面と炭質層の間には次の特徴が認められた. 1) 地すべりが発達する地層は, 炭質層の多い河成層で, その岩相は, 砂岩層・砂岩泥岩互層・泥岩層・炭質層の順に上方細粒化する厚さ5~10m程度の小規模なユニットの繰り返しからなる. 2) このユニットでは, 下部の砂岩層と最上部の炭質層の間の強度差と延性度較差が大きいため, 曲げ褶曲形成の際に, ユニットの境界部に勇断すべりを生じやすい. 3) とくに, ユニットの境界部が炭質層の場合, 選択的に破砕帯が形成されてほとんどが粉炭状を呈する“破砕炭質層”となり, すべり面の多くはこの部分に生じる.
  • 宮越 昭暢, 林 武司, 丸井 敦尚, 佐倉 保夫, 川島 眞一, 川合 将文
    2006 年 47 巻 5 号 p. 269-279
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    東京都の東部に位置し, 東京湾に面する東京低地とその周辺地域において, 人間活動の影響を受けた地下水環境の評価を目的として, 観測井を用いた地下温度プロファイルの測定により三次元地下温度分布を把握した.
    地下温度分布には地域性が認められ, 低温域は低地の内陸部から東部に, 高温域は中央部から南部に分布する. 高温域は, 地下水流動の水理学的な下部境界であり相対的に熱伝導率の高い固結シルト層の上面深度が浅い位置にあり, 地下水揚水に起因した地盤沈下量の大きい地域と一致する. この結果は, 地下温度分布が自然状態の地下水流動だけでなく, 人間活動の影響も反映していることを示している. また, 従来その存在が指摘されてきた低地中央部南側の地下水流動を規制する水理地質構造の推定位置付近を境として, 地下温度分布は南北で大きく異なっており, この水理地質構造の存在を支持する. 一方, 1956~1967年と2001年の地下温度データの比較では, 地下温度の低下が内陸部に広く認められた. 地下温度プロファイルの解析結果から, 下向きの地下水流動がその要因と考えられる. 本研究により, 地下温度から人為影響による東京低地の地下水流動の変化が示された.
  • 石井 英一, 福島 龍朗
    2006 年 47 巻 5 号 p. 280-291
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    地下水の流れや物質移動に大きな影響を及ぼす構造を考慮した地質構造モデル構築のための前段の調査として, 新第三紀珪質岩中に分布する露頭スケールの小規模な断層の特徴を明らかにするために, 露頭観察, ボーリングコア観察および孔壁画像解析を行った. その結果, 層理面に高角な横ずれ優勢の断層と層理面にほぼ平行な縦ずれ優勢の断層を認めることができ, それらの断層の形成過程, 成因, 分布特性および透水性について一定の理解を得ることができた. 層理面に高角な横ずれ優勢の断層は互いに密集して特徴的な構造を形成しており, その構造が地下水の主要な水みちとして機能している可能性が示唆された.
  • 和嶋 隆昌, 吉塚 和治, 池上 康之
    2006 年 47 巻 5 号 p. 292-296
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    砕石場では, 砕石を製品化する際に産業廃棄物として砕石屑が発生する. 本研究では, 砂岩砕石屑の有効利用を目的として, 焼却灰からのゼオライト合成において代表的なアルカリ水熱法とアルカリ溶融法を用いて, 砕石屑からのゼオライト合成を試みた. アルカリ水熱法では砕石屑からのゼオライト合成は行えなかったが, アルカリ溶融法では砕石屑の大部分をゼオライトに転換できた. アルカリ溶融法で得られた生成物はゼオライトXとハイドロキシソーダライトを含み, 陽イオン交換能は約230cmol/kgと天然ゼオライトより高い能力を示した.
  • 稲垣 秀輝, 佐々木 靖人
    2006 年 47 巻 5 号 p. 297-309
    発行日: 2006/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    自然環境の保全は, 応用地質学の一つの大きなテーマである. 自然環境の保全のためには地生態系をより深く理解する必要がある. 地盤と生態系の関連性を明らかにする学問分野として「応用地生態学」が提唱されている. 今後はこの具体的な方法を開発していく必要がある.
    応用地生態学を進めるにあたって, 従来技術である地形調査や地質調査・動植物調査なども重要であるが, 地生態系全体を捉える新しい調査方法として, 地生態断面調査法, 地生態マップなどの技術を開発したので, その手法の説明を行い, その事例報告や具体的な対応策について述べる. 今後は, 資源地質学・土木地質学・環境地質学や防災地質学に続く流れとして, 応用地生態学を発展させるべきときにきている. それは応用学としての応用地質学の責務である.
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