東京都の東部に位置し, 東京湾に面する東京低地とその周辺地域において, 人間活動の影響を受けた地下水環境の評価を目的として, 観測井を用いた地下温度プロファイルの測定により三次元地下温度分布を把握した.
地下温度分布には地域性が認められ, 低温域は低地の内陸部から東部に, 高温域は中央部から南部に分布する. 高温域は, 地下水流動の水理学的な下部境界であり相対的に熱伝導率の高い固結シルト層の上面深度が浅い位置にあり, 地下水揚水に起因した地盤沈下量の大きい地域と一致する. この結果は, 地下温度分布が自然状態の地下水流動だけでなく, 人間活動の影響も反映していることを示している. また, 従来その存在が指摘されてきた低地中央部南側の地下水流動を規制する水理地質構造の推定位置付近を境として, 地下温度分布は南北で大きく異なっており, この水理地質構造の存在を支持する. 一方, 1956~1967年と2001年の地下温度データの比較では, 地下温度の低下が内陸部に広く認められた. 地下温度プロファイルの解析結果から, 下向きの地下水流動がその要因と考えられる. 本研究により, 地下温度から人為影響による東京低地の地下水流動の変化が示された.
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