応用地質
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48 巻, 3 号
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  • 宇田川 義夫
    2007 年 48 巻 3 号 p. 116-125
    発行日: 2007/08/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    亀裂性岩盤において建設されるトンネルの安定性は, 亀裂や風化の発達程度といった地質的特性に影響を受けやすい. したがって, トンネル切羽岩盤の適切な地質評価を行うことは, 防災およびトンネルの経済的建設工事の観点から非常に重要である. 本研究では, 岩盤の亀裂分布がフラクタル特性を有することから, トンネル施工段階におけるデジタルカメラによるトンネル切羽画像のフラクタル解析により, 切羽の亀裂分布状況をフラクタル次元で客観的に評価するシステムを提案した. さらに, このシステムを, 代表的な地質である, 堆積岩地山 (砂岩・頁岩・礫岩互層), 火成岩地山 (花崗岩地山), 変成岩地山 (緑色片岩・黒色片岩) に施工されたトンネルに適用し, その地質評価とトンネル支保パターン評価の有効性を明確にした.
  • 瑞浪超深地層研究所に分布する瑞浪層群での適用事例
    持田 裕之, 天野 健治, 鶴田 忠彦
    2007 年 48 巻 3 号 p. 126-131
    発行日: 2007/08/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    トンネル等の坑壁地質調査では, 短時間に効率的かつ良質な地質データを取得する必要があるが, 坑内照明等のデジタルカメラ画質への影響, デジタルカメラ画像を合成する際の画像補正による画質低下, 地質技術者の技量による地質スケッチの品質差等, さまざまな技術的課題が挙げられる. ここでは, 瑞浪超深地層研究所の立坑に分布する新第三紀中新世の瑞浪層群を対象に, 坑内照明の影響を受けない3Dレーザースキャナー計測の適用試験を行い, 計測で得られた白黒の受光強度画像を画像処理することによって岩相区分を試みた. その結果, 受光強度画像は照明や画像加工のノイズの少ない客観的なデータであり, 複数の画像処理手法を用いることによって, スケッチと整合的に岩相区分を行えることが明らかになった. この手法により, 今後の坑壁地質調査作業の効率化, 高度化が図れる可能性がある.
  • 今村 遼平
    2007 年 48 巻 3 号 p. 132-140
    発行日: 2007/08/10
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    1953年に小出博が山地災害 (土砂災害) の“免疫性”の概念を提唱して以来, この言葉は防災関係者の間でもときどき使われてきた. しかし, 山地災害の“免疫性”の本質に関して深い考察がなされないままに使われてきたのが実情である. 本論では, 山地災害 (地すべり・斜面崩壊・土石流など) の“免疫性”の本質は, ある空間における物質 (土砂や水など) の“貯留現象”の有無にあることを明らかにした. そして, 貯留の行われる場 (貯留される物質の“容れ物”) の空間規模とそこへ供給される物質の量によって, 免疫性の有効期限が決まってくることを明らかにし, 免疫 (貯留) の及ぶ空間の性質についても言及した. また, “免疫性の有無”は時間スケールを決めたうえでの議論でないと意味がないことを示した.
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